超かぐや姫!トロフィー『反逆の星獣』取得RTA 作:くりぢゅん
ちょっと私のRTAは独自性が強いので、なんか違うと思われるかも。彼自身の人間性も表現したいんですよね。一応閲覧注意やな(グロではない)
>あなたの鮮血が体を伝う。
……フ、フフフ……。
>痛みに顔が歪み、目の前がおぼろげになってきた。
……よくも、よくもやってくれましたねぇ! 痛いですねこれは痛い(歓喜)
「モク! モク、血が! いっぱい血が出てるよぉ! 死んじゃう! 死んじゃうよぉ!」
>ウミウシ(かぐや)はあなたの足元でパニックを起こし、泣き叫んでいる。
>弓を放った縄文人たちも、腹に矢を受けて血を流しながらも『無表情で立ち尽くす』あなたを見て、明らかな恐怖を抱き後ずさっている。
いやー、かぐやちゃん泣いてますね。かわいい。
彼らからすれば、急所に矢が深々と刺さって血だるまになっているのに、悲鳴一つ上げずにスッと真顔に戻る不審者です。そりゃドン引きして後ずさりますよね。
さて、なぜここでわざと矢を受けたのか。それはこの後の展開に向けた『セットアップ』です。
今作の隠しスキルである『
それは、『自分以外のNPCを対象とした攻撃の当たり判定に、自ら侵入して
さらに、この獲得経験値には『被弾時の自身の現在HP割合』によって極端な乗算補正がかかる仕様なんです。HP100%でかばってもスズメの涙ですが、HP10%未満の赤ゲージ状態(瀕死)でかばうと、獲得量がなんと通常の約3倍に跳ね上がります。
つまり、これからNPCたちをかばって熟練度を荒稼ぎするために、まずは『自分のHPをあらかじめ削っておく』必要があったわけです。
見てくださいこのHPゲージ。紙装甲の
さて、ホモ君が無表情で突っ立っているせいで、縄文人のNPCたちが完全にビビって逃げ出しそうになっていますね。
逃げられると集落へ案内してもらうフラグが折れて大幅なタイムロスになるので、ここで足止めします。
>あなたは懐からキセルを取り出し、ゆっくりと紫色の煙を吐き出した。
>『
>吐き出された煙が瞬く間に膨張し、逃げようとする縄文人たちの目の前に巨大な壁となって立ち塞がる!
「ええっ!? なにこれ、モクの!?」
>かぐやが目を丸くして驚きの声を上げる。
>意思を持つようにうごめく紫色の煙に、彼女は信じられないものを見る目を向けている。
「ひっ……!?」
「―――ッ!!」
>進路を塞ぐ異常な煙の壁に、縄文人たちは腰を抜かしてその場にへたり込んだ。
>腹に深々と矢が刺さり、血まみれであるにも関わらず平然と立ち尽くす男。
>そして、意思を持つように煙を操るその異常な姿。
>彼らは武器を捨て、あなたの前にひれ伏した。
「―――!! ――――!!」
>縄文人たちは地面に額をこすりつけ、必死に何かを叫んでいる。
>あなたはかぐやに、彼らが何と言っているのか通訳を頼んだ。
「え、えっとね、『神の使いである貴方様を攻撃してしまい、誠に申し訳ございませんでした。どうかお許しください』だって!」
>彼らはあなたを『神の使い』だと完全に勘違いし、地面に額をこすりつけている。
おっ、フラグ進みましたね。ラッキー。本来ならここで彼らの狩りを手伝ったりして好感度を少しずつ稼ぎ、何日もかけて集落への入場許可をもらうんですが、無表情での被弾と魔術による威圧のコンボで『
さて、それではさっそく集落へ案内してもらおうか、へへっ...!
>グラリ、と視界が大きく揺れた。
えっ?
>急激な失血により肉体が限界を迎えた。
>あなたはそのまま、冷たい土の上へと倒れ伏した。
「モク!? モクゥゥゥ!!」
ウェ??((;^ω^))
>かぐやの悲痛な悲鳴が遠ざかっていく。
>あなたの意識は深い闇の中へと沈んでいった。
『>Now Loading...』
あっーーー!! これはまずいやつですよ!!
OMG!完全にやらかしました! このゲーム、ハードコアモード特有の隠し仕様として『現在HPが5%を下回った状態で一定時間経過すると、失血ショックで強制気絶する確率が高まる』というギミックがあるのを完全に忘れていました! 低HPチキンレースに慣れていなかったのが仇になったZE★
画面が真っ暗になり、ロード画面に切り替わりました。右下で白いウサギのアイコンが跳ねてますカワイイ。ではなく...っ
うわあああどうしましょう! このままだと放置されてしまう!ホモ君~っ!死んじゃいやーっ!!(涙)せっかく神の使いフラグ立てたのに!
そうなればRTAのチャートそのものが崩壊します。リセか!? いや、まだだ、まだ可能性は生きてるはず……! 頼む、放置だけは勘弁してくれ! と祈るようにロード画面を見つめること十数秒。
『>Now Loading... 完了』
>…………。
>……。
>ゆっくりと、あなたの意識が浮上する。
>土と、燃える薪の匂いがする。
! 画面の視界がじわじわと開けていきます。助かった、のか?
見えたのは、見慣れぬ木組みと藁でできた天井。どうやらどこかの屋内のようです。そして、視界の端で、白くてふわふわした何かが張り付いているのが見えました。
「……モク? モク、わかる……?」
そこには、ぐしゃぐしゃに泣き腫らして涙目になったウミウシちゃんがいました。かぐやたん...!
>かぐやはあなたの顔を覗き込み、震える声で呼びかけている。
>あなたはゆっくりと体を起こした。
>腹部の傷には、薬草のようなものがすり込まれ、布で固く縛られて止血されている。
>どうやらここは、縄文人たちの集落にある住居のようだ。
えっ? ちょっと待ってください。ちゃんと集落の住居オブジェクトの中に入ってますよこれ! なんで!?
>目を覚ましたあなたを見て、かぐやは大粒の涙をポロポロとこぼした。
「よかったぁぁぁぁ……っ!!」
>かぐやはあなたの胸元に飛び込み、すがりつくように泣きじゃくっている。
……えーと、これどういう状況ですか? ふむふむ。なるへそ。周囲の状況とシステムログを確認して、驚愕の事実が判明しました。
どうやら気絶して倒れた後、見限って立ち去ろうとした縄文人たちに対し、かぐやが必死に立ちはだかったらしいのです。
ウミウシの体で彼らの足元に突撃し、謎の言葉で喚き散らし、「神の使い様を見捨てたらタダじゃおかないぞ!」とでも言うような気迫で働きかけてくれた結果、縄文人たちは恐れをなして俺をここまで丁重に運び、治療まで施してくれたと。
ナ イ ス ! !
これは叫びたい! いや叫びました! えらい! かぐやちゃんマジでえらい!! 最高のヒロインですねこの娘!!
まさか同行者枠のキャラクターが、自力でシステム側のフラグ折れをカバーして進行ルートを修復してくれるなんて! 神ゲーかよこのゲーム!! いやあ、危ないところでした。かぐやのファインプレーのおかげで、集落に入る入場イベントを丸々スキップして内部に入れました。結果的に大幅なタイム短縮です。美味しいですね。
かぐやが、ホモ君の胸に顔を押し付けたまま震えてますね。君は優しすぎるよ...
「モクが、急に倒れちゃうから……っ。血、いっぱい出てて……動かなくなって……っ」
>かぐやの体は、小刻みに震え続けている。
「かぐや、また……また、誰もいない海で、一人ぼっちになるのかと思って……っ!」
「怖かった……! 怖かった、よぉ……っ!」
…………。悲痛な響きに、思わずRTA走者としての実況が止まりました。
そうだ。彼女は月から逃げてきて、頼る者もいない8000年前の地球に不時着した。永遠にも等しい時間の中、たった一人で、絶望し、誰かが現れるのを待ち続けていたんだ。そこでようやく出会えた「言葉の通じる人間」である俺が、目の前で血を流して死にかけた。彼女にとって、それがどれほどの恐怖だったか。
...これからは私が守るよ☆だから結婚しよう! あダメですか。そうですね。
>あなたはそっと手を伸ばし、泣きじゃくるかぐやを撫でた。
タイム短縮だなんだと浮かれていましたが、あんなに天真爛漫だった彼女にこんな声を出させてしまったことには、さすがに走者としての良心が少しだけ痛みます。
「もう、絶対に置いていかないでね……っ。約束、だからね……っ!」
>かぐやはあなたの服を強く握りしめ、顔をうずめたまま何度も頷いた。
はい。というわけで、予期せぬガバ……もといアクシデントはありましたが、かぐやの頑張りによって無事に『集落での拠点確保』のフラグが完了しました。
外の様子を見ると、縄文人たちが恐る恐るこちらの住居の様子を伺っています。どうやら俺たちは、完全に「奇跡を起こすウミウシの神様と、その言葉を通訳する神官」として集落に定着したようです。
……というわけで、無事に集落のトップに君臨しました。はい、ここからはRTA走者のお待ちかね、『NPCの強制労働ファーム』のお時間です。
神の使いというフラグを最大限に利用して、縄文人たちには日課(デイリークエスト)をこなしてもらいます。集めさせるのは、ただの石や木ではありません。
『
ただこのアイテム、ドロップ率が0.01%未満の超極悪仕様なんです。どうやら宇宙船の影響範囲が極端に狭いらしく、ただの石ころの山から当たりを引くのは至難の業。走者が一人で探していたら何年かかるか分かったものではありません。
ですが、これからのチャートを安全に進めるためには、ここで最低でも数個は集めておく必要があります。後で絶対に必要になる必須触媒だからです。なので、神の権威を振りかざして集落の人間たちには死ぬ気で掘らせます。ブラック企業も真っ青のやりがい搾取ですね。
「ミコト、すっごーい! なんだかわかんないけど、みんなキラキラの石をいっぱい持ってきてくれるよ!」
>ウミウシの神(かぐや)が、積み上げられた石の山を見て嬉しそうに跳ねている。
はい、かぐやちゃんは無邪気に喜んでますね。かわいい。俺が彼らを酷使していることには微塵も気づいていません。
さて、彼らに素材を掘らせている数十年の間、私自身にもやることがあります。
まずはかぐやの『孤独デバフ』対策と、好感度ゲージ稼ぎです。この時代にはネットもスマホもないので、放置しているとかぐやのストレス値がマッハで溜まり、最悪の場合精神崩壊してゲームオーバーになります。
普通ならこういう同行者NPCには「美味しいご飯や甘いお菓子をあげる」のが好感度上げの鉄板なんですが、かぐやにはそれが通用しません。
なぜなら、今彼女が入っているウミウシの体には『味覚』がないからです。いくら美味い肉を焼いて食べさせても、ただのデータを咀嚼しているのと同じ。これ、原作の仕様を忠実に再現していてエモいんですが、RTA走者からすると好感度上げの手段が一つ潰されているので結構厄介な仕様なんですよね。
「ねえねえモク! なにしてるの?」
>かぐやがウミウシの体を這わせて、あなたの手元を覗き込んでくる。
なので、俺は木の枝を削って
味覚がないなら、視覚と触覚、そして『一緒に遊ぶ時間』で好感度とストレス値を管理するしかありません。徹底的に接待プレイをしてご機嫌をとります。
「わぁっ! なにこれ、かわいいっ! モクが作ってくれたの!?」
>かぐやはあなたが作った麻のリボンを頭に乗せ、嬉しそうに飛び跳ねている。
おや、喜んでますね。ですが、俺の真の目的はプレゼントだけではありません。かぐやの遊び道具や服をクラフトしまくることで、『
そうして縄文人たちに石を集めさせ、かぐやの遊び相手をしてスキルを上げる……という地味すぎる作業が延々と続くので、
――はい。というわけで、ゲーム内時間で数十年ほど時を進めたところで、ついにシステムから通知が入りました。
『>かぐやの好感度が一定値に達しました』
『>同行者枠の隠し条件をクリアしました』
『>称号【
『>ステータス:【不老】が解放されました』
はい、来ました。これこそが縄文時代で数十年間粘る最大の理由です。
かぐやと一定期間行動を共にし、好感度をカンストさせることで得られる隠し称号『
この称号をセットすることで寿命死のフラグがへし折れ、不老状態になります。ただし、物理ダメージを受けたり病気の判定を引いたりすると普通にHPが減って死ぬので『不死』じゃないです。ここテストに出ますよ。
さて、不老のセットアップと『星落の欠片』の収集、さらには生産スキルのMAX化まで終わりました。これでのちの時代で戦うための準備が完全に整いました。
しばらくはこの調子で、縄文人たちを酷使しながら素材集めとスキル上げの作業を続けていきまーす。というわけで、縄文時代(チュートリアル)での必須タスクはこれにて完了です。今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。