そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
フィーナの家は一階は店舗、二階は住居になっていて、彼らは二階の狭いリビングで丸くフィーナ独りで使うには少し勿体ないほどの大きさの机を囲むように座っていた。
「—っで、装魔って、何なんだ?」
ソーマは単刀直入に切り出す。
「確か、フィーナさんの仇とかなんとか......。」
リョーマは腕を組む。
「装魔、正式名称は武装式魔導具使い。」
ソーマはその中二臭い言葉の響きにひどく感動し、明らかにテンションを上げる。
「うぉぉ、イイじゃん良いじゃんカッコイイじゃん。」
ガシッ
リョーマは体を揺らして喜びを表す、ソーマの肩を掴む。
「何なんだよ?」
ソーマはリョーマを睨む。
クイッ
リョーマは顔をフィーナに向け、暗にフィーナを見ろとソーマに伝える。
「あっ」
フィーナは膝に置いていた拳を強く握り、鬼のような形相で二人を見ていた。
「ご、ごめんなさい」
ソーマはシュンと音を立てて窄む。
「あんた達は関係ない......でも、私の家族は、あんた達と同じ装魔に殺されたの、母は足を捥がれ、父は目を抉られ、弟に至っては下半身しか残されていなかった。外出していた私だけは、運よく家の近くにいた知り合いの猟師に助けられて、今もこうして平和に暮らせてる。」
天井に吊るされたランプに入った蝋燭の火が揺れる。
「でも、でも、でも、私は家族を殺した装魔を絶対に許さない。」
フィーナは感情の高まりを抑えきれず机を思いっきり叩く。
「フィーナさん......」
「二人とも、念のために聞くわ。私の家族、キーラ、ジョーイ、ルードに心当たりは?」
フィーナはリョーマとソーマを殺気の籠った目で睨む。
「ない。」
「ありません。」
二人はは真っすぐフィーナを見つめ返す。
「フッ、ごめんね、取り乱しちゃって。忘れて構わないわ、今の話は。」
フィーナは勢いで前にズレた椅子を少し後ろに下げた。
「ところで、フィーナさん、この家一階がお店になっているんですけど、一体何を売ってるんですか?」
リョーマの質問にフィーナは待ってましたっと言わんばかりに、ニヤリと笑う。
「ちょっと待っててね。」
フィーナはドタバタと足音を立て、一階に降りる。
「なぁ、リョーマ、フィーナさんが何屋か当ててみようぜ。ちなみに、俺は肉屋だと思うぜ。森で、弓使ってたからな。」
ソーマの顔に自信の二文字が浮かび上がる。
「でも、あの森モンスターにしか遭遇しなかったよ。食べれそうな獲物いなそうに見えたけど......。」
フィーナがドタドタと慌ただしく階段を駆け上がる。
「お待たせ、これが私の仕事よ。」
フィーナは机一面に大きな魔法陣の描かれた紙を広げる。
「すげぇ、魔法陣だ。本物だ!」
ソーマは鼻息を荒くする。
「魔法陣を描くことがお仕事なんですか?」
リョーマは興奮するソーマを横目にフィーナに問いかけた。
「そうよ、あっ、そういえば魔法陣についてあんた達よく知らなかったよね。」
フィーナは重りを置き机から魔法陣が描かれた紙を固定する。
「よーく見てなさい。『
フィーナの言葉に反応し、魔法陣が光を放つ。
「なっ、何だ!」
魔法陣の上をすべるように炎の蛇が蜷局を巻く。
「あっつ!」
ソーマが不用意に炎に触れ、火傷を負う。
「ご、ごめん、今消すから『
炎の蛇は時間が巻き戻ったように魔法陣に吸い込まれていった。
「フーフー、すげぇなぁ、なぁどうやったんだ今の?」
ソーマは火傷を吹いて冷やしながら、まるで初めて電車を見た五歳児のように目を輝かせる。
「私は、ただ魔法陣にセットされた
二人は自分たちにも魔法が使えるという事実に目を丸くする。
「マジで!じゃぁ、早速、『
メラメラと音を立て、炎の蛇が再び魔法陣から姿を現す。
「解除には、逆詠唱。つまり、反対から読めば、魔法を魔法陣に閉じ込めることができるわ。」
『
ソーマの詠唱に反応し、炎の蛇は魔法陣に戻っていった。
「なるほど、これって詠唱は自由に設定できるんですか?」
リョーマは蛇の戻った魔法陣を指でなぞる。
「えぇ、できるわ。でも、簡単にしすぎたり、逆詠唱を詠まれやすかったりすると悪用されやすいわ、それに......」
ぎゃぁぁぁぁぁ
夜の森に野太い叫び声が響く。
「!」
フィーナは窓の外から悲鳴したの方向を窓越しに見る。
「あっ、あれはリスオオカミ。ほら、さっきあんた達を襲ったリスよ。」
フィーナが指さした方向、およそ100メートルの距離でリスオオカミの大群が大きな塊になって一人の男に覆いかぶさっていた。
「残念だけど、あの状態になったらもう助かりようがないわね。」
フィーナは窓のカーテンを閉め、彼に背を向けた。
うぁぁぁぁぁぁぁ......
男の声は最期の雄たけびを弱々しく叫ぶ。
「うっ!」
いきなり、ソーマの腹が男の断末魔に呼応し、輝きを放った。
「くっ、うおぉぉぉ」
ソーマは発光した腹を抑え、悶え苦しむ。
(ま、まさか......!)
ソーマのトップスを脱がせ、光る腹部を見る。
「なっ、何だこれ?」
「どういうこと?」
ソーマの腹部に幻想的な光彩を放つ、幾何学的な模様の魔法陣が描かれていた。