聖闘士星矢 〜13番目の星座〜   作:くまたいよう

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 シャイナさんのストレート?な作。


シャイナ、日本に

「な、何故だ・・・・」

 

 シャイナは、現実が信じられなかった。

 

「何故だぁぁああああっ」

 

 慟哭が響き渡り、そんな自分を悲しげに見詰める星矢の眼差しがシャイナの屈辱を煽り、忘れたかった感情を呼び起こた。

 

 

 

【アレは5年前の事】

 

 

 

 

 聖闘士を目指す女性はシャイナやライバルである魔鈴を含めて何人かいるが、その中でシャイナは男子顔負けの実力者なのは白銀聖闘士の男達の誰もが認めていた。そんな自分にある転機が訪れたのだ。

 

「あ、あの・・・・」

 

 訓練の後、僅かに気を緩めてしまったのが不覚だった。帰路に着いた途中で見つけた兎に忘れようとした慈愛が出たのかもしれない、小動物を愛でる喜び。だが、そんな自分を見詰める少年がいた。

 

【幾ら強くたって、あんたは女なんだから・・・・】 

 

 

 訓練で負った掠り傷の手当てをしてくれて去って行った少年はライバルである魔鈴に預けられた少年だと知った。その少年は遠目に何度か見てしまった。

 

(ま、あんなもんだろ・・・・)

 

 自分の教え子であるカシオスに何年も負け続けていた星矢の姿を見ていた。聖闘士は体内の小宇宙(コスモ)を燃焼し、爆発させる事で超人的な力を得るが、その闘技を掴んでいない内は体格がものを言うのだ。平均以下と平均以上の表面的破壊力がものを言う戦いには到底敵わない、そう思っていたのが指導者としてのシャイナの最大の過ち。

 

「危ないっ!星矢に近付くなカシオス!」

 

 天馬星座の聖衣を賭けた戦いが行われたが、自分が目を背けていた間に星矢は聖闘士の闘技を正確に身に着け、カシオスを圧倒していた。そして惨劇が起きた。

 

「ペガサス流星拳!!」

 

 魔鈴が得意とする聖闘士の基本技を聖矢が放ちカシオスを打ちのめした。一秒間に八十五発だが聖衣を纏っていない状態であのレベルの技を撃てるのは黄金聖闘士のアイオリアですら感心していた。

 

【完全な敗北】

 

 瀕死のカシオスが救護室に運ばれ、聖衣を授かる星矢を屈辱に震えながら見つめていた。

 

 カシオスが聖衣を手に入れた後で改めて星矢が身に着けた闘技を指導するつもりでいた自分は魔鈴に指導者として完全に負けた。アイオリアを始めとする黄金聖闘士は例外中の例外。自分や魔鈴のように星矢やカシオスとそう変わらない時期に白銀聖闘士となれるのも本来なら上々なのだ。約6年で最下級の青銅になるレベルなら自分の計画は決して間違いではなかった。星矢が既にあのレベルではなかったと見なしていたのは・・・・元々の東洋人、特に日本人に対する差別意識以外のものを抱いていたと認めまいとしてシャイナは一線を越えてしまった。

 

【闇討ち】

 

 夜逃げのようにサンクチュアリを脱出する星矢を襲い、考え通りに聖衣を身に着けても振り回されている。魔鈴がケツが青いからさと言ったように、装着しただけでは聖衣はただの重い鎧に過ぎないのだ。装着した弾みで放った拳はたまたま音速を超えたが、それだけでは取るに足らないとした。

 

「師匠が教えてくれているよ、さあ燃えてみな。死にたくないなら私に戦意を燃やせ」

 

「で、出来ないよ。だって、シャイナさん・・・・は【女】だもの・・・・ぐわっ!」

 

 感情任せに奮った拳が星矢を吹き飛ばして昏倒させた。直ぐにシャイナはトドメを刺すべきだったが出来なかった。

 

(言うな、お前が・・・・お前が、私を女と言うな)

 

 その躊躇いこそが、いっそ悪に染まるべきだったかもしれないシャイナの分岐点だった。駆け付けた取り巻きが星矢を痛め付け始めたが、いっそそのまま絶命してくれたらと思ってしまった瞬間だった。シャイナは嘗てない恐れを抱いて身体を震わせた。

 

「ふざけるなよ、お前等なんかに好きにされる筋合いは無いぜ・・・・喰らえ、ペガサス流星拳!!」

 

(み、見えない・・・・っ!?)

 

 有り得ないとした。自分は白銀聖闘士、聖衣を着けてなくても青銅になりたての正にひょっ子の拳が見えない等は有り得ない。

 

 

 

 

【後に、周りが分析したが。星矢を含む5人が神話の時代から現代迄、つまり聖闘士の歴史上で初の奇跡を起こす戦いに挑む迄で、天馬星座の聖衣を纏った星矢の力が最も高まったのはこの瞬間だとされた。星矢は幾度となく激闘を重ねたが、わかりやすく戦意を高めたのがこの時だった理由があったのだ】

 

 

 

 呆気に取られ、マスクを風圧だけで割られた。マスクが地に落ちるよりシャイナは星矢が将来恐るべき聖闘士になる予感を抱いた時だった。

 

「へえ、シャイナさんってそんな顔をしていたのか。もっと鬼みたいな顔かと思ってた」

 

 シャイナは悟った。自分にとって最大の恥辱であるのだ。黙っている魔鈴等は気にならない。

 

【自分は決断を義務付けられたのだ】

 

 今度、出会ったら自分も聖衣を着けて戦う、だからお前も本気で戦えと言ったが、星矢はそんな事は無いで欲しいなと如何にもな返しをして聖域を去った。そう、シャイナにはそれが救いなのかもしれない。

 

 

 

 そして。

 

 

 

「まさか、お前がな・・・・」

 

 教皇の前に引き立てられたシャイナは恐怖に身を震わせた。星矢にも説明されたが、神話の時代より聖闘士の戦いは正義の戦い、それを破れば世界中の聖闘士が死の制裁を加えに来る。教え子を倒された逆恨みで闇討ちを仕掛けて失敗、部下達は瀕死の重傷等ともっての他だ。これで終わりなら、それもとしたがシャイナは見逃されたのだ。半ば弱肉強食にならざるを得ない聖域では些末な事だ。教皇はシャイナに死を命じる事は無かったが、その時のシャイナでは教皇の【秘密】に気付く術は無い。

 

 せめて、二度と星矢には会うまいとして過ごしていたある日。

 

(・・・・な、何をやってるんだい星矢!?)

 

【ショー紛いのバトル】

 

 日本に帰った星矢は銀河戦争と呼ばれる計十名の黄金聖衣争奪戦に参加してしまった。しかも、その聖衣は事もあろうに十三年前に女神に対する反逆を犯し、聖域を追われ抹殺された逆賊の聖衣であった。当初は教皇や他の白銀聖闘士も偽物だとしたのは同感だ。そのようなものが日本にあるワケがないとした。

 

 星矢達の真意は知らないが、当初は教皇も子供騙しの茶番劇としていたが、途中で女神から見放された集団である暗黒聖闘士を率いる鳳凰星座の一輝が乱入し、奪った商品を巡り青銅聖闘士と暗黒聖闘士の私闘にして死闘を開始してしまったと言う。

 

 そして、シャイナと魔鈴を含む白銀聖闘士が十名も招集された。

 

「状況は説明した通りだ。日本に行き女神の名の下に奴等に天誅、つまり死の制裁を与えて来るのだ。行けっ!」

 

(せ、星矢・・・・何故だ。何故・・・・?)

 

 魔鈴が何故平然としているかすら頭に入れてないシャイナだが、日本に向かうしかなかった。細やかな望みを砕かれた女の顔が仮面の下で涙を流していた。




 さて、冒頭のは何が起きたかな?な引き。
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