【転スラ】 〜双星の智慧と新たなる理想郷~   作:Hyades

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これはファンメイド作品です。実際の公式作品とは一切関係がありません。
小説版(ラノベ版)最終巻までと一部の外伝作品の設定のネタバレを含みます。特にアニメやコミカライズ版の読者の方でネタバレを避けたい方は閲覧しないことをおすすめします。
また、執筆の補助としてAIを使用しているのでご了承ください。


第一部
序章 異常なる目覚め


リリリリリリ……。リリリリリリ……。

規則的なアラームのような音が、意識の底で鳴り響いていた。

俺はゆっくりと目を覚ます。

 

(なんだ……? ここは。俺はついさっきまで、執務室で山積みの書類仕事を片付けていて……いや、違う。誰かと話していたような……くそっ、頭に靄がかかったみたいに思い出せない)

 

…目を覚ましたつもりだったのだが、そもそも眠りについた記憶すらない。

それどころか、意識を失う直前に何をしていたのか、まったく思い出せなかった。

 

「まいったな……なんなんだ、この状況は?」

 

声に出したつもりだったが、実際に空気を震わせた実感はない。

視界は完全な暗黒に包まれていた。頼みの綱である『魔力感知』を展開しようとしても、一切の反応がない。

 

まるで自分という存在が、どこにも接続されていないような、完全な虚無。ただ無機質なアラーム音だけが、どこからともなく聞こえてくるのみだ。

 

五感のうち、聴覚以外が完全にシャットアウトされている。手足の感覚もなく、自分が今どんな姿勢で、どこに存在しているのかさえ不明。

神話級の武具の感触も、身に纏っていたはずの衣服の感覚すらない。ただ「俺」という意識だけが暗闇にポツンと浮かんでいるような、ひどく不安定な状態だった。

 

異常事態(イレギュラー)すぎる幕開けだった。

俺ほどの力を持っていれば、大抵の事態には対処できる。だが、状況すら把握できないとなれば話は別だ。

こういう時、頼りになるのは優秀な相棒だ。

俺は心の中で、全幅の信頼を寄せる彼女に問いかけた。

 

(シエル、いるか!? この状況はどうなっているんだ? ここはどこかの異空間か?)

 

《……御目覚めですか、マスター。しばらく前から分析を行っていますが、現在地点が解析できません》

 

シエルの声には、いつものような絶対的な自信が欠けているように聞こえた。神智核(マナス)であるシエルが「解析できない」事象など、この世界にそうそうあるものじゃない。

 

(は? 座標が不明だって? お前が解析してわからないなんて、相当ヤバいだろ! 俺たちのスキルは無事なのか?)

 

《はい、御安心を。権能の大部分は正常に稼働可能であり、現時点でのマスターの身の安全は完全に確保されております。しかし、いくつか問題が。……ヴェルドラや配下たちとの『魂の回廊』の接続が、完全に不明瞭となっております》

 

(なんだって!?)

 

俺は最悪の事態を想定した。

仲間たちばかりか、ヴェルドラとの交信もできないとなると、ただ事ではない。魂の回廊は、空間を隔てていても繋がっている絶対の絆だ。それが不明瞭になるなど、俺が一度死にかけた時くらいしかあり得ない。

 

《どうやら現在の状況は、単純な空間移動ではなく、時空間を何らかの特別な方法で強制的に移動している状態だと推測されますね。それも、極めて強固な因果の濁流の中を》

 

(時空間を移動……タイムトラベルでもしてるってのか? どこかの強大な敵との戦闘中に意識と記憶を奪われ、異空間に飛ばされてしまったんじゃないのか?)

 

《その可能性も否定できませんが、マスターの身体に戦闘の痕跡は見当たりません。何らかの超常的な意思によって、座標を書き換えられている状態に近いです》

 

そう考えるのが自然だろう。だが、誰が? 何の目的で?

疑問は尽きないが、今は悠長に考えている暇はない。

 

(まずいぞ! シエル、今すぐこの状況から抜け出す手段を構築してくれ。このままだとどこへ連れて行かれるか分かったもんじゃ――)

 

焦燥に駆られ、俺がシエルに指示を飛ばそうとした、その時だ。

不意に、閉ざされていた暗黒の視界に「光」が奔った。

それは、圧倒的な虚無を切り裂くような白銀の閃光。そして俺の意識は、抗う間もなくその光の渦へと一気に吸い込まれていった。

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