星と魔術師   作:ワンダ・プレイア

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しばらくカズ目線が続きます。
頑張れ、カズ!と思ってあげて下さい。


無月①

 無機質な扉に強く体を叩きつける音が響く、だが分厚い鉄の扉はびくともせず。俺達がここに閉じ込められた証明が色濃く残るだけだった。

 

 室内にある唯一の窓、その外に見えるのはなにかを組み立てるロボット。流れ作業中の彼らが俺達の存在に気が付きもせず稼働し、天井のライトが一瞬だけ消え、またついた。今の状況を憐れむかのように感じてしまった。

 

 無理だと分かっていても何度もタックルを繰り返して、肩の痛みを堪えていた郷田の苛立ちが募り。アミが後悔に苛まれ膝に顔を埋め、仙道が窓の外を退屈そうに眺めている。それぞれがこの無の時間から脱出や逃避ができないかと奮闘している。

 

「どうして……どうしてこんなことに」

 

 視界が揺らぎ正常な判断ができず、情けない台詞を口にするのは何度目だろうか。

 

 どうしてこうなった、どうして俺達じゃ駄目だったのか。

 

 それを考えるのには少し思い出さないといけない……。

 

 

 

 

 

 

 

「カズ……ゴライアスの場所、知ってるわよね?」

 

 夕焼けと向き合いながら、遥か遠くを見つめるアミからそんな言葉が出た。

 

 地殻発電所が稼働することが確定し、その実験の最終調整がされることがニュースで放送される中。俺達シーカーにも大きく動きがあった。

 

 タイニーオービット社の新社長として拓也さんが役員を解雇したり、シーカーの新メンバーとして強化ダンボールを開発した霧島さんを招き入れたりと、バンが居なくてもシーカーは動いている。

 

 海道義光の企みを止める為に、これ以上の被害を防ぐ為に、俺達は動かないといけない……もう止まることは許されないんだ。

 

 そんな中、タイニーオービット社から持ち出されたエターナルサイクラーのサンプル。その保管場所が判明した。

 

 神谷重工本社工場『5-RAI-AS』……通称ゴライアスと呼ばれる場所の地下最深部にあると。

 

「取り返しに行きましょう!」

 

 一番に声を上げたのはアミだった、俺もそれには賛成だ。例えそれが敵の本部だったとしても、これ以上イノベーターの悪いようにさせるべきじゃない!だから俺も乗り気で次の言葉を待った。だが、大人というのは慎重で……時に驚く程に臆病になる。

 

「すぐにでも突入したいが、警戒レベルも他の施設とは段違いだ……潜入できるかどうかも怪しい」

 

 目線を落とし、せっかくの手がかりをみすみす手放そうとしている拓也さんを見て。俺は少なからず怒りが湧いてしまった。

 

 今までのイノベーターの悪行を見てきて、悠介さんまで失った現状なのに……今更警戒レベルがなんだってんだ!早くしないと、また大きな犠牲が出てしまうと言うのに……。

 

 拓也さんの言い分が正しいのは理解している、だからこそのなにもできない歯痒さに耐えられなかった。だから、口が開いて決意を言葉にしてしまう。

 

「行こうぜ拓也さん!もし今躊躇ってたら、いつエターナルサイクラーが悪用されるかわからないんだろ!?」

 

「悠介さんが命をかけて守ろうとしたエターナルサイクラーを、取り返すチャンスですよ!」

 

 俺達が声を上げても、拓也さんは一向に首を縦に振らず。暗い表情のままなにかを深く考え、辿り着いた結論を静かに口にした。

 

「……駄目だ、やはり準備が足りない。焦る気持ちはわかるが、今は待機だ」

 

「だけどよ――」

 

「いいか、これは今まで以上に危険な場所だ。この前のエンジェルスターのように安易な場所じゃない!くれぐれも勝手な行動はするなよ!」

 

 いつもに増して覇気迫る勢いで俺達に釘を差し、今後の作戦を練る為に背を向けた。

 

 さすがの拓也さんの勢いに俺も今回ばかりはしょうがないと諦めたが、隣のアミの目はまっすぐ前を見ていた。

 

 アミのなにか企む時の顔ってのは、大抵前を見て口元を曲げる……今回もそれの予兆があったが、まさかこんなにも早く向かおうなんて言い出すとは思わなかった。

 

「知ってるけど、いいのか?拓也さんに今度こそ怒られるぞ?……それに作戦も情報もなにもないし」

 

「まあね、でもこのまま動かないのはどうかと思う……せめて下見だけでも出来ればいいんだけど……」

 

 そう言いつつCCMを操作して誰かに電話を掛け始めた。その勇ましいまでの顔を見る限り、やはり盗み聞きしたあの場所にいたあの泣きじゃくる声と同一人物に思えなくなる……そう思いたいだけだとしても、俺にはやはり信じられない。

 

 耳からCCMを離してアミが階段を降り始めた、急いでその後ろを追って俺も階段に足を掛ける。

 

「とりあえず郷田と合流して、出来ることを探しましょう。すぐに潜入できなくとも……なにか、私達だから出来ることがある筈だから」

 

「だな、さすがアミ!やっぱアミはそうでなくっちゃ!」

 

 普段通り前向きで、いつも俺を引っ張ってくれるその姿に安心感を覚えてしまう……そうだ、やっぱアミはいつも通り。あの時のスラムに居たのはきっとアミじゃなくて、別の誰かだったんだろう。

 

 俺の早とちりでアミになんて恥ずかしいことを考えていたんだろう……なにも心配することはない、それがわかってすごく安心できる。

 

 ふと前を歩くアミの鞄に、ゆらりと揺れる違和感が目に留まった。

 

「……マンタのキーホルダー?あんなのつけてたっけ」

 

 なぜかそれを見ているだけで、心の奥のなにかがザワついた。理由はわからない……だけどなぜだろう、この拭えない感情の正体はなんだ?でも、エターナルサイクラーのことがなによりも大事だ。今は関係のないことと考え、なにもない事にして感情を頭から追い出し、郷田と合流する為に駅へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 タイニーオービット本社から一番近い駅、その出入口付近まで辿り着き、俺達は郷田を探した。

 

 あの目立つ風貌と絶対に他で聞かない下駄の音はどこからもしない……まだ来ていないようだった。

 

「……来てないな、さすがに」

 

「さっき電話したら、今すぐ飛んでくるって言ってたけど。やっぱすぐには無理ね……少し待ちましょうか」

 

 CCMに連絡がないか確認し終え、俺にそう声をかけて壁際に移動する。今後の動きとか、バンのこととか……色々話をすべきことはあるはずなのに、口から出てくる疑問は別のことだった。

 

「そのマンタの、前からつけてたっけ?」

 

「え?……あ、ああ!ずっとつけたままだった。これね、ちょっと……色々あって……」

 

 俺に指摘されるまで忘れていたかのように、慌てて掌でマンタを隠し。俺の目に入れたくないように鞄から外して、内側のファスナーに移動させていた。まるで、見られては不味いものだったかのように……。

 

「好きなの?マンタ」

 

「いや、別に……変な顔よねぇ、マンタって……」

 

「じゃあなんでつけてるんだよ、隠すこたぁないだろ」

 

「そ……そうなんだけど、あんまり言いふらさないでね」

 

 なぜか恥ずかしそうに頬を赤らめて俯いてしまった、なにか隠し事をされているんじゃないか。そう考えて不意に眉を潜めてしまう。

 

 なんだよ……別に変じゃないってのに、アミがそういうの好きだったって恥ずかしがることなんかないのに。

 

「そうだ、最近仙道とはどうなんだ?仲良くできてんのか?」

 

「んな!?……なんで今その話になんのよ!」

 

 今度は驚いて手を胸の前に隠すように、俺を警戒しているような態度を取り出した……ただ気になって聞いただけでそんな大げさに反応することか?やっぱなにかあったのか、あの日に。

 

 俺が考えつかない、辿り着けない場所で……確実にアミを変えたなにかがあった。未だ俺が知らない事が増えていくのが、辛くて……見て見ぬふりが出来ず、ついお節介を焼いてしまう。

 

「なあ、仙道になんか唆されたとか。脅されたとかしてないよな?」

 

「……だからカズが思っているように、仙道は悪い奴じゃないんだって」

 

「そうなんだろうけどさ、やけにアミから突っかかっていくからなんかあったのかは知りたくて……まあいいや、トラブルがあれば頼ってくれよ?」

 

 これ以上踏み込む勇気が出なかった、そう言い訳が喉元まで出てきそうになった。ついいつもの癖である程度まで踏み込んで止めてしまう、中途半端に首を突っ込んで痛い目を見ているというのに……色々聞きたいけど、これ以上アミに嫌な思いもして欲しくない。成長しないな、俺って。

 

「カズは……ちょっと頼りない」

 

 ポロリと溢れたアミの本音に、俺の心にファイナルブレイクが炸裂して倒れかける。譲歩して引いたらこの仕打ちかよ!

 

 俺は確かに頼りない、でも相談相手くらいにはなれるのに……俺そんな信頼なかったのかよ、ずっと一緒に戦って来たのに。

 

 ダメージを受ける俺がちょっと面白かったのか、アミの顔が柔らかく緩んでいた。ちょっと気持ちが楽になる手助けが出来て良かった……にしては俺のダメージがデカいけどな。

 

「おーい!アミ、カズ。待たせちまったなぁ!」

 

 響くようながなり声が聞こえる、アミと共に目線を向ければ手を振って下駄の音を引き連れて郷田が現れた。

 

 お待ちかねの人物に喜んだのも束の間、その後ろを嫌々ついて来ている人物の顔が目に入ってしまい、俺の一瞬の希望が絶望に叩き落とされた。

 

「せ、仙道!?なんでお前が――」

 

「こいつか?暇そうだったから引っ張ってきたんだ。戦力は多いほうがいいだろ?」

 

 親指で後方を指差し、郷田のお気楽なその様子を、仙道は不快そうに黙って睨んでいた。そんなふたりの様子を俺は、複雑な感情で見つめるしかできなかった。

 

 つい腕を組んで考える……あの仙道が素直についてくるか?例えそれが郷田の強制連行の賜物だとしても。

 

 それに、アミにもそうだったが仙道にも強い違和感を感じる。郷田に睨みを利かせたかと思えば、一瞬だけアミに視線を向けてポケットからタロットカードを出していた。別に異変はないのだが……。

 

 おかしい。いや、俺から見ればいつも通りの仙道っぽい仕草なんだけど、言葉には表せない違和感を感じた。それでもやはり仙道とアミに関わる核心的な事実はわからない、今は黙っていよう。

 

「それでアミ、電話くれたようにゴライアスに……あるんだな」

 

「ええ、拓也さんが言うにはね」

 

 アミの少ない言葉で、郷田の顔が引き締まる。それが郷田なりの決意の表れだとわかった。

 

「なんだ、ならとっとと取りに行けばいい……それが駄目なら別の手を考えるべきだ」

 

「仙道、嫌々ついてきた癖に……急にどうした?」

 

 顔を上げた仙道の言葉に眉を寄せた郷田が茶々を入れる、また郷田を睨みつつポケットからタロットカードを一枚取り出して。顔の横に掲げ見せてきた。

 

「『魔術師(マジシャン)』のカード、能動的に踏み出さなければ絶望の中にいるまま……ならやってみてもいいんじゃないのか?」

 

 珍しく前向きな提案をする仙道の言葉に、本当にその口から出てきたのかと疑って顔を覗くように見つめてしまった。

 

 俺の視線に気がついた仙道と目が合った。不思議そうに俺を見つめる仙道はやはり俺の知っているままだ。傲慢そうで気取ったキザな風格は変わらない……でもやっぱり今までと違う。

 

 なにかが吹っ切れたような、ジメッとした憑き物が落ちたような、俺が知っている仙道ダイキじゃない……そんな気がする。

 

「所で、ずっと気になってたんだが――」

 

 俺の顔をまっすぐ見ながら一歩、また一歩と仙道が歩みを進める。その特有のプレッシャーをひしひしと肌で感じ、怖くて動けない俺を舐め回すように観察している。まるで初めてみる生き物を観察する研究員のような……そんな感じに思わず固まったまま目だけ仙道を追った。

 

 満足するまで俺を観察し終え、固唾を飲んで見守る郷田とアミに振り返って素直な質問を投げかけた。

 

「こいつ、誰だ?こんな奴前からいたか?」

 

 嫌味も皮肉もない、まっすぐな疑問に今度はアミと郷田の動きが止まった。

 

「お、おいおい……お前何度も顔合わせてんだろ。知らないわけないだろ」

 

 さすがの郷田でさえ呆れてしまっている、アミは額に手を当て「あちゃー」と呟くのが聞こえた。

 

「いや、覚えがない……えと……少し時間をくれ、思い出してみる」

 

 タロットカードをしまい、顎に手を置いて記憶の端々を探し始めた。

 

 たしかに自己紹介やちゃんとした会話もした覚えはないし、個人的に戦ったりチームを組んだ記憶もない……それでも一緒に行動した実績はある!だから、すぐ仙道は俺を思い出す……その筈なんだと。

 

 そう思って待ってはみるものの、顔をしかめうっすらと冷や汗をかき始めた。しかしいつまで経っても仙道の口から、俺の名前が出てくることはなかった。

 

 次第に顔が青くなり始め、郷田が苦笑いを零し始めていた……郷田ってあんな顔すんだな、ドン引きしてんじゃん。

 

「フェンリル!フェンリル使ってたプレイヤーよ、その人物がカズなのよ!」

 

 痺れを切らしたアミの口から俺の機体名が出た途端、仙道の記憶のどこかにあった俺が鮮明になったらしく。顔がパッと晴れたようだ……そこまでしないと思い出せなかったのか、俺って……。

 

「そうか、こいつが……」

 

 アミの言葉に目を丸くした仙道が再び俺の顔を見る、でも思い出してもらってあれだが。正直嬉しくはない……俺がこんなに敵意を向けていたのに、対する仙道は元々眼中にすら入れていなかった。その事実が俺のなにかを刺激するだけだったからだ。

 

「はじめまして……とは違うが、名乗らせてくれ。仙道ダイキだ、えと――」

 

「カズ、青島カズヤだ……好きに呼んでくれて構わないぜ?」

 

「そうか、よろしくな青島カズヤ」

 

 ぶっきらぼうにそう言うと、すぐに俺から意識をズラしてしまった。

 

 なんだか、こんなことを思ってしまっていいのかわからんが……やはり俺は仙道が信用できない。

 

 仲間の顔すら覚えていないだなんて……なんで郷田もアミもこいつなんか呼ぶんだよ、ゼッテー俺のほうがみんなを見てて頼りになると思うんだけどなぁ。

 

 まだ始まってすらいない筈のゴライアスへの道のり……その雲行きの怪しさに気が重くなった気がして思わず不安が漏れた。

 

「大丈夫かなぁ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 ゴライアスへ潜入……という大掛かりな目標は立ったものの、俺達には拓也さん以上に情報を獲得する手段はない。だからとりあえず――。

 

「今月の新作はうまいなぁ……うん、やっぱチーズバーガーにハズレはないな」

 

「めっちゃ食うなカズ、もっと食えよ。腹が減っては仕草はできんって奴だからな!俺も負けてられねぇ!」

 

「戦よ、い・く・さ!もう……なんで私達ハンバーガーショップでご飯食べているのよ」

 

 我関せずとコーヒーを口にする仙道が窓の外を眺めている。作戦会議と称して、とりあえずファストフード店に訪れた……それが正しいのかはさておき。

 

 俺の隣には大口でハンバーガーに齧り付く郷田、正面にはちょっと呆れているアミとコーヒーを流し続けている仙道がいる。席の配置は郷田の独断だったが、仙道に一番遠い席で安堵している自分が居るのも事実だった。

 

「とりあえず、情報の共有だ……アミ、頼めるか」

 

 何個目かのハンバーガーに手を伸ばしながら、郷田がアミに話を振った。リスのようにポテトを頬張っていたアミが真剣な顔に戻り口を開いた。

 

「神谷重工本社工場『5-RAI-AS』……通称ゴライアスと呼ばれる場所の地下最深部にあるって拓也さんは言ってたの。でも警備が厳重で忍び込むこともできないんだって」

 

「なら、現状シーカーは――」

 

「戦力を上げて侵入ルートを調べ上げているわ。私達は、待機だって……」

 

 さっきの拓也さんとの会話を思い出したのだろう……次の言葉を飲み物と一緒に飲み込んでしまった。隣の仙道は窓を眺めながらなにか考えているようだった。

 

「じゃあシーカーも今は動かないんだな、ここで二の足踏んでていいのか……不甲斐ねぇな」

 

 飲み物の入った容器が変形するほどに力を込めたせいでストローから内容物が漏れ出した。慌てて手に零したものを拭き取っている郷田の様子を、仙道が冷たい目線を向けつつ口を開いた。

 

「敵の主勢力が生まれる場所、そんな場所に少数で向かったって結果は見えている……少し調べただけで悪い噂がこんなに出てきたぞ」

 

 CCMになにかを表示した画面を俺達に見せてきた、なにかの掲示板のまとめサイトのようだった。

 

 題名を見れば『神谷重工にまつわる黒い噂まとめ』と書かれ、エンジェルスターの黒い話や武器密造まで……噂なんて言葉で固められているものの、なかなかに読み応えのある記事が並んでいた。

 

 さっきまで仙道は仙道なりに調べていたってことか、話聞いてないんじゃないかって思っていたのは言わないでおこう。

 

「軽く調べて、とりあえず一番上を開いただけでこれだ。俺達だけで盛り上がるのは勝手だが、少しは敵の情報を集める努力をしろ……『戦車(チャリオッツ)』も進むだけでは敵を倒せない」

 

 戦車の絵柄のカードを逆さまに取り出し、またお得意のタロットカードでの説教を繰り出した。鼻につく言い方に少々嫌気が差してしまう、普通に喋ってほしいんだけど……。

 

「そういうわけで、馬鹿の一つ覚えみたいに突っ込めば解決する事案じゃない……このお手本のような能無しを見ろ。お前らもこうはなりたくないだろ?」

 

 郷田を一瞬だけ見て鼻で笑ってまたコーヒーを口に運んだ。挑発を真に受けた郷田が椅子から立ち上がり、睨みを利かせているのに、白々しく目線を合わせない。俺なら怖くて震えあがってしまいそうなのに……このふたりの異次元の関わり合いはよくわからない。

 

「じゃあ……行き止まりってこったな、やっぱ下見くらいで終わらせ……わり、ちょっと連絡が」

 

 震えたCCMを開き、通知を確認してみる……送り主の名前をみて思わず席から立ち上がった。

 

「か、カズ!?どうしたの」

 

 一触即発の郷田と仙道が睨み合いを止め、最後のポテトを口に咥えていたアミが俺の名前を呼んだ。

 

 震える手で届いていたメールを開き。その差出人の名前を口にした。

 

「レックスからだ……どうやら、ゴライアスの潜入ルートが書いてある」

 

 その内容を読み上げ終わると、俺達は目を合わせてハンバーガーショップを後にした。

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