そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
ザッザッザッ
日暮れの黒霧に覆われた森を、フィーナ、リョーマ、バルドの三人は、アジトを知るルードを先頭にして迷いなく進む。
「ちょっと、歩くの速いっスよ。もうちっとゆっくり......ゆっくり......」
ソーマは皆の十歩後ろを地面に擦らせながら、腕をプラプラと振り子の要領で振り、重心を移動させながら、肩を落として歩く。
「もう少しだ......我慢してほしい......」
ルードはソーマの方をちらと振り返り、申し訳なさそうにお辞儀をする。
(うぅ、こっちは先の戦闘で足腰痛めてるっつぅのによ。)
ソーマは不満気な顔で下唇を突き出す。
「リョーマ、負ぶってくれ。さすがに足腰が限界だぁ。」
リョーマは何も言わず、ソーマを背中で担ぐ。
「なぁ、なんか、お前の背中ゴツゴツしてて、安定しないな。」
「そんなん言うなら、降りてもらうけど......」
「うぅ」
(早く着かねぇかなぁ。まさに、五里霧中って感じで一向にアジトらしき建物なんて......)
「よし、ここだ......」
ルードは目の前の霧の塊を指さす。
「えっ、でも、その先は霧じゃ......」
『
ルードの逆詠唱によって、夜の森を覆っていた白色の霧が闇を帯び、夜の暗さに目が慣れたソーマ達の前に、アジトと思しき少し古めかしい洋風な建物がその姿を現した。
「うわぁ」
ソーマは小学生の頃見に行った異人館にとても似た造りをした、その建物にある種のノスタルジーを感じていた。
(異国情緒に溢れる建物に、懐かしさを感じるってなんか変な気はするけど......)
ソーマはリョーマの背中から身を乗り出し、その建物の様子をまじまじと観察する。
ガチャッ
建付けの悪そうなドアをルードは慣れた手つきで開け、彼に続いてバルドとフィーナも中に入った。
「ちょっと、ソーマ、リョーマ、おいてくわよ。」
ドアからひょこっとフィーナは顔を出す。
「あっ、今行くッ。行け、リョーマ」
「えっ、でも......」
「いいから、早くしねぇと、ドア閉められちゃうぜ。」
リョーマに肩車されたソーマはそのままドアに向かって駆け出す。
「あっ」
背の低いトンネルを大型トラックが通れないのと同じで、二メートルもある大型の鎧が人間を肩車して小さなドアをそのまま通れる道理は......
「や、やばぁ」
ガンッ
「はぅっ」
ない。ソーマはリョーマの頭部パーツを抱えながら思いっきり後頭部から落ちる。
「いててて」
「もう、何してんのよ。馬鹿っ」
フィーナはソーマのボロボロのワイシャツの襟を引き、そのまま廊下を引きずる。
「うぅ、前頭も後頭も背中も痛いぃ......っちょ、聞いてるッスか?さっきから、ズルズル引きずられてて痛いんすよ。やっぱり、俺の心と体はガラスより丁重に扱ってもらいたいとまでは言わないっスけど、なんというか、その手心って......イテテテ」
ソーマの戯言を華麗に無視し、フィーナは蝋燭の灯った二階の談話室でルードと対面するように座らせる。
「あぁぁ、まだ痛むぅ。」
ルードは呆れた表情で、唐突に話を切り出した。
「そういえば、言ってなかったと思ってな......」
ソーマはぽかんと口を半開きにする。
「覚えてないのか?僕が金色の装魔かどうかって話だ......」
ソーマの顔が一気に険しくなる。
「そう、睨まないでくれ......僕は金色の装魔ではない......」
ルードは独特な間を置き、ソーマをなだめるように優しい声色で話す。
「だが、お前のその左腕は間違いなく金色の装魔がバルドさんからもぎ取ったものだろ。どうして、お前がその左腕を付けている?」
ソーマは冷静に切り返した。
「話せば、長くなる......」
ルードは俯く。
「構わない。」
ソーマは後頭部をさすりながら、足を組み、耳をルードの側に傾けた。
そして、ルードは口を開く。
「かつて......」