第五話:霧の中からの使者
時は1915年へと遡る…
=1915年1月 英海軍泊地スカパ・フロー 外縁 ホクサヘッド第三監視塔=
ディヴィット「今日も霧が濃いなあ」
トーマス「まあいつものことだ。冬が終わるまでの辛抱だ」
ヴォォォォン……
ディヴィット「...今日って第2巡戦隊って演習に出てたか?」
トーマス「いや?今日はどの艦も出港してないはずだぞ?」
ディヴィット「まずい、敵艦隊か!急げ防衛本部に連絡しろ」
ヴォォォォン……
トーマス「いやよく考えろ、敵拠点の前で堂々と汽笛を鳴らすバカがどこにいる」
ディヴィット「ならなんだ・・・?」
彼らの前の霧から
ディヴィット「なんだ、新鋭艦か?」
トーマス「いや違うぞ。艦尾の旗を見ろホワイト・エンサインじゃない。
旭日旗だ... 」
ディヴィット「例の欧州派遣の日本艦隊か
地球の反対までご苦労なこって」
トーマス「そういや、あの艦隊の司令長官誰か知ってるか?」
ディヴィット「さあ?そもそも彼らの提督なんてそこまで知らないが」
トーマス「あの東洋のネルソン ジェネラルトーゴーが直々に率いて来てるそうだ」
ディヴィット「マジかよ」
霧の中から現れたのは一隻ではなかった。
二隻の三本煙突の巡洋戦艦。
その後方には、さらに巨大な艦影が続く。
低く重い汽笛が北海へ響いた。
地球の反対側から現れた艦隊は、静かにスカパ・フローへ入港していった。
遣欧艦隊副司令 鈴木貫太郎中将
「これが北海か...
ここまで霧が濃いとはな。いつもとは勝手が違う戦場だが我々のできることをやりぬかなくて は」
翌日 ロンドン・タイムズ紙 一面
THE NELSON OF THE EAST ARRIVES AT SCAPA FLOW
TRUE FRIENDS FROM THE FAR EAST
THE RISING SUN OVER THE NORTH SEA
昨日、北海の濃霧を切り裂き、我が国の哨兵の前に壮大なる光景が立ち現れた。
10年前、日本海にてバルチック艦隊を葬り去った伝説の英雄、東郷平八郎元帥率いる大日本帝国艦隊である。
この恐るべき軍事力の中心に座すは、戦艦『扶桑』世界に類を見ない圧倒的火力を備えた鋼鉄の巨獣だ。
彼女が我がグランドフリートに加わったことは、不滅の日英同盟が単なる外交上の約束ではなく、荒波を越え結ばれた不変の信義であることを証明している。
東郷元帥と我がジェリコー提督が手を携える今、カイザーの艦隊に逃げ場はない。この大戦を「速やかに終結」させる最後のピースが、今ここに揃ったのである。
今回はユトランド海戦へ繋がる前日譚として、遣欧艦隊のスカパ・フロー到着を書いてみました。
東郷元帥まで引っぱり出してきて相当今回の艦隊派遣に日本は力を入れてるみたいですよ。