凄い情報といらない情報ををポツポツ漏らす居候後輩ダメダメドラゴンっ娘   作:イズモ様 カワ(・∀・)イイ!!

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歳上お姉さん良いよねいい

どっちかと言うと妹系の娘だけどね


朝チュン

それは甘美なもので、目を擦り、まだ寝ていたいと、出来るはずもない戯れ言を言う身体にムチを打ち、ふわふわとした微睡みの快楽を引き剥がし、身体を寝具から起こす。

心の中で、ああ気持ちよさがなくなってしまう、と考えど、いつものように寝間着に手をかけ、脱ぎ、スーツに着替える……はずであった。

自分は寝間着を着ているはずだ。しかし、自身のベットには確かに、自分よりも温度が高く、ポカポカとした物が布団を被っていた。

それは自身よりも小さく、丸みを帯びては居たが、決して犬猫の様なサイズではなく、確かに人が居た……。

思考を回す。自分は昨日の記憶が無く、最後に会社の飲み会で意識が途切れている。隣の温度と裸の自分……無情に優秀な自分の脳は、一つの解を導き出した。

……朝チュンである。

この事実に、自分自身が自分でなくなったかのような錯覚を受ける。今までの自分が信じられなくなったのだ。

何故あのとき、あのときに自分自身を律す事ができなかったのか。そのあと、理性を保てなかったのか。

しかし、後悔などその辺の犬にでも食わせておこう。次に考え無ければいけないのは、相手が誰かである。

これが会社の人間であれば、考えたくも無い。これからどのような顔で出社すれば良いのか。

とは言っても、最後の記憶は会社の飲み会。これは会社の人間と関係を持ってしまった可能性が、とても高いと言う事である。むしろ、それ以外であったら恐ろしい。

しかし、現実逃避――また今は犬の胃に収めたほうが良いものである。

鬼が出るか蛇が出るか。上司、先輩、同期、後輩。それなら後輩タイプだから後輩が良いな、等、食いきれなかった現実逃避を考えながら、意を決し、布団を捲った。

 

「んゅ、ふぁーーぁ、もお朝?」

 

燃える様な紅い長髪に少しつり目でながいまつ毛の美しいタイガーアイの様な瞳小さな唇は血行がよろしくないのか普段よりも少し青かった、そんな自身のドが付くほどのタイプな容姿の人間がそこに居た

 

「後輩か〜〜」

 

納得したように自分の情けない声が出るしかしこれは今度は現実逃避ではなくその後輩の姿についてである、決してこの状況に役得だの過去の自分に向けた賛美等含まれていない、無いったら無い、そんなことよりも後輩の容姿についてである普段は特徴と言う特徴は紅い髪と耳がほかの人よりも耳が尖っているぐらいと記憶しているしかし今の後輩には確かに二本の角が頭頂部から後頭部にかけて生えている、しかも腰の尾底骨より少し上仙骨との間ほどの位置に大の男の腕ほどの太さで紅い甲鱗の生えた尾が伸びていた自身の記憶がおかしくなければ後輩は純人間であったはずであるそんな事を考えている折に

 

「ん…えっと…先輩?………なんでいるの!!変態!エッチ!」

起き抜けとは思えぬ勢いで、後輩は周囲の物を片っ端から投げ始めた。

枕。 ティッシュ箱。 資格の本。何故か自分のスマホ。 最後にはベッド脇のライト。

「ちょ、待っ――危なっ」

咄嗟に顔を庇えば、鈍い音と共にライトが壁へと突き刺さる。刺さる。いや、刺さるとは何だ。普通、ライトは壁に刺さらない。

しかし現実として、金属製のライトは半ばまで壁へめり込んでいた。

「…………」

「…………」

互いに沈黙する。

後輩は自分の投げた物を見て、次に自身の腕を見た。そして最後に、ゆっくりと己の頭を触る。

角。

ぴくり、と紅い尾が揺れた。

その瞬間、後輩の顔色がサァっと変わる。

「……あ」

まるで世界の終わりを悟ったような声であった。

 

「いや、これは違っ――

見ました!?」

 

「あぁ、しっかりと網膜に焼き付けたぞ」

 

「忘れてください!!」

「無理だろ」

 

流石に即答せざるおえない。

人類は空を飛ぶ鳥を見た事を忘れられないし、海を割る奇跡を見ても忘れられない。ならば突然角と尻尾が生えた後輩を見た記憶など、尚更忘れられるはずが無かった。

後輩は布団を頭まで被り、「うわあああ……」と小さく呻く。

その間にも尾だけは外に出ており、感情に応じてパタパタと揺れていた。

……なんだろう。

怖いとか、混乱とか、そういう感情より先に。

 

「ちょっと可愛いな」

 

「今なんか言いました!?」

 

「言ってない」

 

「絶対言いました!!」

 

布団の中から怒鳴る声。尾がバシバシとベッドを叩く。痛そうである。というか実際痛いのか、途中で「いった」と小さく聞こえた。

自分は一つ咳払いをし、混乱する脳を無理矢理働かせる。

整理しろ。

まず、自分は昨晩の記憶がない。 そして朝起きたら裸で、裸の後輩も居た。 さらに後輩には角と尾が生えている。

順を追って考えれば、どう考えても最後が一番おかしい。

 

「……あの」

 

「はい」

 

「お前、純人間じゃなかったのか」

 

「人間ですよ!?」

 

食い気味に返された。

しかし角。 尾。 ついでにさっき壁にライトが刺さった。

どう見積もっても人間判定には無理がある。

後輩は数秒黙り込むと、やがて観念したように布団から顔だけ出した。

 

「……正確には半分です」

 

「半分?」

 

「龍種」

 

さらりと言われた。

まるで「実家パン屋なんです」くらいの気軽さで言われた。

 

「……龍?」

「龍です」

 

「空飛ぶ?」

「飛べます」

 

「火吐く?」

「吐けます」

 

「えぇ……」

 

思わず天を仰ぐ。

社会人二十数年、生きていれば色々あるとは思っていた。上司の無茶振り、終電逃し、休日出勤、取引先の無限謝罪会見。

しかし、“後輩が龍だった”は人生経験欄のどこにも載っていない。

 

「いや待て、それより」

 

「はい」

 

「なんで昨日こうなった」

 

その瞬間、後輩が固まった。

耳まで真っ赤になる。 尾がぶわりと膨らむ。 角の根本から微かに湯気が出る。

……湯気?

 

「お、おおお、お酒のせいです!!」

「お酒」

「龍種って感情昂ると変化しちゃうんですよ!!だからその!!昨日飲みすぎて!!」

 

そこまで叫び、後輩は再び布団へ潜った。

布団がもごもご動く。

 

「……記憶ないんですか」

 

「最後の乾杯辺りしか」

 

「……そ、そうですか」

 

少しだけ、安心したような声。

しかしその直後。

ぐぅぅぅぅぅ。

静かな部屋に腹の音が響いた。

後輩の尾がぴたりと止まる。

 

「…………」

「…………」

 

数秒の沈黙の後。

布団の中から、消え入りそうな声。

 

「……お腹すきました」

 

「そうだなだな、急だが」

 

自分でも驚くほど自然に笑いが漏れた。

すると後輩は布団から片目だけ出し、不満そうにこちらを見る。

 

「笑わないでください」

 

「いや、だって」

 

「龍種はお腹空くんです」

 

「知らない知識増えたな……」

 

そう言いながら、自分は床に散乱した物を避けつつ立ち上がる。

とりあえず服を着よう。 話はそれからだ。

壁に刺さったライトを見ないようにしながら。




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