養育ファミリア メジェド・ファミリア 作:個体識別番号0111
「聖女様や皆はどんな調子だい?」
「団長。そうですね、皆さん健やかに過ごされていますよ。」
「なら、いいんだよ。」
「私からもいいでしょうか。リリルカのことです。」
「あーあの子がどうかしたのか?聖女様が一人を気にかけるなんて珍しいな。」
「いえ、特に他意はないのですが。彼女、私が始めて会った時は酒精の香りがしていまして、最近、親御さんの間で噂になっているソーマ・ファミリアと関係があるのでは、そう思っただけです。」
「ソーマ・ファミリアか……。確か彼処の主神は酒の神だったよな。酒の香りを漂わせていたのなら……うーん。あり得なくはない。たが彼奴がここに来たのは十年は前だろ、リリルカがどうかしたのか?」
「いえ、思い出したというのが聞いた主な理由です。答えていただきありがとうございます。どうこうしようというのはありませんよ。彼女も親のことはもう覚えて居ないでしょうし気にするだけ無駄だとは分かっています。ただ何かあったらと思って聞いたのです。」
「うーん。まぁ覚えていたとしたら、話したいときに話すだろ。心配しすぎるのもよくないぞ。」
「彼女も15になりましたし、もう大人です。そろそろ卒業の時期だと思うんです。それも聞いた理由ではあります。」
「あー、もう15かそれなら卒業の時期だな。うーん。彼奴はどうなるんだろうな?今は一緒にステータス上げの為にダンジョン行ってるけど、今後はどうなることやら。頭良いし学区に連れて行っても良いしな。」
「さあどうなるでしょう。でもあの子の未来は大丈夫ですよ。なんてたってメジェド様が見守ってられるんですから。」
「まぁそうだな。」
ペカーー
「うお!眩し!」
「メジェド様!こちらに向けて強く光らないでください!」
10年ほど前ソーマ・ファミリア
リリルカ・アーデ
リリルカ・アーデ。彼女は今現在、ホームを両親及びファミリアから役立たずとして追い出されていた。そこで彼女はメジェド・ファミリアを目指していた。なぜメジェド・ファミリアを目指すのかというとメジェド・ファミリアはゼウス、ヘラという史上最強のファミリアが活躍していた時からなんならその前から子供の味方という立ち位置を揺るがすことはなく。多くの子供の安全地帯として機能していたのと、子供であれば何の条件も無しに保護及びファミリアの一員として歓迎されるという噂のためである。このことはオラリオに暮らすものであれば誰であろうと知っている。だから、今オラリオが闇に包まれようとしていても子供達の笑顔が守られているのだと誰もが噂する。
彼女はそれが全て真実であるとは思っていないけれど頼れるところは他にないだから彼女は門を叩く。
「誰か、リリを助けてください!お願いします。住む所も食べる物もないんです!お願いします。」
どんだけ門を叩いてもドンドンといった大きな音はならないけれどペタペタと幼子の様な足音が近づいて来る。
「お願いします。せめて今日のご飯だけでも食べさせてください!」
疲れてもう門を叩く気力が湧かない。当たり前である。彼女は2日ほど何も口にしていない。ペタペタ、ペタペタと足音が近づき足音が止む。
顔を上げて見るとパルゥムの自分と比べても小さい、大きな白い2つの目が描かれた布を頭から被っている子供がいる。そんな子供が目の前の門の向こう側からこちらを見ている。当たり前だか二人の視線はぶつかる。お互いにお互いを見ていると……。
ペカーーー!
クルリ
ペタペタ、ペタペタ!
その子は目を光らせるといきなり踵を返して屋敷の方へと走り出す。ペタペタと。
リリルカは啞然とするしかない。現れた希望ともいえる子供はいきなり発光して去っていったからだ。
「………」
呆然として動けなく、その場に留まっていると、若い女性が先ほどの子供を連れて来た。
「はじめまして。私はこのメジェド・ファミリアの一員として活動している者です。今回はどのような用事でしょう。中でご飯でも食べながら話してはいただけませんか?」