添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜 作:鐘楼
その日のうちに荷物をまとめて、業者さんにお願いをして。
次の日に、私はお姉ちゃんの家を出た。
これでしばらくお預けだからと言って、最後の添い寝ではお姉ちゃんにたくさん甘えさせてもらったけど……やっぱり私は、一人では眠れないと思う。
だから……ルームメイト、なんかがいれば。その子に、なんとか必死にお願いをして、添い寝をしてもらう。そんな淡い期待を胸に目的地へ向かう。
「ここが……高嶺荘」
これから日々を過ごすことになるその場所は、イメージとは全く異なっていた。
「家……?」
私の今までの人生で、寮というものにはまるっきり馴染みがない。だから、もしかしたら的外れな感想なのかもしれないけど、そこは私の中にある学生寮のイメージとは違っていて、大きい一軒家のように思えた。
「えっと……このカードキーを使うんだよね」
入寮にあたり、案内とか説明はすべて紙面やメールで済まされていた。実際に入寮する時も、要するに「人がいるかどうか分からないから一人で部屋に移って」みたいな指示を出されていた。管理人さんのような人ともまだ会えていないし、今日も来ないらしい。
さすがに怪しいし、そんなのありえるのかな……なんて思ったけど、私はお姉ちゃんを信じてここまでやってきたのだった。
玄関口で、郵送されてきたらしいカードキーをかざすと、ガチャリと音が鳴ってドアが解錠される。そのままドアを開けようとした、その時。
「──じゃ、じゃあ
「──んー、気が向いたらまた可愛がってあげますよ、せんぱい」
声。
扉の向こうから、二人の女の子の会話が聞こえてきた。高嶺荘の先輩……かな。ちょっと取り込み中みたいだけど、人がいることに少し安心する。もし本当に誰もいなかったら、困ってしまって一度お姉ちゃんのところに帰っていたかもしれない。
どうやら一人がもう一人を見送るところのようで、このまま片方がドアから出てくるのを待った方が良いのかなという考えがよぎって……迷った末に、思い切って扉を開けてみる。すると──
「じゃ、じゃあせめて……わ、別れのちゅーを……」
「っと、欲しがりさんっすね。んっ」
「……へ?」
そこには、玄関口で思いっきりキスをする二人の女の子がいた。
一人は私より少し年上に見える、控えめそうな女の子。そしてもう一人は……ウルフカットにピアスが目立つ、街を歩けば女の子たちが感嘆の声を漏らしそうな、かっこいい女の子。
当然、二人とも扉を開けて入ってきた私に気づく。控えめそうな女の子は慌てて唇を離そうとするけれど、まるでそれを逃がさないと言っているようにピアスの女の子が掴んで離さず、貪るようなキスを続ける。
「ちょ……みしろちゃ……ひとが……んっ……やっ」
恥ずかしいのか、それとも違う理由なのか……控えめそうな女の子は顔を真っ赤にして暴れるけれど、ピアスの女の子が手首を掴んで逃がさない。そうして、しばらくすると控えめそうな女の子はぐったりしてしまう。
そこまでシてやっと解放された控えめそうな女の子は、ぽかーんとしているであろう私の顔を見るや否や、慌てて出て行ってしまった。
残された私の視線は、自然と何一つ動じていないピアスの女の子の方へと向く。
「あ、あの……お邪魔……でしたよね?」
「それは、お前の素性次第だろ。今日入るっていう新入り、お前だろ?」
「あ、はい。花平希沙音といいます」
「私は
どうやら、私が来るということは既に知られていたみたいだ。良かった、もしなにか認識の違いがあったら、自分の素性を一から説明しなくちゃならなくなっていたところだ。……って、そうじゃなくて!
「あの、伊咲さん。さっきの人って……」
「あぁ、セフレ」
「せふ……?」
聞き慣れない言葉に聞き返すと、伊咲さんはバツが悪そうにほっぺを掻く。
「っと……まぁ、ただの友達だよ」
「なるほど! ……えっとあの、するんですか? 友達とあんな……き、キスを……」
「あー……ま、することもあるだろ」
「なるほど!」
「……いや、これで納得するのか」
友達とあんなにじっくりとキスをするなんて、私の常識からは外れているけど……常識というのは集団によって全然違ったりする……と、お姉ちゃんが言っていた。伊咲さんやこの寮ではそれが常識、ということなのだろう。合わせられるか不安だけど……次に会ったら、お姉ちゃんに練習を頼んでみようかな。
「……あーそうそう、希沙音。今、オレ以外の奴は留守でな。なにか分からなかったり困ったことがあったら、オレに言ってくれ」
「親切にありがとうございます! じゃあその、聞きたいことがあるんですが……」
「なんだ?」
まず、真っ先に聞かなければならないこと。今後の……私の睡眠がかかった最重要事項。
「私の、ルームメイトって……?」
「は? いや……ここは全員一人部屋だから、そういうのはないぞ」
「…………へっ?」
私は、膝から崩れ落ちた。