そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
「敵は二人いる!それも俺達の声が届かない位置に!!」
リョーマを纏い、緩慢に移動する気を失ったフィーナを連れ去る「腕」を追いかけながら、ソーマは確信に満ちた声でリョーマに囁いた。
「なんで、そう思うんだよ?」
リョーマは首を傾げる。
「先ず、矢がバルドさんを貫いた時の傷口が円状に抉れていたんだ。つまり、バルドさんに当たった矢は『
「それで?」
ダッダッダッ、ダッ、ダッ、ダダッ
ハッ、ハッ、ハッ、フゥ―
ソーマは走るペースを少し落とし、一旦息を整え、再び口を開く。
「これで先ずは一人目の敵は声が聞こえるほど近くにいないことの仮説が立った。次に、もし二人目の敵が居るという話についてだけど.......」
「あ、あぁ」
リョーマは相槌を打つ。
「矢を射てきた敵は、声が聞こえないほど遠くにいるとは言ったが、俺達の事が見えないほど遠くには居ないはず。見えなきゃ、俺達に向かって正確に矢を放つことなんてできないからな。そう考えると......えいっ、よっと」
ガシッ
「矢で射てきた方の敵は俺達が霧を晴らしてフィーナを見つけたところも見たはずだ。でも、フィーナを連れ去っている奴は焦る素振りも見せずに音を立てないようにゆっくりと移動している(つまり、俺達にフィーナが何処にいるかがばれていないと連れ去った奴は考えている)。ということは、敵が一人だと考えた時に、敵が俺らの状況をどれだけ把握しているかという点において矛盾が生じているんだ。つまり、敵は二人は居る!」
ダッ
「じゃぁ、もう一人の敵も警戒するべきじゃないのか?一旦バルドさんのところに戻って作戦を練ったりとか......」
リョーマのその問いにソーマは思わずため息を漏らしてしまう。
「今、優先すべきはフィーナさんの奪還だ。もし、ここでフィーナさんを取り返せなかったら、フィーナさんを取り戻せるチャンスはもう巡ってこないかもしれない。それに、矢を射ってきた敵は俺達とバルドさんが話している間、隙だらけだったのに、矢を放ってこなかった(俺はその時は結構警戒してたが)。そっちを追う必要性は今のところフィーナさんの奪還に比べたらないと俺は考える......ぜッ!」
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!
(あっ、やっべぇ〜。思ってたより、距離足んねぇかも。クッ、仕方ねぇ)
『
ボゥ
ソーマは足のパーツを射出した反動で、拳二つ分体を浮き上がらせる。
ガシッ
グイッ
と
(離さねぇ。フィーナさんはぜってーに連れて行かせねぇ。)
その時、
ブゥーン
鈍い金属の振動音と共にフィーナを捕まえている「腕」と同じ種類の「腕」が数本、文字通り手探りと言った様子でフィーナの周りを飛び回った。
ヒュン、ヒュン、ヒュン
ホッ、ヨッ、ハッ
しかし、
ガシッ
グググッ
(あちゃ~、結構力つぇぇ。振りほどくなんてできねぇぜ、こりゃ。)
『
ボッ
バシッバシッバシュッ
リョーマの鎧の腕パーツを飛ばしてパージさせ、「腕」を吹き飛ばしたが......
それは結果的に悪手であり、二つのピンチを生み出していた。
一つ目は、吹き飛ばした腕パーツは四方八方に飛んだ事で、フィーナの太ももをパーツの一部が掠れ、そこから多量に出血してしまっていた事。
(フィーナさん、ごめん!!)
ソーマは心の中で、謝罪した。
そして、二つ目は......
ブチッ
(あっ!!)
パーツが鞄の紐を擦った事で、紐が千切れやすくなっていた事。
(マズイ、紐が......俺達とフィーナさんを繋いでいた命綱が切れちまった。)
地上に向かって真っ逆さまに落ちようとする瞬間、リョーマは思った。
(終わった。もう、フィーナさんを取り返すチャンスは失われた。)
ソーマは思った。
(終わった.............なーんてな)
ソーマは口角を上げながら、霧で覆われた地面に消えていった。