そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
森にソーマの叫び声がこだまする。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ナイフ刺さってるぅぅ。」
傍らにいた黒鉄の鎧が腹にナイフが突き刺さったソーマを見て叫ぶ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、鎧がしゃべったぁぁぁぁ。」
ソーマは黒鉄の鎧を見て、叫ぶ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
二人の声が森を揺らし、鳥たちが一斉に羽ばたいた。
「あわわわわ、と、とっ、とりあえずナイフを抜こう。あ、危ないし。」
黒鉄の鎧は急いでソーマの腹に刺さったナイフを引き抜こうとする。
「馬鹿、お前、刺さってるナイフ引き抜いたら、傷口から大量に出血しちまうだろぉ。」
ソーマは引き気味で黒鉄の鎧を制止する。
「あっ、もう抜いちゃった。」
黒鉄の鎧はさっきまでソーマに刺さっていた血だらけのナイフを手にしている。
「へっ、へへへ」
ソーマは顔をひきつらせ口から乾いた笑いが出た。
ガバッ、グッ
ソーマは出血を抑えるため腹を両手で思いっきり押さえる。
「ふざけんじゃねぇ。何やってんだよ、頭おかしいだろ、死ぬぅ。もう、無理ぃぃ。出血多量で死ぬぅぅ......あれ?」
ソーマはナイフの刺さっていた腹を見ると着ていた白いシャツに血がついている程度で出血はしていなかった。
「あっれぇ、出血しねぇ?ってか、俺こんな服着てたっけな、俺がトラックに轢かれたときは確か陸上のウェア着てたような......」
「トラックに轢かれた時ウェアを着ていた?姿は別人だけど、もしかして、お前、ソーマか?」
黒鉄の鎧はソーマに尋ねる。
「その質問してくるってことは、お前、リョーマかよ!」
「そうだよ、お前こそ、その反応、やっぱりソーマだな!」
ガサッガサッ
二人が感動の再開の余韻に浸る間もなく、茂みが怪しく揺れる。
「おい、リョーマ、俺ら以外にトラックに轢かれた奴っていたっけか?」
「いいや、いなかったはず。」
「ってことは.......」
ガバッ
茂みの中から緑色のゴブリンが飛び出してきた。
「な、なんか出たぁぁぁ」
ソーマは急いでリョーマの後ろに隠れる。
「ちょ、ちょっと、俺を盾にすんじゃねえよ。」
「仕方ねぇだろ、俺はちょっと弱そうな成りしてるし、お前は鎧だろ。どう考えたって、ここはお前が適任だろ。」
「ソーマだって、突き刺さってたナイフで応戦してくれよ。俺自信ねぇんだよ。」
「わかったよ、その代わり、俺にヘイトが向かないように、お前はあの野郎を惹きつけておけよ。」
ソーマはリョーマがいつの間にかどこかに投げたナイフを探していた。
「トリャ―」
リョーマはゴブリンに一発アッパーをぶつける。
カン
ゴブリンは少しひるんだ程度で全く有効打になってはいなかった。
「えぇぇぇぇ、ちょっと、ソーマ、話が違うんだけどぉ。」
リョーマがソーマに顔を向けた瞬間、ゴブリンが棍棒をリョーマの頭目掛けて振り下ろす。
「あっ」
リョーマの頭の鎧が取れ中が見えたが、彼の中身は空洞であった。
「ぐぇ?」
ゴブリンが首を傾げる。
「あれ、俺の首が取れたけど痛くない。というか、痛覚がない。」
「やったな、じゃぁ、そのまま気を惹いといてくれ。」
ソーマはまだナイフを探していた。
「ぐぉぉぉぉ」
「あっ、やっば、ソーマ、そっちにゴブリンが向かった。早く逃げろ。」
リョーマは思いっきり叫ぶ。
「あっ、あったぜ、ナイフ。さぁ、かかってこい。」
ソーマは素人丸出しの構えでゴブリンに対面する。
「ハッ」
ソーマは思いっきりゴブリンに向かってナイフを投げるが避けられてしまう。
「何やってんだよ。投げるより、刺したり、切ったりしたらよかったじゃないか!」
「でも、手が震えて、その、上手く振れなくて。」
ゴブリンはソーマの頭目掛けて棍棒を振り下ろす。
「ソーマ、危ない!」
ヒュン、スコン
ゴブリンの頭を一本の矢が貫く。返り血がソーマの着ている白いシャツに付いたが、当の本人はその事に気が付けないほど放心していた。
「ちょっと、あんた達、大丈夫?」
遠くから耳の長い、弓を持った金髪翠眼の女エルフが近づいてきた。
「助かったぜ、誰か知らねぇがありがとう。」
ソーマが彼女に近づこうとすると、女エルフは眉を顰め、ソーマに向かって弓を構える。
「止まって」
女エルフは、弓を引き絞り、低く呟いた。
「もしかして、あんた装魔?」