勇者パーティーの変態はパーティーを辞めたい 作:相打ち
人には、産まれた時に何らかの役割や使命がある。
勇者なら、困っている人に手を差し伸べ、魔王を倒し世界を平和にする事。賢者なら、その知恵を使い苦難を乗り越え勝利に導く事。聖女だったら、どんな怪我人や重症患者も見放す事無く救う手を惜しまない事。傭兵は、盾として人々をそして、仲間達を命を賭して守る事。魔女は類稀なる魔力と圧倒的な魔法で敵を粉砕し、道を開く。他にも沢山の職業があり、皆それぞれ力を持ちその役割が存在する。
それが彼らの持っている力に相応しい役割であり、役職。そして使命であると言えるだろう。実際彼らを尊敬する人間は多い。そりゃあそうだ、彼らや彼女達に命を守ってもらった人達は山程いる。特に勇者パーティーともなれば行動が人から人へと広まる事を想像するのは容易だ。
こうやって近くの村を歩けば、子供達は必ず勇者ごっこをしている。それぐらい憧れの対象なのだ。勇者パーティーは。だけど、物事には例外がある。
「今日はお前はヘンタイな!」
「えーヘンタイ?いやなんだけど〜」
「オレだってやだよ。お前がパトグーで負けたから悪いんだろ?」
その例外が変態である。正式名称は、勇者パーティーの変態である。そして何を隠そう僕が件の変態です。
勇者パーティーの人間は大体が憧れの対象になるのだが、悲しい事にと言うか、当たり前だが。変態に憧れる人間は残念ながらいない。憧れと言うのは、その人みたいになりたいと言う事だ。変態になりたいなんて言う奴は素質があるかもう勝手になっていると思う。少なくとも立候補する奴はいないだろう。僕だってそうだ。
だけど、僕はなってしまった。次期魔王を倒す勇者パーティーと言う世界に注目されるパーティーメンバーの変態として。それがどう言う事か分かるか?街を歩けば、パーティーの活躍と共にあの変態が……と罵しられる毎日だ。お陰で僕は街に出る時にはフードで顔を隠すしか無かった。我慢はしたけど、もう限界が来ていた。
「今日でパーティーから離脱しよう」
大体僕は、自分が何で変態と呼ばれているかどうかも分からないし。他のメンバーに聞いても「説明するのが難しい」だったり、「もう一人の貴方に言うなって言われてる」とか良く分からない言い訳をされた。何だよ、もう一人の僕って、厨二病異世界ファンタジーかよ。
そして夕飯時になり、いつも通り宿屋で集まって食事が終わったタイミングで僕は口を開いた。
「皆ちょっとごめん。話があるんだけど、良いかな」
「ん?どうした?」
勇者が最初にそう聞き、他のメンバーも僕の方を見ている。少し緊張しながらも、覚悟は決めたのでそれを口にする。
「僕、このパーティーから辞めたいんだけど良いよね?」
僕がこのパーティーにいたのは、勇者の幼馴染で神に選ばれし"勇者パーティー"の一員だったから。ただ、それは強制力は無い。それに勇者パーティーの変態なんていなくなった方が良いに決まってる。そう思って僕は離脱するのを確定で尋ねた。後は皆が頷くだけで話は終わり。だったのに。
「「「「駄目」」」」
「なんで!?」
思っていた反応と違った。