そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
第十一話 送魔
王都には雨が降らないらしい。
王都全土には魔法陣が敷き詰められており、フィーナ曰く雨の音を詠唱として、降雨時には雨から王都を守る風のバリアを王都上空に展開するそうな。そして、そんなおとぎ話の世界のような場所に行く道のりが楽な訳がなく......
「ハァハァ、後どれぐらいだ。もう、歩けねぇよ。」
重い荷物を背負い、足をふらつかせながら歩くは、今作の主人公の一人、坂本颯真(通称ソーマ)。
「こういう時に人間に転生しなくてよかったって思えるよ。」
ソーマの隣を歩く黒鉄の鎧は、これまた今作の主人公、相馬涼真(通称リョーマ)。
「はぁ、もっとシャキッとしてよ。」
後ろから、ソーマを叱るは、エルフであり、ソーマ達の命の恩人でもあり、狩人でもある、フィーナと........
「全く、これだから若いもんわ。」
そのフィーナの隣で力強い足音を立て、一本しかない腕で杖をつきながら歩く、フィーナの師匠、バルド。
4人は王都を目指し、霧に覆われた森を突き進んでいた。
「ハァ~......ってか、なんでフィーナさんとバルドさんまでついてくるんスか?暇なんスか?」
ソーマは何時になく不機嫌に悪態をついた。
「だって、王都までまる二か月かかるのよ。素人二人だけで辿り着くなんて不可能。だから、私達であんた達を王都まで送ってあげることにしたの。」
フィーナは腕を組み、何故か自慢げに鼻を高くした。
「暇なのは否定しないんスね。」
ソーマは隣で歩くリョーマにも聞こえないほどの声量でボソッとぼやいた。
「えっ、なんていった?」
「なっ!なんでもぉ~、無いっスよぉ~。さぁ、さぁ、さっさと歩きましょ。王都が俺達を待ってますよ。」
ソーマは大地を強く踏みしめ歩き出そうとした。
その時、
ヒュン
ソーマの鼻先を何かが掠めた。
「うっ、うわぁぁぁ」
ソーマは咄嗟に身を翻し、リョーマに向かって走り出す。
『
ソーマはリョーマを身に纏い、何かが飛んできた方向を睨みつける。
「どこの誰だか知らねぇが、やりやがったな。いいぜ、こっちには飛び道具の専門家である猟師が二人もいるんだからな。いけるよな、フィーナさん、バルドさん.......」
ソーマは期待に満ちた目で振り返ったが、
「い、いない!」
二人はもう既にどこかに隠れてしまっていた。
「クッソ、俺達でどうにかしろってことなのか?ったく、冗談きついぜ。」
ソーマはリョーマを纏いながら、ポリポリと頭を掻いた。
ヒュン
風を切る音と同時に、矢がソーマのこめかみ目掛けて放たれた。
「矢か、普通なら避けるべきだが.......」
カチーン
しかし、リョーマの黒鉄の鎧はそれを弾く。
「よし、やっぱり、奴の矢の攻撃は今の俺達には効かねぇ。このまま矢を放ってくるヤツのとこまでダッシュだ。」
そして、矢の雨を切り裂き、彼らは霧に覆われた敵のシルエットが見えるまで近づいた。
その瞬間、
『
詠唱と共にそのシルエットは矢を放つ。
その矢は霧を.......いや空間を歪ませ、ソーマ達に向かって真っすぐ飛んできた。
さすがに彼らも、本能的に危険を感じたのか、その矢が彼らの体に当たる直前で思いっきり両の手でつかんだ。
すると、不思議なことに、掴んで止めたはずの矢が勢いよく矢の軸を中心として回転し、リョーマの鎧との摩擦によって勢いよく火花を散らした。
ギィィィ
掴んで止めたはずの矢の先端がじりじりとソーマ達に近づく。
「まっ、マズイ!」
一方、遠くからソーマ達の様子を見ていた、フィーナとバルドは驚きのあまり放心していた。
「バルド......」
フィーナはバルドの無い左腕の付け根を優しくさする。
「フィーナ、お前がワシの左腕に仕込んだ魔法陣はお前以外に描ける人間はいないはずじゃよな。」
バルドは顔を覆った。
「そのはず。だって、あの魔法陣はバルドのためだけに作った私オリジナルの.......」
フィーナは顔を伏せた。
「まさか.......そんな!」
「あぁ、おそらく、そのまさかじゃ。」
バルドは右の拳をギュッと握りしめた。
「何故じゃ、何故、ワシの左腕を.......誰じゃ、誰なんじゃ、アイツは........ハッ、まっ、まさか、奴は.......奴は!ワシのワシの左腕を捥いだ、金色の装魔か!?」