訳あり館のメイドになった男の娘ってどう立ち回ればいいのか教えてください 作:あげはちょ
気に入っていただけると幸いです。
転生した、といったらまあ在り来りでありふれた創作なんだけども。
自分に降り掛かってくるとは思わなかったなぁ....
これまでの僕の人生はごく普通のいっぱんぴーぽーだったのにさ
ここが元いた自分の部屋でないことは辺りにあるアンティークな家具から理解した。
最初はその状況に理解ができなくて
「えっ....?」
って声を出した。その時に気づいた。
「声、高くない...?」
喉仏はまあまあ出ていた記憶はあるしもっと低かった。絶対。
鏡が貼ってある場所を見つけ、自分の全身を見た。
そこには元いた場所で見ていた自分の姿とはかけ離れた、そう、いわゆるかっこいい、渋いとかではなく、どちらかと言うと、
「かわいい....」
自分でも言っていた。
聞いたことがあります。TS、というものを
最初の性別とは違う性別で、別の世界またはその世界に生まれ変わること。概ねそんな感じだった気がする。
「って、ことは....」
女の子に、なっている、ってコト⁉️
いやいやいやいやいやいや!!!?
なんでそうなったの!?
思わず鏡の前で自分の頬をつねる。
目の前には可愛い子が自分の頬をつねって変な表情をしていた。
やばい。女の子の生活なんて知らないぞ!
これからどうやっていきていけばいいの〜〜とひとり体を横に振りながら悶えていると。
ふと、違和感を覚える。
これを今世と仮定するなら前世の時にもあった感覚が。
......鼠径部に。
恐る恐る確認をしてみる。
流石にそんなことはない。だって鏡の前にはこんなにも可愛い子なんだもん。さすがにね.....そんな、男だなんてまさか.....
___________
はい。
気を強く持ってお部屋を散策します。
多分この部屋はどこか大きい施設の人部屋っぽい。
どっちかって言うとちょっといいホテルみたいに机椅子とベッド、その他の部屋がくり抜きである感じの場所だった。
唯一扉があるところは恐らく廊下と繋がっていることだろう。
一旦外に出て人に会おうとしたが、もしこの体の人が生きていたとして、関わりがあったら?不自然な態度を僕がとったら?と考えると.....
「.....」
開けようとした扉をそっと閉じた。
まずはこの身体...自分?のことを知ろう。なにか日記などがあるかーもしれない。
机に置いてあったのはひとつの封筒。宛名には
『新羅メア様』
と表示されてあった。
良かった。文字は読めるみたいだ。少なくとも異世界語みたいな読めなくて詰むみたいなことはなくて一安心。
「しんら、めあ....」
これが、僕の名前...だと思う。この部屋には僕しかいないしね。
糊付けを剥がし、中の書類を確認する。
……
親愛なる「新羅 メア」様へ
この度は我が館、祿幽館のメイド見習いへのご応募、誠にありがとうございます。
厳正なる審査の結果、貴方様が合格されたことを伝えます。
おめでとうございます。
つきましては我が館の一室を自由に使用できるようになる権利、衣装、給料等、特典を送付させていただきます。
又、1番最初のメイドミーティングは明日の午前9時となっておりますので、身支度を整えてエントランスまでお集まりください。
祿幽館メイド長より
Ps、新羅様の他にも同期でいらっしゃる方々が何名かおられますので、是非とも仲良くしていただけますと円滑に事が進みやすいので親睦を深めることを推奨しますよ♪
……
なにそれ知らない。
祿幽館?メイド?何それ何それ。
てかメイドって言ったよね?なんで男合格にしてんのさ!?
目ないの?節穴なの?
何が厳正なる審査だよ!!!?
頭の中でつっこみが響き渡るが、それを声に出すほど錯乱している訳では無い。
正直自分の体を見た時の方が衝撃が強かったんだ。
まぁとりあえずそんなことは置いておこう。直接聞かないとどうしようもないから。....聞けるのかな
明日の午前9時にエントランスね.....どこだろう。地図が欲しいや
まあ明日に確認すればいいかぁ...いまはいろいろと整理したい気分だ。
まだ未使用に見られるベットにそのまま寝転ぶと、沈むように眠った。
午前6時半。
特にアラームがなっている訳ではない(あるかどうかも分からない)が、入ってくる日差しで目が覚めた。
顔を洗いに洗面台に行く。もしかしたら姿鏡に写っている人間が戻っていたりしないかな〜と期待を込めながら見ても、
「....やっぱり、夢じゃなかった....」
期待くらいさせてくれてもいいじゃないの。
改めてこの体を見る。
本来の身長とは10~20cmほどは低くなった体、若草色や蛍光イエローもちょっと薄くして目に優しくなったくらいの髪が鎖骨くらいまで伸びている。多分ミディアムくらい。
どうやってまとめるんだこれ。こちとら男子のセットしか知らないんだぞ!!!!!
でもまあ身なり整えろって言われちゃったからなるべく見よう見まねでいい感じになるところまでやってみよう。
しばらく経ったあと。
「...すごい。」
多分技術は悪いんだろうけども顔の良さで全てを補う事で全体的にすごい整ってる。すごい
内に刺さって痒かった髪を全部跳ねさせたらなんかもう元からそうであったかのような似合い方をしていた。
これが「顔がいい奴はなんでも似合うんだよ」理論....!
てか今何時だこれ。
夢中になってて時間を見るのを忘れていた。
壁掛け時計に示された時刻は、8時30分。
「やばい。」
早めに行って場所確認しようと思ったのに!!急げ!!!ダッシュ!!!!
道がわかった。危なかった。初日から慌ただしいやつって評価は喰らいたくないから会えてゆっくりいこうか、それとも急いで来た感を出そうとするか悩んで、前者を選んだ。
見ると僕以外の人はもう集まっているらしく、各々個性ある待ち方をしている。
オドオドしているちっちゃい子、活気溢れる子、血気盛んそうな子、等々....やっぱり女の子しかいないんだよね....
だからこそなんで僕を入れたんだよここに!!!
いいや、それを聞くためにもここに来たんだ。
恐らくあの手紙の送り主が僕に気がついたのか、会釈をしてくるので僕も頭を下げる。
流石にこえも出した方がいいかな。ゔっんゔゔん!!
あーあー、チューニングOK。いこう。
「申し訳ありません。慣れない支度で少々手間取ってしまい...」
反省の意を示す事でなるべく平穏に済ますテクニック。どうだ!
僕の声で新たに人が来たのに気づいたのか、みんながこちらに目線を向けてくる。
視線が痛い!やめて!!!
....これって僕の性別がバレた時、どうなっちゃうんだろ..?
考えた時、背筋から全身が冷え切ってしまったのでこれは隠し通すことを決めた。
絶対だ。バレてやるもんか。
やってやるよ!!メイドォ!!!!
「えぇ、大丈夫ですよ、時間通りですから。」
「それでは皆さんお集まりいただいたので、始めましょうか。
ようこそ、祿幽館へ!」