破滅予定の皇子ですが、なにか?   作:爛れ炭化したサーロイン

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お気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、タグを追加いたしました。

完結まで予約投稿済みですので、このまま毎日18:00に1話ずつ投稿していく予定です。


幕間② 統一されぬ見解

(とある魔族の新聞社による新聞記事)

 

 魔王軍において『外部相談役』なる地位を与えられている存在、ユーゴー。不明な点も多く、その実態や正体は依然として謎に包まれている。

 

 読者諸君の中には彼のことをよく知らない、という者が大半だろう。そこで今回、我々は彼をよく知る者たちに取材し、話を伺った。

 

 この記事を通して彼を少しでも理解し、その性質について理解できる範囲を増やしてくれれば幸いである。

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王軍第一軍団長、アーグナー氏)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「異質な協力者。今のところ利害は一致しているが…内側に引き込みすぎるのは危険だ」

 

 ___どうにもあまりユーゴー様のことを信用なされてはいないご様子。

 

「奴の思想や事業にはある程度理解を示す。魔王軍に大きく貢献しているのは事実だ。…だが、そのやり方があまりにも異質すぎる」

 

 ___異質、ですか?

 

()()()()()()のだ。感情を切り捨て論理のみで思考するのであればまだ話は早かった。だが奴は違う。心理や情動すら計算に組み込んで計画を立てる…いわば『人を理解し過ぎている』合理の怪物よ」

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王軍第二軍団長、サーナトリア氏)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「戦力としては規格外ねぇ。付き合うならそこから逸脱しない範囲で、かしら。間違っても男女の関係はお断りよぉ」

 

 ___そうなのですか?てっきり積極的に行かれるかと思ったのですが。

 

「はぁ…失礼な記者ねぇ。まぁいいけど。一度様子を見てすぐ理解したわ。あの人は他人に対する優先順位があまりにもしっかりし過ぎてる。ソフィアがいる以上は私が入り込める余地なんてないわよ」

 

 ___サキュバスのサーナトリア様でも、ですか…。

 

「勘違いしているようだから訂正するけど、サキュバスの技術っていうのは人の心の隙間に入り込むもの。それで男を手玉に取るわけだけど…あの人にはそれがほぼないのよ。正確にはそのほとんどない隙間がソフィアによって完全に埋められてる。アレは無理、早々に諦めるのが正解ね」

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王軍第七軍団長、ブロウ氏)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「スッゲェ助かってるぜ!魔王様の横暴が今までより激減してよぉ、気が楽になるのなんのって!」

 

 ___かなり好印象を持たれておられるのですね。

 

「まー確かにあの人は何考えてるかわかんねーことも多いし、それが気になる奴はいい印象は持たねーかもな。でも俺はそんなこと考えたって仕方ねーし、実際何をしてくれたかでどう思うか決める!!あの人は実際魔王軍に対して色々良くしてくれてるからな!」

 

 ___気持ちのいい割り切り方ですね。

 

「おいおい、失礼な奴だな〜。まぁいいけどよ!強くて働いて横暴じゃねぇ人は大歓迎だ!」

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王軍第四軍団長、メラゾフィス氏)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「倫理観、理性、責任感、仕事の出来、誠実さ、実力…それらの全てにおいて文句のつけようがない方です」

 

 ___随分と高くユーゴー様を評価しておられるのですね。

 

「そうでなくてはお嬢様を預けられませんから。そして何より…」

 

 ___何より?

 

「お嬢様を幸せにできる。これだけで私からの評価は青天井に上昇します」

 

 ___そ、そうですか……。

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王軍第九軍団長、黒氏)

 

 ___ユーゴー様についてどう思われますか?

 

「不干渉協定の相手。…例外的存在だ」

 

 ___ふ、不干渉協定…?

 

「…私事ゆえ気にするな。例外的存在というのは奴の方針…生き様とでもいうべきか」

 

 ___なるほど…?

 

「奴が堕ちたのであれば相応の措置を取る。取る、が…その可能性は限りなく低い」

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王軍第十軍団長、白氏)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「面白い。あと、ヤバい」

 

 ___なるほど、その心は?

 

「研究成果、成長、あとは発想」

 

 ___確かにユーゴー様はかなり特異な研究や発想をなされますからね。

 

「面白い人間」

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王国宰相、バルト)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「……今の魔王軍になくてはならない存在、ですね」

 

 ___なるほど。どうしてそこまで高評価を?

 

「彼が魔王様の暴挙を未然に抑制してくれることで、私をはじめとした文官の精神的および肉体的な負担が大幅に減っています。事実として、彼女のやらかしの後始末に追われることも滅多になくなり、仕事もほとんど日が沈むまでに終えることができております」

 

 ___武官の皆さまだけでなく、文官の方々にとってもユーゴー様の存在は大きい、ということですね。

 

「まさしくその通り。人間であることが以前は唯一の問題でしたが、もはやこの段階になってくると種族の違いなど些細なものです。この記事を通して、種族に関わらず優秀な者を魔王軍は募集していることを伝えておきます」

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(魔王軍第八軍団長、ラース氏)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「うーん…強くて頭がいいってことまでは分かるんだけど、それ以上はどうにも。なんというか僕って彼に避けられてる?というか…」

 

 ___詳しく伺っても?

 

「僕が魔王軍に来るきっかけになった件で、彼の秘書さん…ソフィアさんと揉めたんだよ。僕が全面的に悪いんだけどね?…多分、そのことが原因なんじゃないかな。一応謝罪はしたし、きちんと受け取ってもらっているから、それ以上僕の方から何か言うのも違うと思って言ってなかったけど」

 

 ___なるほど。論理と感情は別、とはよく言いますからね。

 

「だからかな。僕としても気まずくってあんまり彼とは関われてないんだよね…力になれず申し訳ない」

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

(第215代魔王、アリエル陛下)

 

 ___ユーゴー様についてどのように思われますか?

 

「超級戦力。外部協力者。…あとは優秀な技術者かな」

 

 ___なるほど。戦力ばかりに目がいきがちですが、技術者としてもユーゴー様を評価しておられるのですね。

 

「今まで研究段階で止まっていたか、採算がとれずに凍結していた研究も彼の理論でどれだけ進行して実現したことか。彼の技術力と研究に対する熱意、態度、倫理は目を見張るものがあるからねぇ」

 

 ___ちなみに幹部の方々から魔王様の横暴がユーゴー様の影響で減った、という苦情が届いておりますが。

 

「………………用事を思い出したんで失礼するねぇ!」

 

 

 

 

 

◇    ◆    ◇    ◆

 

 

 

 

 

「……なるほどな」

 

 そこまで読んで、新聞を閉じる。今朝方ソフィアが手に入れた物を勧められて読ませられたが…公表するにあたって多少なりとも脚色してあるだろうとはいえ、中々受け入れられているようで何より。他にも取材されていた者はいたが、今読んだものとさしたる違いは見られなかった

 

「うふふっ。よかったですね?ユーゴーくん。あなたの努力はみんなが保証してくれているそうですよ?」

 

「それはありがたいが…この記者、よくもまぁ白やギュリエディストディエスに渡りをつけられたものだな。どんなツテやコネを使ったのやら」

 

「先日聞きましたが、お二人自身の方から申し出たそうですよ?新聞社の活動を聞きつけて、『自分たちも話せることは話す』とかなんとか言って」

 

「白はともかく、ギュリエディストディエスもそんなことするんだな…」

 

 気分屋な白はともかくとして、堅物なギュリエディストディエスがそれをするとは…少々、いやかなり意外ではある。

 

「ちなみに私はユーゴーくんのことは『旦那様でありご主人様』だと思っておりますよ?」

 

「最初だけで十分なんだが…ソフィアの場合は絶対他にもあるだろ。存在理由とか?」

 

「………うふっ♡」

 

 座っていた俺を、立ったまま背後から抱きしめるソフィア。後頭部が柔らかいものに包まれ、鼻腔に甘い香りが充満する。…俺の理性の危険が危ない。

 

「……離れてくれないか」

 

「まぁ、ひどい方。あなただけが私の存在理由ですのに…悲しいですわ、よよよ」

 

 声色からして100%揶揄っているソフィア。…くっ、こんな時でも『狂愛』スキルは見事に仕事をするというのか…!!

 

 俺が本能と激闘を繰り広げていると、ソフィアが吐息の音がはっきり聞こえるほどの耳元に至近距離で囁く。

 

「……嬉しかったんですよ?ユーゴーくんに理解されて。スキルの影響で理解する一方ですが、それでもユーゴーくんは私を理解してくれる…」

 

 ___私の愛しい人。

 

 耳をはむっと咥えられ…あっあっあっあっ

 

 俺が再起動するのに数秒の時間を必要とした。くっ、こんなところに思わぬ伏兵が潜んでいるとは…精進が足りない。

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