そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~   作:Curry&Rice

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第十八話 漕魔

窿穹(ムード)

 

一夜明け、フィーナは自衛用のドームを解除し、バルドとソーマとリョーマを連れて、霧の薄い湖まで辿り着いた。

 

湖面を朝日が照らし、キラキラと鏡のように輝く。

 

「あぁ、綺麗だなぁ。」

 

霧と水面を光が乱反射する、あまりに幻想的な光景にソーマとリョーマは思わず息を呑んだ。

 

「ちょっと、二人とも何ボーッとしてるのッ?」

 

パコン

 

カーン

 

フィーナは二人の後ろ頭をボートを漕ぐ際に用いるオールで軽く叩いた。

 

「痛っ、フィーナさんいきなり何するンスか?」

 

「ハァ~、二人共、王都に行くにはこの湖を越える必要があるの。そして、今、私が持っているのはボートのオール......これで、わかったかしら?」

 

ソーマとリョーマは顔を見合わせ、苦笑を浮かべ、互いを指さした。

 

 

波紋一つない水面、霧かかることで乳白色に映る。それは、まるで人を寄せ付けない神秘性を孕んでいるような風景であった。

 

そこに、似つかわしくないオールを漕ぐ二人の青年の大声と、空を羽ばたく鳥を凌駕する勢いで進む木製ボートが湖を裂く。

 

「ウォォォ、腕がぁ、攣るぅ、ダメだ。これ、きつぃ。ハァハァ」

 

「ちょっと、ソーマ右寄ってる!!ペース落としてッ」

 

「えっ、リョーマ、なんて言った?水の音でかき消されてよく聞こえねぇんだけど。もうちっと大きな声でお願い。」

 

「スピード!!落として!!」

 

「ハイよッ、お茶の子さいさいってやつだぜ。」

 

二人はジグザグと蛇行しつつも、漕ぎ出した時には、影も形も見えなかった反対側の湖畔がせり上がる様に、姿を現し始めた。

 

「二人共、あと少しよ。」

 

「ほれ、頑張れぃ。もうそろ日も暮れる。急ぐんじゃ。」

 

(まぁ、日没まで後二時間程はあるがのぉ。)

 

フィーナとバルドは後方から二人を鼓舞する。

 

「言われなくとも......わかってるぜ!!」

 

ソーマはオールを全力握りしめ、湖面に勢いよく叩きつける。水しぶきがおおよそ家屋の2階ほどの高さまで上がる。

 

旋転(ロール)

 

詠唱がソーマ達の耳に聞こえた数瞬後、水しぶきをかき分けボートの側面に回転する一本の矢が刺さる。

 

(こっ.......この矢はッ!!)

 

ソーマが矢に気づいた時には、もう既に彼らの天と地がひっくり返り、ボートごと湖面に叩きつけられていた。

 

矢を放った主、金髪で左目は翠眼、右目に眼帯を付け、左腕のみが歪に肥大化し、茶色いローブに身を包んだツギハギの少年エルフが木の上で小さく呟く。

 

「ごめん、姉さん......」

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