ありふれたXは世界最強   作:鋼色

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Xの意思を持ちし者

「最悪だな」

 

遊園地に遊びに来たはずであるが、目の前に広がる光景は真逆。人が泣き、地は燃え、血が這っている。楽園のような世界とは程遠い、悍ましいまでの地獄世界。何でこんな事が起きているか………それは、もう分かっている。どうせ、アイツらだ。

 

「天之河光輝、貴様のせいでこうなっているのだ。分かるか?貴様が悪いのだ。罪滅ぼしがしたければ、私についてこい」

「そりゃ別人だ。俺はそれよりも、お前をぶち倒す事の方が意識が向いている」

 

底なしの呪力を使い、身体を遠慮なく強化する。人相手なら躊躇うほどの倍率であるが、こいつらは人であって人じゃない。つまり遠慮する必要は一切ないという事だ。

ハジメとの肉弾戦を重ねた俺の肉体は鉄よりも硬く、刃よりも鋭い。そんな肉体を強化したのだ。最初襲撃したときの者ならば容易に倒す事は可能。

 

だがまあ、そんな優しい話がある訳がない。こいつは、最初の襲撃者と比べて桁違いに強い。どうするか………ミカを呼ぶにしても、ここはまずい。リカを顕現すれば、今よりも強いリンクとなる。そうなれば呪力出力は上がり、全ての攻撃のレベルが三段階ほど高くなる。

 

それはまずい。とてもまずい。このまま出力を上げれば周囲に被害が出る。倒すために被害が出るのは容認するが、それは相手が出したものだ。俺が出す被害を容認できる訳がない。

 

となると……ある程度遊園から離すまでミカを出す事は禁止、か。

とんだ無理条件だ。難易度ルナティック過ぎて涙が出てくる。でも、やらなきゃな。

 

「権能解放・唐紅の蝶々(サンダリー・フレア)

 

「呪言」で吹き飛ばしたいところだが、燃え盛る蝶がそれを阻害する。守らなければならないモノがあるとここまで戦いにくいのか……!

ハジメはよく殺さないようにしてミカと戦ったもんだ。あいつ本当に器用だよ、

 

「っな!」

 

燃え盛る蝶を【冬氷呪法】で凍結するが、次の瞬間には第二人の燃え盛る蝶が迫る。発動した時から薄らと感じていたけど、あの能力燃費が良すぎる。代償を払った気配も見えないし……てことは素のスペックかあれ。

本当に、加減して戦う相手じゃないな!遠くへ飛ばしたくても飛ばせない。遠距離攻撃の密度と速度が高すぎて近づけない…!

 

一応呪力を収縮させて放つ砲弾ってのもなくはないが、アイツに当たるかどうか。今の俺は原作乙骨や石流のような操作ができない。呪力に限界がないとは言え、あまり周囲に被害を出す真似はしたくない。

てなると、なんとか近づいてぶっ飛ばすしかないな。無理ゲー?いや、勝てる。パーフェクトゲームを掴んでやるよ。

 

「術式解放・暗黒物質」

 

炎の虫を覆うは全てを覆い尽くす闇。ダークネスXをコピーした術式、【暗黒物質】。貪欲に喰らう闇は火炎蝶々を食らい、自身のエネルギーに変換する。

 

「これでお前を守るモノはない。さぁ、行こうか」

 

ぶっとべ!!!

 

やっぱり。どんなに強い能力を持とうとも、この世界の住人は呪術耐性が異様に低い。だから、呪言への耐性も低い。つまり何の抵抗もなしに命令できるという訳だ。

このコースなら、山に直撃だろう。山でなら遠慮なく戦える。指輪で待ってもらっててすまんな。今、思いっきり戦わせてやる。

 

「来て、ミカ」

「ァアイ!ドの武器使う?光輝ィ」

「それじゃ、これを使おう。一緒に暴れようぜ、ミカ」

 

ミカの体内から取り出すは腕装着型の呪具。並の武器よりも硬く、術式が含まれている。呪具の中でも一級相当に値する青腕の武器を右腕に装着しつつ、こちらを睨む敵さんへと笑みを送る。

遊園地で戦うならまだしも、山で戦うなんて自殺行為。まあ、有無を言わさなかったのは俺だけど。

 

そんな絶体絶命な襲撃者だが、勝つつもりでいるようだ。むむ、制限時間があると言うのに余裕だな。あぁ……そうか。アイツは5分が経てばミカが強化され、美香になるのを知らないのか。それならそれで好都合。

 

「それは、持てばの話だが」

 

美香を完全顕現する事が可能となれば、呪力出力は圧倒的になる。それこそ、完全体宿儺と同等か、それ以上の。けど、ミカ状態でだって出力は上がる。推定宿儺十六本指ほどの出力量にまで底上げされる。

素の呪力量を比べたらだいぶ上がっている。それはつまり、肉体強度も術式の火力も底上げされるという事。

 

煌々と輝く青色の腕は腹を穿つ。衝撃の呪術が編み込まれているそれは、襲撃者の肉体に致命的なダメージを与える。これまで受けた事がない系統が違う攻撃+絶大な威力。ゆえ、数秒ほどのスタンが起こる。

そんな隙を見逃す理由はなく、白き拳と青い拳が直撃する。破裂音にも似た音を奏でつつ、全力でダメージを与える。

 

「コウキぃ、今ァ!」

「了解。術式反転」

 

今から行うは【暗黒物質】の術式反転。全てを飲み込む闇を生み出すのが順転だとしたら、これは自身を強化する光。何よりも鋭く、何よりも速い。言うなれば最強の執行人。行動全てを振り切る宇宙のトップスピード。

 

今の俺では光速も亜光速も体が耐えきれない。だから、俺の中での最大・最速を実現するんだ。……いや、もっと。許容範囲を大きく越え、超絶最大・超絶最速を可能にしろ。

不可能はない。なぜなら、俺の辞書にその単語はないから。俺とミカがいればどこまでも行ける。

 

さぁ、今までを越えるスピードで振り切るぜ。

 

煌々

 

神速を思わせる光り輝く一撃。重さ、熱さ、痛みに翻弄されながらも最後まで足蹴りを続ける。

 

「……クソ。かすったか」

 

直撃はない。あまりの力に振り回され、足がカスッた。直撃できていれば全身消え去っていたが、掠りしかしなかったゆえ横腹が削れた程度。

……覚悟していたつもりだったが、ここまでの負担になるか。右足の原型がもう残ってないぞ。反転術式あるから治せはするが、リスクが大きいな。完璧な反転はまだ使えない。これは修行かな。

 

「っ、足を…」

「あぁ、初めてだっけ。反転見るの」

「我らとて、原型崩れたモノを治すのは数ヶ月を費やす。つくづく化け物だな」

「なんだ、急に喋るようなったじゃん」

「っか、はは………これで終わったと思うなよ、天之河光輝。我らの同志が貴様の力を手に入れるべく動く。身内にも危害を及ばせる。情報操作をしてでも貴様を追い詰める」

「ばーか。俺の身内は全員強えよ。あと、分かってねえ。俺の名誉は崩せない」

「ははっ、分かってないのはどちらだ。我らはこの事件を利用し、貴様を叩く。それが何とかできなければ貴様の負けだ」

 

うむ、作戦は予想通りか。その程度の作戦ならば、俺にとっちゃどうにでもなる事だ。そろそろ終幕の時間だぜ、アサシンちゃん。

 

「一つ言っておこう。これは奇跡ではない、必然だ」

 

究極のフィナーレは今、完成する。

 

領域展開

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは、奇跡か……?」

 

エリート襲撃者は困惑し、

 

 

 

 

「これは光輝の領域展開……」

「ふむ。そう手こずる相手ではなかったと思うが……あぁ、なるほど。あやつもお人好しだな」

 

「御厨子」とXを持つ友二人は光輝のいる方角を見つめ、

 

 

 

 

「領域展開……!?一体誰のだ。この世界に俺以外の転生者がいるのか…!?」

 

時の力を持つ少年は驚愕を落とす。

緩やかに回っていた世界の輪が、急速に動き出す。呪い、X、超常、装甲の四つが世界の時を回す。

 

そうとも知らず、天之河光輝は氷の引き金を引いた。




☆天之河光輝
美香ちゃんとリンクを繋いでいる時のみ領域展開発動後にコピー術式を発動できる。(コピーを美香ちゃんと共有しているため)


無敵かこいつ。
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