なお、実習内容は基本的に閃軌Ⅲと同じものにしていく予定です
(ところどころ変わるだろうけど)
実習初日 1、再び列車に揺られて
実習当日の朝。
リィンは気が滅入る思いをしながら、リビングに降りてきた。
寮内にもリビングにも人の気配はなかったため、おそらく、全員、駅に向かったのだろうと推測し、リィンはトリスタ駅に向かった。
駅に着くと、すでに全員集合していた。当然、その場にはユーシスとマキアスもいて、現在進行形で互いに背中合わせにして腕を組んでいた。
「……もしかして、今朝からずっと?」
「は、はい……」
「正直、かなりうざい」
同じ班として行動することになるエマとフィーに問いかけると、エマは困った表情を浮かべながら答え、フィーははっきりと自分の感想を伝えてきた。
うざい、というのはわからないでもないため、そこについてはあえて触れることはしなかったが。
「エマもフィーも、二回連続なんて災難よね……」
「正直、お疲れさんとしか言いようがないよな……特にエマは」
「あははは……リィンも災難というか……」
エリオットは苦笑を浮かべながら、巻き込まれることになったリィンに同情の視線を向けた。
それにつられるように、ルオンとアリサ、ラウラもリィンに同情した。
「……まぁ、二人とも性根が腐った奴ってわけじゃないし、なにかきっかけがあれば歩み寄り始めるだろ……たぶん」
「あぁ。俺には不可能だったが、リィンならばできるのではないかと思う」
「はははは……まぁ、やれるだけやるさ」
ルオンとガイウスに励まされ、リィンはどうにかこの実習を乗り越えようという気力が生まれたようだ。
もっとも、再び視界に入り込んできた二人の様子に、早くも心が折れそうになっていたのだが。
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リィンたちA班と別れ、帝都中央駅を経由してセントアーク行きの列車に乗車したルオンたちB班は、別れ際のリィンとエマの様子を気にかけていた。
「……大丈夫かしら……」
「リィンと委員長のことか?」
「えぇ……」
なんだかんだ人がいいアリサは、どうやらユーシスとマキアスのいさかいに巻き込まれることが目に見えているリィンとエマの心配をしているようだった。
いや、あるいは、マキアスから一方的に敵意を向けられているリィンを心配しているのか。
いずれにしても、別行動をしている現在、自分たちにできることはないことを知っているため。
「あぁ……けど、俺らにはどうすることもできないしな……」
「うむ。ここは、リィンと委員長を信じるほかなろう」
「まぁ、なるようになるだろ。風が導いてくれるだろう」
達観している三人はそう結論付けて、この話を無理やり終了させた。
どこか釈然としないのか、アリサは納得のいかない表情を浮かべていた。
その様子に、エリオットはくすくすと微笑みながら。
「ほんと、アリサってリィンのこと、すっごく気にしてるよね?」
「なっ??!!……そ、それは?いろいろトラブルはあったけど?彼だってⅦ組の仲間なんだから、気にかけるのは当然じゃない?」
「顔面真っ赤にしてそういわれると、色々と邪推したくなるな」
くっくっく、と意地の悪い笑みを浮かべて、今度はルオンが口を開いた。
すると、先ほどまで赤かった顔をさらに赤くして、沈黙してしまった。
「……からかいすぎたか?」
「かもね?ていうか、ルオンは心配じゃないの?委員長のこと」
「ん?」
エリオットの問いかけに、ルオンは首を傾げた。
「まぁ、心配じゃないかって聞かれれば、そら心配だけどな」
「へぇ?」
「けどま、どうにかするだろうし、大丈夫だろ」
意外、とでも言いたそうにエリオットは目を丸くした。
ルオンの口から出たその言葉からは、エマを全面的に信じていることがうかがえた。
そして、それはフリーズしているアリサを除き、ラウラとガイウスも感じ取っていた。
「なるほど。委員長もそうだが、ルオンも委員長を信頼しているのだな」
「ふふ、なにしろ久しぶりの再会で思わず泣きだすほどだからな」
「え?なにその話、すごく興味あるんだけど」
ラウラが、オリエンテーリングの時、旧校舎地下の迷宮でエマが泣き出してしまったことを言っていることはすぐにわかったのだが、エリオットとガイウスは、いや、ルオンを除く男子とフィーは別の場所にいたため、そのことは知らなかった。
そのため、エリオットが興味深そうに食いついてきた。
もっとも、あの時のことをルオンはできる限り思い出したくないので。
「……あの時の話は言わんでくれ……」
と、うなだれながら返していた。