添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜   作:鐘楼

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爆誕、第四の悪魔!

 私のお願いに戸惑って、そしてそのあと受け入れてくれた由衣ちゃん。それから少し様子が変わった由衣ちゃんと一緒に適当に外で夕食を済ませて、私達は一緒に無人の高嶺荘へと帰ってきた。

 

「……ほ、本当にいいのかしら……入ってしまって……」

「大丈夫だよ! ……多分」

 

 ……大丈夫だよね? 深白さんだって、昨日女の子を招いてたみたいだし……私も人を呼んで構わない……はず。……もしダメだったとしたら、その時は謝ろう、うん。

 

「えっと……入ってきたばっかりの私が言うのも変な感じだけど……寛いでいって、由衣ちゃん!」

「え、えぇ……」

「……由衣ちゃん、さっきから顔が赤いよ?」

 

 寮に入ってから……いやもっと前から、由衣ちゃんは顔を赤くしていて目線も合わない。なんでだろう……添い寝をお願いする前は普通だったのにな。

 

 あっ、ここが深白さんの家でもあるから、緊張してるのかな……それなら、どうにかして緊張を和らげてあげたいところだけど……あいにく、遊び道具なんかは持ち込んでいないし、ラウンジにあるものも勝手に触っていいのか分からない。

 

「えっと、ごめんね? 招いておいてなんだけど、遊ぶものとか用意してなくて……お風呂でも入る? 使い方は教わってるから、沸かしてくる……え?」

 

 空気を変えようと、私はお風呂場へ準備をしに行こうとして……由衣ちゃんに、服の裾をつままれて止められた。

 

「ま、待って……」

「? 由衣ちゃん?」

「こ、()()()()()()は……一緒に入る、ものでしょう……?」

 

 かわいい、と。私の心に、その言葉が浮かんだ。動物を愛でる時とも、友達を褒める時とも違う意味を持つ、既知のようで未知の感情に、私はなぜだか生唾を呑み込んだ。

 

 それはそれとして、『こういうとき』がどういう時なのか分からないけど、お風呂は一緒に入るものらしい。由衣ちゃんが言うならきっとそうなのだろうと、私は快く頷いた。

 

「……分かった! 一緒に入ろっか」

「え、えぇ……よろしく、おねがいします……」

「? うん、よろしくね」

 

 私はこれでも、一昨日まで一週間の内半分くらいはお姉ちゃんと一緒にお風呂に入っていた身だ。

 

 慣れているから、たとえ今日出会ったばかりの女の子と一緒にお風呂に入るのも平気だろうと、私はそう考えたのだった。

 

 

 由衣ちゃんの……女の子の、裸。

 

「……き、希沙音……そんなに、見ないでよ」

「へっ!? あ、ご、ごめん」

 

 口からは反射的に謝罪の言葉が出てくるのに、そこになにか引力が働いているかのように、私の視線は由衣ちゃんに囚われたまま。触れれば吸い付いてきそうな肉つきに、ずっと撫でていたくなりそうな腰つき、着痩せしていたらしい胸。

 

「ちょ、ちょっと……」

「あっ……ご、ごめん! 由衣ちゃんが綺麗だから、つい……」

「む……綺麗って……嫌味?」

 

 私が由衣ちゃんの身体を綺麗だと評すると、由衣ちゃんは不満げな声を漏らす。

 

「わたしなんかより、希沙音の方が……」

「へ? 私? あー」

 

 由衣ちゃんが、なんだか複雑そうに私の方を見ていることに気づいた私は、由衣ちゃんが劣等感みたいなものを抱いていて、だから私の言葉が嫌味に聞こえたんだと理解した。

 

 身内のお世辞だと思っていたけど、そういえばお姉ちゃんも私のスタイルを褒めてくれていた。どうやら、お姉ちゃんの言葉は本当のことだったみたいだ。

 

「そっか……ごめん、言い方を変えるね。私、由衣ちゃんの裸を見て、好きだなーって思って……それで、目を離せなくなっちゃった。ごめんね!」

「好っ……!? な、なにを言うのよ、急に……!?」

「わっ、わっ!」

 

 私が言い直すと、由衣ちゃんは顔を真っ赤にして、私の視界を覆うように手を伸ばしてきた。正直に気持ちを伝えたつもりだけど、どうやら恥ずかしかったみたいだ。

 

「ご、ごめんね……! やっぱりちょっと嫌な言い方だったかも……!」

「いっ……嫌とは! ……言ってない、でしょう……!」

 

 由衣ちゃんは私から離れると、背を向けてお風呂場に入っていってしまった。私も追いかけるように、高嶺荘のお風呂場へと足を踏み入れる。

 

 高嶺荘の構造は、どう考えても豪華な一軒家なんだけど……それにしては、お風呂場はより一層大きい。まるで最初から想定されているみたいに、二人で入っても広々としている。

 

「それじゃあ由衣ちゃん、洗いっこしよっか」

 

 いつものように、お姉ちゃんとしていることをするのだと思い込んでしまった私は、ついついそう口にしてしまった。言葉にしてから、もしかして姉妹じゃない相手とは洗いっこしないのでは? という考えに思い当たって、慌てて撤回しようとした……んだけど。

 

「ふぇっ!? そ、そうね……」

 

 その前に、由衣ちゃんはもじもじと身体をくねらせながら受け入れてくれた。良かった……どうやら姉妹じゃなくても、洗いっこは普通のことみたいだ。

 

 そうして、私はのぼせているのかと勘違いしてしまいそうなくらい赤くなった由衣ちゃんと入浴を済ませるのだった。

 

 

「それじゃ、ちょっと早いけど……もう寝ちゃおっか」

「……はい」

 

 私の袖をつまんでぴったりついてきてくれる由衣ちゃんを、自室に招き入れる。

 

 深白さんのおかげで、既に部屋は人を招き入れられるくらいには片付いている。本当に、深白さんが優しくて良かった。

 

 二人でも悠々と入れるベッドに由衣ちゃんを招き入れ、二人で横になる。由衣ちゃんの……女の子の匂い。最初は、もっと違う理由で添い寝を求めたはずなのに、今はもう、この匂いを求めているようになっている気がする。

 

 いつものように、お姉ちゃんにしているように由衣ちゃんを抱き寄せ、目を閉じて、そして……しっとりとした由衣ちゃんの言葉に、私は叩き起こされた。

 

「……シないの? 希沙音……」

 

 目を開けると、由衣ちゃんが切なそうに、縋るように潤んだ表情で私を見つめていた。それを目にして、私は閃いた。

 

 由衣ちゃんは、深白さんの知り合い。つまり、由衣ちゃんの言う『添い寝』も、深白さんのそれと同じなんだ。

 

 求められている。深白さんが私にしたようなことを、今度は私が。

 

 それに気がついたとき、小さな不安と……大きな使命感と、そして、全身を巡るような昂りが、身体の底から沸き上がった。

 

「由衣ちゃん……唇、もらうね」

「んっ……!?」 

 

 深白さんのように。これでも、学習と反復には自信がある。あの時の深白さんの舌技を思い出して、その動きをトレースする。搦め、締め、なぞり、捕らえる。けれどすぐに、これじゃダメだと気がついた。深白さんは、ちゃんと私の弱点を見極めていた。だから私も、由衣ちゃんのことを見据えて、由衣ちゃんのためだけの技を、ここで編み出さなきゃいけないんだ。

 

「っ、ん……~~~~~っ!?」

 

 効果は絶大だった。由衣ちゃんの反応が、目に見えて激しいものに変わる。気持ちいいんだ。私の手で、気持ちよくなってるんだ。そのことに、どうしようもない悦楽が、私の心に満ちていく。深白さんも、こんな気持ちだったのかな。

 

「っは、はっ……はーっ……」

「……良かった。するの二回目だけど、うまくできたみたいだね」

「に、にかいめ……? 嘘、巧すぎ……」

 

 次は、手だ。深白さんはこの次、下ごしらえをするようにその手で私の身体を仕立て上げていた。倣って、私も指を由衣ちゃんの身体に這わせていく。

 

「ちょ、きさね……やっ……」

「あ、そっか……ちゅ」

「んっ!? ぁ、ん~~~~っ!」

 

 何も、手を使うときは手だけしか使えないなんてことはない。私は由衣ちゃんの身体を探りながら、キスを続行する。弱いところを探しているのに、キスをしていたら表情を観察できないのは痛手だけど……由衣ちゃんは敏感みたいで、身体の反応だけでどう感じているのかは手に取るように分かった。なんなら繋がった舌からも、「気持ちいいよ」ってメッセージが克明に伝わってくる。

 

 やがて唇を離したときには、由衣ちゃんは完全に出来上がっていた。そして私の心もまた、なにか触ったことのないスイッチが押されてしまったかのように、知らない私へと仕上がってしまっていた。

 

「……由衣ちゃん、脱ごっか」

「……はいっ」

 

 女の子が、私を受け入れて、全部を曝け出して、委ねてくれている。

 

 そのことに、産声を上げたばかりの猛獣が、私の中で歓喜するのが分かった。

 

 

 ──その日、私は本当の自分の、もう半分に出会った。

 

 

 朝。

 

「希沙音、帰ったぞー。いるかー?」

 

 その声に、私はただ純粋に深白さんが帰ってきた、としか思わなかったけど、隣の由衣ちゃんは違った。それまで目覚めた後も私にしがみついていた由衣ちゃんは、急に慌て始める……けれど、なにかする時間もなく、深白さんは私の部屋の扉を開けた。

 

「希沙音、お前早起きなんじゃ………………」

「あ、み、深白さん……」

「おはようございます、深白さん!」

 

 失礼だけど、見たことのないような間抜けな顔をする深白さんと、気まずそうに顔を逸らす由衣ちゃん。私が普通に挨拶をしても、深白さんから返事は返ってこない。

 

「あ、え、は……? 由衣……? な、なんで……希沙音と……」

「えっと、私、誰かに添い寝してもらわないと眠れないって言いましたよね? それで、仲良くなった由衣ちゃんにお願いしたんです」

「いや、添い寝っていうか……それ、明らかに事後……」

「っ……!」

 

 どうしてか困惑しっぱなしの深白さんとは対照的に、由衣ちゃんが動いた。なにかに耐えきれなくなったのか、服を整えて何も言わずに部屋を後にしようと動き出す。

 

「あ、由衣ちゃん……!」

「っ、待て! 由衣!」

「……っ、な、なによ……」

 

 逃げ出そうとする由衣ちゃんを、我に返った深白さんが捕まえる。由衣ちゃんと深白さんの間に、なんとも言えない絶妙な空気が流れはじめて……次の深白さんの言葉に、それは一気に霧散した。

 

「由衣。怒らないし責めもしないと誓うから教えてくれ。……その、どうだった……? 希沙音との、あれそれ……」

「…………すごい、よかった」

「おぉ……マジか」

 

 なんだかよく分からない会話を終えて、深白さんは由衣ちゃんを解放して、由衣ちゃんはそそくさと逃げていってしまった。頭を抱える深白さんに、私は声をかける。

 

「マジか……マジかぁ……いや、昨日の今日だぞ……?」

「あの、深白さん?」

「希沙音……お前……お前ぇ……。もしかしてあたし、とんでもない怪物を生み出してしまった……?」

「?」

 

 さっきからずっと要領を得ない深白さんに、私は話題を切り替えることにした。

 

「よく分かりませんけど……深白さん、朝ごはん食べました?」

「は、いや……食ってないけど」

「分かりました。由衣ちゃんを引き留めて、三人で食べましょう!」

「えぇ……」

 

 信じられないものを見るような目をする深白さんの手を引いて、私は荷物をまとめる由衣ちゃんのところへ向かう。

 

 この後、三人で私が作った朝ごはんを食べることになって、微妙な空気になっていた二人も、私が間に入ることで自然に話せるようになっていったのだった。良かった!

 

 




ぼくのかんがえたさいきょうの『悪』
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