マッドサイエンティストは反省しようとした 作:蛸葦廃船ファン
Bエリア第三研究所ヒト科生物研究室に現れたのは大男だった。
「彩葉さんじゃないですか。やばかったって話、節本から聞きましたよ。」
研究員の一人がそういった。節本と言うのはこの研究室に所属する研究員の一人であると共に自主回収部の一人だ。研究室では口数が多いのに彩葉か研究に関することばかり話すことで有名だった。節本の話では、倒れた新人を抱えながら財団から颯爽と逃れたらしい。節本の話は大抵美化されているのであまり信用ならないが、彩葉なら十分あり得そうではあると研究員は見ている。
「ミエナクナールのおかげでな。今度超常迷彩部門にお礼に行かないといかん。」
ミエナクナールは文字通り、透明になる薬だ。と言うことは、財団からうまく逃げたという話は本当らしい。相変わらず、進んで危険な橋を渡る変わった人だと研究員は思った。
「使用した感想でも伝えれば彼らも喜ぶんじゃないかね。」
「これは久能先生ちょうどいいところに、彩葉さんがお話があるとかで…」
彩葉の後ろから老人が声をかけてきた。彼の名前は久能尚志。日本生類創研の長老とまで言われる男だ。
「それで話とは何だい。」
そう言って久能は彩葉を近場にあった椅子に座らせた。 彩葉は椅子に座り、しばらく考えた後、口を開いた。
「私は認識生物部とやらの実験棟に行ってきました。」
「ああ、節本君から聞いているよ。新人が一人、意識が戻らないらしいね。」
そういわれて彩葉は苦い顔をする。だが、言った当人は飄々とした態度のままだ。
「危険を先に教えてくれと言うのならとばっちりだ。私はここに長くいるといってもすべて知っているわけではないのだよ。」
それぐらいは彩葉もわかっていた。自主回収部を設立してから日本生類創研という組織の複雑さは嫌というほど体験している。
「だが、部門名くらいはすべて知っているはずだ。新部門設立の時にあなたの意見が聞かれないわけがない。私の時もあなたのおかげで許されたんだ。」
久能は日本生類創研の代表と言うわけでもない、しかし、強い権力を持った一人であることは間違いなかった。自主回収部の設立時も上層部は渋り続けていたが、久能が賛成に回ったことでようやく設立が許可されていた。
「買いかぶりだよ。私が網羅するには日本生類創研は隠蔽体質がすぎる」
認識生物部についてはそう言われてしまえば、彩葉には何も言い返せない。しかし、もう一つの本当に聞きたいことについては確信があった。
「自主回収部を名乗る人間が存在を隠すとでも?」
そういいながら彩葉は一つの冊子を開いた。そこには認識生物部をはじめとした今は存在しない部門の名前。その中に自主回収部の名があった。
「そもそも、自主回収部の名前はあなたが決めたものだ。」
まだ、正式に活動を認められるためにあがいていた頃、自主回収部と言う名前を久能によってつけられたのだ。きっと、それは過去に存在した名前だったのだ。
「怖いから、そうすごまないでくれ。」
しばらくの沈黙の後、久能はまったく怖がった様子なく言った。
「失礼しました。」
さすがに、久能を脅すようなことを続ければ何をされるか分かったものではない。これで、何も言わないならどうしようもなかった。あきらめて、彩葉は体を椅子に投げ出し、どうするか考え始めたころ、久能が言った。
「彼らは君のようにワンマンではなく、数人が集まってそれぞれの得意分野で頑張っていたよ。」
思わず彩葉は目を見張って、久能を見た。
「君のように正式な部ではなく、秘密結社に近い存在だった。情報をリークしたり、危険すぎる研究を中止に追い込んだり、研究を安全に行う支援をしたり。そう言った活動をひっそりと行っていき、少しずつ、本当に少しずつだったが仲間を増やしていっていた。」
昔を懐かしむように久能は語ったが、そのまま自然に続けて言った。
「だが、最後は全滅した。」
全滅。それはわかっていた。あの実験棟にいたごみ箱ペットに食われたのか、ほかの何かにやられたのか、でなければどこかで接触がなければおかしい。問題はなぜ、全滅したかだ。
「そんな目をするな。私も彼らの最後は知らないよ。この業界では本当に知りたいこと以外は調べすぎないことが長生きするコツだ。」
久能はそう言った。つまり、これまで支援してきた彩葉の今後に興味がないと言っているのと同義だった。思わず彩葉の口が動く。
「興味がないならなんで私や彼らを支援したのですか。」
「興味がないわけじゃない。生態系だって組織だって多様性は大事だ、特に日本生類創研では君達のような存在は稀有だろう。多少、保護がしたくなるじゃないか。それに、熱心な若者を応援するのは老人の仕事だ。ただ、その死因を調べるほど熱意がないだけさ。」
久能はかつて支援を表明してくれた時と同じように飄々と返した。彩葉は胸に様々な感情が渦巻き、しばらくの沈黙ののち何とか言葉をひり出した。
「…やりっぱなしで倫理がないですね。」
「よく言われる。」
何の感慨もなくそう返され、彩葉は大きく息を吸った。
「…あなたは違うんじゃないかと願っていたんですが、残念です」
そういうと返事を聞く気はないとばかりにすぐに彩葉は席を立った。
「まあ、待ちたまえ。」
「なんです。」
引き留める言葉に、思わず彩葉は動かしだした足を止めた。
「君に渡したいものがある。しばらく待っていたまえ。」
久能はそういうと彩葉の様子を確認することもなく席を立つ扉から出て行った。
彩葉は立ったまましばらくその背中を眺めた後、椅子に再び座った。
「待たせてすまないね。」
戻ってきた久能が持ってきたのは一つの段ボールだった。
「それが渡したいものですか?」
「そうだよ。」
段ボールは両手で持つことができる程度の大きさだった。
「これはさっき言った君の先輩から預かっているものだ。なんで渡してきたかはわからない。いや渡されたというのは間違いかもしれない。気が付いたら走り書きのメモと一緒に研究室の机の上に置いてあってね。」
「何が入っているんです?」
「それは分からない。」
久能は真剣な顔でそう言う。
「わからない?」
彩葉は戸惑った。
「開けていないんだ。そもそも私宛ではないしね。」
そういうと久能は古びた紙を見せた。
そこには次があったら渡してくださいとだけ走り書きで書かれている。
「俺宛っていうなら、なんで渡すタイミングが今なんです?」
「それは君、比較実験に外乱を加える訳にはいかないだろう?」
彩葉は久能を睨む。
「冗談に決まってるじゃないか。最近思い出しただけだよ。君は体が大きいんだからそうかっかしないでくれ。さっきも言ったが怖いだろう。」
久能は肩をすくめた。
「私が君達の応援をしているのは本当だよ。君のレトロウイルスを用いた肉体改造法の論文には感心させられたよ。ただ、やっぱり3年連続で警備研究員として特別賞を受賞したことが一番の理由だね。なかなか出来ることじゃない。一度は偶然、二度は奇跡、三度は必然だ。そんな熱意ある若者の背中を私は押してあげたい。」
そこで言葉をと切ると久能は席をたった。
「ただ、その先に関わる気はないんだよ。」
そう言い残すと久能は睨み続ける彩葉を残して去って行った。
彩葉はしばらくその背中を眺め続けていた。
「なんだこれ…」
彩葉は机の上に置いた七輪を眺めそう言った。七輪の煙が部屋に充満しているが、一年前まで倉庫だった自主回収部の部屋には換気がほとんどできない小さな窓しかなかった。
「七輪でいいんだよな、これ。」
先ほど久能から受け取ったダンボールを開けてみると中から出てきたのがこの七輪だった。
ダンボールを開けた段階ですでに火がついていたのだから不思議なものだ。久能の話では10年以上前のものというではないか。
「上に餅が載ってるのがさらに意味わからんな。」
そう言いながら金網の上にある白い物体をつつく。すると衝撃のせいか1cmほど膨らんだ。
まるで食品サンプルのような偽物ではなく、自らが餅であると主張しているようだ。
この餅も出した時にはすでにあったのだから10年ものなのだろうか。しかし、ただの餅だというのなら腐ってなくてはおかしいし、膨らみ始めるタイミングもおかしかった。
そんなことを考えながら彩葉が首をひねっていると部屋の扉が荒く開かれた。
「彩葉さん餅焼いてるんですが⁈ 呼んでくださいよ。つれないなあ。そんなわけなんで一個もらいますね。」
そういって部屋に入ってきた眼鏡をかけた若い女の名は節本。呪術的な遺伝子操作で新人賞を受賞するほど優秀な研究者なのだが、人の話は聞かないし、決めたら変えようとしない融通の利かなさがあった。そのおかげで優秀な研究者なのかもしれないが。
節本は躊躇なくアツアツの餅を手に持っていた書類で適当に包んでつかんだ。
「お、おい。」
彩葉が止める間もなく餅を口に含む。
しかし、口に入れると節本は動きを止めた。
「だ、大丈夫か?」
やはり食べてはならないものだったか。そう思いながら肩を揺すると節本は瞬きをした後、彩葉の目を覗き込んだ。
少なくとも時間が停止したわけでも、死亡したわけでもないようだった。
「生きてたか、よかった。」
「彩葉さん。なんで自主回収部門を作ろうとしたか覚えてます?」
突然再び動き出したかと思うと節本はそんなことを聞いてきた。
自主回収部門は彩葉が数年かけて生み出した産物だ。そのために日本生類創研一の肉体まで手に入れたのだ。そこまでの努力をしようと思った理由を忘れる訳がない。
「忘れるわけないだろ。あれは、確か、え、その…」
彩葉はその先の言葉が出てこなかった。
確かにあったはずの何かが頭の中から消えている。そんな摩訶不思議な感覚だけしかどれだけ待っても出てこない。
「やっぱり。」
彩葉は訳知り顔で頷くと、食べかけの餅を彩葉に差し出す。
「これは私が食べちゃいけないものです。彩葉さんが食べてください。」
真面目な言葉には聞こえないのに、節本の顔はいたって真剣だった。
節本がこの顔をする時はいつだって正しい。彩葉の経験がそう言ってくる。
「わかった。」
彩葉は節本から餅を受け取った。
感触は柔らかくて美味しそうな餅だった。カピカピになど少しとなっていない。
噛むと中から煙の様な何かが吹き出した。
数年過ごした街が赤く燃えていた。そこら中から煙が立ち上り、道端には人であったらしき黒い塊が転がり、赤く照らされる空には灰が舞っていた。
彩葉は息苦しい防護マスクを着けて、そんな街をさまよっていた。
脱出を図る芽原主任たちから、つい離れてしまったが失敗だったかもしれない。
そんな弱気と同時に、この街をおかしくした自分たちがどうにかしなくてはいけないという自責の念が沸いてくる。そんな気持ちに共感しない同僚たちへの憤りも。
発火の原因はわかっていた。彩葉たちが研究していた感染者が発火するという特異なウイルス、主任が芽原6号と名付けた病原菌であるのは間違いないだろう。新人の頃は何度も悪夢で見たパンデミックが実際に起こったのだ。
ウイルスが漏れた直接の原因はわからない。ずさんな管理体制、ずさんな輸送。心当たりが多すぎた。
研究所近くで同時多発的に火災が起きた瞬間に防護マスクをつける提案をできたおかげで、研究員の犠牲はごく少数だったが、周りを確認すると広い範囲から煙が上がっていた。芽原主任にどうするか問うと、彼は資料の回収と隠蔽を指示した。
「そんな暇ない。早く助けに行かないと。」
彩葉がそう訴えても、芽原主任は資料の整理を続けた。
「じきに財団か連合かそこらが来るよ。連中に任せておけばいいさ。私たちはそれまでに脱出しよう」
「俺たちが作ったんですよ。一番知識があるのは俺たちじゃないですか!」
「私たちにそんなつまらないことに使う時間はない。それに別に気にすることじゃないさ。科学には犠牲がつきものなんだから。」
彩葉の言葉に芽原主任は当然のようにそう返した。その時、彩葉は気づいてしまったのだ。この組織は狂っていると。
気が付くと彩葉は街の中を走っていた。止める同僚を振り切って、生存者を捜して走り回った。だが、降り始めた灰を見て彩葉は冷静になった。
芽原6号は常識の通じない異常なウイルスだ。感染から数分、長くても1時間で心臓から発火に至る。そして、今のところこのウイルスの治療手段は発見されていなかった。
つまり、たとえ生きている感染者を発見しても彩葉にできることなどないのだ。
そう気づいてからというもの彩葉は路上で呆然としていた。
ふと、近くから車のエンジン音が聞こえた。生存者がいる。そう思った彩葉は自身の無力さを忘れ音の方へ走っていった。
音の先にはごく普通の業者用の車がごく普通に停車した。灰の降りしきる燃える街ではその様は逆に異常であった。違和感を感じた彩葉は飛びだすのではなくしばらく様子を確認することにした。
車から降りてきたのは重装備をつけた連中と白衣を着た男だった。彼らは燃え上がる地獄となった街でも平然としていた。その様子に見覚えがある。財団だ。
優秀で人類を守護する組織であることは知っている。ただ、人類の進化に全く興味がない連中だ。日本生類創研と気が合うわけがなかった。
逃げるためにその場から離れることを彩葉は決めた。そう思い財団から目をそらそうとする直前、白衣の男が燃え始めた。装備なしではさすがの財団職員でも感染して発火するらしい。
重装備の連中もすぐに逃げ行くだろう。彩葉はそう思っていた。しかし、彼らはその場にとどまり、灰となった白衣の男を調べていた。
その様に彩葉は強い敗北感を感じた。真っ先に逃げ出した我々と、踏ん張ろうとする彼らを比べてしまったのだ。
彩葉はふらふらとその場を去る。幸い、連中は気づく様子はなかった。
世界を救いたい。そう思って研究を続けてきた。資金や規制のしがらみがなくなればすべてを救うことができる。そう思って日本生類創研に入った。問題があることは理解していた。それでも、ここが世界を救うのに一番理想的な環境だと信じていた。だが、今日気づいてしまった。世界を救うのは財団のような連中で、自分たちは違うのだと。滅ぼしてしまう側なのだと。そして、自分はここに至って日本生類創研のあり方が一番居心地が良いと確信していることに何より絶望した。
「た、助けてください。誰か!」
声が聞こえた。彩葉は気が付くと声の方へ走っていた。そこには制服を着た少女がうずくまっていた。どうやら声の主は彼女らしい。
「どうした!」
彩葉が声をかけると、安堵したような顔をする。
「左目が何かおかしくって、目の中が熱くて、かゆくてっ!」
少女と比べて、彩葉の顔は暗い。その症状が何を意味するか彩葉は知っていた。芽原六号ウイルスに感染しており、発火が近いということだ。
だが、彼女は運がいい。目に異常を感じるというなら、年少者にまれに生じる発火点異常だ。心臓だったらどうしようもなかった。これなら対処法は簡単だ。発火点を取り除けばいい。
彩葉は自分のカバンから刃物を捜す。見つかったのははさみだけだった。
「ちょっと左目を大きく開いて、しばらく閉じないで。」
少女がうなずくのを確認すると、彩葉ははさみを少女の左目に突き刺そうと近づけた。
「何をしようとしてるんですか!」
だが、少女が目を閉じ離れたためうまくいかなかった。
「治療だ。」
「殺す気なんですか!」
「目がなくなった程度で死ぬほど人間はやわじゃない。」
「そういうことじゃなくて!」
言い合いをつづけようとした少女が言葉を止めた。
そして顔を苦し気にゆがませた。
「う、熱い熱いっ!」
発火が始まったことが明らかだった。彩葉は一亥の猶予もないと少女を地面に倒すと上にのしかかり、暴れる彼女をどうにか抑え込む。筋肉がもっと欲しいと感じるのはこれが初めてだった。
彩葉はどうにか彼女を抑えると、彼女の左目にはさみを突き刺した。
何度も実験したことだった。体は目をえぐり取る作業を覚えている。筋肉と神経をどうしたら簡単に外せるのかもわかっている。さすがにはさみでやったことはなかったが、理論は完璧である自信があった。
「助けられたじゃないか…」
彩葉は作業が終わった後、思わずそんなことをつぶやいた。自分たちは世界を破壊するだけの側ではないのだと知れたことに救われた。とにかくうれしかった。
彩葉は気づいた。何も今のままの日本生類創研が一番いいわけでもないことに。自分が望む形に自分で変えていけばいいという単純なことに気がついた。
これはその第一歩。
今の日本生類創研にはできないことが多い。彩葉は同時にそのことを認めた。
「あ、あの…」
少女は落ち着いたのか、左目を抑えながら彩葉に声をかけてきた。ちゃんと治療をしようとしていたことが伝わったのか突っかかってくる様子はない。茅原6号は一度かかれば免疫ができる。もう彼女が発火することはないだろう。
「お嬢ちゃんに頼みたいことがあるんだ。」
「なんですか?」
「あの角を右に曲がった先に重そうな格好をした俺の仲間がいるんだ。そいつらにこれを渡してくれないか。」
そういって彩葉は芽原6号の資料が入ったカバンを渡す。
「あなたはいかないんですか?」
「ああ、もっとできることがないか探してみたいんだ。ささ急いだ。そいつらに消毒もしてもらいなさい。」
そういって彩葉は少女の背中を押す。
「と、とりあえずありがとうございました。後でまたお礼を言わせてくださいね。」
「ああ、楽しみにしているよ。」
そういって彩葉は少女と別れると、反対の道を進んでいった。
彩葉は驚いた顔で節本を見る。
「やっぱり、彩葉さんの記憶でしたか。何回か聞いたことある話だったのでもしやと思ったんですが。」
「あ、ああ。たすかったよ。」
彩葉のお礼に返事することなく、節本は目を輝かせながら七輪を指さした。
「それでこれはなんなんです?」
「さあ? 今、久能さんから渡されたばかりだからさっぱりだ。」
次のため、そう伝えられたと久能さんは言っていた。次とは何のことなのだろう。
そんなことを考えているとポケットに入れてあった携帯が震えだした。
表示される電話番号は見覚えのないものだった。
「誰からですか?」
「わからん。」
どこかの研究所からの救助要請かもしれない。そう思い彩葉は電話を取った。
「もしもし?」
「こちらは彩葉さんの電話番号で合っているでしょうか?」
聞こえてくる男は確かに聞き覚えがあった。
「ええ、私が彩葉ですが…」
「お久しぶりです。私は枝藤。先日はお世話になりました。」
その名も確かに聞き覚えがある。ただそれは日本生類創研で聞いたものでも協力団体で聞いたものでもない。
「わかっているとは思いますが、私は財団の人間です。」
財団が日本生類創研に電話をかけてくる。そんな話は聞いたこともない。とっさに彩葉は危険がないか周りを見渡した。
「勘違いしないでください。これは日本生類創研への攻撃では決してない。」
彩葉に思いつく財団が日本生類創研へ行うアプローチはいつだって敵対的だ。施設を襲い、仲間を拉致していく。
「なら何の用だってんだ?」
「いうなればこれは救助要請でしょう。」
「救助要請?」
財団の人間からそんな話を聞く機会があるとは思っていなかった。財団は日本生類創研とは比べ物にならない。金も、規模も、きっと人類に対する熱意さえも。
彩葉が釈然としないながらもなんとか話を聞こうとした瞬間だった。狭い部屋に警報音が響き渡る。
「何事だ⁉」
彩葉は一度、電話から耳を離しアナウンスに耳を傾ける。
“こちらは東弊式隠蔽警備システムアマノイワトです。第五棟にて暴動を感知しました。繰り返します。第五棟にて暴動を感知しました。”
第五棟といえば根田が眠っている医療部や自分の研究室もある場所だ。危険な施設などないはずで、暴動が起きる理由は全く思いつかない。
「とにかく現場へ行きましょう。彩葉さん!」
「あ、ああ。」
財団からの救援要請と同時の警報。彩葉には偶然には思えなかった。
「彩葉さん。移動しながらでも構いませんから私が話すことを聞いていてください。やはりそちらも無関係ではいられないようです。」
電話の向こうから聞こえるその言葉に彩葉はうなずくことしかできなかった
日本生類創研 ハブ
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原案 Mizuno
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SCP-444-JP - █████[アクセス不許可]
by locker
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SCP-783-JP - 絵に描かせない餅
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