星と魔術師   作:ワンダ・プレイア

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と言ったな、あれは嘘になっちまった。すまない


世界の終わり

「全く!お前達には手を焼かされっぱなしだな!」

 

 シーカー本部に戻ってきた俺達を迎えたのは宇崎拓也の怒号だった。

 

「ご、ごめんなさい……オレ達のせいで――」

 

「本当だよ、こういう危ないことは大人に任せておけばいいってのに……」

 

 端末を弄りつつ、見知らぬ女性が山野バンにそんな言葉を投げていた。俺は隣でしゅんとしてる川村アミに、少しだけ顔を近づけつつ小声で質問した。

 

「……あんな奴、居たか?」

 

「霧島さんと一緒に紹介があったでしょ……あ、仙道はいなかったもんね」

 

 先頭でしょんぼりしている山野バンを取り囲んだ大人達の顔を小さく指さしつつ、名前を教えてくれた。

 

「あの赤い長髪の男性が『八神英二』さん、今キーボードの前にいるのがハッカーの『真野晶子』さん。そして壁側にいる……背の小さい男性がメカニックの『矢壁』さん、ほっそりしているのがパイロットの『細井』さんよ……エクリプスっていう戦闘機に関係するサポートをしてくれるんだって」

 

 そんな人もいたのか……シーカーは才能の渋滞だな。

 

「ちなみに霧島さんってのは、強化ダンボールを開発したすごい人よ……ほらあそこ、茶色いスーツ着ている初老の男性よ」

 

 目線をずらして確認すると、山野バンを申し訳なさそうに見つめる人物がいた。そして、俺はこの人物を知っている……なんなら出会ったことがある事実にすぐ気が付いてしまい、つい声を上げそうになってしまう。

 

「襲撃事件の時、すれ違ったオッサンか……どうりでどこか見覚えがあったはずか。だとしたら……」

 

 小さな特異点に、自分がいたという真実に気が付いてしまって気が滅入って目の前が大きく歪んだ。

 

「あの時、俺が気がついてさえいればドングリは存在しなかったのか?……いや考えるな、ただのタラレバにかならない」

 

「どうしたの?急に顔色悪くなったわよ」

 

 独り言を聞かれていたかと身構えたが、どうやらそういった様子ではなさそうな川村アミが、俺の顔をまじまじと見つめていた。適当な言葉であしらいつつも、軽い咳払いで無理矢理に会話を終わらせた。

 

「まあ、お前らが無事なのは喜ばしいことだ……エターナルサイクラーを取り返してきてしまうとは、考えもしなかったがな」

 

 宇崎拓也は手に持ったままのエターナルサイクラーサンプルユニットを睨みつつ、捻くれた賞賛を送っていた。

 

 そう、山野バン達と再開した後の話だ。

 

 黒幕の筈の海道義光がアンドロイドだった……その事実は一旦置いておきつつ、本来の目的であったエターナルサイクラーの奪還の為にゴライアスの奥地へと進んだ。しかし、また神谷コウスケが俺達の前に立ち塞がり、道を阻んだ。

 

 ゼノンを操る海道ジンでさえ追いつけないスピード、オーディーンを操る山野バンのカリスマ的センスでさえ届かないクオリティに、万事休すとなったが……なぜか奴は退いた。山野バンにエターナルサイクラーを投げ渡し、理由も告げずに「また会おう」と言って去っていった。

 

 それがなにを意味するかはわからない……ひとつ確かなことがあるとするならば。イノベーターとの戦いは、エターナルサイクラーを取り返しただけでは終わらないらしい。

 

 これで綺麗にエンディングからのスタッフロール……なんて映画みたいなご都合的にカットとはいかないようだ。道のりはまだ険しく、俺達の行く末に修羅場はまだ立ちはだかっているというわけか。

 

「所でだ……バンとジンはともかく、今回はお前らの誰がゴライアスに潜入しようと企んだ?」

 

 バンがこってり絞られた後、その後ろで待機していた俺達をジロリと睨み、宇崎拓也は事の原因を探り始めた。

 

 まあこうなるだろうな……いくら情報や成果を持ち帰ったとはいえ、あまりにも無謀がすぎた。責任を背負う側としては異分子を炙り出し、出すぎた釘を今ここで打っておきたいのだろう。

 

「え、えっと……」

 

 横の川村アミが口ごもりつつも手を挙げようとしているのが見えて、嫌な未来を想像してしまい……らしくないのに言葉が出てしまった。

 

「誰が企んだとかはなかった、ここにいる全員が自分の意思で向かっただけだったぜ?」

 

 実際その通りであっただけで、川村アミだけが悪者になる必要はない……その意思が全面に出たようになってしまった。故意に庇ってしまったようなもんか、らしくないな。

 

「な、なんだと!?……仙道、正直お前は反対したんじゃないかと思ったが、違ったのか?」

 

 意外な人物が名乗りを上げたことにより、宇崎拓也や他の大人達の視線が一斉に俺に集まった。あまりいい気はしないものの、気にしていない素振りで気取った言葉を羅列していった。

 

「情けなくビクついて二の足を踏むような、お前ら大人共に代わってやってみるのもなんだか面白そうだと思ったから乗っただけさ。それに……」

 

「それに?なにか理由があったのか」

 

「神谷重工産の珍しいパーツでも拾えれば、儲けもんくらいで行ったのさ……塵ひとつなかったがね」

 

 俺のあっけらかんとした責任感の無さに、宇崎拓也は眉間に皺を寄せた。やるせなさのせいか徐々に顔が赤く染まっていく様を眺めた。

 

「お前……今回のことがどれだけ危険であったか、分かってなかったのか。これは遊びじゃ――」

 

「おっと、癪に障ったかな?それは失敬、おいそれと出すぎた真似をしたな……クククッ」

 

「おい仙道、いい加減にしろよ!……すんません拓也さん、こいつのことは後で俺からも言っておきます。でも実際言う通りで、俺達全員で決めたことなんです!だから誰が悪いとかはないんです、本当に申し訳御座いませんでした!」

 

 あまりにも反応が良いもんで、ついいつもの調子で口が回りすぎたようだ。郷田に止められつつ、奴は俺の言葉に乗っかるように言い訳をせず頭を下げていた。

 

 郷田なんかに被せられるのはあれだが、とりあえずもう黙っていよう……横にいる川村アミが俺の太ももをつねっているのもあるし。

 

「郷田まで……檜山に似てきたな。だが忘れるな、こんなこといつまでもしていたら命がいくつあっても足りないんだからな!」

 

 宇崎拓也は重く圧し掛かるように声を荒げ、現実を叩きつけていた。

 

 忘れていたつもりじゃなかったが、タイニーオービット襲撃の時よりも恐怖感が薄れていたせいで、あの時以上に危ない橋であったことを理解していなかった。これが慣れのせいなのか、考えないようにしていただけなのか。どちらにせよ命拾いした事実には違いない、運が良かっただけだな……。

 

「とにかく……これは俺達の判断ミスでもあった、まさか既にエターナルサイクラーを活用した兵器までできているなんてな。だからこそ改めて言わせてくれ、お前達が無事でよかった」

 

 怒りを鎮めるほど、俺達の無事が嬉しかったのだろう。表情を緩ませつつ目を細めてそんなことを言った。

 

 これで今回の件は目を瞑ってもらえる……なんてことはないだろうが、これ以上吊るしあげられる心配はなさそうだ。

 

「そうだバン、檜山からメールが届いたんだろう?」

 

「はい、イノベーターの最終目的を突き止めた……そういった内容です。一緒に確認お願いします」

 

 山野バンがCCMを開き、宇崎拓也とメールの内容を確認している。特に発言することもないから、ぼんやりと遠巻きに眺めていたら思わぬ力で強くジャケットを引っ張られ、不意に膝を付きそうになった。

 

 前のめりに倒れないよう踏ん張りつつその力の原因に顔を向けると、口を尖らせつつ冷たい目線を向ける川村アミが引っ張ったようだ……なんてことだ、彼女にこんな力があったとは。

 

「仙道、庇ってくれたのは良いけど……やりすぎよ!心配してくれた拓也さんにあそこまでいう必要なかったでしょ!」

 

「なんだ、そんなことか……俺は誰かひとりが一方的に言われるくらいなら、仲良く全員で聞いた方がいいと判断しただけさ」

 

「だからって……ほら、郷田が鬼の形相でこっちみてるわよ。後で収拾つけてくれた郷田にお礼言ってね、わかった?」

 

 前の方にいる郷田が獰猛な大型犬のように睨んでいる、あれがアニメーションなら黒いモヤが奴の周りに出現していそうだ。

 

「あいつが勝手にやっただけだ、なんで俺が――」

 

 素直に了承しなかったツケが回ってきた、俺の文句を制止する強さで頬を引っ張られた。

 

 ネオアポロンの時にされた以上の強さで頭が激しくグラつき、痛みで小さく悲鳴が漏れそうになった。前の方で山野バン達が真剣に話し合っている最中で後ろでは……と思われたくなく、精一杯声を殺し。なんとか「わかった」と捻り出した降参を合図に手が離れた。

 

 慌てて頬に手を当て腫れ具合を確認すれば、指先を近づけただけで刺すような痛みがあり、ほのかに熱を持ったようにも感じる。慌てて手鏡を取り出し映し出せば想像以上に腫れている。

 

 今度は俺が川村アミを睨む、目線に気が付いた川村アミの口が微かに動いた……「自業自得」だと?声に出さないその言葉に不意に拳を握ってしまう。遠くにいる郷田が、俺達のやりとりを呆れたように眺め。俺だけを指さしてまた前を向いた。

 

 お前ら、俺がどれだけ神谷コウスケとの戦いで活躍したか忘れたか。今度機会があれば、俺様の強さをもう一度思い知らせてやる。

 

「これが……イノベーターは本当にやるつもりなのか!?」

 

 レックスからだという、山野バンの元に届いたメールを確認し終えたらしい宇崎拓也の一声で、場の空気が重くなった気がした。

 

「『フェアリーテイル計画』……タイラントプレイスを破壊し、世界中をエネルギー危機に陥れる。そして、エターナルサイクラー使っての世界支配をするつもり……タイラントプレイスって?」

 

「人工島に建つ世界最大級のエネルギープラントだ、世界中にエネルギーを供給する。別名『世界の心臓』と呼ばれる場所だ」

 

 山野バンの無知に八神と紹介された男の解説が入る、まだ授業でやってないのか?常識な筈なんだが……ミソラ二中の番長があれだからどこまで学べているかは分からんが。

 

 その場所は一般的に広く知られているように、大人がサラっとだけでも説明出来るくらい有名だ。世界最高レベルの防衛システムで年がら年中守られてるらしいが……そんな社会の授業でも当然のように出てくる場所を狙うだって?大胆な事をするもんだな、暇なのか?

 

 それにしては、エターナルサイクラーを利用した兵器があったとしても、連中はどうやってその場に所爆弾を落とすつもりだ?

 

「えっと……質問です!タイラントプレイスを破壊し。エターナルサイクラーを使ってお金儲けする目的なら、なんで……サンプルを私達に返したのでしょうか?」

 

 川村アミが疑問を口にすれば、視線が一斉に彼女に集まった。全員が同時に見たものだから川村アミはらしくなく慌てているが、言われてみればそうだ。

 

 目的が兵器を作るのと、タイラントプレイスの破壊後の新たなエネルギー供給機関として売り出す目的で欲していたのならば……俺ならばまだ手元には置いておきたいと思う、だがイノベーターはやすやすと手放してしまった。神谷コウスケの勝手な判断でもないだろう……優秀な人材だからこそ、エターナルサイクラーの価値は理解しているだろうからな。

 

 それとも……別の意図があったのか?謎がひとつ解決すればもうひとつ謎が増えた……同じ場所をずっと走らされている気分だ、動いていないのに目が回りそうになって軽い頭痛がする。

 

「ハッキングが完了したよ!イノベーター研究所の衛星画像にアクセス成功!流石アタシ……それでは八神さん、画像を表示しますね」

 

 真野と呼ばれた人物がキーボードを叩き、スクリーンにその衛星写真とやらが表示された。

 

 上からみた研究場なんか見たことはないから、違いなんてピンと来ていないものの。素人目から見ても明らかにおかしいものが映し出されていた。

 

 真野はそれを拡大し、ハッキングで手に入れたであろう設計図もその横に展開した。

 

「これは多分、いや明らかにミサイルだろうね……『サターン』か、まさかこいつをそのまま突っ込ませるってのかい!?無茶するねぇ……」

 

 真野の憶測を聞きつつ、映像を誰よりも観察していた海道ジンが身を乗り出し。真野にとある場所を拡大できないか相談している。

 

 キーボードを打ち込み、ピントを合わせつつ拡大したその箇所は、サターンになにかを積み込むベルトコンベアだった。徐々にピントが合い、ついにそれが何なのか全員が理解してしまう……イノベーターはやりやがった。

 

 誰もが最も考えうる、最悪な手順をよりにもよって……残酷な現実に直視できず、情けないことに画面からつい視線を落としてしまった。

 

「自立可動型LBX……『フェアリー』だと思います。バン君が持っていたAX-00、それに組み込まれたVモードはこの完全自動制御に学習機能のテストプログラムだった……それを搭載したLBXが、まさかもう完成していたとは」

 

「ジン、まさかゴライアスで戦った海道が持っていたあのLBXも……」

 

「恐らく、あのLBXもテストプログラムだったのかもしれないな」

 

「つまり、これまでの話を纏めると……」

 

 宇崎拓也が今までの情報と考えをまとめるために口を閉ざした、長く感じた静寂が続き。誰かの息を飲む音、電子音が鮮明に聞こえる中、ようやく口を開いた。

 

「このミサイルをタイラントプレイスに、ドングリを搭載したフェアリーで襲撃。そして世界を、手に入れる……」

 

「いくら高度な防衛システムを備えていたとしても、自立可動型LBXを大量に投入されたとなれば。為す術もないのだろう……それが、『フェアリーテイル計画』の実態か」

 

 説明を付け足すように口を開いた八神の言葉に全員が口を閉ざし、また静寂が辺りに響いた。

 

 前方にいる山野バンと海道ジンが悔しそうに俯いている。画面を食い入るように見つめているものの、澱んだ表情を向ける郷田と青島カズヤが見える。

 

 それぞれが現実を受け入れられず困惑しているのが伺える……かくいう俺だってそうだ、爆弾だなんだと騒いでいたが。もう実行まで進んでいた……なんて誰が思いつくんだ?ふざけてやがる、そこまでしてでも頂に登りつめたいもんかね。なんとも下らない意地だな。

 

「大丈夫……きっと上手くいく……」

 

 声の方に目を向ければ、俯きつつも手を結び。呪文のように言葉を口にしている。その表情は不安げで、川村アミらしくないほどに血の気が引いている。初めて見る恐怖に屈しそうな気持ちが溢れ出ているのが伺えた。

 

「八神さん、拓也さん!至急、画面を見てください!」

 

 真野の呼びかけに皆の視線が集まる、イノベーター研究所の映像をサーモグラフィ画像に切り替えたものが映し出された。サターンの中心がどんどん青へと変わっていくのがはっきりとわかる、それがなにを意味しているか予想が出来てしまい、更に血の気が引いた気がした。

 

「燃料の充填作業をしているようですね……ということは――」

 

「発射準備が……始まっているというのか!?」

 

 身を乗り出して確認する八神の後ろ姿から、どうか嘘であってくれ……そんな言葉が聞こえてきそうだった。でも真野は残酷な真実を告げるように、モニターに数字を映し出した。

 

「でもそれだけじゃありません、カウントダウンも始まっています。残り時間……21時間」

 

「明日の20時がタイムリミット……」

 

 腕時計で時間を確認しつつ、重い空気のまま。最後の審判を告げるように。宇崎拓也は話し始める。

 

「なんとしても止めなければいけない……だが今回のミッションは、君達が経験してきたどんなことよりも過酷なものとなるだろう……」

 

 一言ずつ噛み締めつつ、重い言葉を吐き出す宇崎拓也も。それを聞く全員の顔すらも真剣そのものだった。

 

「世界の未来が掛かっているとはいえ、これは君達の命にもかかわるだろう。だから強制はしない」

 

 一呼吸吸うだけでも苦しそうに、顔を青くし汗を滲ませながら最後の思いを言葉にした。

 

「だからこそ、君達の未来は君達の意思で決断して欲しい。この作戦に参加するのなら……名乗り出てくれ」

 

 シンと静まった空気の中、それぞれが考える。

 

 タイラントプレイス……サターン……そしてドングリという爆弾を積んだLBXフェアリー……今までは巻き込まれるままに流れに身を任せ、こんな所まできてしまった。

 

 少し前の俺なら勝手にやってろと背中を向けて、二度と戻ることはなかったのだろう。実際そうだ……面白半分で地獄に向かう愚か者ではない。俺だって死にたくないし、戦争の真似事なんかに関わり合いたくなんかない。

 

 だが、今は違う……不意にだが、隣でもう既に答えが決まって前を真っすぐ見ている川村アミを視界に入れてしまう。

 

 俺の視線に気が付いた川村アミと目が合った。なにを思っているか見透かされたのか、小さく手を動かして顔を近づけるようジェスチャーをした。慰めの言葉でも言うつもりなのか……渋りつつ姿勢を低くしてやると、待ってましたと片手を壁のようにし耳打ちをしてきた。

 

「ねぇ仙道……迷ってるの?」

 

 耳に小さく息がかかりくすぐったい、それに川村アミの声がすぐ傍で聞こえるせいで少しいかがわしい気分になってしまう……しかしその声をよく聴けば、強がっているように言ってはいるが掠れて震えているようにも聞こえる。

 

 優等生らしく平然を装うつもりだろうが、きっと俺以上に恐怖を感じているのだろう、「私が手を引く」なんて大口叩いたから後戻りが出来ない……その恐怖を紛らわせているようにしか見えないな。

 

「そう見えたか?ここまで来て、おいそれと帰ると思っていたのか。俺が、よりにもよって」

 

「そ、そうは言ってないけど……」

 

 手が離れたのを良い事に姿勢を戻し、また川村アミに向き直る。暗い顔のまま下を向いた様子を見る限り、不安を隠しきれないのだろう。

 

 その様子が、今までのどの戦いよりも過酷であるかを物語っているようだ。ゴライアスに行こうと言い出した人物と同じとは思えないな。

 

「……不安がる気持ちはわかる、だが忘れるな」

 

「仙道?」

 

 周りの空気や、俺達がどう思われているかには目もくれず。不安に沈む川村アミに、彼女にしてもらったことを、今度は俺のやり方でやって見せた。

 

「お前が不安なんだろ?……なら、今度は俺が手を引いてやる」

 

「え、せ、せん――」

 

「だから安心しろ、お前が怖いというのなら……今度は俺が、道を照らす星の代わりになってやる」

 

 タロットカードの『(スター)』を取り出し、前のようにまた差し出した。

 

 宇崎拓也が言葉にした通り、もう気軽に後戻りができない状況下だ。誰だって恐怖を感じてしまう……前に崩れた俺を、腐り荒んだ俺なんかに手を差し伸べ。ここまでずっと引っ張ってくれた、今度は俺がその手を引く番になっただけだ。

 

「ちょ、ちょっと!こんな……こんな所で、そんな……えと、あの……」

 

 あんなに不安がって暗い顔をしていた癖に、俺の言葉なんかに顔を徐々に真っ赤にさせ、言葉を詰まらせついには背を向けてしまった。小さく名前を呼んでみたが答えては貰えなかった。

 

「さて、考えはまとまっただろうか……退くのなら、遠慮なく言ってくれ。では、聞かせて欲しい」

 

 宇崎拓也が答えを聞いてきた、今更な気もするがな……全員の答えが出揃い。サターン発射阻止への最終確認へと移行した。




設定の展開する話作りは、試行錯誤ばかりです。

なかなか上手くいかない……読みにくくなってしまい申し訳ない。
反省しまーす、反省しました、はい
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