星の軌跡   作:風森斗真

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本来なら二日目の朝に起こるイベントなんですが……
まぁ、オリジナル展開ありってタグあるし、大丈夫大丈夫……(だよね?



実習初日 六、初日終了~そして夜は更けて~

うだうだしていることに腹が立って背中を蹴とばしてやりたくなった。

そんな理不尽といえば理不尽な理由で始まった、八葉一刀流(リィン)静心桔梗流(ルオン)の手合わせは、ルオンの勝利で終わった。

だが、さすがに奥の手はやりすぎたと思ったらしく。

 

「すまん、大丈夫か?」

「あ、あぁ……大丈夫だ」

 

手を差し伸べながら、リィンに謝罪した。

だが、思い切り叩きのめされたことが逆に効いたのか、リィンの顔はどこか晴れ晴れとしていた。

差し伸べられたルオンの手を取り、助け起こされたリィンは、そっとため息をついた。

 

「なんだか、吹っ切れた気分だな……初伝だって言ったけど、ほんとうは中伝なんじゃないか?」

「だから言ったろ?手を抜く気はないって。それに、母さんが亡くなったのは十年以上前だ。その時から何もしてないわけないだろ?本当なら、中伝じゃないかってその時、世話になってた人からは言われた」

「……そ、そうか……って、それってつまり中伝ってことじゃないか?!」

「母さんから授かってないから初伝だ」

 

どうやら、初伝であるということは頑として譲らないつもりのようだ。

これ以上、このことについて問答しても無駄だということを感じたリィンは微苦笑を浮かべて、この話題を終わらせた。

だが、まだ言いたいことはあった。

 

「その……ありがとうな。背中、押してくれて」

「ふ……礼を言われるようなことじゃない。俺はきっかけになっただけに過ぎないだろ?お前が吹っ切れたのは、お前自身が何かをつかめたからだろ?」

「そう、かもな……はは、なんだか、同い年には見えないな……」

「……言ってくれるな」

 

リィンのその一言に、ルオンは苦笑を浮かべていた。

本当は文句の一つも言いたかったのだろうが、もう時間も時間であるということもあり、二人はさっさと宿に戻ることにしたのだった。

 

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リィンとルオンが宿に戻ると、アリサとエリオット、そしてラウラが安どした様子で出迎えてきた。

どうやら、レポートを書き終えてから部屋を出たリィンとルオンがいつまでも戻ってこないため、何かあったのではないかと心配していたようだ。

だが、外に出ていた理由を聞いたら聞いたで。

 

「まったく……何をやってるのよ、あなたたちは」

「ほんとだよ!どれだけ心配したことか」

「あはははは……」

「す、すまない」

 

やはり文句を言われてしまった。

特にアリサのリィンに対する心配はひとしおだったらしく、大けがしたらどうする、とか、もし魔獣に襲われていたら、とか、少しばかり過保護がすぎるのではないかと思われるくらいだった。

そんな二人とは対照的に、ラウラは少しばかり不満そうな表情を浮かべていた。

そのことに気づいたルオンは、どこか恐る恐るといったていでラウラに問いかけた。

 

「あ、あの~……ラウラさん?なんかものすごく不満そうなんですが……」

「……そうだな。少しばかり、不満だ」

「……やっぱり」

「なぜわたしも誘ってくれなかった?」

「って、誘わなかったことが不満だったのかよ?!……まぁ、その場にいなかったから、ってのが一番の理由だわな」

 

もっともな理由といえばもっともな理由だが、それでもやはりラウラは不満だったようだ。

案外、子供っぽいとことがあるんだなぁ、とどこか感心したルオンは、そっとため息をついて。

 

「実習が終わったら、手合わせするから、それで勘弁してくれや」

「ふむ……まぁ、それで手を打つとしよう」

 

ルオンのその一言であっさりとラウラは機嫌を直した。

どれだけ剣の鍛錬が好きなんだ、と心の内で突っ込みながら、ルオンが苦笑を浮かべていると、リィンが近づいてきた。

 

「ラウラ」

「ん?どうした、リィン」

「……さっきのことを謝罪させてほしい」

「いや、特に気にしてはいない。だから、謝罪されるいわれは」

「俺が謝りたいのは、剣の道を貶めたことだ。『ただの初伝止まり』だなんて、考えてみれば、失礼な言葉だ。老師にも、八葉一刀流にも」

「……もう一つ、あるだろう?」

「え?」

「そなたが自分を軽んじていることだ」

 

面食らったリィンだが、そんなことは気にすることなく、ラウラは続けた。

 

「……わたしは、身分や立場に関係なく、どんな人間も誇り高く荒れると信じている。ならばそなたはそなた自身を軽んじたことを恥ずべきだろう」

「ラウラ……」

 

ラウラはむしろ、剣の道を軽んじたことよりも、リィンがリィン自身を軽んじていることが気にかかっていたらしい。

だからこその言葉なのだろう。

二人のそのやり取りを見ていた三人は、どこか安堵したような表情を浮かべていた。

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