シャイナは自分の聖闘士の証である蛇使い座の白銀聖衣が入った箱を背負って合流地点に向かう途中で見知った顔と対面した。その男は出来れば自分で向かいたかったのかもしれないとした。
「任務を引き受けたのは逆恨みで星矢を殺せる機会を再び得たからとして、私を軽蔑しに来たのかい?アイオリア・・・・」
「いや・・・・射手座の黄金聖衣を冒涜した者達には怒りすら覚えている・・・・だからこそ言いたい、シャイナよ。君は星矢を・・・・っ、シャイナ?」
「あんなの星矢じゃないよ、あんたも見たんだろうに・・・・」
たまたま手に入れた銀河戦争の星矢と大熊座の檄の戦いの画像を二人は見た。後の紫龍との戦いなら少しはマシだったかもしれないが、その戦いでも二人には思うところがある。
とにかく檄を倒した戦いは及第点はやれるがシャイナが感じた恐るべき小宇宙が画像の中に感じられなかった。斜に構えた末にまんまと首締めを掛けられた腕の原子を砕いたのは流石だが、そもそも、星矢に敗れた檄こそがシャイナの恥部を掘り起こしていた。
【カシオスと同じだ】
聖闘士の表面的破壊力を身に着けてはいるが、原子を砕くと言う破壊の究極を極めきれていないとした。カシオスが天馬星座の聖衣を手に入れて多少経験を積んだと仮定した姿と重なってしまったのだ。
そもそも、星矢の年齢の頃には白銀聖衣聖衣を授かるシャイナのレベルからしたら青銅聖衣を授かって暫くした後に闘技を身に付けるべきレベルの気持ちは理解しきれない。だからこその指導者失格なのだが、星矢は違う。アイオリアからしても青銅聖衣の基準としては大したレベルなのだ。
「アイオリア、私は出来れば星矢には会いたくないよ。仮にショー紛いのバトルに出て調子に乗ったんだとしたら、私の見立て違いだったとするだけだ。それはあんたも同じだろ・・・・放っておいておくれよ」
そう言ってアイオリアの横を通り過ぎたが、アイオリアはシャイナを悲しげに見つめていた。シャイナの声色で何があったか察したのだ。
【それが過ちの始まりだったのかもしれない】
(日本か・・・・)
出自な問題で差別意識が強かったとしたが、聖域の保有する飛行機で日本に到着したシャイナには此処が日本だと考える事は無かった。見渡すと顔見知りがつまらなそうに、又は敢えて暴れてるのか素なのかな形で潜入した場を内部から破壊していた。
【烏星座のジャミアン】
【御者座のカペラ】
【地獄の番犬星座のダンテ】
【ペルセウス座のアルゴル】
全員、銀河戦争で敗退した側の青銅聖闘士がいるかもと思っていたようだ。今頃は富士の風穴に向かったらしい星矢達の討伐を済ませているだろうが、本来十名等は過剰戦力だとしている。つまらなそうにしていると振る舞うシャイナは怪訝があった。
(あの【夢】は何だったのだ?)
日本へ来る前に、自分が知らない者達が先に星矢達と戦う夢を見た。
【カシオスの兄、ドクラテクス】
【自分の妹分であるガイスト】
そんな者達は知らない。
シャイナも教皇が死んだ後に跡を継いだ新教皇アーレスの元で魔鈴への私刑を行い、アイオリアに嗜められたし、事情を知らないから魔鈴を訪ねて来た星矢を聖衣を纏って襲撃したりした。
その後、聖域に近付く星矢達の旅客機を撃墜して改めて向き合いってから何度か繰り返した戦いでシャイナは負けた。
星矢に一対一で負けた。
会った事が無い凍結拳の使い手と鎖の使い手を同時に相手取って負けた。
白銀聖闘士の自分が有り得ないとしたが、星矢にマスクを割られた時に感じた事が頭に過る際に星矢が青銅聖闘士としては恐るべき類いとしてもやはり有り得ないとし、下らない夢と切り捨てたのだ。
そして、奇妙な伝令が来た。
「城戸沙織を【誘拐】して来いだと?」
グラード財団の現当主であり、星矢を含む百人の孤児を世界中に送り込んだ男は既に死に、その孫娘こそが下らない戦いを開催した張本人であるので制裁対象と言えばそうだろう。だが、行方が知れないのでジャミアンが烏を使って警戒網を張り、シャイナ達も周囲を探る事にした。そしてシャイナは何故か感じる小宇宙の元に向かった。
【猟犬座のアステリオン】
悟りの法を習得した同胞が瀕死の重傷を負いながら自分達に合流すべく歩を進めていたが、聞いた事は信じられなかった。魔鈴が裏切った事より自分以外が青銅聖闘士に倒されたと。
【ミスティとモーゼスは星矢に】
【バベルは白鳥星座の氷河に】
そして、アステリオンは星矢を倒したがトドメを刺す前に星矢を誘き出す為に人質にした魔鈴がいつの間にか拘束を解いて参戦し、魔鈴に悟りの法を破られて敗北したのだと。信じられなかったが、雑兵にアステリオンを任せ戦いの場に赴いたら星矢達青銅聖闘士がいたので近付いたが、聞こえたのはシャイナにも吐き気を催す内容だ。
【城戸光政】
それなりにカシオスを気に掛けたシャイナからしたら光政がやったのは悪魔の所業だ。日本でショー紛いのバトルをやる為に百人の孤児を世界中の聖闘士養成場に送り込んだが、その百人の孤児全てが自分の子供だと。唯一城戸光政が実父だと知っていた氷河の見立てでは暗黒聖闘士を率いて襲撃に来た一輝はその事を知って阿修羅となったのだと。そして、城戸光政の影響のある全て、実の弟として過ごした瞬や自分自身ですら消し去る為に復讐に来たのだと。そして、星矢達は振り切った。
【銀河戦争なんかに参加した自分達がやはり間違いだった】
龍星座の紫龍は師の教えを試すべく出たが、星矢に敗れて試合後に停止した心臓を動かしてもらって命を救われた事により驕りを捨てられ、友情というものに目覚めた。
アンドロメダ星座の瞬はハッキリ言えば論外だと思った。流されるままに参加したが、逆を言えば話に聞くグラード財団に引き取られたと言うより連れ込まれて以来の環境で自我が薄い。
白鳥星座の氷河は当初は教皇により一応懲らしめの為に送られたが、やはり昔馴染みには敵意は向かないでいたのだ。いつの間にか星矢達と共闘をしてしまった。
そして、星矢は生き別れの姉を探してもらうのを条件に銀河戦争に参加したと。
城戸光政の事を知った一輝とは違って何と愚かな事をとしたが、シャイナは自分も同じかとしてしまった。逆恨みで星矢を襲撃した自分には他者は責められない。
(もう良い・・・・)
シャイナはその場を去った。万全ではないのが明らかで、紫龍に至っては聖闘士として戦う事はないとしているなら後は好きなようにすれば良いとした。今から城戸沙織に取り返した偽物の黄金聖衣を届けつつ縁切りしに行くらしいが、そのまま消えるなら消えるで良いとした。ミスティ達には顔向け出来ないが、最早戦う気が失せた。彼等は望まぬ形で聖闘士にされた被害者なのだ。そんな者達に向ける拳は無い。
【そんなシャイナだからこそ、アンドロメダチェーンがシャイナを察知しなかったのだ】
だが、シャイナの意に反して城戸沙織はジャミアンの烏に都市から離れた山地に連れ込まれたと報告が来た。念の為に様子見に来たシャイナが目の当たりにしたのはジャミアンの烏の羽根による拘束を破り、連れ去られる城戸沙織を救出した星矢の姿だった。
「くっ、どうやら右腕が折れたな。ジャミアン、勝負は預けとくぜ」
「ふっ・・・・そんな甘い話が通ると思っているのかい?久し振りだね星矢、約束通り聖衣を着けて来てやったよ、お前と本気で戦う為にね」
思わず介入してしまった。何故かわからないが不愉快なのだ。女を抱えたままではジャミアンに勝てるかどうかだが、それが納得出来なかったからかもしれない。だが、何故かシャイナは介入せざるを得ないとした。
「私とジャミアンに挟まれ、横は崖か・・・・袋の鼠で哀れだね星矢、せめてもの情だ。その女はジャミアンに渡して私と戦え!」
「渡せるか・・・・女を見捨てる真似は出来ない!」
「・・・・ふん、そいつが守るに値する女かい、調べは付いてるよ。元を正せばお前達が各地で地獄を見たのは・・・・お前達の【父親】の下らない欲望のせい。跡継ぎであるその女が反吐が出る欲望を叶えてやろうとして、女神の聖闘士にあるまじきショー紛いのバトルを開催したからお前達は制裁対象になったんだろ。縁を切って姉さんを自分で探しに行ってもお前はもう逃げられないんだ。せめて私が地獄に送ってやる!さあ、あの時に闇討ちに来た私を怯ませた力をもう一度見せてみろ星矢!!」
星矢は目を丸くした。制裁を加えに来たのだから状況を把握されているのは有り得るからともかく、シャイナからは殺意が感じられない。寧ろ、感じるのは何年か振りだとする類いだとしいる内に目を覚ました沙織に確認を取り。
【星矢は崖から飛び下りた】
幾ら聖闘士でも、この高さから飛ぶのは有り得ないとしたが。そんな星矢がまるで流星のようだとしたが、シャイナは胸がざわざわとしていた。
(な、何だっていうんだい。星矢が可愛い真似したとかじゃない、何かが引っ掛かる?)
夜の星が輝く中、星矢が飛び下りたのは何故か綺麗なようで崖下ではなく何処か既視感がある場のように感じた。
【それが歪みの予兆であった】
アニメ要素はあるが、原作寄り。
カシオスを基準にしたら青銅聖闘士ってもしかして聖衣を授かってから改めて小宇宙を使った戦い方を学ぶのが基準なのではな要素な回。