転生したら竜だったので、折角なら竜種目指して頑張ります。   作:遊燐千

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第7話 竜らしさってなんすか?

 

 

 

 

 

 目を開ければ辺り1面に広大な草原と快晴の青空が広がる。そして、俺の目の前には青い髪を靡かせる角付きの女性が俺の胸ぐら? を掴んでいた。

 

 

 

「…… は?」

 

 

 

 あ、ありのまま。今起こったことを話すぜ。

 俺はさっきまで暴風竜の魔素(ヴェルマナ)と戦っていたと思ったら、気がつけばこの白くぼやけたような空間にいた。

 何を言ってるのか分からねぇと思うが、俺も何が起こったのか分からなかった。

 頭がどうにかなりそうだった。

 走馬灯だとか幻覚だとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。

 もっと意味不明なものの片鱗を味わったぜ …… …… 。

 

 

 

「あ、あの~、 ここはど ──―」

 

 

 

『 竜なら…… 』

 

 

 

『竜ならあの程度避けんな!!』

 

 

 ぐわんぐわん、と身体を揺すられる。

 彼女の力が強く、ジェットコースターの上下を繰り返しているかの様な感覚に、ちょっと脳が震えるぅ ……。

 

 

 

「ちょ…… そろそろやめっ、ガチでどっかのペテ公になるっ …… 」

 

 

『ったく …… 度胸もなけりゃひ弱じゃねぇか』

 

 

 

 パッと、手を離されてその場に臀を着く。

 

 

 

『…… はぁ、なんでこんな奴がアタシを持ってんだか …… 』

 

 

「…… 持ってる ?」

 

 

『んだよ、気づいてねぇのか?』

 

 

「…… ?」

 

 

『アタシは竜之者(ツヨキモノ)。つまりは、なんだ。アタシはお前のスキルのひとつって訳だ』

 

 

「…… まじ?」

 

 

 なんで伝達者じゃないスキルが人型でしかも俺とめっちゃ話せるんだ? 

 

 

『言っとくが、このままだと死ぬぜ? お前』

 

 

『だいたい、戦り方がなっちゃいねぇ。せっかくの持ち味ってのを全く活かせてねぇんだよ』

 

『尻尾を使わねぇ、角を使わねぇ、爪を使わねぇ、牙を使わねぇ、炎を使わねぇ』

 

『殴る蹴るをしてぇなら、もっと力を込めろ。あんなへなちょこじゃ暴風竜之魔素(アイツ)は倒せねぇよ』

 

『お前は竜だ。転生してようがなんだろうがお前は竜。それをもっと自覚して肉体に魂を追いつかせろ…… でなきゃアタシは使えねぇし、使わせねぇ』

 

 

 え? じゃあこのまま死ぬしかないってこと? 流石にはやすぎない? まだ転生して1週間ぐらいしか経ってないよ? リムル達とも会えてないんですけど? 

 

 

『…… っと 言いたい所だが』

 

 

『戦ってる最中に此処に呼び出しちまった詫びに、ほんの少しだけ使わせてやる』

 

 

「まじか!?」

 

 

『この戦いで晴れて竜になれりゃ、もうちっと使わせてやるよ』

 

 

『んじゃ、またな』

 

 

「えっ …… ちょっ!? まだ聞きt ── 」

 

 

 

 パチン ッ と、竜之者が指を鳴らした瞬間 。 どこか分からぬ謎空間から、見慣れた岩肌へと移り変った。

 

 

 

「たいことが沢山…… 、あったってのに …… 」

 

 

 

 なんて言ってる場合じゃねぇな。

 

 

 

『伝。条件を確認。特殊能力(ユニークスキル)竜之者(ツヨキモノ)〉を発動します』

 

 

 

 頭の中で伝達者の声が響く。

 

 竜之者が発動され、五体に魔素とは違う力が溢れてくるのを感じた 。

 

 

 

「おぉ …… 」

 

 

 

 そして、なんだか頭が切り替わったような、入れ替わったような…… そんな意識の転換の感覚と同時に、何とも言えぬ充足感に包まれる。

 

 

 

「……はっ 、 」

 

 

 

 絶体絶命の危機であるにも関わらず頬を緩ませ、好戦的な笑みに口を釣り上げた。

 

 

 

「力が湧いてきたぁ!!!」

 

 

 

 眼前に迫り来る暴風竜之魔素(ヴァルマナ)に対し、跳び上がった力を使い空中で身体を捻り、回転させてか踵をその半壊しかけの顔面に叩き込む。

 

 

 

どッッッッッッ !!!!!! 

 

 

 

 暴風竜之魔素(ヴェルマナ)に衝突すると同時に、お互いが弾き飛ばされ岩肌へと激突した。

 

 

 

ドゴッッッッッッ!!!!!! 

 

 

 

「 っは …… !」

 

 

 背中から背骨へ、そして肺へと衝撃が伝わり空気が抜ける。 それに対して暴風竜之魔素(ヴェルマナ)は半壊しかけの顔面が崩壊を見せ始め、同じく背後の岩肌にクレーターを作っている。

 

 

 

「…… いてて 、 まだダメか」

 

 

 

 岩肌から身体を引っこ抜き、再び地面へと立つ。

 

 

 

「にしても、魂を肉体に追いつかせるとかってど〜やんだ?」

 

 

 

 竜之者に言われたことを思い返す。

 

 

 

「もっと竜であることを自覚…… ねぇ」

 

 

 

 竜としての自覚…… 、竜とはなにか…… 。

 

 

 

「…… 考えてもわかんねぇもんはわかんねぇな」

 

 

 

 暴風竜之魔素(ヴェルマナ)から5本の黒い触手が伸び、アクラを狙って同時に振り抜かれる。

 

 

『伝。時間を稼ぎ体力を回復させるつもりの様です。触手を避けて接近するのが良いかと』

 

 

「いいや、1回正面突破してみるわ」

 

 

 竜としての自覚を持てと言われても、わかんねぇが …… ここで避けるなんて 竜之者(アイツ)の言う竜らしさに欠けてんのはわかるからな。

 

 

 拳を握り固め、地をけった。

 素早く伸び、向かってくる5つの触手に向かって固く握った拳を振り抜いた。

 

 

 

め゛ッき゛ゃぁ ゛ッ !!! 

 

 

 

 拳と触手が衝突し、拮抗することもなく触手が爆ぜるように辺りにちぎれ飛び…… 、その衝撃波に地が揺れる。

 

 

 

「…… こりゃいい」

 

 

 

 片方は痺れ、もう片方は感覚すら危うい両腕に力を込め…… ぐっぱぐっぱと動作を確認する。

 どうやら竜之者のお陰でこんな腕でも全力なんて軽く超えるパンチが打てる。

 

 

 

「しかも、パワーだけじゃなくて他も底上げされてんな 」

 

 

『是。全ステータスが著しく上昇しています。その倍率、約1.7倍』

 

 

「結構上がってんな ……?」

 

 

 

 沈んだ身体を揺らし、暴風竜之魔素(ヴェルマナ)はちぎれた触手で身体を持ち上げ、再び姿勢を低く構え、突進を準備する。

 

 

 

「っは …… 、今度は真正面から受けてやるよ」

 

 

 

 ドン ッ と足を地面に叩きつけると、両手を広げ…… まるでハグでも待っているかのように構えて。

 

 

 

「竜らしく…… な?」

 

 

 

 

ドッッッッッ ──― !!!!! 

 

 

 

 

 暴風竜之魔素(ヴェルマナ)が地を蹴った。

 

 

 

ガッッッッ ── !!!  

 

 

 

ズガガガガガガ ッッッッ !!!  

 

 

 

 暴風竜之魔素(ヴェルマナ)とアクラが衝突し、アクラは地面を多少抉ったのみで受け止めきった。

 

 

 

「はっ …… 、今度はちゃんと受け止めれたな」

 

 

 

 踏ん張り、五体に満ち満ちる ” 力 ” で暴風竜之魔素(ヴェルマナ)をアスファルトわ抉りとりながら、押し返してゆく。

 

 

 

 

「今度はこっちの番だ ッッッッ !!」

 

 

 

「おッッッッ ら゛ぁァ ッ !!!! 」

 

 

 

 

 数tは優に超えるであろう巨体を持ち上げ、地面へと向けて投げつける。

 

 

 

 

ドッッッッゴォッッッッ !!!!!  

 

 

 

 

 数秒後。土煙が晴れた先には、肉体は崩壊しつつあるものの、倒れることなく立ち続ける暴風竜之魔素(ヴェルマナ)が居た。

 

 

 

「だよな…… 」

 

 

「こんな呆気なく終わるわけねぇもんなぁ !! 」

 

 

 

 先に動いたのはヴェルマナだった。

 地面を砕き。

 まるで砲弾のような勢いで突進する。

 対するアクラは。

 まだ動く右腕を深く引き絞り。

 拳を握り締め。

 同じく地面を抉り上げながら──。

 真正面から迎え撃つ。

 

 

 

 ──4度目の激突。

 

 

 

 額と拳が、正面から衝突した。

 轟音。

 衝撃。

 互いを砕き、削り、壊し合う最後のぶつかり合い。

 一見、互角。

 だが。

 

 

 

「推しに会えずに死ぬなんて、死んでもごめんなんでねッッッッ !!」

 

 

 

 単純な力勝負となると、圧倒的にアクラの分が悪い。 だが、そこのある差を幾度も浴びせた攻撃と竜之者により縮め、この一撃でアクラは暴風竜之魔素(ヴェルマナ)を上回った。

 

 

 

 

 渾身の拳にヴェルマナの巨体は宙を舞い。

 そのまま、後方数メートルへと吹き飛ばされた。

 

 

 

ドッッッッゴォォォンッッッッ!!!! 

 

 

 

「 もう、再生する魔素も残ってねぇだろ …… 」

 

 

 

 力無く倒れている暴風竜之魔素(ヴェルマナ)は、まだ生きている。

 だが、魔素も尽き動くことはできないようだった。

 

 

 肉体の崩壊に再生能力もほぼ停止。

 漏れ出る魔素も、先程までとは比べ物にならないほど弱々しい。

 

 

 

「ありがとよ、お前のお陰で色々と成長できた」

 

 

 

「この勝負。俺の勝ちだ」

 

 

 

 全身から力が抜け、その場へ座り込む。

 身体中が痛い。

 いや、痛みを通り越して無になってきてる。

 

 右腕は骨がバキバキ、左腕はほぼ死んでて? 魔素はほぼ空っぽ。

 その他全身に複数骨折や怪我。

 

 よく生きてんな俺 ~ 。

 そんなことをぼんやり考えていると。

 

 

 

『否。まだ戦いは終わってません』

 

 

 

「え?」

 

 

 

 疲労で半分閉じていた目が開く。

 

 

 

『食べてください』

 

 

「あ……」

 

 

 

 伝達者の言葉を理解した瞬間、顔が引き攣った。

 視線が自然と暴風竜之魔素(ヴェルマナ)へ向く。

 

 

『食べてください』

 

 

「……まじかよ」

 

 

 

 げんなりと呟く。

 改めて見れば、デカいなんてもんじゃない。例えるなら、人間と象。

 

 いや、それ以上。

 

 洞窟を埋め尽くすほどの巨体を前にすると、“食う”という行為そのものに現実味が無い 。

 

 

 

「流石にデカすぎで無理だわ……」

 

 

 

 胃に入るとかそういう問題じゃない。

 どう考えても物理的に無理だ。

 

 

 

『伝。それでは、()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「核?」

 

 

 

『是。解析鑑定を行った際、それらしき高密度魔素結晶体を確認しました。あれが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「なるほどなぁ〜……」

 

 

 

 核だけを取り込めば、能力も魔素も効率よく吸収できるってわけか。

 

 

「……ん?」

 

 

 待てよ。

 

 

「……それ知ってたらさ」

 

 

『?』

 

 

「わざわざ“水蒸気爆発! ”とか、“殴り伏せる! ”とか……」

 

 

 ぴくり、と頬が引き攣る。

 

 

「危険な橋渡んなくて良かったくね?」

 

 

『……』

 

 

 珍しく、伝達者が沈黙した。

 その沈黙が逆に全てを物語っている。

 

 

「おい」

 

 

『核は胸部付近にあります』

 

 

「おいぃぃぃ〜!?!?!?」

 

 

 思わず絶叫が洞窟内へ響き渡る。

 

 

「先言えよそれぇぇぇ!!」

 

 

『伝。結果的に勝利したため問題ありません』

 

 

「問題大アリだわ!! 俺めちゃくちゃ死にかけたんだけど!?」

 

 

 

 

 *

 

 

 

 その後、核の存在を教えなかった理由を伝達者に聞いてみれば、『んな事教えたら竜になれねぇだろ。教えたらアタシは竜之者(アタシ)を使わせねぇ』と竜之者に言われて言うことが出来なかったとの事。

 

 

 

 あ ~ 、だから伝達者さんあんまり喋ってなかったのね ~ 。

 

 

 

 それと、『ちっとは竜らしい所を見せたから少しなら使われてもいいぞ…… ?』との事。

 

 

 ひょっとしてツンデレ……『やっぱ使わせねぇ』…… さーせん。

 

 

 

 

 

 

「はぁ ……、ってかなんで俺のスキルに首締められにゃいかんのだ ……」

 

 

 大きくため息を着きながら、手に持つ紫色の臓器のようなものに視線を向ける。

 そう、これこそ暴風竜之魔素(ヴェルマナ)の核である。

 

 

 

「…… うん」

 

 

 

 思ってたよりもグロテスク…… 。

 なんかちょっと心臓みたいだし……なんな ら打ってるし …… 。

 もっとこう …… ヤムザだったかラムザだったかそんなんが飲まされたアレみたいなやつかと思ってたわ ……。

 

 

「とりあえずこいつを食えば人化が得られるんだよな …… ?」

 

 

 食べるのを躊躇しながらもひょいっと、口の中へ放り込む。

 

 

「う゛ッ…… 」

 

 

 口に含んだ瞬間苦味と渋みとちょっとしたしょっぱさが味蕾に襲い掛かり、ちょっと吐きそうになる。

 

 

「ま゛ッ ずぅ …… 」

 

 

 あまりにも咀嚼するのは嫌だったのでごくん と 、1飲み 。

 

 

 

 

『伝。特殊能力(ユニークスキル)〈大食い〉を発動』

 

 

 

 

 胃の中で核が魔素として分解され、身体へと染み込んでゆくのを感じる…… 。

 

 

「……っふぅ …… 」

 

 

 ようやくか …… なんて言うが。

 まだ1週間ぐらいしか経ってねぇんだよな ~ …… 、リムル転生するあと3週間位あるし …… 。

 

 

 

「さぁ〜て ! この3週間外で色々するぞ〜 !!」

 

 

 

『伝 。条件を満たしました。これより、個体名:アクラ の進化を開始します』

 

 

 

「 …… え?」

 

 

 

『尚、身体の再構築及びスキルの再取得と進化、その他諸々を行う影響で1週間程眠りに着きます』

 

 

 

「え?」

 

 

 

『次回。進化』

 

 

 

「は?」

 

 

 

「…… ここまで来てお預けかよぉ〜 !!!!」

 

 

 

 

 

 激闘による疲労と進化による眠気。耐え切ることができず。このまま俺は、意識を失うのだった 。

 

 

 

 

 




よ、ようやく戦闘が終わった。
ノリと勢いで書いてた弊害がありまくりぃ …… 。
次回からもうちょい日常を挟みたいなぁ…。
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