「とにかく、魔石を集めるか……」
「祓い屋の仕事も国の斡旋で請け負えるらしい。クエストでポイントが得られるな」
「依頼をお探しでしたら、国からサポートさせていただきます」
今まで、国の土地に悪霊がついても、関わる人で貧乏くじを引いた人や建設会社が自費でお祓いとかをしていたが、今年度から公式に予算がつくようになったらしい。
不思議はある。神様がいて、荒御魂がある。なんで調査や対策の費用が必要ですと。お金掛かるし、本物がわからんと文句が出そうなものだが、出なかったどころか大歓迎された。
不動産業で長い人は、自然と本物も知っているのである。迷ったら神主さんを呼べば大体なんとかなるし。
そして、その本物の方々が「無理っす」と匙を投げた案件も国の依頼リストにあっという間に積み上がっていた。
「一回仕事を受けてみて、あとは一ヶ月ごとに依頼を受けて修行の成果を確認するのはどうだろう」
「いいですね」
「調査料の一部をお支払いするので、依頼の危険度占って欲しいです」
「よかろう。占い室の道具を借りるぞ」
「どうぞー」
「観光行きたい」
「サボってもいいとは言われたが、国の威信を掛けて来てるんだから、流石に修行しろ? あと、期限内に魔石集まらないと罰金が凄いぞ」
「魔石は国でも買い取りますよー」
施設の職員さんが、私の用意した魔石ランクのメニューを出す。
「弱いのは一個五百円かぁ。安くないか? この前の400億は?」
「あれは質のいい魔石が大量ということでしたから」
「あくまでも最低価格だからね。ゴブリン1匹で五百円は美味しいよ。祓いの修行になるし」
「ゴブリン殴るのが? 大変だろう。負けたら死ぬし」
「霊力をちゃんと流した武器なら、鎧袖一触だよ。遠くからの居合い切りで行ける。本物の生物じゃないんだからね。ちゃんと修行すれば無理しないで稼げるよ」
「なるほど」
「俺は週一で山を降りて人探し依頼を受けようかなー」
「こっちで無理のないトレーニング計画を立てるのに協力する事もできます。なんでも相談してください」
職員とメンバーが集まってワイワイする。
「俺にもなんでも相談してね」
「私も相談を受け付けるよ」
「ダンジョンの事ならなんでも聞いてください
「掲示板サイトでスレ立てしてもいいですか」
「他の人の個人情報は出しちゃダメだよ。あと、ダンジョンは正規の手続きを踏んで入らないと酷い目に遭うから絶対に来るなってちゃんと書いてね」
「そうですよね、ダメですよね……えっいいんですか」
「えっ ダンジョン入れないですか?」
職員さんが目を丸くする。
「行きたいのはわかりますけど、霊力ないと危険なので自重してくださいね? 正式な霊的手順を踏まないとこの施設やダンジョンのある場所に、たどり着けないように結界を張ってるんですよ。絶対無理とは言いませんが、遭難率がすごい上がったり、不運が起きたりするんです。手順については何度も説明してありますよね」
「どうしてもダメですか……? ファンタジー好きなんです」
「責任は取れないとしか。ダンジョン施設って鉱山みたいなもので、算出品も星海家のものになるので、魔石をポッケナイナイしたら窃盗ですし……」
「役得ってことで、仕事に支障がない範囲で一階までならいいよ。それ以上は危ないからダメ。1人で行くのもダメ。怪我したり死んでも当家では責任取んないから」
「ありがとうございます!」
「晴良様、いいのですか?」
「俺がいいって言ってんの、ただし、今後の状況によっては陰陽師以外立ち入り禁止になったりするかもだから」
「それで出入りが朝夕の2便以外ダメなのか」
「そういう事です。あと、術式を使うには魔石が必要なので、何も考えず国に全部売るとあとで困りますよ」
「なるほど」
共同生活が始まった。
A班は一ヶ月でクエストを精力的にこなし、義務を果たした。
後は弟子と自分の為のショップポイントを稼ぐらしい。
依頼にクエストに頑張っているが、体調にも気遣っている。
彼らはいつも服装がパリッとしていてさすが大御所集団って感じだ。
B班も早々に義務を果たして、ショップポイントを稼いでいる。
もちろんダンジョンにも精力的に入っている。
この前、怪我人が出て晴彦様について基礎からやり直しだそうだ。
C班とD班はひたすらダンジョンに潜っている。
夜は術式研鑽。依頼はいつでもできるという考えらしい。
E班とF班は夏休みはがっつり二ヶ月取る予定のよう。卒業試験大丈夫なのか……。
それ以外はダンジョンで研鑽を積むようだ。
6月。
総理から、視察の依頼が来た。
総理はA班B班とお祓いの現場に行ったりとか結構視察してる。
今回は、秘密の修行場……。ダンジョンを見学したいとの事だった。
またしても大統領が一緒で、さらに今回は軍人さんも一緒だそうだ。
もちろんマスコミも引き連れている。
ヘルメットに陰陽師ファッションで観光気分バリバリの2人に、緊張して張り詰めた感じの軍人さん。大変ですね……。まあ、霊力があればやりやすいが、なくても大変なだけでゴブリンくらいなら倒せる。
なんとかなるだろう。
「さすがですね。修行場に入るだけで力が湧いてくる感じがします」
「そうですか? それならこの修行場に向いてるかもしれないですね」
「はは。司祭様になれますか?」
「神職系は感覚鋭いのかなって思うでしょ? 逆なんですよ。神以外のものを感じ取れなくなるよう、神様のお力を受け入れられるよう、鈍感になるんです。その代わりご加護として強い清めの力を得られるんですよ。これはそちらも変わらないと思います。なので司祭様になるならその感じを捨てる覚悟をしないとですね。そして、悪霊を見ない、鈍感になるので、そっち方面で悩める方が教会に駆け込むのはとても正しいんです」
「なるほど……」
ゴブリンが出て、倒して、魔石に触れる。すると、軍人さんがもった魔石は消えてしまった。
「あなたの術式が吸っています。才能あるんでしょうが、燃費は悪そうですね」
「それはいい。君の才能を見てみたいから、魔石を集めてみようか」
「はっ」
という事で、大統領の鶴の一声でみんなで魔石を集めた。
「ぐるおおおおおおおおおお!!!! あっ 戻った」
軍人さんの術式はワーウルフだった。
ムッキムキの狼人間に変身し、吠えた瞬間、ゴブリンたちが消滅して魔石になった。マスコミは撮れ高が良くて大喜びである。他の軍人はびびって銃を構えて総理達を守ってたので、事故が起きなくてよかったね……。庇われていた大統領は大喜び。
「彼も是非ここで鍛えさせてくれ! アメリカの4月に創設するエクソシスト部隊の副隊長にする!」
「えっ」
ということで、軍人が増えた。
留学生達はビシバシと突如ポップした副隊長に鍛えられることになったのだった。
夏休みも消えた……と思ったら、決死の説得をして一ヶ月確保してた。一ヶ月でも多いと思うんだけど。
隊長は教会に推薦してもらって持ち回りでするらしい。
部隊ではあるが、内容は対悪霊や誘拐事件の解決協力なので問題はないそうだ。
誘拐事件については救出作戦等するのはあくまでも警察だしね。
「総理。日本の陰陽寮にも戦力が必要なのでは?」
「葵君がいるので問題はない。除霊と占いが主な仕事で、基本荒事には関わらせないし」
「なるほど!」
「それにしても、皆とても頑張っているね。感動した! でもあまり無理をしてはいけないから、夏休みは私の権限でお休みだ!」
「ええっ!」
「慰労金を配るので、しっかり羽を休めて欲しい!」
なんて太っ腹!
「そしてその間、修行場が開くのは勿体無い!」
えっ
「八月は修行場の管理を自衛隊が請け負おう!」
ええっ
「占い業務で留守になる12月、1月も任せたまえ!」
任せたまえじゃないですが。乗っ取り! あまりにも露骨な乗っ取り!!
「晴彦が修行場にいないと衰弱する体質なんだ。晴彦の出入りは止めないぞ。それと、レンタルに関しては俺じゃ判断無理。後は兄と契約を結んでくれ」
協議の結果。8月、12月、1月は自衛隊が管理する代わり、8月には自衛隊が主導で希望するオカルト関係者の見学や子ども達の見学をさせる事になった。
もちろん、説明をする為の教育も行う。修行場は危険なので、自衛隊が責任を持って顧客対応をしてくれるならありがたいという事になった。
ただ、さすがにこれ以上の譲歩はしないという事にもなった。
12月、1月は陰陽師の占い道具は全て撤収するし(一月の占いで留守にするのだから当然だが)、外部の者を入れるのはブートキャンプを除けば8月だけ。
国にダンジョンを譲り渡すのはしない。そういうことだ。
8月には、小学生が見学に来て占い道具など見て盛り上がったらしい。
後、数人グループでダンジョン見学にも行ったとか。さすがに戦闘はしないが、ゴブリンを倒すところは見学して、魔石をもらって帰ったらしい。
各国の視察団も来ていた模様。
その間、私達は羽を伸ばしていた。
A〜D班はここぞとばかりに依頼をこなした模様。
晴良様と蜜様は、今年は遊ぶ事にしたそうだ。二月に酷い目にあったばかりだし、それがいいと思う。
総理が大鉈を振るい、エアコンを真冬から順番に各学校に設置したので、占い通り酷暑になった結果、子供達を救ったと言う事で本来負けていた選挙に党が勝った。株が心配だ。ブラック金持ちの中に投資してる商会の人がいなくて本当に良かった。
後、浮き輪とボートが水害被害予測地域に配られた。今後はカタログを配布し、各自で災害用品を買ってもらう計画である。今年は水害が多発する年ということで、特別に国が配備した形だ。
これは水害が起こった際にがっつり活用され、政府は大いに感謝された。
環境適応税と言われる新たにポップした税金。
でも今回はあからさまに助かった人がいるので、文句を言う人はいなかった。
子供のいない家庭はあるし、水害の心配のない地域もあるけど、わけがわからない事に使われるより、多くの人が助かる事に税金が使われるなら文句はでないものなのだ。それに、自分が困った時にも対策を練ってもらえる目算もある。地震はどこで起きてもおかしくない。
総理がお年寄りを気遣って、コンビニに減税と引き換えにベンチスペースと給水機を設置する法案を通したり、猛暑日の公共施設の夜間解放をした結果、救われたお年寄りも多い。
どうしたって各家庭にエアコンを設置するのは数年掛かり、たとえエアコン設置を補助金投入して全家庭に義務付けたとしても、電気代などはどうにもできない。葵の未来知識から晴良が助言したことを叩き台に、総理も考え抜いた末の政策だった。
税金が生活が良くなる実感に繋がる事例はなかなか無いので、税金は上がったが、高い政党支持率はしばらく続きそうである。国民は馬鹿ではない。きちんと治めてくれるのであればそれは支持する。
マスコミが煽ろうが、エアコン補助金の為にテコでも支持政党を変えない構え。
総理との付き合いはまだまだ続きそうである。
後、地震の日時は当たったけど大した事ないじゃんとか言うのやめてね? 被害が出ないのは大した事ないんじゃなくて、被害を防いでるんだからね。電車も総理が止めてくれてたし、みんなが警戒してたから怪我人もなくて済んだのだ。
後、台風着弾日と水害起こる日時を占えとかも無茶だからね?
早くも日本国民の要求がエスカレートしそうで戦々恐々としている……。
マシュマロ
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