添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜   作:鐘楼

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おてだま

 いばら先輩の綺麗な顔で見下ろされて、その佇まいから感じる無慈悲さに身体が粟立つ。しかしそんな感覚も、甘露先輩の柔らかさと体温でほぐされ、ほだされていく。

 

「だーいじょぶだよ、希沙音ちゃん。安心して、弱いところと恥ずかしいところ、いばらちゃんに観てもらおう?」

「っ……」

 

 優しい女神の貌をして、深みへ突き落とそうとしてくる悪魔のささやき。昨日の私と深白さんの、一歩先を行く飴と鞭。この連携を、二人は即興で……?

 

「ただ貴方は身を委ねていればいい……と、普段なら言うところですが。これは指導ですから、少し趣向を変えて……声、我慢してみましょうか」

「えっ……?」

「私がよしと言うまで、声を漏らしてはいけません。できますね?」

 

 体を重ねている時に、声を出さずに我慢する。そんな発想はなかったし、それがどれほど辛いことなのか、見当もつかない。けれど、何重にも魔法をかけられて、もはやどこにも逃げ場のない私に拒否権なんてあるはずもなく、唇を引き絞ってただ頷く。

 

「良い子ですね。かわいいですよ」

 

 すると、いばら先輩はふっと笑って私の頭を撫でる。この人に褒められるだけで、多幸感が溢れてくる。もっと褒められたくて、従順でいたくなる。一体、いばら先輩の何がそう感じさせるのか……一瞬だけ、そんな賢しい分析をしようとして、甘い衝撃によってそんな考えが吹き飛ばされる。

 

「はい、ぎゅーっ」

「っ!??」

 

 こんなにも感じてしまったのは、不意を突かれたせいでもあった。いつの間にかノーマークになっていた甘露先輩が、後ろから回していたその手を私の胸に動かして、優しい声色とは裏腹にあまりに容赦のない不意打ちをしてきたのだ。

 

 反射的に跳ね上がる身体を、上半身を甘露先輩が、脚をいばら先輩に押さえられて、甘い痺れを逃がすことすら許されない。

 

「あっ、ごめんね~。仲間はずれにされそうだったから」

「まったく、甘露姉も人が悪い。ですが今ので、十分にほぐれたようですね」

「っ……」

 

 いばら先輩の顔が、一気に近づいてくる。器用に私の脚を開かせるよう絡めながら、私と甘露先輩に覆い被さってきたのだ。おかげで私は、自分の下半身がどうなっているのか見えなくなってしまったけれど……いばら先輩の片手が、()へと迫っていることは、明らかだった。

 

「えらい、えらい。思いっきり声を出したいのに、いばらちゃん、ひどいよね」

「目を閉じないで。私を見なさい。無様で愛らしいその顔を見せて、もっと」

 

 くちゅ、きゅっ、とん、ぎゅ、ざわ。

 

「気持ちいいの、発散したいのに、どこにも逃がせないね。辛いのに、しあわせーって希沙音ちゃんの身体が言ってるよ。かわいいねぇ」

「もっと大きく、乱れて、壊れて……良いんですよ、余計なことは考えないで、ただ与えられる快楽に酔う犬になっても。それは私が、許します」

 

 あ……っ゛……ん、くっ……んぅ……あぁ゛……!

 

 私のすべてを手のひらの上で弄ばれて、身体を震わせる波さえ掌握されて、わけも分からないまま声を出すなという命令だけを忠実に守って……やがてその波が最高潮に達しそうになった、その時。

 

「──報告を許します。声に出して、私の目を見て、『気をやります』と言いなさい」

「はっ……きを、やり……ます……っ!」

 

 視界が明滅する。先輩たちの手が触れている場所、先輩たちの言葉を受け取る耳、頭の中でそれらが反響して、さらに大きい奔流となって全身に駆け巡る。その繰り返しで、脳髄を沸騰させるような快感は収まる気配がない。

 

「……よくできましたね」

 

 危うく、全部を過去にしてしまいそうな衝撃の後、ぼんやりとしたまま天井を見ていると……普段のいばら先輩のままの優しい声がかかる。

 

「ご褒美です」

「ぁ……んっ」

 

 微笑むいばら先輩がご褒美としてくれたのは……信じられないくらい優しいキス。さっきまでの、激しい電流のような快楽とは違う、極上のぬるま湯に浸っているような……私をいたわってくれていることが伝わってくる、労いの口づけ。

 

 深白さんが、いばら先輩に気をつけろって事あるごとに言っていた意味が分かった。こんなことをされてしまったら、大好きないばら先輩(ご主人様)に全部を捧げたくなって当たり前だ。

 

「んっ……ふぅ、さて……戻ってこれますかね」

「も~、いばらちゃん、あわよくば壊れちゃっても、とか考えてシてたでしょ」

「えぇ、まぁ。とてもかわいらしいので」

「これ、希沙音ちゃんのためのトレーニングなんだよ? ……希沙音ちゃん、帰ってきて~」

 

 微睡む意識の中で、飾っていない甘露先輩のいつもの声。それを遠くにキャッチして、私の意識は浮上した。

 

「はっ!」

「わ、帰ってきた」

「素晴らしい。鍛えがいがありますね」

 

 夢のような地獄を終えて覚醒した私は、先輩たちの顔を交互に見る。何やら感心しているいばら先輩と、ちょっと驚いている甘露先輩。けれど次の瞬間、今度は甘露先輩の表情が妖しいものへと変わっていく。

 

「じゃあ……次はわたしの番、だね?」

「えぇ。任せました」

「え? えっと?」

 

 よく分からない会話を終えると、甘露先輩は艶めかしい動きで私に背を向ける。

 

「かわいい希沙音ちゃんはたくさん見れたから……今度はかっこいい希沙音ちゃんを見せてほしいな」

「次は甘露姉を攻めてみてください。ほら、まずは服を脱がせて。貴方ならできます、ね?」

「っ……はっ、はい……」

 

 耳元で囁くいばら先輩と、ベッドの上で私に流し目を送る甘露先輩に、私は息を呑んだ。

 

 

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