転生したら竜だったので、折角なら竜種目指して頑張ります。 作:遊燐千
「……全然見つからねぇんだけど!!?」
魔物を探し始めて約1日が経とうとしていた 。あまりにも魔物が見つからず、乾いた叫びが洞窟に響いた。
『——伝。魔物は竜である主を恐れ、身を潜めている可能性があります』
「あー……」
ぎゃり、と頬をかく。
「そういや俺、竜だったな。そりゃ逃げるわ」
強いのはいい。だが——
「飯が見つからねぇのは困るんだよな……」
腹の奥が、ぐぅと鳴った。
もう4日間も水しか飲めていない …… 、何気に生命の危機なので流石に焦る 。
『伝。
「……え? 魔力感知?」
『
「いやいやいや! そういうことじゃなくて!!」
『…… ?』
「俺って……魔力感知持ってたの?」
『是、転生した際に獲得しています』
「それを先に言えぇぇぇ!!!」
ツッコミが独り、何度も洞窟内を反響する。だってさぁ ! そ〜んな便利なスキルを持ってるならさ〜 ! 探す前から言って欲しかったよね〜!! なんて、伝達者に文句をたれては、軽く咳払いしてとりあえず気を取り直す。
「……とりあえず、魔力感知を使う。……それと、 後で今持ってるスキルを教えてくれ……」
『——了解。発動します』
魔力感知が発動され、薄暗い灰色でしか無かった世界が、色鮮やかな塗り替えられた。
ぼやけていた空間が、明確な輪郭を持ち鮮明で見やすくなる。
「……おぉ …… すげぇ……魔力感知ってこんな感覚なのか……」
自分の視野の範疇はもちろんのこと、死角である背後までもが、まるで空間全体を俯瞰して見ている差いるような奇妙な感覚。
すると、背後の岩の裏に1匹の魔物らしき気配を感じた。
どうやら伝達者を気がついたようで ───
『——伝。種族名エビルムカデが、後方の岩場に潜伏しています』
「ああ、わかってる」
ほんのちょっぴりだけカッコつけて、ゆっくりその方向へ振り返ってみる。
「にしても……エビルムカデかぁ……」
ちょっぴりテンションが落ちる。
だってえビルムカデってあれだろ ? あの赤くてでかいムカデのことだろ?
「虫は苦手なんだよなぁ……」
竜の俺が言うのも何なんだが……、あの悍ましい姿を想像しただけで鳥肌が立つ。
でも…… 。
ぐぅぅぅぅぅ …… 。
「……背に腹は変えらんねぇかぁ …… 」
あのデカキショいムカデを打ち倒し、有り難〜く食す覚悟を決め、エビルムカデの待ち構える岩へ踏み込むと青い鱗を纏った腕を振り上げエビルムカデの居る岩を鉤爪で抉る。
——ガガガガッ!!
砕けた岩が飛び散り、灰色の粉塵が舞う。
その奥から——カサカサカサ……!
耳にまとわりつくような、不快な音。
そして現れたのは——
体長10メートルは有るであろう巨大なムカデ。エビルムカデだ。
「ぎゃああああああ!! でか過ぎるだろ!? 無理無理無理!! 想像の10倍はデカい!!」
人間サイズを遥かに超える巨体。それは分かっていたが…… 竜である自分よりも更に大きいとは思っておらず虫への拒否反応が…… 。
流石百に足と書いてムカデと読むだけはある、あの無数の脚が蠢きカサカサと不快な音をたて…… 恐怖心を逆撫でてくる 。
「くっそ …… だか好き嫌い言ってられる場合じゃねぇからな …… !!」
エビルムカデは何やら、上体を起こせば何かを準備し始めており ────
『——伝。対象がスキル〈麻痺吐息〉を発動準備中』
「やめろバカァァァ!!!」
麻痺吐息。その効果は確か文字通りの麻痺。しかも大鬼まで眠らせるほど強力ときた …… そんなの当たれるはずがなく …… 。
伝達者からの報告と同時に反射的に踏み込み、竜の拳を振り抜いた。
——ドゴォッ!!
鈍い破砕音と共に拳がえビルムカデの硬い頭部を砕き、そのまま壁へと叩きつける。
「……え?」
『——伝。対象の生体反応、消失』
感覚でいえばあれだ、蚊がウザイので手で払って散らそうとしたようなあれだ 。
まさかそれで、倒せるとは思わず困惑を浮かべてしまう。
「……倒した?」
あまりにもあっけない。
「……もしかして俺って——結構強い?」
『是、転生して直ぐにしては強いと思われます。竜ですので』
「…… たしかに、竜って時点で弱いわけねぇもんなぁ 」
うんうんと首を振りながら腕を組む。
「……まぁいい!!」
「やったぁぁぁ!! 初討伐だぁぁぁ!!」
なんて一気にテンションが跳ね上がって、その場でじゃーんぶ 。
だが、目の前に倒れる……初討伐そして初食料である巨大ムカデの亡骸によってすぐに現実に引き戻される。
「……食いたくねぇ …… 」
『
「……んぇ? 大食い? それ使ったらなんか捕食者みたいな感じで行ける系?」
『否、
「……ん ~ ……捕食者と何が違うんだ?」
『捕食者は捕食した対象のスキルを取得することが可能ですが、大食いでは対象の持つスキルの獲得ができません』
「つまり——」
視線が、亡骸へ向く。
「……スキル取得のない捕食者ってわけか!」
『——是。その通りです』
「…… それでも中々にチートだな …… …… 、だって食えば食うほど強くなるんだろ?」
『対象の魔素量に比例し、強化が施されます。そして、強化の結果 耐性や特攻等を獲得する場合もあります』
「って……思ったよりもかなりチートじゃねぇか!」
『強くなりたくば喰らえッッッッッ !! という訳ですね……』
「どっかの地上最強みたいなこと言いやがったよ …… 。 って 、絶対自我あるじゃん ! 」
『伝。
「話を逸らしやがった ……。 つまるところ 結局あれをバリボリ食わねぇとダメってことだろ ?」
さすがに一瞬だけ躊躇う。
…… って 俺何度躊躇ってんだ …… 。
俺は男……それも竜なんだ …… 1度覚悟を決めてなら貫かねぇとな!!
「おしっ! 生きるためには仕方ない!」
本日3度目の覚悟を決め、エビルムカデの亡骸を両手に持ち上げる。
べりっ …… と 外骨格を剥がすと中から現れたのは、意外にも白く引き締まったカニや海老といった甲殻類に近い肉だった。
「……いけるか?」
恐る恐る、かぶりつく。
「ん゛っ!!!!」
ぶつり、と肉を噛みちぎり口内で咀嚼する。
「……あれ?」
噛めば、じわりと旨味が広がる。
ほんのり苦味はあるが、
それ以上に、濃厚なコク。
「思ったよりもうまいぞこれ!」
気づけば、手は止まらなかった。
バリ、ボリ、ゴリッ——
「……うん、慣れてきたかもしれん」
最初の嫌悪感は、もうほとんどない。
むしろ——
「まじ無限に食えるわこれぇ ~ !」
食欲が勝っていた。さすが三大欲求と言ったところだ。
エビルムカデの肉を夢中で食べ進め——
気づけば、あの巨大なムカデは跡形もなく姿を消していた。
「ふぅ ~ 食った食ったぁ ~ 」
『——伝。特殊能力〈大食い〉の効果により、対象の魔素を完全に吸収しました。強化が開始されます』
「お、来た来た!!」
『強化の結果。〈虫特攻〉を獲得しました』
「おぉ!?って特攻?」
体の奥の何かがじわりと変化し、何かが体内に“組み込まれる”ような感覚。
『その名の通りです。虫特攻ならば、虫への物理攻撃が情します。』
「これが……強化ってやつか……」
強くなった というのが実感として湧き思わず笑みがこぼれる。
「あ、そうだ。俺のスキルってどんな感じ?」
『伝、個体名水竜のスキルを整理します』
《耐性》
物理攻撃耐性
自然影響耐性
水攻撃耐性
熱変動耐性
《特攻》
虫特攻 NEW
《共通能力》
水流移動
水刃
水槍
水圧推進
貯水 NEW
身体装甲
《特別能力》
魔力感知
水源
竜炎
《特殊能力》
伝達者
大食い
切望者
竜之者
『以上が個体名水竜の保有する耐性及びスキルになります』
なんか転生したてにしては所持スキル多くね !? って ユニーク4つ持ってんの俺 !? 普通ひとつとかじゃなかったっけぇ …… ? 転生者特典ってやつか?
『——伝。特殊能力〈大食い〉の強化により
「マジで!? 試す!」
目を瞑り集中する——
すると、さっきよりも地下深く、更に遠くまで。くっきりとした気配がを感じ取れた。
「……いるな」
『伝、複数の魔物が周囲に確認されました』
「丁度いい……まとめて食らってやる!!」
1歩地面を踏み込む。
その瞬間、闇の奥から一斉に気配が弾けた。
ガサッ!!
ギチギチギチ……!!
「うおっ!?」
岩陰から飛び出してきたのは、
ムカデに似た魔物、避役のような魔物
巨大な蜘蛛の魔物など多種多様。
「ちょ、思ったより多いな!?」
『——伝。総数は12体』
「早速出番だな! 虫特攻!」
巨大な蜘蛛のような魔物が一体飛びかかってきたので、反射的に腕を振い——
——バキィッ!!
そのまま叩き潰す。
「っしゃ!!」
横から
「うおっ!?」
避けきれず、肩に衝撃。
「ぐっ……!」
初めて感じる、明確な“ダメージ”。だが、あまり竜の装甲を舐めないで欲しい。このぐらい唯のかすり傷だ。
避役の喉元を掴みあげると
「……お返しだこの野郎 !!」
すぐに踏み込み直し、 掴んだ避役を地面に叩きつける。
——ドゴンッ!!
さらにもう一体。あの大ムカデを蹴り飛ばし壁に衝突させる。
「ははっ……!」
連戦に息が荒くなる。
だが、それ以上に——
「なんだこれ、楽しくなってきたぞ……!」
自分でも驚くほど、体が軽い。
力が噛み合っている感覚を動く度に覚え……戦うことか心地よくなる。
「水刃 っ !!」
そして───
倒した魔物に、そのままかぶりつく。
「これも……いけるな!!」
肉を噛み千切り、咀嚼し飲み込む。
「水槍ッッ!!」
また魔物を倒す。
また食う。
繰り返すたびに——
体の奥が、熱を帯びていく。
『伝。魔素吸収を確認』
『能力値が増加しています』
「うっひょー! 成長をひしひしと感じるぜぇ……!」
止まらない。
いや、やめられなぁい♪とまらなぁい♪
「全部……食ってやるよ!!」
砕く。喰らう。叩き潰す。
動くたびに、力が増していくのが分かる。
「ははっ……最高じゃねぇか!!」
洞窟に笑い声が響く。
だが——
仮にもここは竜種が1匹…… 暴風竜が封印される洞窟。ここまで暴れてしまえば ……何かの逆鱗に触れる事は容易に想像が着くだろう。
『——警告、魔物反応を確認。種族は未特定』
「ん?」
その一言が発せられるよりも前に、魔力感知に今までの魔物達とはあまりにも異質が過ぎる 気配を感じた。
「……なんだこれ」
魔力感知が捉えた魔素、それはたった一つの反応。それだけで、周囲の魔物の気配が“消えた”。正しくいえば、そのたった一つの魔素があまりにも大きくほかの魔物の存在感をかき消したのだ。
「おい……」
『——伝。高密度魔素反応を確認。暴風竜ヴェルドラの溢れ出る魔素の集合体だと推測』
「……は?」
暴風竜ヴェルドラから溢れ出る魔素の集合体 ? …… 考えなくたって容易に理解できる ……だって あの竜種の膨大がすぎる魔素の集合体であるのだから 。
「伝達者 …… ! 撤退だ ! 逃げる ッ !」
ゾワッ——
虫が背筋を這い登ったような感覚。
本能が、叫ぶ。
——やばい。
反射的に振り向いてしまう。
だが、そこには何もいない。
「ちっ …… 」
一歩、後ずさったその時だった。
——ポタッ。
何か液体のようなものがが、頭に落ちた。
「……?」
ゆっくりと手で触れる。
ぬるりとした感触。
視線を落とす。
指先に付いていたのは——
黒い液体。
「……なんだこれ」
その直後。
ギチ……
真上から、音がした。
「……は?」
ゆっくりと、顔を上げる。
そこにいたのは——
岩壁に張り付きながら、
“逆さ”でこちらを見下ろす、
異形の影。
今までの魔物とは、明らかに違う。
まるで魚のようにギョロついた目が合った瞬間——
『——緊急警告』
伝達者の声に“焦り”が帯びる。
『右へ即座に回避を推奨。即時離脱を——』
【ステータス】
名前:???
性別:?
種族:水竜
各種スキル:
《コモンスキル》
〈水刃〉
〈水槍〉
〈水流移動〉
〈水圧推進〉
〈身体装甲〉
〈身体強化〉
《エクストラスキル》
〈魔力感知〉
〈水源〉
〈竜炎〉
《ユニークスキル》
〈伝達者〉
〈大食い〉
〈竜之者〉
〈切望者〉
各特攻
〈虫特攻〉NEW
各耐性:
〈物理攻撃耐性〉
〈自然影響耐性〉
〈水攻撃耐性〉
〈熱変動耐性〉
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はぁい!
ぬしことゆうりんちー です ~ 。
いやぁ ~ 完全に自分の書きたいように欲求のままに書いていたら思っていたよりも見てくれる人がいて嬉しいもんですなぁ !!
ということで ~ !
次回は 、ようやくあいつが出るかも … ?
ゴールデンウィーク中なので今回よりは早く出せるはずなので… 次回もお楽しみに ~
!!!
あ、お気に入りとかぁ ~ 、感想とかぁ ~ …
してくれるとぉ ~ 、モチベ爆上がりするのでお願いしまぁす !!!!!!!!
いじょう!!
ゆうりんちーでした !!!