そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~   作:Curry&Rice

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第十六話 髞魔

「何が、イッツショータイムだ。俺っちのショーを邪魔しやがって、許さねぇ。」

 

道魔は「腕」で数えきれないほどのナイフの束をリョーマ(ソーマ)に投げつける。

 

「フッ、芸がないね。」

 

リョーマ(ソーマ)は投げられたナイフの束にあるわずかな隙間を縫って、道魔ににじり寄る。

 

「やっぱりこういうのは、掴みが大事だからねッ。」

 

そう言うと、リョーマ(ソーマ)は先ほど避けるついでに”掴んだ”ナイフを道魔に投げ返した。

 

「クッ、おのれぇ、貴様ごときにぃ」

 

道魔は投げ返されたナイフを「腕」で握り潰し、殺意に満ちた目でソーマを睨んだ。

 

(ん?こいつ、俺達について何か知ってるのか?)

 

「なぁ、道魔だっけ?なんで俺のことを知ってんだ?」

 

リョーマ(ソーマ)は足を止め、右斜め30度に首を傾げる。

 

「とぼけるな」

 

道魔の顔つきは憎しみに満ちていた。

 

「お前のような鎧を着て、脱ぐことしか能のない下級装魔が俺に楯突いて、許されると思っているのか?」

 

リョーマ(ソーマ)の首がプラス15度傾く。

 

(下級装魔?装魔にはランクがあるのか?ってことは、奴は少なくとも中級か上級ってことか?ケッ、わかんねぇ単語いきなり増やすんじゃねぇよ。混乱するわッ!)

 

リョーマ(ソーマ)は首を元の位置に戻し、真っすぐ道魔に向かって駆ける。

 

「アヒャヒャ、クソ真面目なお前にはわからねぇだろうがよ。俺は色々と忙しいんだ。わりぃが、これからはおふざけなしだ。」

 

リョーマ(ソーマ)の背後の暗闇の中から十本の「腕」が現れる。

 

(マズイな)

 

ガシッガシッガシッガシッ

 

リョーマ(ソーマ)の全身を思いっきり「腕」達が掴む。

 

「アヒャヒャ、お前はもう終わりだ。引きちぎれろ!」

 

「腕」達はリョーマ(ソーマ)を八つ裂きにしようと、四肢を思いっきり引っ張る。

 

「イテテテ、『全解(フル・パージ)』」

 

ソーマは「腕」が掴んだ(リョーマ)を飛ばし、そのまま暗闇の奥の壁にめり込ませた。

 

「ぐはっ(やべぇ、アドレナリン切れだ。筋肉痛で身動きがとれねえ。) 」

 

ソーマはそのまま仰向けに倒れこんだ。

 

「アヒャヒャ、身の程知らずが。」

 

道魔はすかさずソーマの頭を覗き込み、両足で踏みつける。

 

「このッ、このッ、このッ」

 

道魔はソーマの顔面を踏み続ける。

 

「へっ、へへ」

 

ソーマは顔面を血塗れにしながら、ふてぶてしく笑う。

 

「ん?どうした、踏まれるのがそんなに嬉しいのか?流石、低級は違うな。」

 

道魔は自身の勝ちを確信し、負け犬の間抜け面をよく見えるように足を彼の顔から離した。

 

「て、てめぇ」

 

道魔のこめかみに血管が浮き出る。

 

「へへ、どうした?」

 

ソーマは相変わらず笑みを絶やさない、それも、嘲るような笑みを。

 

「わかってねぇ......みてぇだからな...ゴフッ......嘲笑(わら)ってやろうかと思ってよ。」

 

パチッ、パキッ

 

「何の事だ。」

 

道魔の顔がソーマの言葉で寒色に染まる。

 

ぺキッ、パキッ

 

「へへ、その顔、マジで、マジに、わかってねぇな。へへ......グハッ......ハァハァ」

 

ミシッ

 

血だらけのソーマが倒れ、道魔が無傷でソーマの傍らに立つ、この状況がソーマにとって()()()要素が何処にもないことは誰が見ても明らかであった。

 

だが、ソーマの嘲りは心の底から出たものであった。

 

メキッ、バキッ

 

「じゃぁ、ヒント出してやるよ。お前のいるここはどこだ。」

 

ソーマは極限まで口角を上げる。

 

「ま、まさか......」

 

道魔が気づいた。その時にはもう手遅れだった。

 

メキメキメキ

 

暗闇の地面や壁がひび割れ、その外から光が差し込み、全容を露わにした。

 

「そう、ここは大木の中だ。パージした鎧は内側からそれを破壊するために飛ばしたのさ。」

 

足場としていた木の年輪部分が割れ、ソーマと道魔は大きく離れる。

 

「貴様ぁぁぁぁ」

 

暗闇は完全に崩壊し、道魔が見上げた先から大量の樹の幹が降り注いだ。

 

「だが、これで少なくともアイツもただじゃ済まねぇ。アヒャヒャ......ヒャヒャ?」

 

道魔はソーマに再び目をやるが、そこに彼は居なかった。

 

(バッ、バカな。そんなはずは......)

 

ヒュゥ、ドシン

 

「グハァ」

 

道魔は落ちてきた樹の幹の下敷きになる。

 

「奴は......動ける状態じゃ......」

 

道魔の意識はそこで途切れた。

 

 

 

崩壊する大木を背に、ソーマを抱えるバルドは足を引きずりながら歩くフィーナから目を逸らす事なく、足を運ぶ。

 

「ったく、無理するのぉ」

 

バルドは深くため息をつく。

 

「へへッ......」

 

ソーマはバルドの木の幹より太い腕の中で、薄く開いた緑色の目を凝らし、壊れゆく大木を見た。

 

「あぁ、道魔......てめぇは本物の道化だったぜ.....」

 

ソーマは満足気な表情で、カクンと眠りに堕ちた。

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