受験生ですが末永く見守ってください
時は
気候変動による干ばつと大洪水の襲来。
天は順序を忘れ、地は実りを拒み、
人は飢えた。
――養和の飢饉。
おびただしい餓死者を出したその記録に、
名は記されていない。
だが確かに“それ”は存在した。
【蝗害】
不快な羽音を散らし、黒き外殻を持って、眼前のすべてを餌と見做す呪い。
家を喰らい、
人を喰らい、
村を喰らい――
その行進は、止まることを知らず。
飢えは連鎖し、祈りは届かず、
大地はただ、削ぎ落とされていった。
そしてついに、
その厄災は、王の領域へと踏み入った。
呪いの王【両面宿儺】 。
二つの呪いが、ここに相対する。
「不愉快な羽音がすると顔を出したが……虫、いや、
うねり、嗤う。
両面宿儺 の手には、二振りの武具あり。
風を裂く飛天と雷を宿す神武解。
対するは、群れ。
ガチ、ガチ、ガチ、と。
噛み砕く音が空間を満たし、羽音が大気を濁らせる。
全てを食らいつくすまで止まらない“飢え”そのものが、宿儺に押し寄せていた。
「来い」
次の瞬間、空気が裂けた。
斬撃。
視認すら許さぬ速さで放たれたそれは、蝗の群れを幾層にも断ち切る。
緑の体液が滴り無数の死骸が生まれていく
だが、魂の落ちた残骸の喰らって隙間を埋めるように、次の群れが湧き出る。
「……ほう」
減らない。
いや、“むしろ増えている”。
同胞を喰らった蝗がその肉体を倍以上に増やしていく
神武解が唸る。
先より放たれた雷が蝗を大地ごと焼き裂く。
数千、数万。
黒き群れが一瞬で炭と化す。
それでも、
音は止まらず。
羽音
噛み音
迫り迫り迫る。
飛天が振るわれ、暴風が巻き上がる。*1
空が削げ、地が抉れ、蝗の群れは散り砕ける。
散ったそれらはまた吞まれ、再び群れを成す。
「ただの虫ケラでは無かったということか」
両面宿儺は、初めて“認識”した。
眼前のそれを、有象無象ではなく――
敵として。
そうしてその災害は、ついに王の首元へと届く。
無数の顎が、肉に触れ、餌を食らいつくそうとした、その刹那。
「いいだろう」
嗤う。
「貴様には――俺が窯を開かせた呪いという名誉を与えよう」
――空気が、変わる。空間に熱が帯びる。
手元には炎。自然界における原初の恐れが蝗の奔流を丸ごと覆いつくさんとする勢いで放たれた
「
戦場に残ったのは大量の炭と鬼神だけであった
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「やぁ蝗害。どうやら、宿儺と闘りあったらしいじゃないか
旧友である私に何も言わずになんて水臭いね」
薄ら笑いを見せながら鬼のいなくなった荒野に燻る炭に話しかけるのは、額に縫い目のある男。
「はぁ~君は本当に人と対話をしないよね
まぁ話したくないの比重が大きいのかもしれないけど」
物言わぬ炭につらつらとひとりで話を進めていく男はニヤついた顔を浮かべながら提案のように話を進めていく
「もうすぐここに天元が来る。君が知っているかはわからないが私が知る中で最高峰の結界術の使い手さ。」
その言葉を聞いたのか炭が少しうごめいたかのように見える。
「あぁそうだとも。君は封印されるのさ。漢の時代から続く宋での大災害、天元が霊脈を使用して呪力を日本に集めたところで君は自身を喰らい外へ羽ばたいていく」
「まぁ端的にいうと目立ちすぎたね」などと、軽薄に発言する男などにかまう時間は残さ
れていなかった。
「蝗害、私と縛りを結ぼう。今から君に細工を施す。私以外から産まれた混沌である君には...フフッ少し恥ずかしいが、期待しているんだよね。それに、このまま天元に封印されるよりはずっとましさ」
真意は知らず、しかし蝗は封印という自身の生き方の否定よりも縛りを選んだ。
「おそらく封印場所は甲斐の樹海かな、君のような強大な呪霊を地理の条件なしに封すことは天元でも難しいだろう。
何年...まぁざっと1000年後ほどかな。誤差はあるけどね」
しゃがみ込み、炭に触れる。
「期待しているよ、蝗害」
「君がこのまま、終わるのは惜しい」
そして。
「――おやすみ」
黒色は、静かに沈んだ。
蝗害(こうがい、英: Locust plague)は、トノサマバッタなど相変異を起こす一部のバッタ類の大量発生による災害のこと。蝗災ともいう。(Wikipediaより引用)
蝗
音コウ
訓いなご
意味
いなご。イナゴ科の昆虫の総称。「蝗旱(コウカン)」
▲飛蝗(ヒコウ)▲蝗(いなご)▲蝗虫(コウチュウ)
害
音ガイ 外カイ
訓外そこなう・わざわい
意味
①そこなう。傷つける。こわす。「害悪」「害虫」「傷害」対益 ②さまたげる。「障害」「阻害」「妨害」 ③わざわい。災難。「干害」「水害」「公害」対利
▲公害(コウガイ)▲災害(サイガイ)▲殺害(サツガイ)▲自害(ジガイ)...etc
(漢字ペディアより引用)