星の軌跡   作:風森斗真

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お待たせいたしました、最新話です
いや、A班だったら既存のシナリオに手を加えるだけで済むんですけども、オリジナルってなると、やっぱり大変……
まぁ、それはどうでもいい
本編どうぞ


実習初日 4、イストミア大森林での再会

街道を行くことしばらく。

一行は教会から採取を依頼されたハーブ「エリンの花」が採れる、イストミア大森林に到着した。

この森の奥にある開けた場所に、エリンの花の群生地があるらしい。

だが、この森の特徴はそれだけではない。

 

「綺麗……」

「ルナマリア自然公園を思い出すな」

「あっちとは違って、こっちはもっと神秘的な雰囲気だけどね」

「穏やかな風が吹いているな……ここは良い処のようだ」

「だな」

 

アリサたちが口々にこぼしているように、イストミア大森林はルナマリア自然公園同様、手つかずの自然が広がる大森林であり、自然が織りなす美しさがそのまま鑑賞できる場所となっている。

加えて、とある場所と霊的な繋がりを持っているため、霊場のような場所になっている。

もっとも、霊場のような場所、というのは、往々にして特殊な空間になっていることが多く、この場所も少なからず影響を受けていた。

 

「……かすかだが、普通の森とは違う気配がするな……」

「おそらく、上位三属性が作用しているんだろう……少し、急いだほうがいいかもしれない」

 

上位三属性。

七曜の属性の中でも特殊な三つの属性、空間、時間、幻影の三種類のことであり、深い歴史を持つ遺跡などでは、度々、目撃される属性であり、時として不可思議な現象を引き起こすものだ。

 

そして、往々にしてそれらの属性が作用している空間では、不可思議なことが起きることが多い。

その現象に巻き込まれ、重大な障害を受ける可能性もなくはない。

巻き込まれて、帰ってくることができませんでした、などという事態は避けたいため、ルオンは早めに依頼を済ませることを提案していた。

 

「……確かに、気配が少しばかり不穏だな」

「不気味な風も吹いている。そうすることにしよう」

 

武の心得を持っているラウラと、気配察知にかけてはおそらくⅦ組のメンバーの中でも随一のガイウスがそう返してきた。

彼らがそういうのだから、念には念を入れておいたほうがいいかもしれない。

アリサとエリオットは自然とそう感じ、早めに依頼を済ませることにした。

 

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大森林に生息する魔獣たちと、何度か戦闘はあったものの、一行はどうにかエリンの花の群生地に到着した。

すでに花は開いており、周囲にはエリンの花の香りが広がっていた。

その甘い香りに、ルオンを除く四人はその香りを賛美していた。

 

「なんだか、ほっとする香り……」

「鎮静効果があるって司教様はおっしゃってたけど、本当みたいだね」

「使い方も色々あってな、乾燥させればハーブティーにもなるし、香油を取ればアロマにすることもできる」

 

花を採取しながら、ルオンはエリンの花の使い方を説明していた。

その幅の広さとルオンの知識に、エリオットは思わず感心していたが、アリサは少しばかり怪訝な顔をしていた。

 

「それ、委員長の受け売りなんじゃないの?」

「受け売りではないな、どっちかってぇとばあ様……里長の受け売りだ」

「里長……つまり、委員長の祖母殿か」

 

ラウラの問いかけに、ルオンは首を縦に振って肯定した。

 

「薬草やまじないの類についてだけじゃない。他にもかなりの知識を持っていてな、俺もエマも長から学んだ」

「教会で学んだわけではないのだな?俺と同じようなところか」

「へぇ?……あぁ、ガイウスの故郷はノルドだったっけ」

「たしか、あそこには教会の神父が定期的に巡回するだけで教会自体はないんだったな」

 

ルオンの言葉に、ガイウスは静かに頷いた。

ゼムリア大陸で最も幅を利かせている七耀教会だが、すべての地に教会があるというわけではない。

そのため、諸事情により教会を置くことが出来ない地には、定期的に神父が巡回を行い、日曜学校や礼拝などを行うことになっている。

ノルドもその一つのようだ。

 

そうこうしているうちに、頼まれていた量のエリンの花を採取し終わり、早く森を出ようとしたその時だった。

突然、背後に誰かの足音が聞こえてきた。

誰からとなく振り返ると、そこには緋色の瞳をした、幼い少女がいた。

 

「ほう?奇妙な()を感じたと思ったら、そなただったか、ルオン」

「久しぶりですね、長。なぜここに?」

「なに、ちと散歩しておったら奇妙な気配を感じたのでな。確かめにきたのじゃ」

 

どうやら、この少女とルオンは知り合いのようだ。

いや、知り合いという程度ではない。

ルオンが彼女を見て口にした、『長』、という言葉。

それはすなわち、エマの祖母であることを意味していた。

 

「「え?!」」

「こ、これはなんと……」

「ふむ……委員長の祖母殿と伺っていたが、まさかこれほど若いとは……」

「む?……あぁ、なるほど。ぬしらがルオンとエマの学友、というわけか」

 

どうやら、エマから学院のことは聞いているようで、どこか得心が言ったように腕を組みながらうなずいていた。

いろいろ様々、聞きたいことがある、という顔をしているルオン以外の面々であったが、ルオンの一言で、その顔はすぐに慌てふためくこととなった。

 

「戻りのこと考えると、そろそろ動いた方がいいと思うぞ~」

「ま、まずい!」

「急ぎましょう!!」

「ふむ、ならば致し方あるまい」

「行くとしよう」

 

ルオンとて、知られても困らない範囲であれば、話をしてもいいとは思っているのだが、エマと長のことはあまり知られていないほうが都合がいい(・・・・・)

そう判断し、はぐらかすことにしたのだ。

それに気づいていたのは、あわただしくかけていく四人の背中を見送っているエリンの里長、<緋のローゼリア>と呼ばれる魔女だけだった。

 

「ルオン、おぬし、しばらく見ないうちに口が達者になったものじゃの」

「まぁ、色々あったし……ところで、本当に散歩でこっちまで?」

「……あぁ、それ以外に目的はない」

「ふ~ん?」

 

本当にそうなのだろうか、という疑問がないわけではないため、怪訝な顔をローゼリンデに向けたルオンだったが、これ以上の追究は時間の無駄と判断し、先行しているエリオットたちを追いかけることにした。

 

「それじゃ、里のみんなによろしく」

「うむ、そなたもエマとセリーヌを頼むぞ」

 

簡単に別れを済ませ、ルオンはローゼリアに背を向け、エリオットたちを追いかけた。

ローゼリアは、その背中を少しの間だけ見送ると、霧のようにその場から姿を消した。

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