聖闘士星矢 〜13番目の星座〜   作:くまたいよう

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 前回、聖衣に見放されたシャイナさんだが?な回。


シャイナの小宇宙

 シャイナは辛く苦しい修行時代を思い出していた。10代半ばで白銀聖闘士になれる女は黄金聖闘士の次を争うエリートである事に誇りを持っていたのにと。自分の誇りの証だった蛇使い座の聖衣に見下さるれる自分は蛇に睨まれた蛙より惨めな存在だとした。

 

(何の為に・・・・)

 

 自分は何故苦しい修行をとしたが、そこで思い出してはいけない声が響いた。

 

【・・・・女なんだから】

 

 崩れる自分を支えてくれる星矢の温もり、自分はこれを忘れないといけないとしたから修行に励んだ。だが、無理だった・・・・せめて、唯一の道を選べれば。

 

「シャイナさん、もう良いだろ」

 

「う、うるさい反逆者の癖に・・・・お前が、お前が日本で私闘なんかしないでいれば・・・・私は、私はああ・・・・っ!!」

 

 最早、シャイナの中で全てが決壊した。日本で私闘なんかしないまま将来、自分すら凌ぐ聖闘士になってくれれば素顔を見られた女聖闘士として殺す以外のもう一つの道をとしてしまった。そんな自分が惨め過ぎて更に涙が流れた。星矢はシャイナが私闘への制裁失敗した事としようにもシャイナの中で何もかもがおかしい。暴れるシャイナの両肩を掴んで正面から向き合う事にした。

 

「・・・・なあシャイナさん。俺も信じたくない事なんだけど、聞いて欲しい理由があるんだ。あの銀河戦争、実は・・・・っ!」

 

 二人は凄まじい、小宇宙を感じた。白銀聖闘士の新手にしては次元違いに過ぎる。

 

「逃げるのよ星矢!」

 

 本能でそう叫んだが、気付いたら小宇宙を感じた方向に見えない力で引き寄せられた。姿を見せたのは二人も知る顔だが、その姿は全身を黄金に輝く聖衣で覆っていた。

 

「星矢・・・・こんな形で再会するとはな」

 

「ア、アイオリア・・・・?」

 

「ば、馬鹿な・・・・教皇は私達だけでなく黄金聖闘士のアナタまで派遣したと?な、何故そこまでして・・・・」

 

「ふむ、確かにそうだ。だがやむを得ないと思わないかシャイナ、白銀聖闘士8人がたった5人の青銅聖闘士相手に敗死したのだ。正直驚いたよ、青銅聖闘士が白銀聖闘士を倒した等と聞いた事は無い。ならば俺が出向く事も有り得よう」

 

 アイオリアの言葉は確かにだが、正にライオンに睨まれた小鼠のような心境だった。黄金聖闘士の力の全容を二人はまだ知らないが、聖域においてアイオリアが現存の全聖闘士の中で1、2を争う屈強を誇る男だと評されている程度は知っている。死を覚悟せざるを得ないのだ。

 

「ま、待ってアイオリア!星矢を殺すつもりだね、星矢は私が・・・・」

 

「シャイナ、もう良いだろう。君は教え子を倒される前後の行動が目に余った。それに報告は聞いた。何故かジャミアン達、同胞を見殺しにして何をしていた?」

 

 それはシャイナにとって一番の過失だ。星矢とて気絶していたから聞いただけだが、何故かシャイナは紫龍達が駆け付けた後の戦いに不参加だったのは気になっていた。仁に熱いアイオリアからしたら詰問は必然だ。

 

「見たところ、聖衣を着けてないのは対等の勝負をしようとした感じではないな。病院の近くとすると、療養中の星矢を暗殺でもしようとして失敗した果てに見捨てられたか?」

 

 図星。ある程度知識はあるハズなので予想が付くのだとしながら更に涙するしかない。

 

「せめて、最後は大人しく裁きを受けるが良い」

 

「な、ならば・・・・ならば、せめてもの情を。星矢を私の手で・・・・」

 

「シャイナ、君に星矢を殺す事は出来ん。それは君が良くわかっているだろう」

 

「う、うるさい。星矢、逃げるんだ!・・・・ここは私が何とか・・・・」

 

 一歩踏み出したアイオリアにサンダークロウを打ち込もうとするが、気付いたら衝撃が額に走りシャイナは倒れ伏した。何をしたか分からないが星矢は間に入って叫ぶ。

 

「よ、よせアイオリア!シャイナさんに関しては暗殺され掛けた俺だって何があったかよくわからないんだ!シャイナさんには何かが起きている。俺は私闘をした制裁を受けても良い・・・・だから、シャイナさんに何か起きている事だけは信じてやってくれ!」

 

「せ、星矢・・・」

 

「嘘ではないようだな・・・・よかろう。女子に対してこれ以上の事は無用、事情は聞く。星矢、お前も昔の馴染みで命だけは助けてやる。その代わり他の四名と黄金聖衣はどこだ?」

 

「ふざけるな、仲間を売ってまで生き延びたいと思うかっ・・・・それやるくらいなら。例え、聖域での良き先輩だったあんたが相手でも、とことん戦うぜ!!」

 

 星矢は小宇宙を高め、全力のペガサス流星拳を放つが、星矢とシャイナは驚愕した。流星拳が全てすり抜けて行くのだ。打ち終わった星矢を見るアイオリアは哀れむようでどこか温かさを感じる光を目に浮かべていた。

 

「見事だ星矢、聖衣を着けてないのにこの威力と速度とはな。道理で白銀聖闘士を倒せたワケだ。私闘をせずにいたなら今直ぐにお前を白銀に昇格させるべきと推薦したい」

 

 そして青銅、白銀、黄金の差をアイオリアは語る。シャイナも痛感したように青銅は音速1で白銀聖が音速の2〜5倍。千分の一秒の差が勝負をわける聖闘士同士の戦いで白銀聖闘士を倒した星矢達は確かに青銅から逸脱しているが、黄金聖闘士は音速の約90万倍の光速の動きなのだ。如何に星矢がシャイナ以上とすべき小宇宙を秘めていても、これを即座に埋める術は無い。

 

 最後通告を言い渡れるが、星矢は跳ね除けた。やはり友を売れはしないのだ。

 

「・・・・ならば。せめて苦しまないように葬ってやる。受けろ星矢、獅子の牙を・・・・」

 

 正に牙を剥いた黄金の獅子となったアイオリアは渾身の右ストレートから繰り出す技を星矢に向けたが、その一撃は星矢に届かなかった。

 

「な、何っ!」

 

「う、うう・・・・」

 

 星矢の前に出たシャイナはアイオリアの拳から放たれた光の弾を受け止めていたが、所詮は生身の両手ではズタズタになり鮮血が落ちるがシャイナは星矢の声すら意に介さず全力で小宇宙を燃やしていた。

 

(・・・・神よ、奇跡を!一瞬で良い、聖闘士ですらなくなった私が、例え黄金聖闘士が相手でも・・・・私に星矢を守れる力を!力・・・・を!燃え上がっておくれ、私の小宇宙!)

 

 聖闘士とアイオリアは目の錯覚かとした。シャイナの小宇宙が一瞬だが、黄金の輝きを放っていたのだ。それはアイオリアが知る小宇宙の究極のようで何かが違うとした際に受け止めたエネルギーはシャイナが消し去っていたが余波は消しきれず。ダメージで倒れ伏したシャイナを星矢が抱きかかえた。

 

「な、何で・・・・」

 

「ふ、星矢。素顔を見られた女の聖闘士は、見られた男を殺すか・・・・愛するしかないのさ」

 

 それが掟、だがシャイナは本当は5年前からだけは隠した。せめてもの意地だ。

 

「星矢・・・・素顔を見られた時から感じていたお前の小宇宙は優しくて温かいよ。だから、お前が私闘をしたと聞いて許せなかった。けど安心した。お前の小宇宙は、正義の・・・・聖闘士の持つべき小宇宙だ。だから、信じるよ・・・・その小宇宙を、正し・・・・くっ!ご、ごめんね星矢・・・・私は貴方にこうされただけ、で・・・・嬉しい、よ・・・・」

 

「しゃ、シャイナ・・・・さん!シャイナさあああん!」

 

 星矢の声は意識を失ったシャイナには届かなかった。だがシャイナの日本での闘いは終わった。この後に聞くべきだった事は一命を取り留めたシャイナに対するアイオリアからの手紙により知ったのだが、それも新たな戦いへのキッカケとは知るのは間もなくであった。

 

 

 

 その頃。

 

 

 

『く、くくく。シャイナと言うのか、面白い女よな。白銀聖闘士の一人程度で取るに足らんが、だからこそ良い・・・・ふはははは!』

 

 聖域において、最早誰も近付く術の無い場から高笑いが響く。シャイナの次の戦いが迫っていた。




 アニメOP歌詞に言えば、シャイナさんの心の小宇宙は熱く燃やした結果、聖衣無しなシャイナさんのレベルでは有り得ない奇跡=アイオリアのライトニングボルトを正面から防いで星矢守るに繋いだ回。それから意地っ張りは微妙に捨てられなかった。
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