星の軌跡   作:風森斗真

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二度目の実技試験~1.再び、班分けで揉める~

旧校舎探索を終えた翌日。

Ⅶ組のメンバーは全員、戦術訓練の実技試験のためグラウンドに集合していた。

 

「さぁて、それじゃ始めましょうか」

 

整列したⅦ組の前に立つサラが、パチリ、と指を鳴らした。

すると、前回の実技試験で使用されたものと同じ、不可思議な案山子が姿を現した。

だが、まるっきり前回と同じもの、というわけではなかった。

 

「前回と同じ……いや、細部が違う?」

「えぇ、その通りよ。なんだかんだ、色々カスタマイズできるから便利なのよね~」

「受け取るときはすっげぇ嫌だったんじゃなかったのか?」

「それはそれ、これはこれよ」

 

とある筋から押し付けられた、と言っていたので、てっきりカスタマイズすることも再び利用することもないとルオンは思っていたのだが、サラがこういうところでは現金な性格であるということを忘れていた。

だが、それを言っても仕方がないので、これ以上は何も言わなかった。

 

「さて、それじゃ今回もこの傀儡を使ってもらうわ。ただし、前回よりもパワーアップさせてるから、その辺りは注意してね」

 

そう忠告して、サラはチームを二つに分け、実技試験を開始した。

最初に試験を行うことになった、リィンとガイウス、エリオット、ラウラの五人は、難なく課題をクリアしつつ、案山子を沈黙させた。

続いて、残るメンバーで試験を開始したのだが。

 

「そこをどけ、ユーシス・アルバレア!」

「貴様こそどこを狙っている!マキアス・レーグニッツ!!」

 

案の定、ユーシスとマキアスの二人が喧嘩を始めてしまった。

もはや名物となりつつある二人のいがみ合いを背後で聞きながら、ルオンとエマ、フィーの三人は案山子に集中した。

結果としては課題をクリアできたし、案山子も沈黙させられたのだが、ルオンはどこか不完全燃焼になっていた。

その理由をわかっているエマとエリオットは、ルオンをなだめ、フィーはわれ関せずと言って様子であくびをしていた。

 

「お疲れ様。ギリギリ、合格よ。原因はわかっているでしょうから、あえて追求しないでおいてあげるけど、ちょっとは反省しなさいよ?」

「「……………」」

 

指摘しながら、サラはマキアスとユーシスに視線を向けた。

視線を向けられている二人は自覚があるためか、サラに言葉を返すことなく、視線をそらしただけだったが。

 

「さてと、それじゃそろそろ次の話に行きましょうか」

 

サラのその一言が場の空気を変えた。

次の話、つまりは次の特別演習の場所と班分けのことだということは、言われずともわかった。

サラがわきに抱えていた封筒を全員に配布し、リィン達は中身を確認した。

 

《A班 実習先:公都バリアハート》

メンバー

リィン、エマ、マキアス、ユーシス、フィー

 

《B班 実習先:旧都セントアーク》

メンバー

ルオン、エリオット、アリサ、ガイウス、ラウラ

 

そこに記されていた場所とメンバーに、マキアスとユーシス、フィー以外の面々は苦笑を浮かべた。

特にA班に割り振られたエマは先日の特別実習を思い出したのか、顔を真っ青にしていた。

B班もまた、同情の視線をリィンたちに向けていた。

 

犬猿の仲、水と油。

そんな言葉ですら生温いほどの対立をしている二人が、再び同じ班になる。

この時点でどうなるかなど、火を見るよりも明らかだった。

 

「「いいかげんにしてください/してもらおう!」」

 

当然、二人から文句が出てくることは必然だった。

だが、どうしてもこの組み合わせを強行したいらしいサラは。

 

「わたしも別に軍人じゃないから、命令が絶対とは言わない。けどね、わたしは君たちの担任教官として、Ⅶ組を導く責任があるの――それに文句を言うというのなら、いいわ」

 

サラは大型の片刃剣と導力銃を構えた。

その瞬間、Ⅶ組の面々はサラがまとう気配が変化したことに気付いた。

 

「二人がかりでいいから、力づくで言うこと、聞かせてみる?」

 

その問いかけにルオンは、やっぱり怒ってる、という感想を抱いた。

これだけ威圧されても退くつもりがないのか、ユーシスとマキアスは自分たちの武器を構えて、戦闘態勢に入った。

 

「ふふっ、やっぱり男の子はそうじゃなくっちゃね!リィン、ルオン!あんたたちも入んなさい!!」

「りょ、了解!」

「うぇっ??!!……あぁ、もうっ!!了解!」

 

突然指名された二人は、驚きながらも武器を構えてサラの前に並んだ。

 

「それじゃ、実技試験の補習を始めるわよ――元A級遊撃士、サラ・ヴァレスタイン、参るっ!!」

 

その瞬間、サラは紫の導力をまとい、リィン達にむかっていった。

ルオンは素早く前に出て、振り下ろされた片刃剣を受け止め、はじき返し、得物を逆手に構えた。

さらに、リィンに視線を投げると、リィンもその意図を察したのか、太刀を抜き、構えた。

 

「……<静心桔梗流>初伝、ルオン・ツクヨ」

「<八葉一刀流>初伝、リィン・シュバルツァー」

「「推して参る!!」」

 

破れかぶれ、というわけではないが、もはや避けることはできないことを理解し、いっそ胸を借りるつもりで挑むことにしたリィンと、最初からかなわないことをわかったうえで、日頃のうっぷん晴らしに利用することにしたルオンが同時に名乗り、それぞれ、ユーシスとマキアスに戦術リンクを結んだ。

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