そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
「
一夜明け、フィーナは自衛用のドームを解除し、バルドとソーマとリョーマを連れて、霧の薄い湖まで辿り着いた。
湖面を朝日が照らし、キラキラと鏡のように輝く。
「あぁ、綺麗だなぁ。」
霧と水面を光が乱反射する、あまりに幻想的な光景にソーマとリョーマは思わず息を呑んだ。
「ちょっと、二人とも何ボーッとしてるのッ?」
パコン
カーン
フィーナは二人の後ろ頭をボートを漕ぐ際に用いるオールで軽く叩いた。
「痛っ、フィーナさんいきなり何するンスか?」
「ハァ~、二人共、王都に行くにはこの湖を越える必要があるの。そして、今、私が持っているのはボートのオール......これで、わかったかしら?」
ソーマとリョーマは顔を見合わせ、苦笑を浮かべ、互いを指さした。
波紋一つない水面、霧かかることで乳白色に映る。それは、まるで人を寄せ付けない神秘性を孕んでいるような風景であった。
そこに、似つかわしくないオールを漕ぐ二人の青年の大声と、空を羽ばたく鳥を凌駕する勢いで進む木製ボートが湖を裂く。
「ウォォォ、腕がぁ、攣るぅ、ダメだ。これ、きつぃ。ハァハァ」
「ちょっと、ソーマ右寄ってる!!ペース落としてッ」
「えっ、リョーマ、なんて言った?水の音でかき消されてよく聞こえねぇんだけど。もうちっと大きな声でお願い。」
「スピード!!落として!!」
「ハイよッ、お茶の子さいさいってやつだぜ。」
二人はジグザグと蛇行しつつも、漕ぎ出した時には、影も形も見えなかった反対側の湖畔がせり上がる様に、姿を現し始めた。
「二人共、あと少しよ。」
「ほれ、頑張れぃ。もうそろ日も暮れる。急ぐんじゃ。」
(まぁ、日没まで後二時間程はあるがのぉ。)
フィーナとバルドは後方から二人を鼓舞する。
「言われなくとも......わかってるぜ!!」
ソーマはオールを全力握りしめ、湖面に勢いよく叩きつける。水しぶきがおおよそ家屋の2階ほどの高さまで上がる。
『
詠唱がソーマ達の耳に聞こえた数瞬後、水しぶきをかき分けボートの側面に回転する一本の矢が刺さる。
(こっ.......この矢はッ!!)
ソーマが矢に気づいた時には、もう既に彼らの天と地がひっくり返り、ボートごと湖面に叩きつけられていた。
矢を放った主、金髪で左目は翠眼、右目に眼帯を付け、左腕のみが歪に肥大化し、茶色いローブに身を包んだツギハギの少年エルフが木の上で小さく呟く。
「ごめん、姉さん......」