別世界には仮面ライダー、というものがあるようだ。光輝の元々いた世界に存在した架空のヒーローのようなもの。その中にはふざけたようなデザインもあるらしい。時計のようなアイテムで変身し、仮面にはライダーと書かれている……と懐かしみながら言っていた。そんな者が我の目の前に立っている。ふむ、我がイカれたのかもしれない。
そんなヤツとの出会いは数十分ほど前に遡る。
森で滝行をしていた時だ。滝の音に大部分が掻き消されていたが、声がうっすらと聞こえた。幼さが混じった男の声だ。閉じていた瞳をうっすらと開き、声の方向へと視線を向ける。
同世代の八重樫流門下生と比べても筋力はなく、身長もなく。よくよく見かける平々凡々な小学生と言った印象だ、だが、腰にかけたアイテムは平凡ではない。我のXや光輝の美香のように、異様なオーラを感じる。
先日見かけた襲撃者とは違う事から関係者ではないのは分かるが………うむ、謎だな。どういう理屈か分からぬな……まずはコンタクトか。
「そこの者、如何なる用事でこの大地に赴いた。幼子が来る場所ではないと思うが?」
「そいつはアンタもじゃないか?どうしてこんな場所にいる」
「我は修行だ。ある道場で門下生をしている南雲ハジメだ。貴様は何故ここに?」
「俺は、ちょっと散歩、みたいな……?んで、清水幸利だ。よろしく」
清水幸利……光輝から聞いた話では、根は悪くない闇を扱う青年だったか。情報では異様なオーラを放つアイテムは持っていなかったと思うが……異常か転生、と言ったところか。
どちらにせよ、放置は世界にとって悪影響になりかねない。この者の人となりを知らなければならない。もし世界に仇なすような人物であれば、この場ですぐ。
「どうした?南雲」
「……気にするな。何でもない考え事だ」
「そうか?俺には、お前が俺をどうしようか考えているように見えたが」
「だったらどうする」
「聞きたい事があるんだここ付近の遊園地で黒いドームを見なかったか?」
「知っているが、教える筋合いはない」
「どうしても?」
「どうしてもだ。知りたくば我を倒せ」
「……そうか」
『ジオウ!!』
「変身!」
『ライダータイム!カメンライダー!!ジオウ!』
「なんか行ける気がする!」
背後に浮かぶ時計は回転し、装甲が身を包む。顔面に刻まれるはライダーの文字。その要素だけで外世界を指しているのは考えるまでもない。
異常な気配。けど、使いこなせてはいない。ふふ、面白い戦いになりそうだ。
「サモンX」
「Xマグナム」
『装填・ターン・フレイムX』
どの程度のパワーか分からない。だから、小手調べのXマグナム。他のX技よりも燃費が良く、扱いやすい。また、所有者のX力によりパワーが上がる。
加えて、フレイムXの弾丸も込めている。X技+簡易X技を組み合わせた技。我の手札の中では優秀なモノだ。
さぁて。これで如何なる影響があるか。
『X・フルターン・バースト』
『フレイム・フレイム・フレイム・XXX』
込めた弾を全て収束し、放つ弾。炎の魔人を思わせる質量と熱量。それは仮面人間を飲み込み、焼き尽くす。常人なら死体も残らず焼かれ尽くしているだろうが、生きているだろうな。
あの装甲は見た限り、どんなものよりも硬い。全体的な致死ダメージなら回避できるだろうしな。生かして、捕えるってのを重点に置くなんて、大変もいいところだ。
『装填・ターン・インパルスX』
「ハロー。仮面人間。気分はどうだ?」
「最悪だよ!仮面ライダーになってるってのに火傷しそうだ!」
「ほぉ、仮面人間でも熱さは感じるんだ。意外だな」
「俺とて元は人間だ!逆になんでお前は熱さを感じてないんだよ!」
「感じているさ。たっぷりとな」
猛火の中で徒手空拳を繰り広げる。大したダメージは喰らわないだろうが、直撃すれば痛むだろう打撃を避ける。そしてインパルスXの弾丸を打ち込むが、効いている感じはしない。パワーよりも厄介なのは硬さだ。この札でこれとは、中々に厄介だな。
やはり一点集中しか効かせる術は見つからないか。あれは慣れていないからあまり使いたくないが、致し方なし。
インパルスXとジェットX、ブーストXを込める。X技の二倍の消費だが、この程度なら許容範囲内。さて、これでどう出てくるか。
『ガヴ!!』
『アーマータイム!!』
………転生者は度合いが違う能力を持っているとは、知っていたが……まさかここまでとは。まさか、この一撃を無傷で耐えるとは思わなんだ。
「どんなタネか教えてくれるか?」
「教えるとでも?」
「であろうな。仕方なし、融合と行くかXマグナム」
『フュージョン・オン!エボリューション!』
『マグナムストライカー!エ・エ・X!』
黒と赤が交差する重厚な鎧が身を包む。けれど、動きにくいとは思わない。戦闘で必要な部分は防御が回り、不必要な部分は削がれている。他のX形態と比べても完成度が高い。
Xが普段使いしていた武器という点もあるのだろう……だがなッ!
……脆い。Xをそこまで込めていないマグナムで装甲が砕け散っている。先ほどまでの硬さを誇る鎧とは別の……衝撃を緩めるための鎧のようだ。
だが、なぜあの硬さなのだ。衝撃を相殺できるとしても、軽い攻撃にまで相殺しては世話ないだろう。再生できる訳ではあるまいに。
「シュガーパワー」
「……っ、戻っているな。どういうカラクリか聞いても?」
「言う訳ないだろ。シュガーパワー・ザクザクチップス」
形成されるは薄い剣二つ。金属を思わせる光沢はなく、厚さもなく。まるでポテトチップスを思わせる薄さと質。硬さを期待できないであろう代物なはず。だが、脳裏によぎるのは警戒。
垂れる冷や汗が地につくタイミングで、仮面人間は動く。薄っぺらい双刀を携え、連続で切る。
Xマグナムの融合を持ってしても斬撃を感じる。治る範囲であるが、斬撃の切れ味が異様に高い。X力を全身に回してなければ腕はお陀仏していた。
あの薄い刀身のどこにそんな切れ味があるのか、分からんな。益々警戒しなくてはならなさそうだ。そのためには、やはり壊さなくては。
「アイシクルマグナム・X」
「ちっ、凍ったか。厄介な事をしてくれる……が、それ、限界があるんじゃないか?物質量の制限か、保有する格の差か。どちらにせよ、俺自身は氷漬けにできない。違うか?」
「違うな」
アイシクルマグナムを破壊し、次に取り出すはインパルスマグナム。どのマグナムよりも衝撃を強く与えるそれは、音速を優に超える。
仮面人間の装甲を持ってしても吹き飛んでしまうような威力だ。そして、これは他のマグナムに比べても保有段数が高い。
つまり連続発射ができる訳だ。
「無限かお前……っ!」
「無限ではない。全部有限だ。だが、我の圧倒的威光に恐怖してしまうのは致し方なし。平伏し、全力で乞うのなら命だけは助けてやっても良いぞ?」
「王にでもなったつもりかっ!」
「事実、我はなる」
『オーバーターン・フルスロットルマグナム!』
『ブレイク・ブレイク・インパルス・XXX!!!』
二つのインパルスマグナムを合体させ、オーバーインパルスマグナムへと変貌させる。水銀色に輝く銃口から放たれる一撃は、仮面人間に見事的中する。大ダメージは避けられないはずだ。
「シュガーパワー・グルグルキャンディー」
先ほどよりも重厚な鎧をまとい、手元にはガトリングガンがある。まずいと考え、身をそらせるが、遅い。虹色のガトリングから発せられる弾丸に直撃し、吹き飛ばされる。
マグナムの装甲は解除され、体が泥と血に塗れる。体に力が入らない。目の前にXマグナムがあるというのに、手を伸ばす事ができない。
「教えてもらえるか?あの黒いドームを作った人物を」
「死んでも………断る…!」
「頑固だな」
「シネ」
これを発動して、生きているのかは分からない。だけど、光輝の為ならば怖くはない…!!
「ブレイク・ター……ン」
「……シュガーパワー・マシュマロ」
☆清水幸利
時の王様、ジオウの力を持った転生者。神様のプレゼントの恩恵で変身したライダーの能力を使える(並列フォームの力、アイテムを使えるなど)。とりま最初にガヴとゼッツの歴史を奪っている。何故最新令和ライダーの歴史が奪われているのかは謎である。南雲ハジメはその幸利くんに負けた訳だが、仮面ライダーの前には仕方ない。え?ミカの時みたいにチェンジしまくったりX技連打しまくったりしてたら勝ってた?それはそう。つまりハジメの舐めプ負けである。お前傲慢王にでもなるつもり?
ちなみに幸利くんが発動したシュガーパワー・マシュマロで幸利くんとハジメくんどっちとも無傷でした。おめぇらやっぱお人好しだな?
それでその後光輝くんたちが助けに来ましてた。んで和解。友達は大事だってはっきり分かんだね。