そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
ズン
綺麗にソーマの右フックはバルドの左脇腹に命中した。だが、命中しただけだ。
(嘘だろ。拳の先にある感触、これはまるで.......コンクリートの壁!)
思わず、ソーマはたじろぎ、身を引いてしまう。
「フッ、鎧を脱いだのは悪手だったねぇ。ソーマ君」
バルドは不敵な笑顔でソーマを見下ろす。
『
ソーマは急いで、
「どういう事だ。『
何度叫んでも、それらのパーツだけが戻ってこない。
「ガッハハハハハ、わしの右手はまだ塞がっておるようじゃな。」
ソーマがバルドの右手を見ると、確かに塞がっていた、ソーマの元に戻って来ていないパーツによって。
(クッソ、このままだと、パーツの戻って来ていない部位を攻撃されちまう。おそらく、手っ取り早く顎を狙ってくるだろうな。この状況から逆転なんてできるか?........待てよ、そういえば、俺の使っている
バルドは顎目掛けて拳を振りかぶっていた。
(迷ってる暇なんてねぇよな。よし......)
ソーマは頭をバルドに向けて突き出し、叫ぶ。
『
ボッ
メキメキ
鎧の頭部が思いっきり射出され、バルドの鼻頭を正面からへし折った。
「グァァァァァ」
バルドは鼻を押さえ、痛みに悶える。
「ハァハァハァハァ、ウッ」
ソーマは、勢いよく射出した反動によって激痛の走る頭を抱えた。
「相打ちってところかしら?」
木の陰から、フィーナが顔を出した。
「フィーナさん!見てたんですか?」
リョーマが頭部だけでガシャガシャと跳ねる。
「まぁね、途中からだけど。本当に、馬鹿だよね男って、こんなんになってまで戦うなんてね。」
フィーナはそう言いつつも、持ってきていた魔法陣に二人を乗せ、詠む。
『
緑色の光が二人を包む。
「おぉぉ、傷が治って.......って、バルドさん鼻!」
「あぁぁぁぁぁ」
バルドは鼻がひん曲がったまま傷だけ治ってしまう。
「ごめん、ごめん、『
今度は、赤色の光が二人を包み込む。
「イテテテ、イッテェ」
ソーマが痛がっている最中、バルドは澄ました顔で鼻を元の位置に戻す。
『
再び、二人を緑色の光が包み込んだ。
「フィ、フィーナさん......」
ソーマは恨めし気な目でフィーナを見る。
「な、何?」
「なんで俺も『
ソーマは半泣きで抗議する。
「えぇっと、ちょっとソーマを退かすの、面倒くさくて.......」
フィーナはポリポリと頭を掻いた。
「面倒くさがるなよ!マジで痛かったんだぜ、ほら、こことかたんこぶが......あれ?あっ、そっか治ってるんだった。」
ソーマは体の隅々を傷がないか確かめる。
「ガハハハハハハ、面白いのぉ、ソーマ君は。」
鼻が元に戻ったバルドは高らかに笑う。
バッ
ソーマは身構える。
「あぁ、大丈夫だ、ソーマ君、もういきなり攻撃したりはせんよ。安心してくれ。」
バルドはそういうと、ゆっくりと腰を下ろした。
「じゃぁ、なんでさっきはいきなり襲ってきたんだよ。」
ソーマは眉をひそめる。
「すまんすまん、君の実力がどれほどの物かちょっと試してみたくなってね。」
「だったら、最初から言ってくれよぉ。」
ソーマは全身を脱力させ、その場に座り込んだ。
「それでどうするんじゃ、これから?フィーナから聞いた話だと帰る宛がないんじゃろ。」
バルドは頬杖をつく。
「ウーン、そのことなんですけど.......」
ソーマは顔を伏せ、深く考え込む。
「どうかしたの?」
フィーナはしゃがみ込んでソーマの顔を横から、覗き込む。
「...俺、自分の置かれてる状況とかこの世界の事とかあんまりよく理解できてなくて、多分ここでただ、じっとしていても、停滞して何もわからないままになる。そう、思うんです、直感ですけど。だから.......」
ソーマが顔を上げる。それと同時に爽やかな風が森の葉を揺らす。
「俺、王都に行きます。」