プロセカの女の子たちと、ひたすら甘やかして甘やかされて溶かされる日常   作:雨風 時雨

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25時、仕事(現場)で




【草薙寧々】第2話

 窓の外では、夜の静寂がしんしんと深まっていた。

 俺の部屋の、柔らかいマットの上。

 そこには俺と並んで座り、夢中でゲームコントローラーを握りしめる寧々の姿があった。

 

 画面の中では、彼女が操作するキャラクターが目にも止まらぬ速さで敵をなぎ倒していく。

 いつもは伏せられがちな彼女の瞳も、今はモニターの光を反射していた。

 まるでお気に入りの宝石を見つけた子供のように、キラキラと輝いている。

 

「……っ、そこ。……これで、終わり」

 

 寧々が小さく、勝利を確信したような声を漏らした。

 最後の一撃が決まり、画面に『YOU WIN』の文字が躍る。

 彼女はふぅ、と長い睫毛を震わせて吐息をつくと、ようやく指先の力を抜いた。

 

「……ねえ。今の、見てた?」

 

「ああ、完璧だったな。さすが寧々だ」

 

「……ふふ。……当然よ。……このくらいの難易度なら、目をつぶっててもクリアできるわ」

 

 少しだけ得意げに、けれど俺の称賛が嬉しくてたまらないといった様子で、彼女は口角をわずかに上げた。

 この『ちょっとだけ自慢げな寧々』は、俺の前でしか見せない特別な表情の一つだ。

 

「じゃあ、次は対戦にするか?」

 

「……いいわよ。……手加減は、してあげないから」

 

 そう言って再びコントローラーを握り直した彼女だったが、俺が隣でコントローラーを手に取ろうとした時――。

 寧々の動きが、ぴたりと止まった。

 

 彼女はコントローラーを床に置くと、少しだけ視線を彷徨わせる。

 その後、俺の袖口を『きゅっ』と弱々しい力で掴んできた。

 

「……寧々?」

 

「…………やっぱり、ゲームは、もういいわ」

 

「え? 疲れたか?」

 

「……そうじゃないの。……そうじゃなくて」

 

 寧々は顔を真っ赤に染め、膝を抱えるようにして丸くなった。

 そして、俺の肩に『トスッ』と、額を預けるようにして寄りかかってくる。

 

「……あなたの顔が、見えないんだもん。……ゲームしてると、あなたが画面ばっかり見てるから。……私、……なんだか、……損してる気がする」

 

 ――あまりの可愛さに、俺の心臓が物理的に跳ねた。

 

 自分からゲームに誘っておきながら、俺の意識が画面に向いているのが寂しくなってしまったらしい。

 寧々は俺の肩に顔を埋めたまま、くぐもった声で続ける。

 

「……今日は、司たちの声を聞きすぎて、耳が疲れちゃったの。……だから、……あなたの、……静かで、優しい声が、……もっと近くで聞きたい……」

 

 そう言いながら、彼女は俺の腕の中に潜り込むようにして、隙間なく密着してきた。

 さらさらとした薄緑色の髪が、俺の首筋をくすぐる。

 

 彼女が纏う、微かなシャンプーの香りと、彼女自身の温もりが、逃げ場のないほど俺を包み込んだ。

 

「……ねえ。……撫でて。……いつもの、……魔法」

 

 寧々は俺の胸元に顔を押し当てたまま、両手で俺のシャツの裾をぎゅっと握りしめている。

 俺は空いた手で、彼女の柔らかい頭をそっと撫でた。

 指の間をすり抜けていく、絹のような髪の感触が心地よい。

 

「……んぅ……。……そう、……そこ。……気持ちいい……」

 

 寧々は目を細め、幸せそうな吐息を漏らす。

 撫でるリズムに合わせて、彼女の体が少しずつ、俺の体の中に溶け込んでいくような錯覚に陥った。

 

 すると、彼女はさらに大胆な行動に出た。

 俺の太ももに自分の足を乗せ、文字通り『ひっつき虫』のような体勢で、俺を独占しようとしてきたのだ。

 

「……私、……わがままだって、……思ってる?」

 

「全然。むしろ、寧々がそんな風に甘えてくれるのが嬉しいよ」

 

「……バカ。……そんなこと言われたら、……私、……調子に乗っちゃうわよ」

 

 寧々は顔を上げ、至近距離で俺を見つめてきた。

 潤んだ瞳。少しだけ震える、桜色の唇。

 

 いつもは人見知りで、言葉を選ぶのに時間がかかる彼女が、今は感情を隠すことなく、その熱い眼差しを俺にぶつけてくる。

 

「……ねえ。……私ね、……あなたの前だと、……なんだか、自分じゃないみたい。……もっと、……もっと可愛く思われたいって。……あなたの視線を、1秒も逃したくないって……。……人魚姫じゃなくて、……ただの欲張りな女の子になっちゃうの」

 

 彼女は俺の首筋に鼻先を擦り寄せ、深く、俺の匂いを吸い込んだ。

 その吐息が、耳元にかかる。

 

「……ねえ。……して? ……今日のご褒美。……ゲームで勝った、ご褒美……」

 

 寧々は少しだけ背伸びをして、唇を近づけてくる。

 俺は彼女の細い腰をそっと引き寄せ、その小さな体を腕の中に完全に閉じ込めながら、ゆっくりと唇を重ねた。

 

「……んっ、……あ、……ぁ……」

 

 マシュマロのように柔らかい唇の感触。

 一度触れると、もう離れることなんてできなかった。

 

 寧々の甘い吐息が流れ込み、脳が蕩けていくような多幸感に襲われる。

 彼女は俺の首に腕を回し、自分からも応えるように一生懸命に唇を動かし、俺の愛を確かめるようにしがみついてきた。

 

 何度も、何度も角度を変えて唇を重ねる。

 寧々は俺の背中の服をきゅっと掴み、俺の愛を全身で受け止めているようだった。

 

「……んむ、……ふ、……あ……、……大好き……。……愛してるわ、……本当に……」

 

 キスを終え、額を合わせたまま、寧々が熱っぽい吐息を漏らす。

 その瞳は熱っぽく潤み、もはや『内気な少女』の面影など微塵もない。

 

「……ねえ。……今日は、……もう何もしないで。……テレビも、ゲームも……全部いらない。……ただ、あなたの声と、……温もりだけで、……私を満たして……」

 

 寧々は俺の胸元に顔を隠し、じたばたと足をバタつかせた。

 照れ隠しのその動作さえも、今の彼女には愛おしさしかない。

 

 俺は彼女を抱きかかえたまま、ゆっくりとソファに深く腰掛け直した。

 

「……一生、こうしててもいいわよ。……あなたが、私を離さないでいてくれるなら」

 

「離さないよ。寧々が『もういい』って言ってもね」

 

「……ふふ。……『もういい』なんて、……一生言わないわよ」

 

 寧々は俺の胸に顔を擦り付け、満足げに微笑んだ。

 

 窓の外では、月が静かに夜を見守っている。

 明日、彼女は再びワンダーステージの歌姫として、眩い光の中に身を投じるだろう。

 

 けれど、この部屋の、この腕の中だけで見せる――。

 世界で一番甘くて、世界で一番可愛い、草薙寧々の本当の顔。

 

 俺は、最愛の恋人の温もりを抱き締めながら、この穏やかな時間が永遠に続くことを、心から願っていた。

 二人を包む夜は、どこまでも甘く、そして深い、愛の癒やしに満たされていた。




なんでこんな時間に投稿してるのか?だって?


仕事の待機時間に決まってるからだろ!!
(聞いてない)
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