添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜   作:鐘楼

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命令

「お、お邪魔します!」

「ふふっ、どうぞ~」

 

 二人の先輩からの“お誘い”で招かれたのは、甘露先輩のお部屋だ。足を踏み入れた瞬間から、共有スペースや深白さんの部屋とか、寮の他の場所とはまた違った空気が香ってくる。言い知れない非日常感に、鼓動が高鳴っていく。

 

「どうぞ、座って~。いばらちゃんも」

「は、はい」

「お言葉に甘えて」

 

 甘露先輩に座るよう促された場所は、大きなベッドの側面。自然と、私が先輩たちに挟まれる形で横並びになる。甘露先輩のお部屋は深白さんのような洗練されたかっこいい部屋とはまた違って、女の子らしいかわいい小物が目立つ。そんなおしゃれな物の中で、私はある一点に目が留まった。

 

「あれって……」

「ん~? あっ、そうね。折角だから焚きましょうか!」

「え? たく?」

 

 私の疑問がきっかけで甘露先輩は何か閃いたみたいで、気になっていた壺のようなものに向かっていき、中に入っていたキャンドルに火をつけた。すると元の部屋の匂いとは違う、心だけではなく身体に直接作用しているみたいな、嗅いでいて気持ちのいい香りが部屋に充満していく。

 

「香……アロマと言えば分かりますか? 甘露姉が女性を招く時によく使っているものですが……初めての希沙音には効きすぎてしまうかもしれませんね」

「アロマ……」

 

 確かに、この香りを嗅いでいると頭がぽわぽわとしてきて、じんわりと汗が滲んでくる気がした。その感覚に酔っているうちに甘露先輩が戻ってきて、再び私は二人に挟まれる形になる。

 

 右側のいばら先輩が、私の右手を撫でながら言う。

 

「少し爪が伸びてきていますね。貴方は()()()()才能もあるとのことでしたので、こまめな手入れをおすすめします」

「ご、ごめんなさい……」

「もっとも」

 

 いばら先輩はそこで言葉を切ると、私の耳元で慈悲深く突き放すかのような声音で続きを告げる。

 

「今日この時間を終えて、貴方の矛が折れなければ、の話ですが」

「っ~~~!?」

 

 どこか昨日の、由衣ちゃんを弄ぶ深白さんを思わせる声色で言われたそれは、宣言だった。今から私の中の半分(攻め)を壊しにかかるぞという、宣戦布告。それが偽りではないことを直感的に理解させる圧と、むしろそうしてほしいという私の中のもう半分をどうしようもなく期待させる、魅惑の魔力。

 

「心配しないで、希沙音ちゃん。今日はね、希沙音ちゃんのためのトレーニングだから。一緒に乗り越えて強くなろう、ね?」

「甘露先輩……!」

 

 左の甘露先輩が、私の手を握ってそんなことを言う。トレーニング……? みたいな疑問は高鳴りと熱にかき消されて、勇気が湧いてくる。

 

「そういうことです。もっとも、その時はその時で責任は取りますので、安心してくださいね」

「せ、責任って……」

「も~、いばらちゃん!」

 

 この場合の責任を取るというのがどういう意味なのか、想像してみて顔が熱くなる。ちらりと横を見ると、甘露先輩に怒られて笑ういばら先輩の美しい横顔があって、思わず目を逸らす。

 

「ふふっ、冗談です。では……私が先でも?」

「う~ん、そうだね。最初はいばらちゃんに任せようかな」

「……?」

 

 そんな会話を、先輩たちが目配せしながら私をまたいでしたかと思えば、いばら先輩が私の頬に手を添えて、ゆっくりかつ強引に私の顔をいばら先輩の方へ向かせた。いきなり至近距離にいばら先輩の顔が来て、思わず息を呑む。

 

「深白から基本的なことは学んだようですが……対等に愛し合うばかりがセックスではありません。昨日、その片鱗を味わってきたようですが……されたことはないのでしょう?」

「……っ」

 

 いばら先輩の言わんとしていることは、すぐに分かった。昨日、私は深白さんに乗せられて、由衣ちゃんに苛烈なことをした。もっとかわいい姿が見たいから、もっと喜んでほしいからと、夢中であんなことをしてしまったけど……私自身は、深白さんにあんなことはされていない。

 

 あれを、あれ以上を、いばら先輩は私にしようとしているのか。私の、期待通りに。

 

「一度体験して学んでおくことは、無駄にはならないと思いますので。それでは……立って。脱げ」

「~~~っ、は、はい」

 

 いばら先輩の目つきが支配者のそれへと変わり、告げられた明確な“命令”。まるで背筋に、冷たい電流が放たれたようだった。逆らえない、逆らえるはずがない。言われたとおりに立ち上がって、身体を二人の前へ向ける。自分が見世物になったみたいで、ぞくぞくと悦びに染まっていく。

 

 夏場の部屋着、脱ぐものは少ない。一枚脱げば、すぐに下着だ。シャツとスカートを床に落とすと、晒された肌に二人の視線が向けられる。特にいばら先輩のそれは、もはや普段のような寮の後輩を見る優しい目ではなくなっている。

 

 痺れるような従属感に震えながら、続けて背中のホックに手を回そうとして、そこで甘露先輩から待ったがかけられた。

 

「待って。そこまででいいよ。ね、いばらちゃん?」

「えぇ、十分です。……どうですか? 自分だけが肌を晒している、というのは」

「それは……」

 

 嘘偽りを許さぬいばら先輩の問いかけが、私の脳内でリフレインする。出てきた答えは、決まっていた。

 

「興奮、します……っ」

「……ふふっ、よく言えましたね」

「希沙音ちゃん、えらい! おいで~」

 

 冷たい命令の後に、優しい言葉で褒められる。その高低差にどんどん感覚が狂わされていくのを感じながら、手招きをする甘露先輩の方へと近づいていく。

 

「えいっ」

「うわぁっ!?」

 

 すると甘露先輩は、後ろ抱きにしながらベッドへと引きずり込んだ。私は甘露先輩に抱きしめられながら、無防備な正面をいばら先輩にさらけ出す格好になる。甘露先輩の柔らかな身体に包まれている安心感と、逃げることを封じられた状態でいばら先輩の前にいる危機感という相反する本能が、どちらも同じく興奮へと還元されていく。

 

「希沙音ちゃん」

「な、なんですか?」

 

 甘露先輩に囁かれて、酔いきった脳髄が否応なく歓喜する。それでもなんとか返事をすると、甘露先輩は少し真面目な声で続きを言った。

 

「な、なんですか?」

「ほんとにイヤだと思ったら、『助けて、甘露お姉ちゃん』って言ってね」

「え……? ほんとにイヤだと、って……」

 

 甘露先輩の言葉の意味を確認するよりも前に、その人は私の前に表れた。

 

「では……始めましょうか」

 

 あの象徴的な手袋を外したいばら先輩(ご主人様)が、私を見下ろしていたのだ。

 

 




姉ヶ原甘露先輩……ここ語尾にハートつけた方がぽくね?というタイミングがいくつかあるが、それをすると一気にレーティングがどうにかなりそうなので避けている。涙ぐましい努力
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