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「おい!返事しろよ緋色!緋色!」
緋色の体を抱いて、動かない緋色に話しかける
「くっそ」
そのとき、何かが流れ込む。
「これは、記憶?」
見えたのは黒髪の少女と自分によく似た少年。その瞬間、夜卜の術式が勝手に発動する。夜卜の意志じゃない。でも体の奥底に眠っていた、本能のようなもの。
「・・・・やめろ」
分かっている。これは違う。やってはいけない。でも止まれない。
夜卜の術式。
“器成呪術”
素材をもとに武器を作る力。夜卜に許された最後の方法。
それは―
触れている。緋色に。緋色の魂に。
「・・・やめろ。」
「やめろ。」
でも、応えるように呪力が収束する。
光が形をもって、崩れて、集まって、何かを形作っていく。
気づいたときには手の中にあった。
刀。緋色の血でできたような、赤い刀が握られていた。
「・・・緋色?」
話しかけてしまう。返事が返ってくるわけないのに。この刀が持つ懐かしい暖かさに、涙がでる。
その時、
「―夜卜」
声がした。
聞き間違えるはずのない、あの声が
いつも優しく語りかける、あの声が
息がとまる。振り返るのが怖い。今でも幻聴なんじゃないかと思ってる。怖さを押し込んで振り返る。
そこに、緋色がいた。緋色は何事もなかったように話しかけてくる。
「呼んだ?」
「……お前」
言葉が出ない。大丈夫か?会いたかった。生きててよかった。いろんな言葉が出てくるのに、声が出せない。けど、
「うん」
緋色は何かを察したようにうなずく。
「それ……」
刀と緋色を交互に見る。
「分かってる」
「私、死んだの」
緋色は淡々と事実だけを言う。
「で」
「あなたが、私を使った」
「・・・・」
何か言わなくちゃいけないのに、言葉が出てこない。
「……ごめん」
「謝ることじゃない」
緋色は食い気味に返す。
「いや——」
それでも謝ろうと言葉を紡いでいると
「私を助けようとしてくれたんでしょ?」
俺の言葉を遮って、緋色は俺の目を見ていった。
「……仕方ない」
「それに」
「私は、…私は、夜卜が私を選んでくれて、…嬉しい」
その言葉は普段だったら喜べたんだけど、今は素直によろけべない。
「……戻るのか」
「無理」
即答される。
「でも」
緋色は俺の目を見て。
「消えない」
「ここにいる」
苦しかったのは緋色の方なのにいつも俺を気遣ってくれる。
緋色が口を開く。
「……前、明日世界が終わったらどうするって聞いたとき、一緒にいるって言ったよね」
緋色が少しだけ首を傾げて
「本当にそうなっちゃったね」
照れたようにはにかむ。
緋色は何も言わない俺を見て、
「……よろしく、夜卜」
と困ったように笑った。
その距離は。
近くて。
遠かった。
今回は改行多めで書いてみました、どうでしょうか?