四國志   作:丸亀導師

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G…


日出処の天子 3

 

見渡す限りの平野が、赤黒い炎と濛々たる土煙に覆われていた。

 

「蒼天已に死す、黄天当に立つべし!」と狂信的な叫びを上げ、後漢の屋台骨を食い破らんとした数万の黄巾賊。しかし今、彼らの陣形は完全に崩壊し、ただ逃げ惑うだけの烏合の衆と化していた。

その逃げ惑う黄色い波を、冷徹な刃のごとく切り裂き、蹂躙していく一団があった。

 

騎都尉(きとい)」の印綬を帯びた若き将、曹操孟徳が率いる五千の精鋭である。

 

「追え! 一人も逃すな! 漢の威光に弓引く逆賊どもに、二度と刃を握れぬよう恐怖を刻み込め!」

 

曹操の鋭い下知が飛ぶ。彼の用兵は、狂信に頼る賊徒のそれとは次元が異なっていた。地形を読み、敵の恐怖心を煽り、最も脆い部分に騎馬隊を楔のように打ち込む。一切の隙を与えぬ見事な戦ぶりで、彼は漢の帝の名の下に、この地の鎮圧を今まさに終えようとしていた。

 

その乱戦の最中、後方より一騎の早馬が、血走った馬の腹に鞭を打ちながら曹操の本陣へと駆け込んできた。

 

「申し上げます! 洛陽の曹嵩(そうすう)様より、大至急の(ふみ)にございます!」

実父からの急報。ただならぬ気配を感じ取った曹操は、愛馬の手綱を引き絞り、周囲の喧騒から少し離れた小高い丘の上で、血にまみれた手でその竹簡を開いた。

 

そこには、簡潔にして耳を疑うような事実が記されていた。

『漢の洛陽に、東夷の使者来たる。自らを天子と称し狂悖(きょうはい)す。皇帝陛下、これを罰する能わず』

 

曹操は、その一文を三度読み返した。

東の海に浮かぶ絶海の孤島。かつて光武帝に朝貢し、金印を賜って喜んでいた未開の蛮族。その小国の使者が、堂々と洛陽の宮城に踏み込み、こともあろうに中華の皇帝を「日没する処」と呼び捨てにしたというのか。そしてあろうことか、大漢帝国の主が、その侮蔑に対して剣を抜くことすらできなかったというのか。

曹操は竹簡を握りしめ、煙の立ち昇る西の空——洛陽の方角を静かに見つめた。

その鋭い双眸には、黄巾賊を打ち破った高揚感など微塵もなかった。

 

(……漢の帝も、地に堕ちたか)

 

曹操は声に出すことなく、心の奥底でそう呟いた。

国内の暴徒すら自力で鎮められず、自分のような若輩の力にすがるしかない斜陽の帝国。その上、見下していた辺境の国にすら恫喝され、媚びを売るまでに腐り果ててしまった。

天下の理は、すでに漢の宮城にはない。

 

「……殿。いかがなされましたか」

 

側近の夏侯惇(かこうとう)が、怪訝そうに尋ねた。

曹操は表情を一変させ、竹簡を懐にしまうと、あくまで「漢の忠臣」としての凛々しい顔つきを作った。

 

「何でもない。父上からの労いの言葉だ。残敵の掃討を急げ! 鎮圧後、我らは速やかに洛陽へと帰還する。帝が我らの武を必要としておられる!」

 

曹操の胸中には、東の海から突如として現れた「正体不明の強大な理」への警戒と、いよいよ避けられぬ乱世の幕開けに対する、氷のような野心が静かに燃え上がり始めていた。

 

曹操が黄巾賊を鎮圧していた頃。

洛陽の大内裏では、かつてない異常な空気が渦巻いていた。

日本国(やまとのくに)の使者たちが洛陽に滞在して、すでに三日が経過していた。

 

彼らはその間、漢の廷臣たちが用意した豪奢な宴や、極彩色の舞、そして山海の珍味に一切の興味を示さなかった。ただ与えられた館に静かに留まり、洛陽の兵の数、城壁の高さ、物価の動きなどを、あの不可解な「かな文字」で黙々と書き留め続けていた。

そして三日目の朝。使者たちは霊帝の御前を再び訪れ、帰国の意思を伝えた。

 

「東の使者よ。そなたらの国が長きにわたり海を越えてきた忠義に免じ、先の無礼は不問に処す」

 

霊帝は、引き攣る顔を必死に威厳で繕いながら、傍らの宦官に顎でしゃくった。

 

「ここに、漢の皇帝より特別にそなたらの主に『王位』を授ける。この金印紫綬を持ち帰り、引き続き漢の藩屏(はんぺい)として尽くすがよい。また、そなたらの国の安寧を問う返書も(したた)めたゆえ、持ち帰るがよい」

 

宦官が、うやうやしく紫の紐が結ばれた純金の印を乗せた盆を差し出した。

それは、周辺諸国にとっては喉から手が出るほど欲しい、絶対的な権威の象徴である。

 

しかし、直線的な白と黒の有職装束を纏った日本国の使者は、その盆を一瞥(いちべつ)しただけで、手を伸ばそうとはしなかった。

 

「……有難きお言葉なれど、その印はお受けできませぬ」 

 

使者の声は、どこまでも平坦で冷ややかだった。

 

「な、何だと……?」

 

「我が国は、天照の神勅によって立つ日本国。大王の権威は神より授かりしものであり、他国の君主から印を賜るいわれはございませぬ。我らは対等なる隣国として国交を開きに来たのであり、属国として扱われる謂れはない。返書のみ、謹んでお預かりいたす」

 

使者は、返書の木簡だけを受け取ると、金印には触れもせず、一礼して背を向けた。

 

「き、貴様ッ! 皇帝陛下の御恩を無にする気か!」 

 

武官の一人が怒髪天を衝く勢いで剣を抜こうとした。しかし、霊帝が力なくそれを制止した。

ここで斬り捨てれば、東の海に控える未知の武力が長江や黄河を遡ってくるかもしれない。今の漢には、それを迎え撃つ力がない。霊帝はその恐怖に完全に呑まれていた。 

 

使者たちが謁見の間から去っていくその背中を、廷臣たちはただ歯噛みしながら見送るしかなかった。

皇帝の顔に泥を塗り、中華の権威を足蹴にして去っていく異端の者たち。後漢王朝が四百年かけて築き上げてきた誇りが、音を立てて崩れ去った瞬間であった。

 

洛陽を後にした日本国の使節団は、洛陽近郊の港から、あらかじめ手配していた喫水の浅い平底の川舟に乗り移った。

海を統べる安宅船や関船の巨体では、この黄河の浅瀬を遡ることはできない。彼らは洛陽へ向かう際、東萊(とうらい)の河口で川舟に乗り換え、百名の重装護衛兵とともに黄河を遡上してきたのだ。

 

川舟の甲板に立ち、濁流が渦巻く黄河の下流を見据えながら、使者は傍らに控える武官に短く命じた。

 

(いくさ)の支度をせよ。帰路に何があったとしても、不思議ではない」

 

「はっ」

 

武官の返答は短く、無駄がなかった。

行きの道中においても、中原の乱れは想像を絶するものだった。今、洛陽で漢の顔に泥を塗ってきたのだ。漢の軍勢が私兵を装って襲ってくる可能性もあれば、飢えに狂った賊徒が群がってくる可能性もある。

百名の護衛兵たちは、一切の私語を発することなく、瞬時に陣立てを整えた。

 

川舟の両舷に身の丈を超える長槍の「槍衾(やりぶすま)」が展開され、その後方には弩と、長大な和弓を構えた兵たちが整然と並ぶ。

そして何より、川舟の船首には異様な、青銅製の弓に強靭な弦を張られた石弓(いしゆみ/バリスタ)が備え付けられている。

 

彼らの予測は、数日も経たぬうちに現実のものとなった。

黄河の中流、両岸に深い切り通しが続く難所。

濁流に乗って下る日本国の川舟の行く手を遮るように、数十隻の粗末な小舟や筏が川面を埋め尽くした。さらに両岸の崖の上には、黄色い頭巾を巻いた数千の暴徒たちが、飢えた狼のような目を光らせて群がっていた。

 

「富物を置いてゆけ!」

 

「洛陽帰りの船だ! 蒼天已に死す!」

 

それは単なる略奪者ではなかった。中には、漢の正規軍の鎧を身につけた者も混じっていた。漢の威信を汚された武将が、黄巾賊の仕業に見せかけて差し向けた討伐部隊であることは明白であった。

狂気に満ちた叫び声が川幅に反響し、岸から無数の矢が放たれた。

 

「……構え」

 

武官の静かな下知が飛ぶ。

日本国の兵たちは、雨のように降り注ぐ敵の矢を、漆喰で固められた手盾と大鎧で無表情に弾き落とした。恐怖に駆られて陣を乱す者は一人としていない。

 

「射て!」

 

その命令が下った瞬間、和弓の弦が弾ける低い音が、不気味な合唱のように黄河に響き渡った。

ヒュンッ! ヒュンッ!!

漢の弩を遥かに凌ぐ射程と貫通力を持つ太い矢が、見事な放物線を描き、岸辺の賊徒たちの頭上から雨あられと降り注いだ。

 

「ぎゃあああっ!」

 

「な、なんだこの距離から……!」

 

盾ごと肉を貫かれた暴徒たちが、次々と黄河の濁流へと転げ落ちていく。

同時に、川面を塞いでいた筏に向けて、船首の青銅石弓から野球ボールほどの大きさの石弾が放たれた。凄まじい風切り音とともに放たれた石弾は、敵の小舟を木っ端微塵に粉砕し、乗っていた者たちを水底へと沈めていく。

 

「怯むな! 相手はたかだか一隻だ! 取り囲んで乗り移れ!」

 

漢の武将と思しき男の号令で、残った小舟が死に物狂いで川舟に肉薄してくる。

だが、日本国の兵たちは勝鬨を上げることも、敵を嘲笑うこともない。ただ機械のように、淡々と「障害物を排除する」という作業を続けていた。

 

矢を射尽くした和弓兵は、瞬時に弓を置き、腰の太刀や短槍に持ち替えて白兵の構えをとる。

船縁(ふなべり)に取り付こうとした賊の指が、無慈悲に叩き斬られ、あるいは槍の穂先で正確に喉を突かれて水面へと消えていく。

 

そこには「戦い」という熱狂はなかった。

ただ、徹底的に算段された「死の理」だけが存在していた。いかなる私情も熱狂も持ち込まない黒と白の軍団は、自らの血を流すことなく、群がる敵をただ冷徹に削り落としながら、黄河を少しずつ下っていった。

 

血と泥に塗(まみ)れた数日間の遡上が終わろうとしていた。

日本国の川舟が、ついに黄河の河口——渤海の荒波が寄せる東萊の海域へと辿り着いた時、空は赤黒い夕日に染まっていた。

 

舟の甲板は、敵の返り血と無数の矢傷で覆われていた。

百名の護衛兵たちは、数名の負傷者を出したものの、一人として欠けることなく直立の姿勢を保ち続けている。しかし、彼らの矢筒は底を突き、青銅石弓の石弾も完全に尽きかけていた。

それは、彼らがこの帰路において、いかに常軌を逸した数の敵を葬り去ってきたかを雄弁に物語るものであった。

 

「……見えました」

 

舳先(へさき)に立つ武官が、水平線の彼方を指差した。

夕闇の迫る海上に、巨大な黒い影が幾つも浮かび上がってくる。それは、彼らの帰還を待っていた日本国の誇る外洋艦隊——海上の城たる「安宅船」と、その周囲を固める「関船」の群れであった。

 

「我らが国へ帰るぞ」

 

使者の言葉に、兵たちは無言で一礼し、残された()を力強く漕ぎ始めた。

 

巨大な安宅船の舷側が開き、渡し板が下ろされる。川舟から外洋船への乗り換えも、また一切の無駄なく、静寂の中で行われた。

安宅船の最上層に立ち、使者は振り返って大陸を望んだ。

 

黄河の果て、見渡す限りの広大な中原は、あちらこちらで狂気の炎が上がり、黒煙が天を焦がしている。英雄たちが自らの血と汗と涙で歴史を切り開こうと、泥に塗れて殺し合っている大地。

 

「……感情に身を任せ、数と理を忘れた国は、かくも脆く燃え落ちるものか」

 

使者は懐にある霊帝からの返書を一度だけ手で触れると、冷ややかに海風を背に受けた。

 

「帆を張れ。櫓を揃えよ」

 

陣太鼓が低く鳴り響き、漆黒の船団が一斉に船首を東の海へと向けた。

大陸の英傑たちが未だ見ぬ「本当の強国」は、こうして静かに姿を現し、そして再び、手の届かない海の彼方へと帰っていったのである。洛陽に拭い去れない深い亀裂と、強烈な恐怖だけを残して。

 

東萊の沖合にて、日本国の船団は音もなく二つに分かれた。

一方は、海上の城たる「安宅船」二隻を中心とする本隊。彼らは黄海の荒波を真正面から突き切り、済州島を経由して九州、そして都へと最短距離で向かう。その堂々たる姿は、あえて追手に己が航路を見せつけるかのような威容であった。

 

もう一方は、機動力に優れた「関船」四隻。こちらは黄海を北上し、大陸の沿岸をなぞるように大きく迂回する。その目的地は、帝国の生命線たる朝鮮半島の「任那」の府。

 

これは、大陸側に日本国の正確な寄港地と航路を悟らせぬための、緻密な「欺瞞(ぎまん)」の策であった。もし漢の軍勢が、あるいは今後現れるであろう海の野心家が追撃を試みたとしても、彼らは二つの異なる方向へ消える幻を追うことになる。

 

日本国の船団が去って数日後のこと。

血と泥にまみれた五千の軍勢を率い、曹操孟徳が東萊の地へ降り立った。

曹操は洛陽での報に接してより、一刻も早くこの「東の異物」の正体を確かめるべく、残敵掃討を部下に任せて自ら足を運んだのである。

 

「……ここか。蛮族が山のごとき船を寄せたという場所は」

 

曹操は愛馬を降り、砂浜に残された巨大な平底船の跡を調べ上げた。船体の重みによって深く沈み込んだ砂の形、そしてそこから内陸へと続く、一糸乱れぬ歩みの足跡。曹操の炯眼(けいがん)は、それらが単なる蛮族の略奪ではなく、極めて高い統制と理を持った軍勢の仕業であることを即座に見抜いた。

 

「殿、これをご覧に」

 

側近の夏侯恩(かこうおん)が、港の商人から買い取ったという一品を差し出した。

それは、大和の使節団が物資の調達や情報の対価として残していった、見事に磨き上げられた「翡翠(ひすい)」であった。

曹操はその石を手に取り、日の光に透かした。

 

「……ほう、これは珍しい」

 

中華で珍重される翡翠は、透き通るような緑の透明度を競うものである。しかし、手の中にあるそれは、淡くも美しい輝きを放ちながら、光を一切通さぬ「無透明」の石であった。曹操は腰の短刀を抜き、その刃先を翡翠の表面に滑らせた。

 

キィッ、と甲高い音が響く。

 

名工の打った短刀の刃が、石に傷一つ付けられず、逆に刃こぼれを起こしたのである。

 

「硬い。中華の翡翠とは、理が違うようだ」

 

曹操は目を細め、その異質な石を掌で転がした。

 

「この美学、そしてこの強固さ。東の海には、我らが知る『(えびす)』の概念を根底から覆す国がある。これはもはや、見過ごしてよい存在ではないな」

 

曹操は翡翠を懐にしまうと、再び馬に飛び乗った。

 

「洛陽の帝が屈するのも無理はない。奴らは、我らとは違う『(さん)』で動いている」

 

 

同じ頃、黄海の真ん中を突き進む安宅船の甲板では、神祇官(じんぎかん)の末席に連なる「星読み」たちが、北極星と海流の動きを冷徹に観測していた。

 

「西北西の風。潮の動き、予測の二分(にぶ)遅れ。帆の角度を調整せよ」

 

船上には、漢の船に見られるような騒がしい掛け声はない。

船長の下知は「かな文字」の信号旗と太鼓によって瞬時に伝達され、水夫たちは己の役割を黙々と果たす。彼らにとって、海は畏怖する神であると同時に、算術によって解き明かされるべき「法則」の塊であった。 

 

「この風のまま行けば、済州島を越え、対馬の防衛線に入るまでに三日。誤差は半刻以内だ」

 

彼らは星の運行と風の理を信じ、目印のない大洋を、定規で引いたような直線で進んでいた。

 

一方で、沿岸沿いを北上する関船の艦隊は、山東半島の南端を掠めるように進んでいた。

半島の大地もまた、黄巾の徒による戦火に包まれていた。

焼け落ちた村々、逃げ惑う民、そしてそれらを追う飢えた暴徒たち。大陸の悲劇は、海の上からも黒煙として視認できた。

その荒れ果てた大地を、家族と共に彷徨う一団があった。

 

泰山郡の官僚であった諸葛珪(しょかつけい)は、幼き子らを引き連れ、乱を避けて南へと逃れていた。彼は父として、そして知識人として、逃亡の最中にあっても子らの教育を怠ることはなかった。

 

「……父上、あれは何?」

 

ふと、数えで四つになる幼き少年が、海の方を指差した。

少年の名は、亮。のちに「臥龍」と称され、大陸の運命を背負うことになる諸葛亮である。

諸葛珪は足を止め、海に目を凝らした。

そこには、自分たちが知る漢の商船でも、ましてや水軍の楼船(ろうせん)でもない、異様な船が四隻、白波を立てて進んでいた。

朱の色を排した白と黒の船体。天を突くように鋭く切り立った屋根の直線。そして、何よりもその「速さ」が、漢の船の常識を逸脱していた。

 

「……あれは、東夷の船だ。洛陽に現れたという、海の国の使節であろう」

 

珪は幼き亮の頭を撫でながら、沈痛な面持ちで答えた。

 

「聴きし噂は真であったか。我らが大陸がこうして内から崩れ、血を流している間に、海の向こうには()くも整然たる武威を持つ国が興っていたとは……」

 

幼き諸葛亮は、父の言葉を反芻するように、じっとその船を見つめ続けた。

彼の目に映ったのは、感情に任せて殺し合う目の前の暴徒たちではなく、潮風を切り裂き、理の名の下に海を支配する、冷たくも美しい「第四の極」の姿であった。

 

「父上。あの船は、どうしてあんなに真っ直ぐ進むの?」

 

「……それは、あの船に乗る者たちが、我らには見えぬ『理』を、星や風の中に読み解いているからであろうな」

 

この時、四歳の少年の心に刻まれた「東の海の理」が、数十年後の大陸の勢力図にどのような影響を及ぼすか。それはまだ、誰にも予測できぬ計算の(ほか)の出来事であった。

関船の艦隊は、一人の少年の視線を置き去りにして、飛ぶような速さで北の水平線へと消えていった。

 

 

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