そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
放たれた矢が重心を左後ろにずらして体を傾けたソーマの頬を掠める。
『
湖から飛び出した無数の
だが、少年も負けてない。放たれた裏拳は少年の肘打ちの前に不発に終わり、少年は肘打ちで裏拳を防いだそのままの体勢から、右手にもった弓でソーマの目元目掛けて、矢を放つ。
矢はなんの変哲もない。しかし、ソーマの視界の大部分を一瞬塞ぐには訳なかった。
カツン
矢が鎧に当たったことで、少しソーマの首が上向く。
その瞬間、少年は姿勢を低くし、左手を開き、アッパーの要領で左手を突き上げる。もちろん、この詠唱を詠みながら。
『
渦巻く、風が
「うおぉっつ、ル、『
(フッ、まさかここまで呆気ないとは......所詮小細工だけが取り柄のバカか。)
少年は姿勢を正し、見下すように、森の奥の深淵を凝視する。
(ただ、俺の目的はあくまで、奴の遺体の回収だ。確実に死んだことを確認するまでは油断できん。)
少年は顎を引き、今度は獲物を見定める目で、暗闇を睨む。
まるでハンターのように、しばらく少年は微動だにせず。出方を伺うことにした。
そして、数分が経った後、彼の一点に集中した目線の先から闇をかき分け、黒鉄の鎧がギシギシと音を立て、真っすぐ少年に向かってゆっくりと歩を進める。
(......ん?おかしい。さっきまで、あれほど騒いでいた男が余裕がないとはいえ、今の一瞬でここまで寡黙になれるものなのか?フッ、面白い。奴の小細工はまだここでは終わらないということか。いいだろう。見抜いてやる。)
『
少年の右目の魔法陣の描かれた眼帯は青く光り、彼の右側の視界は熱源を探知する超高性能なサーモグラフィへと変化をとげる。
彼の右目には、赤く光る黒鉄の鎧が映し出されていた。
(もし、奴が鎧の中に奴が入っていなければ、金属製の鎧は熱伝導によって外気温との差が少なくなる。よって、寒色を示すはずだ。しかし、鎧は赤色、暖色だ。奴は鎧の中にいる......と思わせること自体が罠だろうな。もしくは、当人には罠のつもりはないのかもしれない。どちらにせよ、奴はあの中には居ない。示された赤色は色の濃さにもよるが、おおよそ八十度以上、人間の体温がそこまで上がることはない。おそらく、火か何かを鎧の中に詰めている状態でこちらに向かわせている。そして、本当の奴の位置は......)
少年は矢を三十度、二時の方向に放つ。
パシッ
少年の右片側の視界に、葉で身を隠しつつ、木の大きな枝の上に立ちながら飛んできた矢を白刃どりで捕まえるオレンジ色のソーマが映る。
「おっとっと、あっ」
矢を受け止めた拍子にバランスを崩し、ソーマは大きな枝から落ちた。
すかさず、もう一度少年は矢を放つ、落ち行くソーマ目掛けて。
『
(あ、あぶねぇ、矢を放つより先に、リョーマがこちらに走って近づいてきてなければ、確実に刺さっていたぜ。)
ドシャンと音を立て、
(にしても、あちぃ、さっきまで
(フッ、ネタ切れか?......いや、奴の表面温度はまだ高い。平手で触れるによる回転攻撃はリスキーだな。ならば...)
少年はソーマの上段突きをしゃがんで躱し、地面に左手の平をくっつけ、詠唱する。
『
少年は体を捻り、左手を回転の軸にしながら、右足で後ろ回し蹴りをソーマに直撃させ、ソーマを湖に激突させる。
「うわッ」
バシャッ
ジュゥ
高温を帯びていた
「ハァハァ、ダメだ。どうやっても、奴のペースだ。あの左手...左手さえどうにかできれば......」
『
ソーマは瞬時に沖へ移動するがそこで体力の限界が来てしまった。
そして、ソーマは逆詠唱で回転を止めた少年とは対照的に、頭をフル回転する。
(考えろ、考えろ.......)
少年は地面から手を離し、左目でソーマを隅々まで観察しながら、緩慢に一歩ずつ、一歩ずつ、ソーマに近づく。
(奴の攻撃は左手の手の平に描かれた魔法陣によるものが、ほとんどだ。)
少年とソーマとの距離、約五メートル。
(そして、その効果は手の平に触れたもの状態に関わらず、回転をかけることができるといったものだ。)
少年とソーマとの距離、約四メートル。
(不動の地面に手を置き詠唱することで、奴自身を回転させ、そこから攻撃への転用も可能か......)
少年とソーマとの距離、約三メートル。
(俺の出来ることは、全身を鎧で包む
少年とソーマとの距離、約二メートル。
(俺は、俺の可能性を信じる。俺の可能性は無限大だ。そうだ。やれる。なんだってやれる。こんな絶望的な状況でも、逆転の一手は必ず俺の中にある......はずだ。)
少年とソーマとの距離、約一メートル......少年の左手はソーマに向けて伸ばされる。
(......今だッ!)
『
(奴の左手の手の平の魔法陣は”触れたもの”を回転させる。つまり、俺によって左腕に鎧が装着された今。奴がロールの魔法陣を詠唱すると、鎧が回転し、鎧が装着された左腕は指を絡め取られ、そのまま腕ごと回転しねじ切れる。そして、鎧の動きはリョーマによってコントロールされる。当然だな、鎧=リョーマなんだから。だから、実質左手を拘束でき、奴は弓を射ることもできない。これで...これで......お前は......)
「