データを集めて拳で殴るダンジョン配信   作:佐遊樹

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第25話 完全支配領域

 渋谷ダンジョン最下層にて対峙する、カスミさんと如月(きさらぎ)レイ(仮称)。

 カスミさんは先ほど組み上げた新たな装備である機械の翼を背負い、広間の空中を浮遊している。

 

 両者の視線が火花を散らす。

 俺とアリアさんは一歩引いた位置で、それを見守っていた。

 

「……どう思う? 相手はパレードリーダーよ」

「カスミさんの装備の全容が把握できてねーから、なんともだな。ただ勝算のない状態でカスミさんが前に出るとは考えられねぇ」

 

 まず飛行能力を手に入れたのは非常に大きい。

 通常のダンジョン内ではほぼ役に立たないが、この最下層の広間においては、天井が高い分飛行範囲を確保できている。

 

 とはいえ、問題点が明白にある。

 敵であるパレードリーダー『シャドウテイル』は、変幻自在であるということ。

 即ち――

 

「カスミちゃんのそれ、とっても素敵だね」

「……一張羅だからね」

「うふふ、だったら私も――」

 

 告げるや否や、如月レイ(仮称)の姿が変わる。

 その背中から黒い泥が伸びていき、一対の巨大な翼となった。

 

「あいつ見た目だけじゃないの……!?」

「さっき戦った時も、ロッド(エモノ)はあの泥で作ってるみてーだったしな。見た目以外にも、機能やら何やらもコピーできるんだろうな」

 

 恐らく本人の記憶やイメージを読み取る際に、見た目以外のスペックまできっちり抜き取っているのだろう。

 とはいえ、完璧に内部構造を再現するとかまでやってる可能性は低いか。

 さすがにそれはリソースの無駄遣いだし。

 

「自分のできる範囲で、結果として出力されるものを完コピして出してくる。そう考えるとモンスターとしちゃかなり強力な部類だな」

「…………」

「おいアリアさん? 話聞いてるか? なんでそんなびっくりしてんの?」

「アンタが急に頭いいみたいな雰囲気出すもんだから、びっくりするに決まってるでしょ……」

 

 いやデータキャラなんだから頭はいいに決まってるだろ。

 

〇こいつもしかして戦闘IQはきっちり高いのか?

〇戦闘IQ低くて近接専門は無理だお

〇それは、そうなんですが……

〇じゃあ普段の言動は何なんだよ

〇lolネキ、あなたがたダリアの教育の是非を問うている

〇いやダリアで教育する前からこんな感じなんだお……多分だけど、戦闘に脳のリソースを割き過ぎていて、その……普段がアレなんだお……

〇普段が"アレ"

〇はい

〇反論がないからハカセの負けだが?

 

 なんで俺が勝手に負けたことにされてんだよ。むしろ勝ってるんだが?

 

「でもカスミちゃん――どれだけ装備を積んだところで、君の心が強くなったわけじゃないでしょ?」

 

 俺がブチギレてる間に、如月レイ(仮称)が空中を舞い、武器を二振りの槍に変えてカスミさんへと襲い掛かる。

 

「カスミ……!」

「大丈夫、問題ないよ」

 

 見上げる先で、カスミさんは振るわれる槍を微かな身じろぎだけで回避。

 さらには返す刀と言わんばかりに、その拳を振るって、如月レイ(仮称)にパンチを叩きこんだ。

 

「ぐっ……!?」

「下がったらすぐに終わっちゃうよ?」

 

 宣言通り、機械翼の各所が稼働し、そこからミサイルやら熱線やらがバラまかれた。

 慌てて急回避を取る如月レイ(仮称)。

 彼女の回避軌道の跡をなぞるようにして、カスミさんの攻撃がダンジョンの壁面に突き刺さり、岩盤を砕き砂塵を散らし空間を揺らす。

 

「ちょ、威力高すぎねぇか……!」

「それだけじゃないわよ、なんか一方的にいたぶってるわ!」

 

 如月レイ(仮称)はなんとか近づこうとするが、移動中に撃ち落されるか、あるいは届きそうなタイミングであっさりと距離を離される。

 一方でカスミさんの攻撃は、牽制のバラまき以外、的確に相手へとヒットしていた。

 

 カスミさんが背負う機械翼は常に蠢動し、紫電を散らしている。

 見ている感じ、どうも攻撃をしたり、機動を補佐したりしているだけではないようだ。

 

「これは……何が……ッ!?」

 

 自分の攻撃はかすりもせず、相手の攻撃は直撃し続ける。

 明らかな異常事態を前にして、如月レイ(仮称)の表情が歪み始めた。

 

「どういうこと、何をしてるの……!?」

「別に大したことじゃないよ。ただ、視えているだけだから」

 

 カスミさんはトントンと自分のこめかみを指で叩いた。

 よく見れば、彼女の両眼には幾何学的な文様が浮かび、微かに発光している。

 

「『複合機械天使(アドベントエンジェル)』は常に周辺環境を把握し、絶え間なく演算を繰り返してる……その完璧な状況掌握によって、私の脳に直接()()()()()()を伝達してくれるんだ」

 

 え、つっよ。

 

〇は?

〇強すぎなんだけど

〇百歩譲ってもそれってバカでかいコンピューターが必要なんじゃない?

〇なんで火力と機動力を出す翼が未来予知装置を兼ねてるんですか?

 

「未来予知……!? そんなこと、できるわけが!」

「できるよ。私は天才じゃないけど――前もってそうなるように作ったんだから、計算通りの結果ぐらいは出せる」

 

 紫電を散らしながら、彼女は空中で腕を振り抜き。

 そして最高にかっこよく見得を切る!

 

 

 

「――名付けて、完全支配領域(パーフェクト・フィールド)! 今この空間は、私の支配下にある!」

 

 

 

 その名乗りを聞いて。

 俺は静かに、顔をビキバキにひきつらせた。

 

「…………」

 

 ――カスミさんの方がデータキャラしてますやん(絶句)

 

〇ちょ、いいんすかこれ

〇あの~データキャラ配信って聞いてたんですけどぉ、あの女の子がデータキャラってことで合ってますう?

〇なんとか言えよ変態

 

 やばいやばいやばいどうしよう。

 どう考えてもデータキャラの集大成みたいな技を、カスミさんが目の前でやってしまっている!

 アイデンティティの喪失を目前に、俺は足元が崩れ落ちるような感覚に襲われていた。

 

「……まあ、データキャラとしては、そうよね。言いたいことはあるわよね」

「ああ。これ、訴えたら勝てるよな?」

「いやそれは無理よ。アンタの詐欺罪が明るみに出るだけで終わり」

 

 アリアさんの無慈悲な断言に、俺は膝から崩れ落ちた。

 畜生……! 俺は、俺は――弱い……ッ!!

 

「だけど、それぐらいで私に届くとでも!? カスミちゃん、君は後衛に閉じこもっていればいいんだから!」

 

 そうこうしているうちに、如月レイ(仮称)が髪を振り乱して強引な突撃を始めた。

 おそらくは一発逆転を狙っているのだろう。

 正直言って、それが通用するほど、今のカスミさんは甘い相手じゃない。

 

 現状を維持し続けていれば、いつかカスミさんが、相手をすり潰して勝つ。そう断言できる。

 しかしカスミさんは、俺なんかよりよっぽど早くその結論を出していたであろう彼女は、ガバリとこちらを見た。

 

「ごめん二人とも! 手を貸してくれる!?」

 

 一瞬だけ意味が分からなかった。

 このままでも勝てるだろうに。

 しかし。

 

「私は、こいつに完璧に勝ちたい! 昔の私にケリをつけて、今の私の最大の輝きをもって勝ちたい! それは――私と一緒に探索してくれる、二人と一緒がいい! 今、二人の力が必要なの! だから手を貸してくれる!?」

 

 その叫びを聞いて。

 俺とアリアさんは顔を見合わせると、フッと笑った。

 

「合点承知ィッ!!」

「当ッたり前じゃない!!」

 

 次の瞬間に、轟音が響き渡る。

 それは俺が両手のナックルを打ち鳴らす音と、アリアさんの大鎌がブースターに火を入れる音だ。

 

 同時に踏み込み、左右へバッと別れる。

 アリアさんはブースターの加速を利用し、超高速で跳躍。

 

「……ッ! 邪魔するなァッ!!」

 

 如月レイ(仮称)が両手の槍を振るって、アリアさんを叩き落とそうとする。

 だが超近接状態(クロスレンジ)で彼女の速度に反応できる奴なんかめったにいやしない。

 

「邪魔はアンタの方よ! 黙って八つ裂きにされなさいッ!」

「にんげん、ごときがァ!」

 

 振るわれる鎌を、如月レイ(仮称)がギリギリのところで避ける。いや反応できる奴でしたすみませんでした。

 だが、体勢は崩れた。そこを俺が狙えば――

 

「――()()()()()!」

 

 カスミさんの叫びと同時に、俺の片足がびくりと震えた。

 今のは、大気を伝って、カスミさんが微細な電流を俺に流してきたのか?

 ただの電流じゃない。意図のある電流だった。

 

「そういうことかよ……!」

 

 俺は両手のナックルのブースターを点火して、アリアさんと同様に超加速しつつ跳躍。

 しかし、待ち構えていたかのように、如月レイ(仮称)が空中でくるりと回転し、俺を迎え撃つ。

 

「その程度、分かってるんだからァッ!」

 

 だよなあ。

 読まれてるよなあ。

 でもなあ――

 

「テメェが分かってるってことを、ウチの司令塔は分かってたみたいだぜ?」

 

 俺はブースターを使って急制動、Gに内臓を軋ませながら鋭角にターン。

 如月レイ(仮称)にまっすぐ突っ込んでいく軌道から。

 攻撃をそらされ落下しつつあるアリアさんへと突撃する軌道を取った。

 

「……ッ!? そういうことね!?」

 

 アリアさんも同様に、びくんと一瞬震えた。

 おそらくはカスミさんからの電流(リクエスト)を浴びたんだろう。

 空間を完璧に支配するっていうのは――なるほど単に観測するだけじゃなくて、自分の味方も好きに動かせるってことすら意味してるのか……!

 

「だったらァ! カッ飛びなさい!」

「あいよぉ!!」

 

 アリアさんが空中でぐるりと体を回して、まるでメジャーリーグのスラッガーがバットでそうするように、大鎌をスイングする姿勢を取った。

 同時、俺は両足を揃えて『頸椎切り(アサシネーター)』の柄に着地。

 

 結果として。

 ブースターによるフル加速も上乗せして、アリアさんが渾身の力で大鎌をフルスイングし。

 そこから打ち出された俺が、刹那すらかからず如月レイ(仮称)の眼前まで到達する。

 

「な――――」

「歯ァ食いしばれッ!!」

 

 勢いのまま、右ストレートをその顔面に叩きこむ。

 爆音とクリティカル発生時の閃光音。

 しかもただの一発目じゃない、超スピードの乗った致命打がさらにクリティカル強化されて超致命打だ!!

 

「こんな、バカなことが……!」

「バカはテメェだ! 相手の大切な人の外見を真似て、それで何なんだよ! テメェの小細工は勝ちに一切つながってねえ! んなことしてる暇があったら素振りでもしてなァ!」

 

 拳を思いっきり振り抜く。

 ドバン! と大気の砕ける音と同時、如月レイ(仮称)が吹っ飛ばされ、そのまま地面へと墜落した。

 衝撃に広間が揺れ、天井からすら砂煙が落ちる。

 

「カハッ、こんのぉっ……!」

 

 もはや口調すらかなぐり捨てて、如月レイ(仮称)……いや、『シャドウテイル』が顔を上げる。

 だが、決着はついていた。

 

「まだ私は……!」

「ううん、終わりだよ」

 

 立ち上がろうとした如月レイ(仮称)の目と鼻の先に、カスミさんが銃口を突きつけていた。

 機械翼の一部を変形させたライフルがチャージ音を奏でる。

 

「レイ、私と出会ってくれてありがとう。私、ダンジョン探索を続けるよ」

「……! 何を勝手に! たまたま、運が良くて生き残っただけなのに!」

「だからこそ、だよ」

 

 カスミさんが目に涙を浮かべ、言葉の刃に顔を歪めながらも。

 まっすぐに親友の顔を見つめて、言葉を発する。

 

「私は……レイに胸を張れるように、あの日の約束を果たすよ」

「あの日!? 約束!? そんなの、死んだ私には関係ない! 死んだんだから、もうその先なんてない! あんたが勝手に言ってるだけよそんなの!」

「そう、だよ。勝手に言ってるだけなんだ。(にせもの)に言っても仕方ないけど、でも、私のために言うよ」

 

 そこで一度だけ、言葉を切って。

 

「私は――若葉カスミは、如月レイが誇りに思えるぐらいの探索者になる。そして若葉カスミは、ずっと、如月レイが親友だったことを誇りに思うよ」

 

 銃口が光を放つ。

 直撃音と共に、如月レイ(仮称)が消し飛ぶ。

 

 その寸前。

 俺とアリアさんは確かに見た。

 

 直前まで激情に彩られていた如月レイの表情が。

 一瞬、いいや刹那に満たない時間だけ。

 

 

 

 ――仕方ないと言わんばかりに、かすかに緩んだのを見た。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 如月レイ(仮称)は、熱線の直撃を受けて吹き飛び、瞬きする間もなく泥の塊へと還元された。

 

〇勝ちましたね

〇パレードリーダー相手に普通に勝てるパーティーになってきたな

〇カスミさん仕上がり過ぎじゃない?

〇地味に新装備とか新技とかないままずっと前衛してるアリアさんもヤバいという説が有力です

〇アリアさんもしかして覚醒イベント全部終えた後なんじゃない?

〇(そろそろみんなハカセが実は新人探索者なの忘れてきたな……)

 

「さっきのは……」

「読み取られてコピーされた記憶が、一瞬だけ支配を破って、その人格が表に出てきた……そういうこともあるかもしれない。そう、信じてみようぜ」

 

 アリアさんは俺の言葉を聞き、静かにうなずいた。

 

「……ふう。疲れちゃった。まだ長時間連続のフル稼働は無理だなあ」

 

 銃撃を放った後、カスミさんは一つ息を吐いて、それからふっと笑った。

 

「トドメはお願いしてもいい?」

「いいのか? カスミさんがやるべきな気がするが」

「ううん。言いたいことは全部言った。もう、私は……勝ったよ」

 

 そうか。

 それは、そうだな。

 

「じゃあ――」

 

 振り返ると、泥が必死に伸縮して、何かを形作ろうとしている。

 うごめく泥に対して、俺はふっと笑った。

 

「どうした、もうネタ切れかよゴミクズ」

 

 一発芸はもっと完成度を高めてからやんないとダメだぜ。

 さっきの如月レイさんの状態だって、最後の方、口調も表情も崩れてたじゃねーか。

 

「……ハカセ、もう一回ぐらい来そうよ」

「あ? こいつまだそんな余力が――!?」

 

 言うや否や。

 泥が吹きあがり、噴水のように立ち上って、それから人の形をとった。

 

 次は誰が来るのかと思えば――

 

 色は、汚泥の濁った土色から、より洗練された鮮烈な黒へと。

 不定形の輪郭がギュッと締まり、鋭角かつ重厚な甲冑を形成する。

 右手に剣を顕現させ、最後は頭部に赤いラインが流れた。

 

 その紅一閃が、単なる模様や装飾ではないと。

 それは()の目なのだと、俺たちは知っている。

 

「これは――三人共通の記憶を読んで……!」

 

 アリアさんの驚愕の声をBGM代わりにして。

 変身プロセス終了。

 

 

『ヴォ……ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

 

 ――エクストラクラス:ウォーキング。

 

 

 漆黒の鎧から殺意が吹き荒れる。

 それを前にして、俺は、それでも唇を釣り上げた。

 

「まあ、俺たちの記憶を読み取ったなら、出てくるのはコイツだよなぁ……!」

 

〇チヅルさんが出てきたらどうしようかと思った

〇モンスターなんだから、同じぐらい強い人間とモンスターの記憶があったら、モンスターの方を再現するのは自然か

〇最強モンスターと同じ強さでみんなを納得させてるチヅルさんが異常すぎる

〇同じぐらいで合ってんの? 前はチヅルさん圧勝してた気がするけど

〇ウォーキングも無傷で撤退してたから何とも言えん

〇なんか騎士側が萎え落ちしてたしな

 

 確かにチヅルさんでもおかしくなかったけど――俺は、こっちの方が都合がいい。

 本物じゃないけど、リベンジマッチのチャンスだ。

 

「ったく、いい加減しつこいわね。でも……今は負ける気がしないわ」

「そうだね。ハカセくん、今度は私たちも戦うよ!」

「ああ、三人でブッ倒すぞ!」

 

 こちらはそれなりの消耗度合い。だが、まだ全然戦える。

 そして何よりも重要なのが、気合十分ってところだ。

 今日ここでこいつを討つ、それで全部に幕を引いてやる!

 

「かかってこいよウォーキング! 俺だって一日一万歩は歩いてるんだ! どっちが真のウォーキングか決めようぜ!」

「探索者なら当然すぎる数字だよ……」

「ボス猫といいウォーキングといいアンタは変な立ち位置に憧れるのをやめなさい」

 

 仲間二人が俺に対して辛辣すぎるんだけど。

 これから一緒に戦うって時になんでこんなこと言われなきゃいけないの?

 

 だが、気をそらしている暇はない。

 あくまでコピーとはいえども、こいつは一対一で俺を完封した実力を持っているんだ。

 

 今回は、負けねえ。

 対策だって考えてある。

 

 さあ――勝負だ!

 

 俺の気迫に呼応するようにして。

 

 

 漆黒の騎士は剣|に黒炎を纏わせる。

 暗闇を切り裂き|赤い眼光が閃いた。

 吹き荒れる殺気|に大気が激震する。

 騎士はまさに今|踏み込もうとして。

 

 

「…………ん?」

 

 今にも飛び掛かってきそうだったのに、騎士が動かない。

 何かがおかしい。

 

「え、今、何が……」

 

 カスミさんの戸惑いの声が、むなしく響く。

 動かなくなった騎士を前にして、心臓が嫌な音を立てて軋んだ。

 何かがおかしい。何かが起きている。

 

 

 そして、硬直する俺たちの前で。

 

 パレードリーダーの身体が、左右真っ二つに分かたれた。

 

 

「……は?」

 

 騎士の形を真似たまま、パレードリーダーが左右に倒れ、泥に戻り、色あせてしなびて、死んでいく。

 

〇え、何?

〇何が起きた?

〇いやちょっと待ってこれ――

〇まずいおチヅル今行けないお

 

 パレードリーダーの死は、視界に入っている。

 観察できている。

 やつは死んだと断言できる。

 

 でもそれは、そんなことは、もうどうでもよかった。

 

 

 

 

 

【どこにいるのだ】

 

 

 

 

 

 眼前。

 自分の偽物を、位階パレードリーダーのモンスターを、ただ剣の一振りで斬殺して。

 

 ウォーキング『闇夜狩りの騎士』が、その真っ赤な眼光をたぎらせて、俺を見つめていた。

 

 

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