変わらずアル視点ですが、今回現在アル達の会話はほぼ無いです
柴関ラーメン爆破回避により、この辺から生じる差異が致命的にならないよう修正するためのオリチャーが発動します
「あなた達は先に出ていてちょうだい。大将、お勘定お願いするわ―――」
「柴関ラーメン、本当に美味しいね。これは遠くからでも食べにくる人がいるのも納得」
「580円の割に具沢山で麵の量も十分。味は言わずもがな。そりゃリピーターも増えるよね」
「そういえば、D.U.で広告の看板を見た事ある気がします。思ったより手広くされているのかもですね……」
「といっても最近客足は遠のきがちらしいけどね……」
「まあ砂漠化で人が減ってるらしいからねぇ」
「待たせたわね。行きましょう」
「お帰り。それで社長、この後どうするんだっけ」
「もう少ししたら銃砲店の開店時間になるから、そこに行って武器の調達ね。歩いて行ったら丁度の筈。そのあとはブラックマーケットの銀行で傭兵の雇用調整よ」
「銀行と言えば、昨日の"アレ"、どったのさ? 相場確認に行ったらお金拾ってくるなんて事態にどうしたらなるか分からないんだけど。資金洗浄は昨日の内に済ませたとか言ってたけど元のは一体なんだったの?」
「類まれなアウトローの権化とも言える存在の"忘れ物"よ」
「類まれな……」
「アウトローの……」
「権化……」
「…………なんでじっと私を見るのよ」*1
「うーん……アルちゃん、そういうトコあるよなぁって」
「は?」
「知らぬは本人ばかりなりってね……」
「ど、どういう事よ……?」
「あ、アル様は、最高のアウトローだと思います!」
「えぇ……? いや、私は―――」
「ほ、本当です! 私を助けて下さった時なんて……」
「―――ちょっと待って。今、砲撃の音しなかった?」
「この辺で抗争ってこと? でもヘルメット団は追い出したはず―――」
「上よ! 危ないッ!!!」
次に先生と便利屋が関わったのは、対風紀委員会戦。
しかし、その出会いは少々特殊だ。
風紀委員会が迫撃砲を打ち込んだ時、先生と対策委員会は既にその場にいた。なぜなら柴関ラーメンを爆破した時の爆発反応を基に現場に駆け付け、爆破犯である私達を見咎め、口論していたから。
つまり柴関ラーメンが爆破されないベルの世界では、風紀委員会との戦いを発端に先生が駆け付ける事になる。
そうなると、先生達が迫撃砲の爆発反応で駆け付けるまでの間、便利屋だけでイオリ達を相手する事になる。対策委員会と先生がいたから攻撃を一旦中止したのだから、どちらも居ない場合、風紀委員会は名目上の『便利屋68の捕縛』のために全力を尽くすだけ。
ホログラムで再現された先生達が現場に駆け付けた時には、ボロボロの姿で抗戦する便利屋と、迫撃砲や兵数を駆使して追い詰めようとする風紀委員会の光景が広がっていた。
『あの集団のマークは、ゲヘナの校章です!』
『"ゲヘナの風紀委員会だね。だけど、なんでここに……? アル達を捕まえに来たのかな"』
『それにしては、街への被害が考えられてないように思えますが……』
『ん……』
駆け付けて一番にアヤネが集団の所属を把握。ワカモと戦う際に火宮チナツと一緒に戦った事があるらしい先生も所属をすぐ把握した。
ノノミとシロコは戦闘痕が激しい街並みを見て顔を顰め、視線を風紀委員会へ向ける。
視線の先では、"私"とイオリを中心にした激戦が繰り広げられていた。
『いい加減観念しろ! 規則違反者!』
イオリが足を柔軟にしならせ、跳躍、あるいはステップを踏みながらボルトアクションの長銃を撃つ。
『は……っ! 今のあんた達に捕まるのだけは絶対にお断りよ、無秩序捕縛者!』
それを同じように素早く躱し、お返しとばかりにセミオートマチックの長銃を撃つ。
弾丸は互いに当たらず、不発に終わる―――それを見越した上で地を蹴り、距離を詰め、銃で殴り掛かった。
ガッ、とストック部分で鍔迫り合いが起きる。
『お前の銃は私のよりもずっと繊細だ。何回も殴り合ったんだ、そろそろ暴発するぞ……!』
『ご心配どうも!』
イオリの挑発に、"私"は不敵に笑いながらストックを弾き上げた。両腕が上がりガラ空きになった腹に、横薙ぎで"私"の右足の蹴りが迫る。
それをイオリは、銃をかち上げられた勢いに逆らうことなくバク転で回避。数度繰り返して距離を開けたところで体勢を立て直した。
その彼女に、"私"が片手で銃を突き付け、引き金を引いた。
『チ―――ッ!?』
一瞬の判断で、イオリは体を横に傾けた。直後には頭があった位置を弾丸が通り過ぎる。
不発に終わったが―――後方の彼方に控えていた部隊の迫撃砲一門が、その弾が着弾し、爆発したことにより使い物にならなくなった。
『けどお生憎様、手荒に扱ってもいいよう諸々カスタム済みよ!』
『この……ッ!』
受けていれば自分が無視できないダメージを受けて行動不能になったかもしれない。しかし躱した結果、後方の迫撃砲部隊がやられた。
どちらに転ぼうと不利に働くそのやり口にイオリは苛立ちを見せながらレバーを操作し、排莢した。
『ちょっと、あんた達! ゲヘナの風紀委員会がアビドスで何やってんのよ!? こんなに街をボロボロにして、どういうつもり!?』
そうして便利屋と風紀委員会の実力者同士がにらみ合い、再度ぶつかる機を探り始めた時、それを狙ってか堪りかねたか分からないがセリカが怒りを露わに大声を上げた。
その場の全員の意識がそちらに向き、一時的な冷戦状態になる。
"私"は背後に位置するセリカ達対策委員会や先生を肩越しに見て、ほんの少しイオリから距離を取るように動いた。周囲で風紀委員とやり合っていたムツキ達も冷戦状態に入ったのを見て一旦集まり始める。
風紀委員は武器も構えて狙いを付けたまま、包囲を維持していた。
それを警戒しながらシロコ達も"私"やムツキ達の下へ駆け寄っていく。
『いったい何があったの?』
警戒と困惑を綯い交ぜにしながらシロコが問う。
"私"は煤や硝煙、土埃を被ってボロボロの体で肩で息をしながらも、どうにか口を開いた。
『見ての通りよ……ゲヘナ風紀委員会が、私達を捕らえにやってきた。市街地への被害を考慮せずにね……』
『ん……ゲヘナでは、これが普通なの?』
再度、今度は困惑を大きくした問い。
それに"私"は『はっ』と嗤うように息を吐き出し、口元を歪めながらイオリや風紀委員達を見やる。
『まさか……自治区運営の主権というものがあるからね……私みたいな指名手配犯がゲヘナ外に居ても、普通は出てこないわ』
苦しげな様子で言う"私"に、その身を案じて代わりに伝えるかのようにカヨコ達も続いて口を開いた。
『自分の自治区は自分のトコで守る。基本的にどの学校もそれが優先される、他の横入りを許したら好き勝手されるからね』
『メガネっ娘ちゃんと先生には話したけど、私達がゲヘナに寄りつかないのだって風紀委員会が出てこないからだしね~』
『な、なので……普通は、本当に出てこないんです。外交問題になるので……』
『普通は……ということは、あなた達が普通じゃない事をしたから出てきた……?』
『ウチを襲ったからってことじゃないの?』
シロコの疑念に答えを出すかのように、セリカが疑惑をぶつける。
まあそれは抱いても当然だとは思う。当時は気にしなかったけど、なんだかんだアビドスも連邦生徒会に自治を認められていた正式な学校。どれだけ小さく、人数も限界と言えど、公認されているのだ。
そこを廃校にせんと襲えばそれなりの罪に問われてもおかしくない。
『私達のことで、ヴァルキューレか連邦生徒会、あるいはゲヘナに通報したのかしら? だとすれば何れかからあなた達に連絡が来ている筈だけど……』
―――だが、その『罪を問う』という過程で問題がある。
当時のアビドス廃校対策委員会は非公認の組織だったという。そしてそれが明らかになるのは、まだ先のこと。
この時点で対策委員会が便利屋68の所業を通報していたとしても、連邦生徒会は取り合わない。ヴァルキューレなら指名手配書を見て対応するかもしれないが―――だとしても、アビドスの自治を担っている組織に一報も入れずにゲヘナの風紀委員会が関わってきていい道理はない。
ましてや一般市民がいる街中での無許可の砲撃は論外だ。
改めて考えても、この時の風紀委員会の行動は異常そのものだった。
『……いえ、してません』
『先生から、報告は?』
『"私もしてないよ"』
『であれば、私達は……いえ。正確には、風紀委員会の狙いに私達は無関係と、言うべきかしら……』
顔を歪ませるアヤネと、案じるような顔の先生の答えを聞いた"私"は、そう言いながら視線を再度イオリ達に向けた。それに誘われるようにアヤネやシロコ達の疑いの視線も向く。
一斉に視線を浴びたイオリが、不愉快げに眉根を寄せた。
『お前達は、アビドス高校の生徒か?』
『そうです。アビドス高等学校のアビドス廃校対策委員会です。改めて問いますが、ゲヘナの風紀委員会が何故こんな行為を?』
『お前達の傍にいるその校則違反者達にお灸を据えようと思ってな』
『"―――それは、風紀委員会の総意としての行動なのかい?"』
『大人……そういえばあんた、誰だ?』
『"私はシャーレの先生だよ。チナツという子から聞いてないかな"』
『なに……? 先生って、あんたが噂の……』
それまで黙って状況の把握に努めていた先生が、イオリの攻撃的な意見を契機に前に出て対話を始めた。当時のゲヘナ内―――正確には、上層部以外の生徒にはあまり重要視されてなかった事もあり、イオリもシャーレの事は気に掛けていなかったらしい。
困惑する間に後方部隊にいた火宮チナツが現れた。
『"久しぶり、チナツ"』
『お久しぶりです。まさかアビドスにいらしたなんて……それを把握せず兵を進めた私達の失策です』
『"失策はともかくとして、事情を聞かせてもらえないかな。アルの話を聞いた限りだと、今回そちらの動き方が通例と異なるとの事だけど"』
『なっ、規則違反者の言う事を信じるのか!?』
『"信じるかどうかよりも前に、事実の確認を優先したいかな"』
『それは……』
『[それは、私から答えさせていただきます]』
先生からの冷静な質問に、先生の所在を知らず、おそらくただ便利屋を捕らえる指示に従っただけだろうチナツが言葉に詰まったその時、空中から飛んできたドローンのスピーカーから声が発せられた。
ドローンから地面に向けて投影されたのは天雨アコの姿だった。
『"君は……"』
『[初めまして、先生。私はゲヘナ風紀委員会、行政官を務めます、天雨アコと申します。そしてアビドスの皆さん。先ほどまでの愚行は私の方から謝罪させていただきます]』
そう言って目礼をするアコ。そんな彼女に、ホログラムの隣に立っていたイオリが『はぁ!?』と声を上げた。
『愚行って、私は命令通りに便利屋68を捕らえるためにやってたんだけど!?』
『[イオリ、反省文のテンプレートがどこにあるかご存知ですよね?]』
『あ、アコちゃん!? これは流石に理不尽じゃないかなぁ!?』
『[命令通り対象を狙ったのは良いとして、無差別に撃ち過ぎです]』
『それはあいつらが盾にするからだよ!』
『[だとしても、ここはゲヘナではありません。
『…………アコちゃんの机の左の引き出し』
『[よろしくお願いしますね]』
唐突に始まった既視感のあるアコとイオリのやり取り。
その業務上のミスを詰める様に対策委員会は口出しできず、ただ見守るばかりだった。
便利屋の方は、やけに息も絶え絶えな"私"をムツキ達が案じるという、のっぴきならなさそうな様相だけど。
『も、申し訳ありませんアル様! わ、私を庇って……私が鈍臭いばかりに、アル様が……!』
『気付いたのが私だっただけだから、気にする必要は無いわ……反射で動いちゃってたし……』
『アルちゃん、迫撃砲の弾頭が直撃するコースで食らってたよね? イオリとの戦い中も爆撃食らってるし、いま滅茶苦茶やせ我慢してるでしょ。無理しないで』
『もうかなりキツそうだし、休んだ方が良い』
どうやら"私"は迫撃砲を一発直撃した上で先生達が駆け付けるまでの時間を耐えていたらしい。
こちらの私は迫撃砲の余波を食らって少しの間気絶したから、防御力という面では当時の私を上回っている。それでも苦しげだけど、手負いの状態でイオリや風紀委員会の多勢を相手に耐え抜いたのは恐ろしい手腕だ。
勿論それは援護してとにかく"私"に攻撃が向かないよう捌いていたムツキ、カヨコ、ハルカ三人の尽力もあるだろう。
ヒナ抜き風紀委員会を倒せるとは私達も豪語してきたけど、それはあくまで作戦をちゃんと立てて準備をした上でのこと。
いくら"私"が『知識』で未来を把握し、その日に風紀委員会とやり合うと分かっていたとしても、ムツキ達は知らない。その上で抗い続けられた点を考えると、幼馴染として長年影響を受けているムツキだけでなく、共にした時間は決して長くないカヨコ、ハルカも実力が上がっていると見ていい。
そんな彼女達が顔を歪ませて止める中、"私"は膝を折るのを拒否するように前かがみになって、長銃のストックを地面に立てて杖代わりにしていた。
『泣き言言っても状況は変わらないわ……逃げるにせよ、なんにせよ、もう一戦やらないとでしょうしね……』
『それは……そうかもだけど……』
状況的に、便利屋の進退は窮まっている。
ゲヘナは便利屋を捕らえに来た。アビドスはその便利屋に襲われ、困っている。だから渡して終わりになってもおかしくない。
私達の時は柴関ラーメンを爆破したことの仕返しは自分達でするため、という怒りに任せた部分もある理由だった。勿論そこにはアビドスの問題はアビドスで解決するという主権問題もある。
―――だから"彼女"は、風紀委員会の狙いは自分達でないこと、そして自治区運営の主権について言及したのだろう。
アビドスが便利屋を引き渡さない理由を作るために。
それからアコが引き渡しの協力を"お願い"するも、アヤネはアビドスの自治区内だということを理由に自分達で便利屋を対処するとしてそれを拒否した。
『そうですか。それは残念です……しかし偶然とはいえ凄い状況になりましたね。シャーレの先生と会い、その上で交戦する事になるとは』
『―――白々しいね、アコ。最初からこの状況を狙っていたんでしょ』
開戦前の余裕の口上を、怒りを滲ませながらカヨコが遮った。
『狙いはおそらく、シャーレの先生の身柄』
『"……私かい?"』
カヨコの示唆に、いきなり話を振られた先生はキョトンとした顔をする。
そんな中、ムツキとハルカを伴いながら立ち上がり復帰した"私"が会話に参加した。
『残念ながらと言うべきか、生憎と言うべきか分からないけど、ウチはそこまで大きくないわ。ウチ程度を理由に風紀委員長が規則を曲げてこんなことまでしでかす事は無い』
『それに加えて、この非効率的な兵の運用に、ウチを潰すにもアビドスを相手にするにも過剰な兵力。あの風紀委員長のやり方じゃない』
『そして、自治区運営の主権や
『だから、アコ。これはあんたの独断。違う?』
"私"は法や規則、権利の観点から切り込み、カヨコは風紀委員会やアコのことをよく知るが故の切り口で推理を披露した。
それにアコは少し唖然としていたが、少しすると微笑み、なぜこんなことをしでかしたかの事の次第を話す。その内容は私も聞いたものと同じで、要は『シャーレの影響がどう働くか分からないからトリニティとのエデン条約締結までゲヘナで身柄を預かる』というものだった。
それに対策委員会は当然の如く反対。風紀委員会との交渉は決裂した。
『そうですか。必要な対処とあらば已むを得ませんが、先生を含めてもたった五人*2で勝てると思っているのですか?』
『あら。今更私達を無いものとして扱う気かしら、天雨アコ?』
アコの挑発混じりの確認に、そう対応したのは"私"だった。
未だやせ我慢の表情が伺える"私"は、それでも不敵に微笑みながらカッ! とヒールを鳴らしながら一歩踏み出した。
そんな彼女に慮るような視線を先生が投げる。
『"アル。戦えるのかい?"』
『やれなくともやるわよ。それに手負いではあるけど、相手の最大戦力のあの子を押さえ込むくらいはできるわ』
『な、なんだとコラァ!? ボロボロのくせに!』
『手負いの私一人相手に迫撃砲と歩兵援護複数でも押し切れず互角の時点で実力不足でしょう』
『な、ん……この……!』
イオリの激昂に"私"が淡々と、おそらくは無自覚の煽りを籠めた言葉を返す。
その言葉を信じるなら、万全の―――それこそアビドス襲撃時の状態が彼女の実力なのだろう。負ける前提だからあれも全力とは言い難いけれど。ホシノも全力を出していなかったとはいえいいようにぶん回していたし、それが出来る程と考えれば、確かにイオリよりはずっと強いのかもしれない。
というか私達は指揮があるイオリ相手はかなり苦戦するのだけど……*3
薄々思っていたが便利屋の戦闘能力は全体的に上がっているらしい。
『そういうわけで、対策委員会、取り引きよ。内容は共闘。対価は襲撃取り止めと、あなた達の助けになる情報の提供。どうかしら?』
『ん、乗った』
『ちょ、シロコ先輩即決!?』
『私も良いと思いますよ! 今は戦力が惜しいですし、良い事尽くめですし!』
『私もです。それに情報も気になります』
『ノノミ先輩にアヤネちゃんまで……うぅ、まあ、襲撃されなくなるならいいけどさ』
『"ということみたい。よろしくね"』
『ええ、よろしく』
そうして"私"はアビドスとの堂々とした共同戦線を構築した。
私達の時はやられっぱなしじゃいられないという意地がメインだっただけに、なんだかちゃんと交渉した上で協力を取り付けてる姿を見ると、ああやってればよかったか……と思ってしまった。
『情報の提供』が何を指すかは分からないけど……
『早速だけど先生。私、いま余裕無いから
『社長モードなのに名前呼び……浅黄ムツキでーす。役職は室長!』
『え、役職も言うの? ……鬼方カヨコ。課長。よろしく』
『伊草ハルカ、です。ヒラです……よろしくお願いします』
『はい、じゃあアルちゃん社長も!』
『必要無いわ。彼女達には
『えっ、そうなの? アルちゃんいつの間に……』
ムツキからの促しに対する答えは、覆面水着団の正体に気付いていることを示唆するもの。
私達と違って現場にいなかったあちらのムツキ達はいつ渡したのかと首を傾げる一方、言われた方のシロコ達は予想はしていたもののワンチャンで気付いていない方を信じていたのか少し固まっていた。
『まあ、タイミングとしては社長が単独行動を取ってた昨日くらいだけど……あの大金もまさかこの子達が……?』
『ねぇ、これ気付いてたわよね!? なんならあのとき最初から気付いてたわよねこれ!?』
『ん……遊ばれてたかも……』
『あはは……流石にアルさんは騙せなかったみたいだね……』
『覆面水着団の正体はブラックマーケットでもまだ知られていないのに気付かれるとは、思った以上に敏腕社長さんかもですね?』
『……怪しい……』
怪訝そうにカヨコが視線をじろりと向ける先では、速攻でバレていたのではと小声で話す
そんな中で"私"が再びカッ! と靴音を鳴らして注目を集める。
『さぁ、細かい話は後。今は風紀委員会を叩き返すのが重要よ! 先生―――協業の時よ!』
『"うん。みんな、行くよ!"』
『[風紀委員会、攻撃開始!]』
両者の指揮官が指示を出したのを契機に、冷戦は終わり、戦端が再度開かれる。
その最前線を突っ切っていく影が二つ。弾丸よりは遅いが、それでも十分早い銀と赤。
『覚悟しろ、便利屋ァ!!!』
『ハッ―――覚悟するのは、あなた達の方よ!!!』
勢いをそのまま乗せた回し蹴りの交錯。弾かれ、着地すると同時の射撃。互いに半身を逸らして躱しながら距離を取り、走りながら撃ち合っていく。
それを他所に、先生とアコが指揮する生徒達の撃ち合いも始まった。
・『陸八魔アル』
対単独戦を得意とする社長
自身に勝機がある前提かつ窮地に追い込まれている状況であるほど不確定要素が少なくなるタイマン勝負を好む。また単独行動を取る事も多いため本来のアルに比べて近接戦を仕掛ける事が多い
『知識』で迫撃砲が来るのは知っていたので最速で気付き、社員を庇って直撃被弾。イオリ達との交戦中に爆撃の余波や銃撃の被弾もあるが先生達が駆け付けるまでの時間を気合で耐えた。耐えただけなのでしっかり痛いし攻撃動作にもかなり影響しているくらいにはグロッキー気味だがそれでもイオリとは互角
ちなみにアビドスに持ち掛けた『情報提供』は度々言及したり柴関爆破防止により導線が無くなる『土地の問題』のこと
・(故)ムツキ
対複数戦を得意とする室長
社長のやせ我慢ガッツが早々に発揮されたのであまり余裕が無い。当然だが迫撃砲を撃ち込んだ風紀委員会には内心キレている
昨日の単独行動中くらいだろうけどアビドスの子達と何があったのか結構気になっている
・(故)カヨコ
対人戦を得意とする課長
古馴染みの暴走で社長がボロボロになっていて内心かなりキレている
アビドスに来てからなんか知らない間にやってる事多いな、と感じてはいるがあまり突っ込まないようにしている
・(故)ハルカ
戦闘全般を得意とするヒラ
自身を庇って崇敬する社長がボロボロになった上に追撃もあって内心バチバチにキレているが表面上はそのまま
えへへ……対策委員会編回想はあと2話で終わる目算でしたけどこれ無理ですね……(最低でもあとカイザー撃退、ホシノ救出戦があるのに対風紀戦が終わらなかった)
気長にお付き合いくださると幸いです……