添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜   作:鐘楼

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レッスン

 主導権を私に委ね、期待してくれている甘露先輩の姿に不思議と胸が高鳴る。花の蜜に誘われるように側へと近づいていき、ふと自分の手で女の子を脱がせるのは初めてだということに気づいた。

 

 とは言っても、難しいことは何もない。まずはカーディガンを外して、キャミソールを──

 

「! 希沙音ちゃん?」

「あ……」

 

 次にすることを頭の中で組み立てていたはずなのに、気づけば私は無意識に甘露先輩の背を抱きしめていた。思いもしなかった自分の行動に疑問を持つけれど、それも直に感じる甘露先輩の体温で霧散していく。

 

「甘露先輩……綺麗な髪です」

 

 甘露先輩の長髪が、自然と唇に触れる。お風呂場にいくつか置いてあったシャンプーのどれかが、こんな素敵な匂いのもとなのだろうか──そんなことを考えながら、素直な感想が口をつく。

 

「ありがと。わたし、希沙音ちゃんの髪も好きよ? しっかりお手入れされてるし、機会があれば結ってあげたいなーって」

「ぜ、ぜひお願いします……!」

「って、これじゃあ女子会ね。希沙音ちゃん、自分のペースでいいから、やってみて?」

「は、はい……!」

 

 慌てて、甘露先輩の服を脱がしていく。主導権は譲られているはずなのに、どうしてか甘露先輩相手ではその実感が全くない。まるで、昔お姉ちゃんに遊んでもらっていた時のような……いや、正しくその通りなんだ。甘露先輩は未熟な私に合わせてくれているだけで、結局のところ、私はかわいがられているに過ぎない。

 

 キャミソールを脱がせると、見たことのないような双峰が露わになる。少しの動きで自然に揺れるそのさまに目を奪われていると、甘露先輩はベッドに横になって腕を広げた。

 

「おいで、希沙音ちゃん」

「っ……」

 

 かっこいいところを期待されているのに。もっと上手くやれるはずなのに。誘われるままに、私は甘露先輩のおっぱいへと吸い込まれていく。

 

「まぁ……ふふ、やっぱりかわいい……」

 

 全然期待に応えられていないのに、甘露先輩は愛おしそうに私の頭を撫でてくれる。ただひたすらに心地の良い感触と体温に溺れていると、私がどんどん抜け落ちて、ただただ甘えるだけの存在へと還っていく。

 

「希沙音ちゃんは妹らしい子だな~って思ってたけど、やっぱり赤ちゃんだったのかな?」

 

 からかうような甘露先輩の言葉に、反発する気持ちが微塵も湧いてこない。それでいい、それがいい、いや最初からそうだったと、魂が叫んでいる。そんな私の目を覚ましたのは、静謐とした囁きだった。

 

「それでいいんですか、希沙音」

「ぁ、いばら、先輩……ひうっ!?」

 

 背後のいばら先輩に意識を向けた瞬間、甘露先輩の爪に敏感になったままの背中を撫でられて声が漏れる。

 

「よそ見はしないでほしいなぁ」

「落ち着いて、気を確かに。つよーい自分を思い出して、意地悪な甘露姉を倒すんです」

「そんなこと言われても、むりだよねぇ。最初から強い希沙音ちゃんなんていなくて、ずっとわたしのかわいい赤ちゃんなんだもんね~」

「騙されないで。甘露姉だって、本当は期待しているんです。なめてかかっている年上の女を、わからせてやりましょう?」

 

 私を撫でながら煽るようなことを口にする甘露先輩と、自信と昂りを高めてくれるいばら先輩の囁き。ここまでお膳立てされてようやく自分を取り戻した私は、やるべきことを導き出す。

 

「か、甘露先輩。失礼します……!」

「……いいよ、来て。んっ」

 

 こういう時に、まず何をするのか。何をされたら嬉しいのか。深白さんならどうするか。それらを考えた末に、私は甘露先輩の唇を奪った。

 

 ……気持ちよくて、手強い。キスをしていて変な感想だけど、そうとしか言えない感覚だった。深白さんや由衣ちゃんとする時とは違う、最初から勝ち負けが決まっていないキス。さながら、私と甘露先輩のカフェラテを作って、どっちの色が強く残るか、みたいな勝負。

 

 いつしか手を握り合っていた長いキスを終えると、眼前には甘露先輩の蕩けた顔。その瞳に映る私も、同じ顔をしていた。

 

「希沙音ちゃん、とっても上手……びっくりしちゃった」

「か、甘露先輩だって……あぁっ!?」

 

 褒められたのでこちらも賞賛をしようとして、はむり、と不意を突かれて声が漏れる。いばら先輩に、耳を攻められたのだとすぐに分かった。

 

「まだアフタートークには早いですよ、希沙音」

「あ、そ、そうですよね……!」

 

 そうだ。一段落したみたいな雰囲気になりかけたけど、渾身の反撃が引き分けに終わっただけ。まだまだこれからだと、正面から甘露先輩を見据える。

 

「ふふ、それじゃあわたしはしばらく大人しくしてるから……おいで、希沙音ちゃん」

「……はい……!」

 

 反撃を自重した甘露先輩相手に、私は果敢に攻めかかった。甘露先輩の反応を注意深く観察して、弱いところを見つけて、精一杯の言葉を贈りながら愛でる。その末ついに、甘露先輩の嬌声を聞くことだってできた。

 

 それからも、私は徹底的に攻められたり、攻めさせてもらったりして……気づけば、甘露先輩の膝の上で横になっていた。

 

「頑張ったね、希沙音ちゃん」

「は、はい……ありがとうございました」

 

 甘露先輩に撫でてもらいながら、私はお礼を口にする。息が上がっているのは私だけで、いばら先輩も甘露先輩も平然としていた。改めて経験の違いを感じていると、今度はいばら先輩もそっと私を撫でてくれる。

 

「確かに、素晴らしい才能でした。高嶺荘の一員として、改めて歓迎を」

「ありがとうございます……あ、えっと、失礼かもしれないんですけど……」

「どうかしましたか?」

 

 この時間の中で、いばら先輩に抱いていた一つの疑問。それを口にするかどうか迷ったけれど……いばら先輩の優しい顔に甘えて、私はその疑問を聞いてみることにした。

 

「その……いばら先輩は、こういう時……脱がないんですか?」

 

 結局、いばら先輩が脱いだのは手袋だけで、服は身につけたままだった。暑くないのかなという疑問と、ほんの少しの残念さを含んだ言葉を投げかけると、いばら先輩の瞳が鋭く細められた。

 

「……それは」

 

 私を撫でていた手が、流麗な動作で顎を捉えて、親指が私の唇に押し当てられる。

 

「私をものにしてみたかった、と?」

「そっ……そういうことでは……ないんですけど……」

 

 そうなんだろうか。いや、きっとそうだ。私の手で、あのいばら先輩を啼かせてみたい……なんて、思っていなかった……はずだ。自分で口にした言葉に、不思議と疑問を抱いていると、いばら先輩の表情がふっと緩められた。

 

「……冗談です。ただ、私は甘露姉のように優しくはないので、希沙音のように隙だらけの相手には反撃をしてしまう質でして。なので、お預けです。もっと上達したら、考えてあげますよ」

「は、はい……っ!?」

 

 ちゅ、と。いばら先輩は私の額に唇を落とすと、背を向けて甘露先輩の部屋を出て行ってしまった。情事の最中、唇にされたことがあるはずなのに、その動作があまりに様になっていて、思わず惚けてしまう。

 

「おぉ……希沙音ちゃん、大きく出たね……あのいばらちゃんを……」

「ち、違います! そんなつもりで言ったんじゃないんですけど……!」

 

 私の弁明に、甘露先輩はおかしそうに笑った。やっぱり、分かっていて揶揄っていたみたいで、思わず顔が熱くなる。そんな私を、甘露先輩は変わらず撫でる。

 

「……希沙音ちゃんはすごいね」

「すごい? 私がですか?」

 

 声色を変えた甘露先輩の言葉に、私は聞き返す。むしろ、今日は先輩たちに情けないところをたくさん見られてしまったような気がするんだけど……。

 

「うん。いばらちゃんや深白ちゃんに抱かれて、夢中にならない女の子なんて、なかなかいないんだよ? 二人も、希沙音ちゃんのそういうところが気に入ったんだと思う」

 

 それは……私も少し思ったところだ。いばら先輩にめちゃくちゃにされている時、この人の虜になっても仕方がないと思って、いばら先輩に気をつけろという深白さんの言葉を思い出した。確かに、それを言っていた深白さんにも同じような部分はある。あれ、でも深白さん、甘露先輩も安全じゃないって言ってたような……。

 

「それって……甘露先輩もそうなんですか? みんなを虜にして……」

「う~ん、それはね、秘密」

「ひ、秘密ですか……」

 

 妖しく笑って、肯定も否定もしない甘露先輩から、底知れない“魔性”を感じて、やっぱり深白さんの言葉は正しいんだと直感した。

 

「……さて。話は変わるんだけどね。希沙音ちゃん、お話があります」

「お話……ですか?」

 

 手を軽く叩いて、甘露先輩が話題を変える。

 

「うん。大事な話。でも、ゆっくり話したいから……これから一緒にお風呂、入ろっか」

「はい……はい?」

 

 大事なお話……というのを、なぜかお風呂ですることになり、私たちはこのままお風呂へ向かうことに決まったのだった。ちなみに、このままここで話すのでも良くないですかという疑問には答えてくれないのだった。

 

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