夜兎男主は神威と河原(概念)で殴り合いたい   作:たたこ

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吉原炎上篇
プロローグ ジャータカの兎は夜兎を想う


【夜兎】ya-to

 宇宙に存在する民族の一つ。茶吉尼、辰羅と並び宇宙最強の傭兵部族と言われる。他の宇宙民族とは比較にならないほどの戦闘能力を持ち、個体によっては一人で惑星一つを滅ぼすこともある。外傷に対する耐性、回復力が並外れて強く部位にもよるが骨折程度の怪我ならば半日~一日で完治する。生理的欲求には食欲、睡眠欲、性欲に加え戦闘欲求をもつため、これまでに数多く他種族を絶滅させてきた、非常に好戦的な民族。容姿は人間のそれと大差ないが、透けるように白い肌を持つ。個体差はあるが日光に弱く、常に日傘を手放さない。またその強大な戦闘力を維持するために、全体としてエネルギー摂取量が体重に比較して多い。発祥の星は徨安(こうあん)。第二次宇宙大戦時、両軍ともに多数の夜兎が参戦し相殺し合ったため個体数を減らし、かつその戦闘力を恐れた惑星連合軍の集中砲火により、徨安は死の星となった。その後夜兎は星星に散り、他種族との混血が進んでいる。現在まで記録にある限りのデータでは、主な死因は戦死、病死。かつてその本能により「親殺し」という風習が存在したが現在は廃れている。

(『宇宙民族大百科・地球版』抜粋)

 

 

 

*

 

 

 

 

「宇宙最強種だって言われてはいるけど、夜兎なんて儚い生き物だぜ。絶滅しそうになっておいて強いも何もないだろ。長生きする奴は好き好んで戦場なんかに行かねえの。酒飲まない奴はアル中にならねえの」

 

 強さは結局、「何において」強いかでしかない。個体としてなら夜兎は強いが、種族としてはむしろ脆弱。強いがゆえに戦い続け、戦い続けるから数が減る。結果として滅びそう。やる気あんのかァァ!! 

 

 黎烏(れいう)を見れば違いは明らか。黎烏は夜兎と同等の身体能力を持ちながら、闘争本能を持たないがゆえに、故郷を失った今も星々に散って生きており、絶滅危惧種とは言われていない。彼らは日光を必要とするから、宇宙活動においてはなかなか巡り合わないだけ。

 

 だが、黎烏のようになれと思っているのではない。

 それは無理。夜兎は戦う生き物だ。

 夜兎に滅びるな! と言いたいわけでもない。

 生き物はいずれ死ぬなら、種族もいつかは終わる時が来る。

 それが今ではないにしろ、いつかは来る。

 

 ただ終わりがあるにしても、俺たちは今生きている。

 その生き方は、戦うことにしか意味がないのか? 

 戦うことでしか生きられないのか? 

 戦えなくなったらはい終わり、でいいのか? 

 

 夜兎が戦いしかできないなんて、本当にそうか? 

 

 美食地下都市上都(ザナドゥ)の領主饕餮(とうてつ)は、「昔の夜兎の食いっぷりはすごかった、昔は当代最強と名高い夜王と星海坊主クラスがゴロゴロいた、でも今の夜兎の方が日光に強い。……昔も今も夜兎の肉は旨い!」と語った。

 ……最後はともかく、宇宙大戦でえげつない戦いをした夜兎の悪名は今も残り続けているが、それも数百年前の話。

 

 数百年前の夜兎(ヴィンテージ)と最新の夜兎(コンテンポラリー)。

 同じ夜兎の名を冠していても、同じものだろうか? 

 

 

 その最新の夜兎たちは――

 

 星海坊主の息子は、夜兎らしく最強を目指した。

 星海坊主の娘は、地球で万事屋(人助け)をすることにした。

 宇宙海賊の姫は、三方良しの商売を始めた。

 

 

 であれば、夜王の息子は何をする?

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