四月。IS学園一年三組の教室では入学後最初に行われるISの基礎の授業が行われていた。
「ISを説明する前にまずは『EOS』からです」
教壇に立つ担任の後ろにあるデジタル黒板にEOSの画像が浮かび上がる。
「EOS――Extended Operation Seeker。外骨格攻性機動装甲と呼ばれる装備で、民生から軍事まで幅広く運用されています。皆さんにも馴染みがあるでしょう」
聞き慣れた単語だ。街でもニュースでも見ない日はない。
「そして、そのEOSを基に開発されたのがISです」
デジタル黒板のEOSの画像の隣に今度はISの画像が浮かび上がる。
「開発者は篠ノ之束博士。本来は宇宙開発用として設計されましたがその性能の高さから軍事転用の危険が指摘されました」
一拍置いて担任は続ける。
「そのため博士はISに女性限定の操縦制限を施します。その後コアの製造技術も独占したまま消息を絶ちました」
淡々とした声が最後に事実だけを落とす。
「そうした経緯から現在のISの絶対数は467機となっています」
担任は教科書を閉じ、教室を見渡した。
「・・・さて、次にこのIS学園の概要と理念についてです」
ここで教室の空気が少しだけ変わった。
「正式名称は『IS学園パイロット育成科』。名前の通りここはISの操縦者を育成するための教育機関です。もっとも、ISに関わる教育機関はここだけではありません。設計、整備、制御工学――そういった技術を専門に学ぶ学校は日本だけでなく、各国にも複数存在します」
何人かの生徒が小さく頷く。その多くは国外から来た生徒だ。
「ではそれらと本校の違いは何か」
担任が指先でデジタル黒板を軽く触るとEOSとISの画像が消え、次に出て来たのは『ISに乗ると言う意味』と言う言葉だった。
「単純です。本校は『乗る側』を育てる学校です。ISの設計や整備は男女を問わず従事することが可能です。しかし操縦だけは例外であり女性に限定されています。だからこそ操縦者の育成は一か所に集約され、厳格に管理される。本校の理念はそこにあります」
淡々とした声が続く。
「ISは単なる兵器でも、単なる機械でもない。国家の象徴であり、同時に極めて危険な技術でもある」
視線が教室を一巡する。
「ゆえに本校は『扱う力』ではなく『扱う責任』を教える場所なのです」
そんな話を右から左に受け流している生徒がいた。名前はカルーナ・ロフェル、ナイコア共和国の代表候補生だ。彼女はあくびを噛み殺し窓の外に視線だけ向けた。
春の陽気に満ちた桜並木は平穏そのもので、それさえも彼女を不快にさせる。
(・・・いつになったらISの実践をさせてくれるんだろ)
カルーナの頭の中はIS同士の戦いのことで一杯になっていた。
原作との変更点
ISは篠ノ之束が発明し、そのあとに国連が見よう見まねでEOSを作った → EOSを元に篠ノ之束が宇宙開発用パワードスーツとしてISを発明した(なので原作のEOSよりもだいぶ性能が良い)
ISが女性しか乗れない理由が不明 → 軍事の転用を避ける為に篠ノ之束があえてそういうプロテクトをかけた
IS学園の生徒が女子しかいない → IS操縦者専用の学校なので女子生徒しかいない