添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜 作:鐘楼
歓迎サービスだと言われて、夕食は伊咲……じゃなくて、深白さんの奢りで出前を食べさせてもらった。深白さんは最初から優しかったけど、名前で呼ぶようになってからはまるでお姫様のように扱ってくれる。
仮にもこれから共同生活をする相手なんだから、一方的に施されてばかりじゃダメなのは分かっているんだけど、今日だけは甘えてしまおう。深白さんの好みを聞いたりして、明日以降に私の料理をご馳走したりしてみたいな……なんて思いながら、あっという間に時間は過ぎていって、夜がやってきた。
「じゃ、じゃあ……よろしくお願いします」
「ん、おいで」
深白さんの部屋に、ベッドに招かれる形になって、私は緊張しながらお邪魔する。すると、ほのかに深白さんの温もりを感じるベッドの心地よさと、深白さんのどこか危険な香りに身を包まれる。
……初めて、お姉ちゃんやお母さん以外との添い寝。少し不安だったけど、全然嫌じゃない。むしろ一つ、分かったことがある。
今まで私はお姉ちゃんの匂いが好きだったけど、少し違ったみたい。
深白さんが身に纏うドキドキするような匂いは、お姉ちゃんとは全然違っているけれど、それでもすぐに大好きになれそうな匂いだった。私は……女の子の匂いが、好きなのかもしれない。
そんなことを考えて顔を動かすと、すぐそばに深白さんのかっこいい顔が目に入って、なんだか不思議な気持ちになる。
「そ、それにしても……」
「うん?」
「清潔なベッドですね。お邪魔するのが申し訳ないというか……」
「あぁ……そりゃほぼ毎日洗ってるから……じゃなくて、そんなの気にすることないぜ」
そう言って笑う深白さんを見ていると、なんだか安心する。
今日、この寮に残っていた人が深白さんで良かった。これなら、眠れそうだ。
──ぎゅ。
安心しきった私は、いつもお姉ちゃんにしているように深白さんに抱きついて、目を閉じて眠ろう……とした、その時だった。
「……へ?」
がしっ、と腕を掴まれた感覚に思わず目を開けると、一瞬のうちに身体を九十度動かされて仰向けにされていた。そして目の前には、私を強引に動かした深白さんのかっこいい顔が迫ってきている。
「……やっぱその気なんじゃん」
私の身体に覆い被さるように陣取った深白さんは、不思議な表情を浮かべていた。直感的に表現するなら……悪い笑み、というか。ともかく、一連の深白さんの行動が理解できなかった私は、小さく首を傾げた。
「あ、あの……? 深白さん、何を……んっ!?」
その疑問に、深白さんは答えなかった。代わりに返ってきたのは、ぬめりとした衝撃。侵略、とも表現すべき口づけだった。
無防備だった私の口腔は、まるで独立した生き物かのように自在に動く深白さんの舌に絡め取られ、手ほどかれ、蜜を奪われながら贈られていく。そのたびに、私の頭の中で未知のスパークが明滅しながら
──知らない。知らない、知らない……!
どれくらいが、経っただろうか。途轍もなく長い時間のような、たったの二十秒ほどしか経っていないような、そんな時。ほんの少しの冷静さを取り戻してきた私は、襲ってきた未知の感覚に名前をつける。
──快感。
気持ちいい。今までは
「っ……ふぅ。添い寝って言ったら、
「はっ、はーっ……はーっ……」
解放された私と、上気した深白さんとの間に銀糸の橋が架かっては消える。私は……キス、されたんだ。女の子に、初めての……でも、そんなことがどうでもよくなるくらい気持ちが良くて、ただただぼんやりとした瞳で深白さんを見上げることしかできない。顔が熱くて、深白さんとは比べものにならないくらい頬が赤くなっているんだろうと、自分でも分かった。
「……み、みしろしゃん……」
「っ……希沙音、ちょっと良すぎ……」
理由も分からず名前を呼ぶと、それが深白さんのなにかに火をつけたみたいに、彼女の瞳に獰猛な光が宿る。
「な、なにを……」
深白さんは、そのまま私のパジャマに手をかけて、ゆっくりと脱がし始めた。こんなことは、知らない。もしかしたら良くないことなのかもしれない。
でも……深白さんはこれが添い寝なんだと言った。深白さんは、これから一緒に過ごす相手だ。それなら、彼女の言う『添い寝』を知っておくべきだし、なにより嫌だとは思わなかったし……むしろ、期待している私がいた。
これから、深白さんは何をしてくれるんだろう。私の知らない、どんなことを教えてくれるんだろう。そんな期待と興味が……一部なんかじゃなく、私のほとんどを占めている。
「あっ……く、くすぐったいです……ひゃっ……」
「ふぅん……ここ、ね」
私のパジャマを脱がせた深白さんは、シャツの下から這うように、私の身体を撫でていく。くすぐったく感じて抗議しようとしたその時、深白さんの手が私の胸を下着越しに撫でたとき、身体が勝手におかしな声を鳴らした。……触り方の違い、なのかな。お姉ちゃんに身体を洗ってもらった時には、こんな感覚にはならなかったのに。
まるで私のその反応を待っていたかのように、深白さんは私の胸をフェザータッチで撫で続ける。再び、私の頭に快感のスパークが明滅する。心の奥底ではもっとしてほしいと感じるのに、口からはか細い声で「やめて」という声が漏れた。そんな私の矛盾を見抜いているのか、深白さんは容赦せず私を染め上げていく。まるで、私の身体が深白さんの楽器になってしまったみたいだった。
「んあっ……っ、やっ……みしろ、しゃん……」
「……希沙音。シャツ、脱がすぞ」
深白さんに身体の支配権を奪われてしまったみたいに、優しい声色の命令に逆らえない。私は私を守る砦をあっさりと深白さんに明け渡し、深白さんの
シャツを脱いだというのに、ちっとも肌寒さを感じない。深白さんのせいで、全身が熱を帯びているからだ。そしてその熱は、深白さんの掌の上で容易くコントロールされてしまう。
「あっ、あっ……!」
むにゅ、むにゅ。深白さんの掌が、リズムを刻むように私の胸を揉むと、寄せては返す波のような快感が私の脳髄を震わせた。自分で自分に同じことをしても、絶対こうはならないのに、魔法でもかけられたみたいに気持ちがいい。
「んっ……みしろ、しゃんっ……なにを……っ!?」
じりじりとした熱を帯びていた身体に、弾けるような火花が散る。深白さんが、私の口の中をめちゃくちゃにしたあの舌技で、今度は私の胸の先を自在に転がしていく。今の私はこんなにも深白さんにされるがままで、支配されていると言っても過言じゃないのに、蕾を舐める深白さんの姿を見ていると……ふわふわと私を浮かせる熱の中に、愛おしいという感情が交じってしまう。
気が済んだのか、深白さんは私の胸から口を離すと、今度は横向きになって、惚けたままの私の耳元で甘色の言葉を囁く。
「……希沙音、ほんとかわいい」
「っ……」
言われ慣れているはずのその言葉が、耳から侵入して私の心を震わせる。いいや、言葉の内容は関係がないのかもしれない。深白さんの声で囁かれる、それだけで悦んでしまうように、他でもない深白さんに仕立て上げられてしまったんだ。
「準備は、できてるみたいだな」
「えっ……?」
深白さんの片手が、私のお腹を撫でながら下に伸びていき、包み込むようにしてショーツの上にあてがわれる。そうやって触られて初めて、私は自分のショーツが湿っていることに気づかされた。
「み、みしろさん、これ、どういう……」
「……もしかして、本当に初めてなのか……?」
何が起こっているのかと、深白さんの方を見る。そしたら驚いたような表情を浮かべた深白さんと目が合った。未知の熱と不思議な切なさで潤んだ視界の中で、深白さんは迷いの表情を振り切って、かっこいい顔で私の唇を奪った。
「んっ……!? ん、ちゅ……っ」
「……っは、希沙音。あたしに、全部委ねろ。もっと凄いこと、教えてやる」
それはもはや、意味のない問いかけだった。魔法にかけられた私には、深白さんを拒むことなんてできないし……なにより、“この先”への興味と、深白さんが教えてくれる新しい世界への好奇心が、私の首を否応なく縦に振らせた。
「その、おねがいします……みしろさん。私の知らないこと、もっといっぱい、教えてほしい……です」
「……~っ!」
深白さんの指が、ショーツの中へと入ってくる。二本の指が、絶妙な力加減で挟み込むような動きをするたび、“気持ちいい”が溢れてきて、それが弾けてしまわないように、抑え込むようにして内股を強く締めつける。
そんな私の無意識な抵抗も、深白さんには全部お見通しで、私の強張りは容易く解きほぐされて、蕩かされていく。
「あっ、あっ、あぁぁぁ……!」
深白さんは私の心の内を掴もうとするかのように私の内側を撫でて、甘い痺れが絶え間のない浮遊感へと変えられていく。
──その日、私は本当の自分のうちの