そうま転生~錚々たる早々無双の装魔による壮大な一掃と奔走~ 作:Curry&Rice
「お主が我の体に転生した人間かね?」
闇に包まれた空間で、ソーマの後ろから誰かが尋ねる。
「誰だ?」
ソーマが振り返った先にはゆらゆらと人魂が揺らめいていた。
「我は、お主が転生した肉体の元の持ち主だ。」
魂は形を変え、今のソーマの肉体と同じ形に変化した。
「っで、ここは何処だ、何が目的なんだ?そもそも......」
矢継ぎ早に質問を投げかけようとするソーマを元の肉体の持ち主は制止する。
「質問は一つに絞るべきだ。今の我がこうやって話せる時間も長くない。」
元の肉体の持ち主は魂で形作った時計を見て、焦りを見せる。
「じゃぁ、聞こう。あんたの目的はなんだ?わざわざ、俺をこんな風に呼び出すってことは、何か俺に言いたいことが有るんだろ?」
魂はその質問に形作った肉体をひゅうひゅうと音を立たせて揺れる。
「そう来ると思っていたよ。では、質問に答えよう。我の目的は新たな我の肉体の主であるお主にあることを頼むことだ。」
「あること?」
「そうだ。お主には王都に行ってもらいたい。何をするべきかは、行けばわかるだろう。」
ソーマの今の肉体の元の持ち主の魂が塵となり消えようとしていた。
「ちょっと待てよ。それだけか?本当にそれだけでいいのか?」
ソーマは彼を掴もうとするが、すり抜けてしまう。
「そうだのぉ?」
魂は考える素振りを見せた。
「最後に一つだけ、ヒントをやろう。」
消えかけの魂が怪しげに光る。
「フィーナ殿の仇である
そう言うと、魂は塵と化し消え去ってしまった。
チュンチュン
「ハッ」
小鳥のさえずりに促されるようにして、ベッドで寝ていたソーマはナメクジの欠伸にも劣るほどの速度で、ゆっくりと瞼を開ける。
「あれは何だったんだ?それに、ここは...?」
ソーマが辺りを見渡すと部屋中に魔法陣がぺたぺたと隙間なく張り付けられており、朝日が部屋中を明るく照らしているというのに不気味な様相を呈していた。
コンコン
「ねぇ、ソーマ、起きてる?」
ガチャ
ドアを開けエプロン姿のフィーナが部屋に入ってきた。
「フィーナさん!」
ソーマは勢いよく起き上がり、掛け布団を吹き飛ばした。
「その様子だと、もう筋肉痛は治ったみたいね。」
フィーナはそっと胸をなでおろす。
「今、リョーマが奥の部屋で朝ごはんの支度の手伝いしてるから、行ってあげて。私はしばらくこの部屋の片づけをしておくから。」
「わかった!」
ソーマは勢いよく部屋を飛び出し、奥の部屋に突入する。
「あっ、ソーマ、やっと起きたのか、心配したんだよ!」
クマ柄のエプロンを着たリョーマが机にテーブルクロスを敷きながら、ソーマを見た。
「えっ、俺そんなに寝てたか?」
「丸々三日は寝てたよ。」
「そんなに!」
ソーマは目玉が飛び出る勢いで驚愕した。
「いやぁ、済まねぇな。」
「お礼なら、フィーナさんに言ってよ。あの人、ソーマを付きっきりで看てたんだからさ。」
リョーマは慣れた手つきで三人分の皿やスプーンを奥のキッチンから運ぶ。
ガラガラ
下の階からの物音がソーマの耳に入った。
(フィーナさんは俺の寝ていた寝室で片づけをしている。リョーマはここに居る。ってことは、下の階にいる人間はもしかして......。)
「リョーマ!俺ちょっと、下の階の様子を見に行ってくる。」
「あっ、ちょっと、そこには......」
リョーマの制止を振り切り、ソーマは部屋を後にした。
ドタドタドタドタ
ソーマは階段を駆け下りた。
「おい、そこにいるのはわかってんだぞ。さっさと姿を現せ、このコソ泥。」
ソーマが大声を張り上げると、獅子の如き威圧感を放つ、隻腕の大男がゆっくりと物陰から姿を現した。