神に手が届くその時まで   作:なかりょた

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緋色がヒロインすぎる。
あと、評価くださった方ありがとうございます。励みになります!!!


一緒にいよう

「おい!返事しろよ緋色!緋色!」

 

緋色の体を抱いて、動かない緋色に話しかける

 

「くっそ」

 

そのとき、何かが流れ込む。

 

「これは、記憶?」

 

見えたのは黒髪の少女と自分によく似た少年。その瞬間、夜卜の術式が勝手に発動する。夜卜の意志じゃない。でも体の奥底に眠っていた、本能のようなもの。

 

「・・・・やめろ」

 

分かっている。これは違う。やってはいけない。でも止まれない。

 

夜卜の術式。

 

“器成呪術”

 

素材をもとに武器を作る力。夜卜に許された最後の方法。

それは―

 

触れている。緋色に。緋色の魂に。

 

「・・・やめろ。」

 

「やめろ。」

 

でも、応えるように呪力が収束する。

 

光が形をもって、崩れて、集まって、何かを形作っていく。

 

気づいたときには手の中にあった。

 

刀。緋色の血でできたような、赤い刀が握られていた。

 

「・・・緋色?」

 

話しかけてしまう。返事が返ってくるわけないのに。この刀が持つ懐かしい暖かさに、涙がでる。

 

その時、

 

「―夜卜」

 

声がした。

 

聞き間違えるはずのない、あの声が

 

いつも優しく語りかける、あの声が

 

息がとまる。振り返るのが怖い。今でも幻聴なんじゃないかと思ってる。怖さを押し込んで振り返る。

 

そこに、緋色がいた。緋色は何事もなかったように話しかけてくる。

 

「呼んだ?」

 

 

「……お前」

 

言葉が出ない。大丈夫か?会いたかった。生きててよかった。いろんな言葉が出てくるのに、声が出せない。けど、

 

「うん」

 

緋色は何かを察したようにうなずく。

 

「それ……」

 

刀と緋色を交互に見る。

 

「分かってる」

 

「私、死んだの」

 

緋色は淡々と事実だけを言う。

 

「で」

 

「あなたが、私を使った」

 

「・・・・」

 

何か言わなくちゃいけないのに、言葉が出てこない。

 

「……ごめん」

 

「謝ることじゃない」

 

緋色は食い気味に返す。

 

「いや——」

 

それでも謝ろうと言葉を紡いでいると

 

「私を助けようとしてくれたんでしょ?」

 

俺の言葉を遮って、緋色は俺の目を見ていった。

 

「……仕方ない」

 

「それに」

 

「私は、…私は、夜卜が私を選んでくれて、…嬉しい」

 

その言葉は普段だったら喜べたんだけど、今は素直によろけべない。

 

「……戻るのか」

 

「無理」

 

即答される。

 

「でも」

 

緋色は俺の目を見て。

 

「消えない」

 

「ここにいる」

 

苦しかったのは緋色の方なのにいつも俺を気遣ってくれる。

緋色が口を開く。

 

「……前、明日世界が終わったらどうするって聞いたとき、一緒にいるって言ったよね」

 

緋色が少しだけ首を傾げて

 

「本当にそうなっちゃったね」

 

照れたようにはにかむ。

 

緋色は何も言わない俺を見て、

 

「……よろしく、夜卜」

 

と困ったように笑った。

 

その距離は。

 

近くて。

 

遠かった。




今回は改行多めで書いてみました、どうでしょうか?
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