そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
「......おい、ソーマ目を覚ましてくれ、ソーマ!」
リョーマの声に促され、ソーマはゆっくりと目を覚ます。
「うぅ、気絶してたのか?」
「そうよ、そのお腹の魔法陣のせいだと思うけど...」
フィーナはソーマの魔法陣を凝視しながら考え込んだ。
「ん?あっ、おい、二人とも外を見てくれ!」
リョーマの言われた通り、二人はカーテンの隙間から外を見る。
キキキキキキキキキキキキキキキキ
鳴き声を呼応させながら、リスオオカミの大群が三人が居る二階に目線を合わせていた。
「マズイわ。あの目、獲物に狙いを定めた時の目だわ。」
フィーナは長年の狩りの経験からか、はたまた森で過ごしてきた野生の直感からか、わからないが二人には彼女の言ったことが間違いではないと感じた。
「迎え撃つしかないようね。」
フィーナは弓を取る。
「待ってください、フィーナさん、相手はリスの大群ですよ。弓矢じゃ、太刀打ちできませんって。」
フィーナはにっこりと表情を柔らかくし、焦るリョーマの肩を掴む。
「それもそうね。じゃぁ、あなた達に何とかしてもらうわ。」
そういうと二人の手を引っ張り、共に外へ出た。
「フィーナさん、無茶ですよ。俺達確かにさっきは一匹のリスオオカミを吹き飛ばしましたよ。でも、こんな大群相手にして勝てるわけ......」
リョーマは弱気になる中、ソーマは対照的に目に炎を宿していた。
『
ソーマは早速リョーマを
「リョーマ、フィーナさんは俺達を信じてくれているんだ。命の恩人が俺達を頼ってくれてるんだぜ。だから、ここは二つ返事で『はい喜んで』だろ。」
ソーマは両手を地面につけ、指はアーチを描くようにし、後脚の膝は地面につけ、前脚の膝は立てた状態にした。そして、体重は前方にかけ、重心を低く保ち、視線は前方のリスオオカミの大群に向け、頭は背中とほぼ同じ高さに保ち、完璧なクラウチングスタートの構えを取る。
「やれやれ、こうなったソーマは誰にも止められないからなぁ。よしっ、オンユアマークス...」
「セット」
ヒュッ、バーン
後方にいた、フィーナが矢を放ち、リスオオカミを貫いた矢が木に命中した音を合図に彼らは群れに向かって走り出した。
「うぉぉぉぉ」
「ちょっと、動きずらいが、雑魚を蹴散らすには十分だ。」
ガッ
リスオオカミの牙とも肉片とも違う何かが
「ん?」
二人は振り返るとそこには先ほどリスオオカミの餌食になっていた男の人骨が、彼らの後ろから抱き着いていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
「あわわわわわわ、ひ、人の骨!」
キキキキキキキキ
その隙を野生で生きる奴らは見逃すはずもなく、群れの全員が
「しまった!」
リスオオカミに埋め尽くされた
「マズイ、一匹の重さはどうってことなくても、ここまでの数にのしかかられたら、いくらこの
リョーマの冷静な分析が彼の冷静さを欠かせた。
「落ち着け、リョーマ。」
ソーマは体の力を抜き、大きく深呼吸をしていた。
「何か策でもあるのか?」
リョーマの声が彼の
「まぁまぁ、そう焦るな。」
すぅっ
ソーマは
「なっ、何だ?」
リョーマは息をのむ、まさか、勢いよく吐いた空気を
「フィーナさーん、どうすればいいですかぁぁぁぁぁぁ」
ソーマの情けない叫びは森中をこだました。
キキキキキキ
リスオオカミの大群は言葉の意味までは分からないまでも、彼の声から感じられる頼りなさに、腹を抱えて嘲笑していた。
「
フィーナは叫んだ。
『
ソーマは先ほどとは別人かと疑ってしまうほど、真っすぐ言い放つ。
パシッ、シュー
ソーマの声に反応し、ソーマの関節可動部から煙が噴き出し、刹那...
ボンッ
ポン菓子が弾けるような、大きな音を出し
うぎぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ
リスオオカミの群れは一匹残らず、射出された鎧のパーツによって弾き出され、ただ肉の塊になり下がった。
ガシャガシャガシャガシャ
飛んでいったパーツ一つ一つが浮遊しながら元通りに戻り、
「すごぉ、僕達、こんなこともできるんですね。フィーナさん!」
リョーマはフィーナに駆け寄った。
「そ、そうね、まさか、ここまで強烈な攻撃だと思ってなかったけど、ほら、見て」
フィーナが指さした方向をリョーマは目で追う。
「あれは球?」
暗がりの中、地面に落ちた何かを見る。
「これはリスオオカミの巣よ。多分、さっきの攻撃で落ちてきたんでしょうね。」
フィーナは先の攻撃で破壊された巣をその辺に落ちていた木の枝でつついた。
「ギャー」
ソーマの情けない叫び声がまた森に響く。
「えっ、大丈夫?」
リョーマが駆け寄り、ソーマの腕をつかむ。
「あっ、ちょっと、そこは痛い、いてっ、イテテテ」
三段活用で痛がりながら、ソーマは全身を痙攣させた。
「鎧が勢いよく射出したから、その反動でソーマの筋肉に過剰な負荷が加わった感じかしら。」
フィーナは痛がるソーマをつつきながら、メモを取り、分析した。
「ちょっと、フィーナさん!何してんすか、メモる前に早く助けて、って、イタタタタタ」
ソーマは痛みでほとんど動かない体を揺らしながら、必死に訴える。
「でも、ここでいつまでも倒れこんでてもいけないからさ。とりあえず、フィーナさんの家まで行こう。」
グイッ
リョーマはソーマの体を無理やり起こす。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ」
今日森に放たれた、どんな叫び声よりも大きな声を上げ、ソーマは気絶した。