「おい、なんなんだよ……なんでレックスが……俺達をずっと助けてくれたレックスが……どうして」
顔を青くして口元を抑えつつも、混乱を抑えられない郷田が私達の説明をなんとか聞きつつやっと絞り出した言葉がそれだった。
次の言葉を捻り出そうとしても足元がふらつき、壁にもたれ掛かった。ガンと激しい音を響かせてぶつかったから、かなり痛いはずなのに……それに気が付かないほど目を泳がせ、らしくないほど頭をフル回転させているようだった。
自分が最も信頼を置いていたレックスの真実に、なんとしても嘘だと理由をつけようと必死になっている。
横で話を聞いていただけの仙道も、珍しくタロットカードすら手を伸ばさずに。郷田よりは落ち着きつつも難しい顔をして、自分なりに考えを整理させているようだった。
あれから、私達は地下60階に辿り着いた。通路の先にはドングリを積んでいたフェアリーが設置され、完全自動制御を持つLBXの強さとその脅威に息を呑んだ。
それでもバンとジンの活躍によって無事突破し、ようやく指令室に辿り着いた。私達全員がこの作戦の成功を信じきっていた。今後起こりうることになんか、誰も気が付きもしないまま……。
「気に入って貰えたかな?俺からのささやかなプレゼントは……」
停止プログラムを実行していた際、システムロックが掛かり閉じ込められた私達にレックスから連絡が入った。敵の策略に嵌った私達を助けてくれる……そう思って喜んだのも束の間。彼の口から驚くべき真実が語られることとなった。
「愉快だな……お前達は、俺が描いていたシナリオ通り動いていたに過ぎないなんて。考えもしなかったのだろう?」
「まさか、海道のアンドロイドも。イノベーターとの争いも……お前の手引きだと言いたいのか!?檜山!」
「そうさ、メタナスGXとプラチナカプセルでな……世界の命運だと、のたまって走り回るその姿は中々に面白かったぜ……」
悔しそうにキーボードに拳を叩きつけた拓也さんと、全ての黒幕かつ海道義光の仇を見つけたジンが睨みをきかせて画面を見ている。レックスはいつも通りの穏やかな顔をしたまま、最悪なシナリオを完成させるように語り続ける。
「檜山、なぜこんな真似を!」
「この世界に価値があるかどうかを知りたかっただけさ……まあ、そんなもん。なかったがね」
小さく下を向き、全てを諦めたような澱んだ目をサングラス越しに見せながら。サターンの発射のカウントダウンがゼロになると同時に悲劇を口にした。
「汚れ切ったこの世界に、価値などない……だから全てをやり直すしかない、そのきっかけを……俺が作るさ」
部屋全体が大きく揺れだし、レックスが映っていた画面が向きを変え始めた。
遠くに見えるサターンが火を噴き上げながら遥か高く飛び上がる光景が映し出されていた、白い弧を描いて巨体がどんどんと小さくなっていく。夜空に溶けていく黒い悪魔を、ただ見上げていることしかできなかった……駄目だったの?ここまで来れたのに。
見ていることしかできない、その歯がゆさと無力さを実感してしまい膝をついてしまった。
「さて諸君。俺はサターンに乗り込み、最後の仕上げに取り掛かるとしよう」
「檜山お前、フェアリーテイル計画を実現させようと――」
「イノベーターのような低俗な奴らと一緒にされては困るな。サターンが、俺が目標としているのは……Nシティだ」
レックスが、私達の知っているレックスが。もう本性を隠す必要が無くなったのか、優しそうに微笑んでコーヒーを嗜んでいた。あのレックスが悪魔のような笑みを浮かべている。
それが余計に、私達にはもうなにもできないんだと思えて。ふと視線が下に落ちてしまった。
「レックス……オレは!最後まで諦めないぞ、絶対にサターンを止めに行く!」
暗い部屋にバンの力強い声が響き、顔を上げる。こんなもうできることのない場所でも、希望を捨てることをせず立ち続ける……すごいな、バン。でも今回ばかりは流石に――。
「諦めろバン、全て手遅れなんだよ」
慰めるような言葉選び……全ての元凶に、私達は文句を言うだけしか叶わない。どうしよう、私にできることは一体……。
「畜生、この扉さえあけ……うわぁ!?」
カズがなんとか開けようとボタンや扉をいじっていたら急に開いたのか。驚きで数歩扉から離れ、その先にいる人物にまた更に驚いて硬直していた。
彼がカズの横を通り過ぎ、一歩ずつ噛み締めるように……部屋の中心に歩いてきたのは――。
「いらっしゃると思ってましたよ……山野博士」
山野博士が登場し、レックスと交わされた話を。私達が見て聞いてきた事をかみ砕きながら話し終える頃には。
息を乱れさせて膝をついていた郷田と、目を瞑って憎まれ口すら挟まないまま黙り込んでいる仙道がそれぞれ現実を受け入れられずに、混乱しながらも理解しようとしているようだった。
やっぱそうよね、スケールが想像以上になったもの……レックスの裏切りから始まるどんてん返し、信じていたものが足元から崩れ落ちたようなもんだからね。
「郷田君、大丈夫かい?」
あまりの取り乱しようにジンが心配しつつ声を掛けるが、曖昧な返事を返すも顔を上げようとはしなかった。
「なんで……そんなになるまで俺は気が付かなかった、俺は……ずっと……」
掠れたような声と共に、郷田の後悔の叫びが悲しく響く。エンジンが掛かるのを待つ私達の間には、重い空気だけが流れていた。
誰も声をかけることができず、郷田が悔しそうに拳を握りしめ。鼻を啜る音だけが聞こえる、まだエンジンがかからないのなら……郷田が悲しむ時間に当ててあげてほしい。そんなことを願うことが、私ができる精一杯だった。
「郷田……一緒にレックスを止めにいこうよ」
沈黙を破り、郷田に手を差し伸べたのはやはりバンだった。でも声に覇気はなく、優しく掬い上げるように、バンなりに壊さないように慎重に引っ張り上げようとしていた。
シーカーに一番長く居て、責任感が誰よりも強い分。ずっと引っ張ってサポートしてくれた郷田が、ずっとしてくれていたように。
「分かってる、止めないと。これ以上レックスを悪者にしたくない……だけど俺は……俺は……」
豪快だけどどこかガサツ、それでもバンと同じくらいまっすぐ前だけを見ていた郷田。
誰よりもレックスを尊敬していたのに、その裏切りを聞かされたのなら気持ちの整理がつかず狼狽える気持ちも分かってしまう。
「海道義光に家族をバラバラにされたとか言っていた癖に、今度は自分が恨み先と同じ轍を踏もうだなんて……とんだ皮肉だねぇ」
ようやく口を開いたかと思えば相変わらずの言葉選びの悪さ、タロットカードを取り出して眺めつつ。悲しみに耽っている郷田を思いきり睨みつけ、軽蔑か叱咤か、なんなのかわからない言葉を吐き出し始めた。
「おい郷田、とっとと立ちやがれ。そんな所で腐ってたのなら、救える人間も救えなくなるんじゃないのか?」
「分かってる、でもよ――」
「やだねぇ、日和ってるなんて……尊敬していた人間が最悪の人物だった、なんてよくある話じゃないか。だからってそれが躓く理由になるのか?」
ポケットからタロットカードを取り出した、『
「起きろ郷田ハンゾウ、あのレックスとかいう鼻の伸びた神様気取りを引き摺り下ろしにいくぞ……その後で説教なり殴るなりやればいいんじゃないのか?」
「でも、俺には――」
「はぁ、下らない。そうやって這いつくばってメソついて居たいなら勝手にしてろ」
「仙道、流石に言い過ぎだよ!」
「お前らの
バンの制止も虚しく言いたいことだけ言い捨てると、これ以上言葉を重ねる気もないのか。ひとつ溜息をついて、私達の間をすり抜けてひとり部屋を出ていった。引き留めようかとも考えたけど、あの態度から察するにかなり怒っている……今は何を言っても聞いてもらえないかもしれない。
「郷田、大丈夫?」
バンが郷田の肩に手を置こうとしたのだが、それを払い除け。鼻声になりつつある声でこう言った。
「悪い……少し独りにしてくれ、放っておいてくれ」
未だ折れたままの郷田を置き去りにすべきじゃないのはなんとなくわかる、でも……この様子じゃ私達にはなにもしてあげられない。みんなで顔を合わせ頷き、絶望に沈みかけた郷田を残して部屋を出た。
廊下を出ての所でひとり通路の奥に消えていく仙道を見かけた、バン達に声を掛けて仙道の元へ駆け寄った。つもりだったけど見失ってちょっと探し回る事になった。
大きな飛行機だから見つけるのが大変だった。迷路のような道をなんとなくで走り回っていると、窓の外を眺めて心ここにあらずな様子で戦い前に備えている……とはまた違う。動揺を隠しきれない、そんな風に受け取れる仙道をようやく発見した。
「仙道」
声をかけると顔を上げて、軽く手を振ってまた窓の外に視線をずらした。気まずさを隠す為なのか、ポケットに手を入れたままにしていた。
自分からはなにも話そうとしない……怒られるとか思っているのかしら?そんなつもりはないんだけど。
「仙道、そろそろ飛び立つわよ。安全のために司令室に行かなきゃ駄目よ」
「……もう少し、ひとりにしてくれ」
郷田とおんなじこと言ってる、やっぱ似た者同士なのね。取り繕おうとして強がっている意地っ張り、だから反発しあうんだろうな。
仙道の向かいまで行って、私も窓の外を眺めてみる。外の方で忙しなく動いているエクリプスになにかしている人が見える、どうやら燃料が足りない?機械トラブル?で修理中らしい……早く追いつかなきゃいけないけど、空中で飛ばなくなったら大変だし。拓也さん達の話だと十分追いつく範囲らしい。だからちゃんと直してから飛ぶんだって言ってたな。
ちらりと私をみても何も言わず、また目線を外に戻していた。少しだけ伸びた静寂に耐えきれない私は、つい本題を聞き出してしまった。
「仙道も、レックスの裏切りがそんなにショックだったの?」
「それは違う、俺が顔を合わせて話したのなんて一回きりだ……またかって思っただけさ」
いつも通りにタロットカードを取り出し、絵柄を私に見せてきた。『
「……さっきのが言い過ぎたって思ってるの?相変わらずの口下手だったけど、気持ちはきっと伝わっているわ。多分ね」
「違う……はぁ、言葉だけで伝えるとは難しいもんだな」
面倒くさそうにカードをしまいつつ、ちょっとだけ退屈な空気を壊すような、仙道からでると思ってもみなかった言葉が飛び出した。
「今回で確か、三度目なんだよな……」
「さ、三度目!?えっと……つまり、郷田のこと励ましたのって――」
「そんな仲に見えるか?ねぇよ……言い過ぎで相手を追い詰めた回数だよ、全部言わせるな」
いつもの調子でギロリと睨みつけた仙道。でもそれよりも、私は仙道がそこまで相手を気にかけていた機会があった……しかも三回も!この事実に驚きを隠せずにいた。
あの孤独で傲慢で、他人を蹴落とすのに躊躇しない。人に恐れられてやっと存在意義が生まれるような、この仙道ダイキが!?
「……川村アミ、お前。失礼なこと考えただろ……俺を傲慢で他人を平気で切り捨てるエゴイスト、みたいに思ったか?」
「い、いやぁ……思ってないわよ」
威圧感でつい目を逸らしちゃったけどエゴイストとは思ってなかった、だから嘘はついていないのにな。
「本当か?……まあいい」
興味を失ったのか、顔をまた窓の外に向ける。この話はこれで終わり……そう思えるような内容じゃない。
未だ未知数な仙道の過去、踏み込んではいけないのかもしれないけど、そこに向けた好奇心によって動いてしまう……その続きを聞いてみたくて。
「あの……話したくなければ別にいいけど、なにがあったの?一回目と二回目」
私が続きを聞きたかったのを予想していたのか、小さく息を吸ってこちらを見た。少しだけ悲しそうな、なにか諦めているような……そんな感じの視線を感じた。
「あまり、いい話じゃないかもしれないぞ?」
「……聞きたい」
窓の外の景色は動かない、これからエクリプスが飛び立ってサターンに向かう。それが一刻を争うことだけど、そこまでの時間がまだあると言うのなら……今は寄りかかってしまおう。
「LBXで相手をバラバラにした話はしただろう……それから戦うのがしばらく怖くなって、まだ平気だった機械いじりを生業にして、メカニックもどきをしていた時期があった」
物語を読み聞かせるように、ゆったりとした口調で、仙道の口が開いていく。
「まあ要は、馬鹿なLBXプレイヤーに調整を頼まれてたことがあって……そいつの要望が滅茶苦茶でな、必死こいてなんとか仕上げたが。操作による反応のズレが0.3秒生まれたんだ。誰がどう見てもバグだったな」
「なによそれ、致命的ねぇ……」
「ごもっともで、それで俺の忠告も聞かずに飛び出して。いざ帰ってきたら、大会で大恥かいたと喧嘩になってな……殴り合いにまで発展したのはあれが初めてだった」
懐かしい話をしている反面、その表情は沈んでいく。当時の苛立った気持ちが再熱したのか、腕を組んで左手の指でジャケットを掴み大きな皺を作っていた。
「その時、かなり口汚く罵ってな……そいつ、次の日からLBXを辞めたんだよ……あれにはかなり堪えたな」
「そうなのね、あんたでも気を回して優しくしていたことってあったのね……」
私の相槌になにか思うことがあったのか、話を止めて訝しむように目を合わせ。信じられない言葉を飛ばしてきた。
「は?今の話でどこに俺が優しさを向けていたって感じになるんだ?」
いい話の会話の方向性だったはずが、仙道の一言で一気に崩れ落ちた。瞬きを忘れるくらい衝動的に仙道をガン見して。一生懸命会話を思い返す……あれ?私、なにか壮大な勘違いをしていたってこと?
でも今の流れと郷田との会話って、仙道なりの気遣いだったってことじゃないの?違うの!?
「あのなぁ、お前も一回あっただろう。俺に罵られたこと……あれで少なくともふたりのLBXプレイヤーを殺したようなもんだったんだ……はぁ、感情的になるといつもこうだ。子供っぽくて情けなくなる」
頭を抱えて蹲る仙道を見下ろしつつ、彼について更に理解を深められた。
多分、仙道の中では郷田とかバンとかは並列で。一緒にLBXをしてくれる知り合いくらいの価値しかない……でも、感情的になると言葉が荒くなって自分の暴言のせいでプレイヤーが減る。
LBXをただ楽しみたいこの男はそれが嫌でちょっとだけ残念に思ったってこと?
改めて仙道を見る、ひとりでブツブツと呟きつつ機体の構成を考えている奴の姿に。全身に鳥肌が立って、つい心の声が口から溢れ出てしまった。
「あんた……悪魔ね」
私のボヤキにピクリと反応して顔を上げた仙道は、当たり前の事実を訂正するようにこう告げた。
「失礼だな、魔術師だよ」
なんとも言えない空気になってしまったが、出発を告げるアナウンスが響いたので私達は司令室に向かうことにした。
司令室に入る時、中が少し騒がしいことに気が付き。扉を開ける手が止まる。
「ん?……中でなにかあったのかしら?」
気にしていても仕方がないのでとりあえず開け、中に向かう。扉の先でバンやカズに囲まれていた人物に目を疑った。
「ご、郷田!?もう……大丈夫なの?」
「おう、アミ……心配かけたな、御覧の通りってな」
振り返って私達に親指を立て、カラ元気なのか本当に大丈夫になったのか。私がよく知る豪快で真っすぐな郷田そのものだった。
「悪いな、情けない姿をみせちまって……もう俺は大丈夫、早いとこレックスの目を覚まさせてやろうぜ!」
「……立ち上がれんならとっととすればよかっただろう、なにをうじうじと――」
「仙道、ちょっと黙ってなさい」
横で文句をいう仙道の言葉に被せるように止めつつ郷田を見る、観察するようにじぃっと見ている私にフッと優しく笑いかけてきた。言葉に出さないまでも「心配はいらない」と言っているようで安心した。
でも、やはり私には郷田がどこか無理をしているように思えた。それと同時にいくら信頼していた人に裏切られたからって、あそこまで憔悴するもんなんだろうか……私達が知らないだけで、レックスと郷田の間に、予想もつかないことが起こっていたの?
いくら考えても答えを知っているのは本人だけ、私はなにも事情を知らないんだからこれ以上は考えないでおこう。
「皆、待たせてしまって申し訳ない……機内トラブルは無事解決した。これからサターンを追撃する」
「八神さん、エクリプスの発射準備はオッケーだよ!」
「わかった、すぐ向かうぞ」
「了解、細井!矢壁!いくよ!」
「「ラジャー!」」
真野さん達の合図と共に体が大きく引っ張られるような感覚で揺れる。その場に立っていることが大変なほどの揺れに耐えること数十秒、すぐに安定して身体が楽になった。ちらりと外を見れば窓の外のすぐ横に雲が見え始めた、かなりのスピードで飛び上がったのが分かった。
「すっげー……もう街があんな遠くにあるぜ。さすが戦闘機、はえーし急上昇しても大きくは揺れない室内……イノベーターが作った最新式なんだってな、敵ながら惚れ惚れすんぜ!」
「カズ、喜ぶのはわかるけど見入っちゃ駄目だよ」
「でもバンすごいぜ、お前も見ろよ……」
普通に生きていて戦闘機に乗れる機会はない。だからって今の状況ではしゃぐカズに冷ややかな目線を送りつつ、私は私で大きく深呼吸をする。
「諸君、ブリーフィングを始めるぞ」
人一倍目立つ高いエリアから、顔を覗かせた八神さんの声が部屋全体に響き渡る。さっきまでの和気あいあいの雰囲気が張り詰め、本格的に決戦に向けて意識を集中させた。
「これより、エクリプスは飛行中のサターンに向かう……総力を挙げ、Nシティ突入を阻止する」
八神さんが言葉を噛み締めるように、ゆっくりと作戦内容を伝える。
「だがサターンには無数の対空砲と、『フェンス』と呼ばれる迎撃システムが搭載されている……エクリプスで直接接近することは不可能だ。そこで……LBX部隊による強襲降下作戦を行う」
八神さんが指をさし、スクリーンに画像を表示させる。数々の画像を表示させ、分かりやすいように八神さんの解説が入る。
「エクリプス内のコントロールポットでLBXを操作してもらう。フライトパックという飛行装備をLBXに装着させ、エクリプスからサターンに発射し制御室に向かってもらう」
サターンの地図の画像を開き、赤く点滅させた場所を示していた……そこが第一目標ってことなのね。
「八神さん、そこまで辿り着くのに。LBXが穴だらけになっちまいませんかね?フェンスってのは、そんな軽々突破できるようなもんじゃありませんよね」
「郷田君の言う通りだ、強力な防御システムにLBXが耐えられるとはとても思えない……なにか策があるのですか?」
郷田とジンが質問を飛ばせば、待ってましたと新しい画像を表示する。LBXの腹部から飛び出した突起から、バリアのようなものが発射されている。
「『アンブレラ』を使う……先日山野バン君に託されたビームガーターの技術を応用した、光学防御システムだ。ある程度だが……フェンスの攻撃を中和できる」
「なるほどな……頑張って堪えてくれって魂胆か。大胆な賭けにでたもんだな」
『
「迎撃システムの停止後、エクリプスで接近。サターン内に残るイノベーターに事実を伝え、サターンを放棄させる……諸君、これは世界の夜明けを掛けた戦いだ」
大きく息を吸い込んで、最後の言葉を話しだした。
「これより本作戦を『オペレーション・デイブレイク』と呼称する。昇る太陽を希望に満ちたものにするためにも……総員の奮闘を期待する!」
八神さんの鼓舞により、一気に気が引き締まる。
これから始まる、私達の最後の戦いが。ポケットに忍ばせていたタロットカードに手を触れる、それが勇気をくれる訳でも励ましてくれるわけでもない。それでも、私が脅威に立ち向かう理由がこれにはある。
「大丈夫、私達なら……きっと――」
夜明けは遠い、それでもいつぞやに灯った火が大きく燃え上がる。ここまで備えた燃料を全て燃やして、私の背中を押している。
「絶対……うまくいく!」
ブリーフィングが終わり、サターンに備えるため。パンドラの最終調整をするため司令室を出た。
また活動報告に猛省の書あげておきます
暇ならどうぞ