転生したら竜だったので、折角なら竜種目指して頑張ります。   作:遊燐千

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第8話 進化する者達

 

 

 

 

 

 

 

「アクラよ !!! 我が番いとなれ !!!!」

 

 

 

 

『なッ! アクラちゃんはあげないッスよ ~ !!!』

 

 

 

 

 

 な、なんでこうなった……? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は遡ること数時間前 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『伝。個体名:アクラの進化を開始します』

 

 

 

『伝。水竜 から 暴嵐流妖魔竜(テンペストアビスドラゴン)への進化』

 

 

 

『成功しました』

 

 

 

『伝。各種スキル・耐性・特攻の再取得を開始します』

 

 

 

『各種スキル・耐性・特攻の再取得』

 

 

 

『成功しました』

 

 

 

『続いて、切望者を使用し、統合進化を開始します』

 

 

 

固有能力(スキル)〈妖竜覇気〉を獲得しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈魔力妨害〉を獲得しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈逆鱗〉を獲得しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈竜拳〉を獲得しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈人化〉を獲得しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈暴風〉を獲得しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈水素爆発〉を獲得しました』

 

 

 

 

『爬虫特攻を獲得しました』

 

『哺乳特攻を獲得しました』

 

『鎧特攻を獲得しました』

 

 

 

共通能力(コモンスキル)〈貯水〉と特別能力(エクストラスキル)〈水源〉を統合進化。 』

 

 

 

『成功しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)水源庫(すいげんこ)〉を獲得しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈水圧砲〉、〈水圧激進〉、〈水圧操作〉、〈水素爆発〉を統合進化。 』

 

 

 

『成功しました』

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈水圧支配〉を獲得しました』

 

 

 

 

『以上で進化を終えます 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おき…… ッス ~ !!!』

 

 

 ぐわんぐわん。

 

 

『起きるッス ~ !!!!』

 

 

 

 ぶんぶんぶん。

 

 

 

『起きるっス ~ ~ !!!!!』

 

 

 

 重たい瞼をゆっくりと開く。

 ぼやけた視界の中に映ったのは、見慣れた岩肌だった。

 

 ごつごつとした洞窟の天井に洞窟特有のひんやりとした空気。そして、肌を撫でる濃密な竜種の魔素。

 

 

 

「……ヴェルドラん所か……?」

 

 

 

 確か俺はヴェルマナと戦って──

 そこまで思い出したところで。

 

 むにっ。

 

 

 柔らかい感触が腕に押し付けられた。

 

 

「……ん?」

 

 

 反射的に視線を横へ向けた。

 

 

『やぁ〜っと起きたッスねぇ〜♪』

 

 

 そこには。

 満面の笑みを浮かべながら俺の腕にしがみついている見知らぬ美少女がいた。

 

 

『おはようッス〜♪』

 

 

「…………」

 

 

 思考が停止する。

 

 

「はっ?」

 

 

 いや待て。

 誰だ。

 本当に誰だ。

 

 

 目の前の少女は、深い蒼色の髪を腰まで伸ばしていた。その髪には金色の光が散りばめられているように見え、動くたびにきらきらと輝いている。

 

 瞳は黄金色。まるで竜の眼をそのまま人の形にしたような、不思議な輝きを宿していた。

 

 顔立ちは整っている。

 普通に美少女だ。

 そして何故かやたら距離が近い。

 

 

「……」

 

 

 そしてこの服である。

 どこか見覚えがあると思ったら、人型になったヴェルドラが着ていた服装によく似ていた。

 

 似ているのだが、布面積が圧倒的に足りない。

 

 ってかそもそも誰なんだこいつ。

 なんで初対面のはずなのに、昔からの知り合いみたいな距離感なんだ。

 というか腕を離せ。

 

 

 

 

「ようやく起きたか、心配したぞアクラよ」

 

 

 

 聞き慣れた声に視線を向ければ、そこには腕を組んだヴェルドラが立っていた。

 

 

 

()()()も心配したッスよぉ ~ !!』

 

 

 

「うん、心配ありがと。ってことで離れよっか?」

 

 

『嫌ッス☆』

 

「離れて?」

 

『嫌ッス☆』

 

「なんで?」

 

『嫌ッスからッス ~ ♪』

 

 

 ダメだ、会話が成立しねぇ。

 

 ってかやっぱり誰だよ? 

 俺の記憶にこんなキャラクター居ねぇんだけど …… ? 

 

 

『ヴェルッス♪』

 

 

「いやだから、名前じゃなくて誰だ…… って …… 」

 

 

『だからヴェルッスよ?』

 

 

 俺の記憶になキャラクター。

 ヴェルという一人称。

 ヴェルドラに似た服装に、魔素。

 

 もしかして …… ? 

 

 

『あ、()()()()()っていえばわかるッスか ~ ?』

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ~ !?!?!?!?!?」

 

 

 

 いやいやいや、なんで生きてんの!? 

 

 

『知らねぇッス☆』

 

 

 核取って食ったよね!? 

 

 

『食われたッスね ー!』

 

 

 ってか、なんで人型になってんの!? 

 

 

『わかんねぇッス☆』

 

 

 なんで美少女なの!? 

 

 

『ヴェルちゃんだからッス☆』

 

 

 なんて自我持ってんのぉ!? 

 

 

『いや ~ 詳しいことはわかんないッスけど〜 、なんか気が付いたらこうなってたッス!!』

 

 

 えぇ …… ? 

 ってかナチュラルに心の声読んでない!? 

 俺言葉発してないよね!? 

 

 

『其れは ~ 、ヴェルちゃんがアクラちゃんの中にいるからッス!』

 

 

 中に …… ?? 

 

 

「おぉい!! さっきから我を仲間外れにするでない!! 我にも分かるように話せ!!」

 

 

 ヴェルドラが不満そうに腕を組みながら声を上げる。

 確かに、こいつだけ完全に置いてけぼりだったな。

 

 

『了解ッス〜♪』

 

 

 ヴェルは元気よく返事をすると、何故かすっと俺から離れた。

 そして近くに落ちていた少し大きめの石の上へ飛び乗る。

 

 

『では皆さん、注目ッス〜!!』

 

 

「何が始まんだ … ?」

 

 

『本日はヴェルちゃんによる! 超わかりやすい! 特別授業ッス!!』

 

 どこからともなく細長い枝を拾い上げ、まるで教師のように振舞っている。

 

『まず〜、ヴェルちゃんはアクラちゃんとぶっ殺しあってた暴風竜之魔素(ヴェルマナ)ッス!』

 

 

「ほう? 我の魔素とな?」

 

 

 ヴェルドラが腕を組んだまま、ふむ、と頷く。

 

 

『そうッスそうッス〜♪ んで〜、負けたッス』

 

「ほうほう?」

 

 

『核も食われたッス』

 

 

「あのグロテスクなやつな …… 」

 

 

『いや〜、よく食ったッスよねぇ。あんなゲロマズそうな肉塊。ヴェルちゃんなら絶対無理ッス』

 

 

 ヴェルは露骨に顔をしかめ、オッエ ~ と吐くような仕草をして。

 

 

「自分の身体だろ!?」

 

 

『そうッスけどね〜?』

 

 食える食えないとはまた別問題っすよ ~。と全く納得していない顔だった。

 

 

『んで〜、ヴェルちゃん一応暴風大妖渦(カリュブディス)なんスよ』

 

 

「「そうだな」」

 

 

『つまり()()()()()ッス』

 

 

「「うん 」」

 

 

『そんな精神生命体の核を食べたんだから〜』

 

 

 そこでヴェルは親指を立て、満面の笑みで。

 

 

 

『乗っ取ろうとしたッス!!』

 

 

「笑顔で言うなァ!?!?」

 

 

 

『伝。核を取り込んだことにより、進化中一時的な肉体乗っ取りが発生していました』

 

 

「オィィィィィィィイ!!!!!」

 

 

 つまり何だ? 

 あと一歩で俺、乗っ取られてたのか? 

 死にかけてたのか? 

 

 

『でも途中でやめたッス♪』

 

 

「あ、そうなの?」

 

 

『なんか目覚めたッス』

 

 

「何に?」

 

 

『自我ッス』

 

 

「え? 突然なんで?」

 

 

『ご都合主義ッスかね 〜 ?』

 

 

「何言っちゃってくれてんだこの子!?」

 

 

『ヴェルちゃんにも分からないッス~ ♪』

 

 

 

 ご都合主義って……そんなの実際に口に出す単語じゃねぇだろ……。

 俺が心の中でそう呟いた、その横で。

 ヴェルは悪びれもせず、続けた。

 

 

 

『んで〜、乗っ取りやめて〜、このままアクラちゃんの中で暮らそうかな〜って思ったんスけど』

 

 

『伝。異物でしたので排除しました』

 

 

『追い出されたッス☆』

 

 

『伝。追い出しました』

 

 

『酷いッス』

 

 

『伝。当然です』

 

 

「お前ら仲悪いな?」

 

 

『大嫌いッス』『伝。同意します』

 

 

「息ぴったりじゃねぇか」

 

 

『そんで!』

 

 

 ヴェルは全く反省した様子もなく話を続ける。

 

 

 

『本体? 核? はアクラちゃんの中に残ったままなんスけど〜』

 

 

『実体? みたいなのが外に出て〜』

 

 

『なんやかんやあって〜』

 

 

 

 両手を広げる。

 

 

 

『ヴェルちゃん爆誕ッス〜!!』

 

 

「そのなんやかんやを説明しろ!!」

 

 

『ご都合主義ッス♪』

 

 

「説明する気ねぇな!?」

 

 

 

 はぁ、何度目か分からないため息を吐く。

 

 

 

「…… 色々言いたいことがあるんだけど 、なんで実体あんの?」

 

 

『ご都合主義じゃないッスか?』

 

 

「…… 、なんやかんやってのは?」

 

 

『ご都合主義のことッス!』

 

 

「…… もう、いいや 。うん」

 

 

『あっ! そうッスそうッス〜!!』

 

 

 何かを思い出したように、ヴェルがぽんっと手を叩く。

 

 

 

『ヴェルちゃんに改めて名前を付けて欲しいッス!!』

 

 

 

「……は?」

 

 

 

『負けた身として軍門に下るッス!! だから名前を下さいッス!!』

 

 

 

「いや、そんな軽い感じで言われてもなぁ……」

 

 

 

 相手はついさっきまで命懸けで戦っていた敵だ。

 それもただの魔物じゃない。

 暴風大妖渦(カリュブディス)

 単純な強さは魔王級の化け物である。

 理性が無い獣だからこそ、その脅威度はそこそこだったが自我を手にした今、こいつは魔王と言っても遜色はない。

 そんな奴に名前を付けろと言われてもなぁ〜 。

 

 

 

『嫌ッスかぁ……?』

 

 

 

 ヴェルの肩がしゅんと落ちる。

 潤んだ瞳の上目遣い。

 今にも泣きそうな少女の顔。

 まるで捨てられた子犬である。

 

 

 

「ぐっ……」

 

 

 

 思わず目を逸らした。

 卑怯だろそれ…… 。

 

 

 

『うぅ……』

 

 

 

 さらに追撃が来る。

 

 

 

『ヴェルちゃんのこと……嫌いなんスかぁ……?』

 

 

 

「っ……!」

 

 

 

 うぐっ …… 、俺は美少女の涙に弱いんだよっ !!! 

 どうするべきかと、悩んでいたその時。

 

 

 

 

「クワァ〜ッハッハッハッハ!!」

 

 

 

 

 洞窟に豪快な笑い声が響く。

 ヴェルドラだ。

 

「良いではないか!!」

 

 腕を組みながら満足そうに頷く。

 

 

「ヴェルマナとやら!! 我は貴様を気に入ったぞ!!」

 

 

「アクラよ!!」

 

 

 ヴェルドラが俺を指差した。

 

 

「名付けを行い、主従関係を結ぶが良い!!」

 

 

「いや、お前簡単に言うけどな……」

 

 

『アクラちゃん……!!』

 

 

 

 ちらりと視線を向ける。

 そこには期待に満ちた瞳。

 尻尾でもあれば全力で振っていそうな顔。

 

 

 

「あ〜もう…… !!」

 

 

 

「わかったよ!!」

 

 

 

『!!』

 

 

 

 途端にヴェルの顔がぱぁっと明るくなる。

 厄災のくせに笑顔が太陽みたいに眩しい。

 

 

 

『よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

「声でっか !?」

 

 

『勝ったッス〜!!』

 

 

「何にだよ!?」

 

 

『人生にッス!!』

 

 

「お前魔物だろ!」

 

 

『アクラちゃんチョロ──』

 

 

「やっぱ辞めるか……」

 

 

『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

 

 洞窟が声に揺れた。

 うるさ過ぎんだろ!! 

 

 

 

『ごめんなさいッス!! 調子乗ったッス!! 許してッス!! ごめんなサイドステップッス!!』

 

 

 言い終わるや否や、ヴェルは勢いよく地面に頭をつけた。

 いわゆるジャンピング土下座。勢いだけは一級品だ。

 ……が。

 何事もなかったようにすくっと立ち上がると、 ぴょん、ぴょん、と軽快にサイドステップを踏み始めた。

 しかも無駄にリズミカルでうまい。

 

 

「……お前、謝る気ないだろ」

 

 

『バレちったッス☆』

 

 

「バレるもクソもね〜だろそりゃ」

 

 

 

 俺は苦笑しながらヴェルの頭に手を置き、ヴェルの身体がぴたりと固まる。

 

 

 

「んじゃ」

 

 

 

 静かに言葉を紡ぐ。

 

 

 

「お前の名前はこれから──」

 

 

 

 

「"ヴェル"だ」

 

 

 

『……ヴェル』

 

 

 

 

「これからよろしくな。ヴェル」

 

 

 

 一瞬。

 黄金の瞳が大きく見開かれた。

 そして、花が咲いたような笑顔で──

 

 

 

『はいッス!!』

 

 

 

 そう答えた。

 

 

 次の瞬間。

 

 ドッ! と洞窟を揺らすほどの魔素が噴き上がった。

 

 

 

「うぉっ!?」

 

 

『伝。個体名:ヴェル の()()が始まりました』

 

 

「え? 暴風大妖渦(カリュブディス)って進化すんの!?」

 

 

『伝。暴風大妖渦(カリュブディス)に名付けを行った事例は()()()()()()()()()

 

 

『その為、進化先は()()です』

 

 

「……え?」

 

 

『伝。ですが──』

 

 

『伝。最低でも()()()となるかと予想されます』

 

 

「…… わぉ」

 

 

 

 いや、俺も魔王級に名付けなんてしたらやばいことはわかってたけど …… 。

 まさか、最低でも魔王級になりますよ〜 なんてなるとは思ってなかったわ …… 。

 

 

「マジかぁ……」

 

 

 頭を抱える。

 目の前ではヴェルが光りながら、

 

 

『なんか凄いことになってるッス〜!!』

 

 

 とか言ってはしゃいでいる。

 絶対分かってない。

 こいつ絶対自分がどんだけやばいかわかってない。

 

 

 

 こりゃ…… 、とんでもない化け物が誕生しそうだな …… 。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 進化の結果、ヴェルは暴風大妖渦(カリュブディス)から暴嵐深淵大妖魔渦(アポカリュブディス)へと進化したらしい。

 名前からして嫌な予感しかしない。

 実際、膨大だった魔素量はさらに数倍へと膨れ上がり、保有するスキルまでもが進化を果たしているようだ。

 

 ……とんだ化け物を生み出しちまったなぁ。

 

 しかも本人は。

 

 

 

『アポ……アポカ……アポなんとかッス!!』

 

 

 

 とか言いながら喜んでいる。

 絶対わかってねぇなこいつ。

 

 

「さて、アクラよ」

 

 

 

 そんな俺を余所に、ヴェルドラが口を開く。

 

 

 

特別能力(エクストラスキル)〈人化〉を獲得することは出来たか?」

 

 

「ん? あぁ、一応な」

 

 

「そうか! ならば見せてみよ!!」

 

 

「はいよ ~ 」

 

 

『伝。特別能力(エクストラスキル)〈人化〉を発動させますか?』

 

 

 もちろん、YESだ。

 

 

『了承』

 

 

 魔素が俺の全身を包み込む。

 

 青黒い鱗が光となって剥がれ落ち、太く逞しかった四肢は徐々に細くなり、爪は人の指へと変わっていく。

 

 視界の高さが下がる。

 牙が引っ込み、角に翼に尻尾が消えた。

 

 そして長い青髪がさらりと背中へ流れ落ちた。

 

 

 

「お、おぉ……」

 

 

 

 思わず自分の手を見る。

 白く滑らかな肌。

 指も長い。

 竜だった頃とはまるで別物だ。

 

 

 

「これが人化か……」

 

 

 

 何度か拳を握ったり開いたりする。

 身体も軽い。

 重厚な竜の身体とは違う感覚だ。

 

 

 

『「おぉ〜!!」』

 

 ヴェルとヴェルドラが揃って声を上げた。

 

 

「な、なんだよ」

 

 

『なんかめっちゃかっこいいッス!!』

 

 

「そうか?」

 

 

『うむ! なかなか良いではないか!』

 

 

 

 言われてみれば悪い気はしない。

 そこでふと違和感を覚えた。

 

 

 ……ん? 

 

 

 なんか()()()()()()()()がある

 

 視線を落とす。

 

 

「…………」

 

 

 そこには。

 あった。

 とても分かりやすく。

 しっかりと。

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「…………」

 

 

 見なかったことにしよう。

 うん。

 きっと見間違いだ。

 疲れているんだ。

 そうに違いない。

 

 

『伝。質問があるなら受け付けます』

 

 

「…………」

 

 

 嫌な予感しかしない。

 だが聞かなければならない。

 恐る恐る口を開く。

 

「俺って……性別どっち?」

 

 

 数秒の沈黙。

 そして。

 

『解。雌です』

 

 

「…………」

 

 

『解。雌です』

 

 

「…………」

 

 

『解』

 

 

「聞こえてるからもう言わなくていい!!」

 

 

 洞窟中に叫び声が響いた。

 

 

「まじかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 

『まじです』

 

 

『プッ…… w』

 

「今笑ったなヴェル!?」

 

 

『笑ってないッス!!』

 

『ブフォッ……ww』

 

 

「笑ってるじゃねぇか!!」

 

 

 腹を抱えて震えるヴェルを睨みつける。

 しかし当の本人は目を逸らしながら肩を震わせていた。

 

 

「はぁ、それと……」

 

 

 そこでふと違和感を覚えた。

 

 

「なんでさっきからヴェルドラは黙ってんの?」

 

 

 普段なら大笑いしているはずだ。

 俺が情けない声を上げれば馬鹿にする。

 面白いことが起これば腹を抱えて笑う。

 それがヴェルドラという存在だった。

 なのに。

 さっきから一言も発していない。

 

 

「……ヴェルドラ?」

 

 

 呼び掛ける。

 返事はない。

 

 

「おーい」

 

 

 再び呼ぶ。

 すると。

 

 

「…………」

 

 

 ヴェルドラは腕を組んだまま、じっとこちらを見つめていた。

 金色の瞳が細められる。

 まるで何かを観察するように。

 いや。

 見定めるように。

 

 

「……いや」

 

 

 ぽつりと呟く。

 

 

「ふむ。そうか」

 

 

「ん?」

 

 

 何がそうかなんだ。

 首を傾げる俺をよそに、ヴェルドラはゆっくりと立ち上がった。

 その巨大な存在感に空気が震える。

 

 

「なるほど」

 

 

 一歩。

 

 

「確かに」

 

 

 二歩。

 

 

「これは……」

 

 

 三歩。

 

 

 いつの間にか結界越しに俺の目の前まで来ていた。

 近い近い近い。!? 

 そんで、なんでそんなに真剣な顔をしてんですか? 

 めぇ〜っちゃ嫌な予感しかしないんだけど。

 もの凄く嫌な予感がするんですけど …… 。

 

 

 

「アクラよ!!」

 

 

「な、なんだ?」

 

 

 

 ヴェルドラは一度大きく頷いた。

 まるで長年の悩みが解決したかのように。

 そして。

 満面の笑みを浮かべ──

 

 

 

「我が番いとなれ!!!!!!」

 

 

 再び洞窟が声に揺れた。

 

 

「……は?」

 

 

 思考が止まった。

 

 

『なッ!?』

 

 

 隣でヴェルが飛び上がり、腕にギュッと抱きついてくる。

 

 

『アクラちゃんはあげないッスよ〜!!!!』

 

 

「待て待て待て待て!!」

 

 

 なんで対抗してんだお前!? 

 

 

「まず番いってなに!?」

 

「なんで取り合いになってんの!?」

 

「そもそも俺に選択権はねぇのかよ!?」

 

 

「あるぞ!!」

 

 良かった。

 ちゃんとあるんだな。

 

 

 

 

「だが断ることは認めぬ!!」

 

 

 

「ねぇじゃねぇか!!!!!」

 

 

 

 俺の叫びが洞窟に反響する。

 

 

 

「何なんだよ急に!?」

 

 

「決まっておろう!」

 

 

 

 ヴェルドラは自信満々に胸を張った。

 

 

 

「魔王級とも言われる我の魔素の一部を従える程の強さを持ち!」

 

 

 びしっ。

 

 

「我のどタイプな美しき容姿を持ち!」

 

 

 びしっ。

 

 

「しかも種族が竜である!!」

 

 

 びしぃっ。

 

 

「最高ではないか!!」

 

 

 

「何が最高だ!! 俺はならねぇからな!!」

 

 

『そうッス! 幾ら親父でもダメッス!!』

 

 

 

 今度はヴェルが俺の腕にしがみつく。

 

 

 

『アクラちゃんはヴェルちゃんのッス!!』

 

 

 

「違うわ!!」

 

 

 

「いいや!! 我はアクラに名付けをしたのだから、我のものだ !!」

 

 

『ヴェルのッス ~!!』「我のだ !!!!」

 

 

 

「あ ~ もう、これど〜すりゃいいんだよ」

 

 

 

『伝。大人しく認めては?』

 

 

 

「認めるわけね〜だろバカ !!」

 

 

 

 こうして俺の人化初日は。

 盛大なカオスと共に幕を開けたのであった。

 

 

 

 

 

 






《ステータス》


名前:アクラ/???

性別:♀

種族:水竜
→ 暴嵐流妖魔竜(テンペスト・アビス・ドラゴン)

各種スキル:

《スキル》

〈妖竜覇気〉NEW

《コモンスキル》

〈身体装甲〉
〈身体強化〉

《エクストラスキル》

〈流水刃〉
〈流水槍〉
〈魔力感知〉
〈魔力妨害〉NEW

〈水源〉+〈貯水〉
→〈水源庫〉NEW

〈水圧砲〉+〈水圧激進〉+〈水流転移〉+〈水素爆発〉
→ 〈水圧支配〉NEW

〈竜炎〉
〈逆鱗〉NEW
〈竜拳〉NEW
〈暴風〉NEW
〈人化〉NEW

《ユニークスキル》

〈伝達者〉
〈大食い〉
〈竜之者〉
〈切望者〉

各耐性:

〈物理攻撃耐性〉
〈自然影響耐性〉
〈水攻撃耐性〉
→ 水攻撃無効NEW
〈熱変動耐性〉

各特攻:

〈虫特攻〉
〈爬虫特攻〉NEW
〈哺乳特攻〉NEW
〈鎧特攻〉NEW





─────────‪───────────


こんちゃす!!
ノリと勢いで始まったこの二次創作のUAが10000を突破しお気に入りも200を突破しましたぁ〜 !!
いやぁ … え?
まさかこんなに見てもらい、気に言ってもらえるなんて思ってもなくてかなり衝撃です … 。
そして、感想と評価の方も感謝ァ !!!
いやぁ〜、感想の方はできる限り返信するので良ければ書いてね!もう好きなこと書いちゃえ!

ってことで ~ 本編の話!
いやぁ ~ 、まさかのヴェルマナが美少女になってアクラちゃんの初従者になるなんてね〜 。
まぁ 、元々決めてたんですけど☆
あ、一応ヴェルちゃんは進化して2分の1カリュブディスぐらいの強さになってます☆
アクラちゃんは ~ まぁ 、これから色々戦ってくのでそれでわかるかな?

あと、何気にアクラちゃんの性別を本編での初公開☆まぁ~ 皆さん 女の子だってことはわかってたとは思うんですけど ~、人化して発覚する!
っていうのやってみたかったんですよね〜 。

それと!
ひっさしぶりに日常?
みたいなの書いたんですけど ~ 、やっぱりムズいですね〜 。 我ながら、文才の無さに萎えそう… 。

こんな時は音楽と映画とゲームで気分を上げるぜぇ!!!!

ってことで ~ 、次回はいつになるか分からないけどばいなら ~ !!

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総合評価:855/評価:8.28/連載:11話/更新日時:2026年05月19日(火) 21:46 小説情報

転生したら生命の祖でした(作者:なちゅらりゅう)(原作:転生したらスライムだった件)

海を愛する少女は人を助けようとして溺れて死んでしまう。だけど沈む中、どこからか声が聞こえてきて…目が覚めたら海の上で寝ていました。今は生命を生み出すお仕事をしています。▼神様転生ものです。▼pixivに元となった話があるので、よければ探してみてください。▼自分の好きなように書いているため、原作とズレている可能性が高いですが、ご了承ください。(なんなら私が都合…


総合評価:381/評価:7.86/連載:11話/更新日時:2026年05月11日(月) 22:00 小説情報

理想になってゼロから推しを推したい!それって悪い事じゃねぇよなぁ?~同担拒否の推し狂い過激派TS人間が参ります異世界生活~(作者:夕叢白)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

Re:ゼロから始める異世界生活が大好きな男は自分の理想が詰まったオリジナル美少女キャラクター、想歌としてTS転生してしまう。推し活に魂を捧げる男はこの世界で何を成し、何を得るのか─────。


総合評価:438/評価:7.94/連載:13話/更新日時:2026年06月01日(月) 22:48 小説情報

紅魔族の異世界生活(作者:サード・アイ)(原作:転生したらスライムだった件)

▼水の女神アクアによって転生させられた主人公。紅魔族のおかしな価値観に慣れてしまったが、順調に異世界生活を送っていた。だが、ある日別の異世界に転移してしまった!▼主人公は未知の違う異世界でどう生きるのだろうか?!  ▼不定期更新です。


総合評価:575/評価:8/連載:24話/更新日時:2026年05月20日(水) 22:00 小説情報

アルビノ風TS転生生徒は頑張って生きてみる。(作者:浅倉 蒼)(原作:ブルーアーカイブ)

自分が書きたかった二次創作を書きました。▼趣味全開なので、事前に注意しておきます。▼また、初めての小説投稿なので文におかしいところなどがある場合がございます。▼不定期更新です。▼ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー▼アルビノ風の生徒にTS転生した主人公が頑張って生きてみるだけの話。


総合評価:338/評価:7.11/連載:4話/更新日時:2026年04月04日(土) 19:03 小説情報


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